どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。ゆっくり数字をかぞえることができません(お米の◯合みたいなのが無理)。
いつも通りいらん前置きから始まります。
人生の貴重さについて理解している賢明な方は、ぜひとも読み飛ばしましょう。
- 殺人の似合う季節になりましたね
- 集計をしよう。ミステリー好きよ、集え
- もう終わりにしよう。最強たちよ、さらば
- 42位
- 41位
- 40位
- 39位
- 38位
- 37位
- 36位
- 35位
- 34位
- 33位
- 32位
- 31位
- 30位
- 29位
- 28位
- 27位
- 26位
- 25位
- 24位
- 23位
- 22位
- 21位
- 20位
- 19位
- 18位
- 17位
- 16位
- 15位
- 14位
- 13位
- 12位
- 11位
- 10位
- 9位
- 8位
- 7位
- 6位
- 5位
- 4位
- 3位
- 2位
- 1位
殺人の似合う季節になりましたね
犯罪が大好きな紳士淑女の皆様こんにちは。
突然だが、不謹慎と聞いてあなたは何を連想するだろうか。
マンガ、映画、ヒップホップを代表するアウトロー賛美な音楽、芸人、オッサン政治家…ってこれも芸人みたいなもんか。
色々とあるだろうが、私は常々ミステリーというジャンルほど不謹慎なものはないと思っている。
だって犯罪を堂々と娯楽にしているジャンルなのである。
犯罪行為に対して「魅力的な謎」「美しい死体」など、現実のニュース番組などでコメンテーターが発言しようものなら即炎上、指殺人の第一候補に躍り出ることだろう。しかしミステリー界隈ではこれは紛れもない惨事…じゃなかった賛辞なのである。うーん、どうしようもないですねぇ。
でも考えてみれば、ゴールデンタイムに家族団らんで小学生が死体と戯れるアニメ(※名探偵コナンの意)をニコニコ見ているのが日本の現状である。不謹慎ってなんだっけ?
集計をしよう。ミステリー好きよ、集え
ということで、不謹慎極まりないことが大好きな皆様が歓喜してしまう企画をご用意した。
題して、
絶対に読んどけっていうミステリー小説ランキング!!
である。
#絶対に読んどけっていうミステリー小説 というタグで殺人好きミステリー好きの皆様に協力を仰ぎ、思いつく限りの作品名を挙げてもらった。
それを手作業してランキングにこしらえたのが、今回の記事である。
実は過去に似たようなミステリーランキングを2回やっている。『最強のミステリー小説ランキング』である。
ネタバレになってしまうが、過去の2回とも憎き『十角館の殺人』がぶっちぎりの1位になってしまった。
というか上位の作品がほぼ固定になってしまい、全然代わり映えがなくて、ミステリー好きからすれば「またかよ…」と食傷気味になるし、界隈から離れた人からすれば「まだ20年以上前の作品で盛り上がってんのかよ…」と呆れ果てられる始末だった。
「とにかく進歩がない」
「過去の名作に永遠に勝てない」
ミステリー小説界隈における最大の問題点が過去2回のランキングにおいて浮き彫りになった。
というか界隈の人間はすでに薄々気付いていた。ミステリー小説においての“最強”が更新されていないことに。
しかし私を含む界隈の人間したことといえば、自らの性癖の奥地に深く潜り込むor逃げ込むことで“最強”の定義をすり変えてきたのである。
例えばエログロ具合で評価したりとか、今までにない設定を追加してることをやたら賛美したり、多重解決の限界突破とか、麻耶雄嵩にハマりだしたりとかである。
言うなれば視野を狭めることで自らの“最強を見たい欲”を埋め合わせてきたのだ。
もう終わりにしよう。最強たちよ、さらば
しかしそろそろ界隈にも新陳代謝が必要である。最強の作品ばかりに注目が集まる現状も変えていく時期だ。
ただのいち読者である私がそう思うぐらいだから、ミステリー作家の皆様の思いは如何ばかりか。綾辻行人を恨んでいる人は片手では足りないだろう。さきほど『十角館の殺人』に対して「憎き」と書いたのはそういう意味である。
ということで、今回のタグである。
今までは #最強のミステリー小説10選 で募集をしていた。そうなると過去の名作、とりわけ抜群の衝撃度を誇る『十角館の殺人』に票が集中してしまう。10選という限られた枠の中で『十角館』を無視するのはミステリー好きとしては至難の業だ。
なので私は2つの思惑を持ってタグを設定した。
まずひとつめ。
・「最強」ではなく「絶対に読んどけ」という界隈初心者を意識したタグにすれば、同じラインナップに飽き飽きしているであろうミステリー小説好きたちは、選ぶ作品に変化が生まれるはず
しかしそれでも「絶対に読んどけ、といえば…」と『十角館』が出てくる可能性は高い。
そこでふたつめである。
・「10選」という枠を取っ払い、好きなだけ作品を挙げてもらうことで票の母数を増やし『十角館』の比率を下げる
綾辻行人氏からすれば嫌がらせにもほどがある考えだが、それもこれも偉大すぎる作品を生み出した自らの才能を恨んでいただき、ぜひとも寛大な心で無視していただけると助かる。
それでは私の小賢しい思惑が成功したのかどうか、果たしてミステリー界に新風が吹き込まれたのか。その結果を見届けてほしい。
総参加人数1147名が選んだ必読の294作品である。
お楽しみあれ。
では行ってみよう。
※集計作業の都合上、4票以上が入った作品のみのランキングとなります。
ご了承くださいませ。
42位
4票を獲得した42位は65作品がランクイン。
~~~~
『Nのために』
『OUT』
『アンゴウ』
『オーデュボンの祈り』
『オルファクトグラム』
『かがみの孤城』
『ギリシャ棺の秘密』
『スタイルズ壮の怪事件』
『スロウハイツの神様』
『そして夜は甦る』
『タルト・タタンの夢』
『ネジ式ザゼツキー』
『ビブリア古書堂の事件手帖』
『ブラウン神父シリーズ』
『フロスト警部シリーズ』
『ボーン・コレクター』
『マジックミラー』
『ユダの窓』
『ラッシュライフ』
『隠蔽捜査』
『火刑法廷』
『怪人二十面相』
『開かせていただき光栄です』
『蒲生邸事件』
『眼球堂の殺人』
『希望が死んだ夜に』
『凶鳥の如き忌むもの』
『金雀枝荘の殺人』
『愚行録』
『月の扉』
『幻夏』
『古典部シリーズ』
『紅蓮館の殺人』
『黒猫』
『砂の器』
『災厄の町』
『三つの棺』
『死の泉』
『自由研究には向かない殺人』
『朱色の研究』
『十字屋敷のピエロ』
『春にして君を離れ』
『女王の百年密室』
『女王蜂』
『招かれざる客たちのビュッフェ』
『象と耳鳴り』
『生首に聞いてみろ』
『樽』
『長い家の殺人』
『天久鷹央の事件カルテ』
『天使の囀り』
『豆の上で眠る』
『半七捕物帳』
『盤上の敵』
『悲しみのイレーヌ』
『悲劇三部作』
『病院坂の首縊りの家』
『富豪刑事』
『弁護側の証人』
『望み』
『陽気なギャングシリーズ』
『流星の絆』
『掟上今日子の備忘録』
『檻の中の女』
『珈琲店タレーランの事件簿』
~~~~
どうだろうか。私としては、皆さんがどれだけ好き放題作品名を挙げまくっているかよく分かるラインナップだと思った。
「絶対に読んどけ」という言葉に乗じて、隙あらば自らの性癖を押し差し込んでやろうという、どうしようもないミステリー好きたちの偏屈ぶりが遺憾なく発揮されている。
ということで私のイチオシは『弁護側の証人』と『陽気なギャングシリーズ』です。
企みっぷりなら『弁護側の証人』。全方位最強型としては『陽気なギャング』。読んで。
41位
5票を獲得したのは全部で52作品。
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『「アリス・ミラー城」殺人事件』
『11枚のとらんぷ』
『D坂の殺人事件』
『アルバトロスは羽ばたかない』
『キングを探せ』
『グラスホッパー』
『クリムゾンの迷宮』
『サクリファイス』
『ジョーカー』
『ジョーカー・ゲーム』
『スイス時計の謎』
『そして扉が閉ざされた』
『パーフェクト・ブルー』
『ぼくのミステリな日常』
『ホワイトラビット』
『まだらの紐』
『マリオネットの罠』
『ミス・マープルと13の謎』
『むかし僕が死んだ家』
『りら荘事件』
『レベル7』
『闇に香る嘘』
『噂』
『仮面舞踏会』
『火村英生シリーズ』
『過ぎゆく風はみどり色』
『叫びと祈り』
『狂骨の夢』
『鏡は横にひび割れて』
『愚者のエンドロール』
『犬はどこだ』
『五匹の仔豚』
『皇帝のかぎ煙草入れ』
『鋼鉄都市』
『黒死館殺人事件』
『黒猫の三角』
『三毛猫ホームズシリーズ』
『邪馬台国はどこですか』
『十戒』
『心霊探偵八雲』
『正体』
『隻眼の少女』
『奪取』
『長いお別れ』
『天使と悪魔』
『謎解きはディナーのあとで』
『麦酒の家の冒険』
『百鬼夜行シリーズ』
『名探偵夢水清志郎事件ノート』
『頼子のために』
『理由』
『匣の中の失楽』
~~~~
まだまだ下位ではあるが、めぼしい作品がちらほら散見される。
こういうタグ集計系のランキングの場合、本当に評価が高いのもそうだけど、思い出しやすいかどうかというのもポイントになる。
いざ“絶対に読んどけ”という作品を思い出そうとしても、読書家であればあるほど脳内フォルダを検索するのに苦労する。
しかも記憶は上書きされたり、多感な時期に読んだ作品はより強烈に覚えていたりするから、一筋縄ではいかない部分もあるだろう。
あくまでも今回はこんなランキングになってしまった、というぐらいで受け止めていただけると幸いである。
でもひとつだけ文句を言わせてほしい。
清涼院の『ジョーカー』に入れた者たち、いい加減にしなさい。ミステリー初心者に何を読ませようとしてんだ。毒だろ、あんなん。
40位
私の清涼院流水への偏った愛は置いといて、40位の発表である。
6票を獲得したのは30作品。
~~~~
『64』
『アトポス』
『ある閉ざされた雪の山荘で』
『クビシメロマンチスト』
『ゴーストハント』
『ザリガニの鳴くところ』
『しあわせの書』
『ストーンサークルの殺人』
『ディスコ探偵水曜日』
『テロリストのパラソル』
『どちらかが彼女を殺した』
『黄色い部屋の謎』
『楽園のカンヴァス』
『黒いトランク』
『黒後家蜘蛛の会』
『黒牢城』
『今はもうない』
『殺しの双曲線』
『死の接吻』
『人狼城の恐怖』
『星を継ぐもの』
『赤い指』
『点と線』
『特捜部Q』
『毒入りチョコレート事件』
『二銭銅貨』
『猫は知っていた』
『爆弾』
『和菓子のアン』
『薔薇の名前』
~~~~
先日行なった「絶対に読んどけっていうSF小説ランキング」のときに、圧倒的な支持を得た『星を継ぐもの』が意外とこの順位である。いやーそうかー。やっぱりSF的な支持の方が多かったみたいね。
個人的に注目してほしいのは『殺しの双曲線』である。西村京太郎の若き頃の知らざれる名作だ。
今でこそ(私は一切そんなこと思っていないが)トラベルミステリー製造マシンだと皆さんが決めつけている作家であるが、実は野心的に本格ミステリーに挑戦状を叩きつけていた時期があったのだ。読めば分かるが冒頭からすんごい煽りだ。これはぜひとも受けて立っていただきたい。
あとは絶対に外せないのが、泡坂妻夫の『しあわせの書』だろう。時代を先取りしすぎた天才の仕事を食らってほしい。腹の底から「凄すぎ」って言ってほしい。
39位
7票を獲得したのはだいぶ減って14作品。
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『エジプト十字架の謎』
『オランダ靴の謎』
『コズミック』
『さよなら妖精』
『そして5人がいなくなる』
『ソロモンの偽証』
『ななつのこ』
『マークスの山』
『ミレニアム』
『亜愛一郎の狼狽』
『奇想、天を動かす』
『黒い家』
『密室殺人ゲーム王手飛車取り』
『予言の島』
~~~~
語りがいのある作品がかなり出てて、すんなり次に行きたくない気分になってしまうが、いかんせんまだ39位である。皆さんが食傷気味になってしまうので、コメントもちょっとだけに控えておこう。清涼院の『コズm…以下略。
38位
8票を獲得したのは16作品。
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『GOTH』
『カーテン』
『ステップファザー・ステップ』
『暗黒館の殺人』
『夏と冬の奏鳴曲』
『孤島パズル』
『硝子のハンマー』
『人形はなぜ殺される』
『犯罪者』
『扉は閉ざされたまま』
『不連続殺人事件』
『変な家』
『本と鍵の季節』
『冷たい校舎の時は止まる』
『連続殺人⻤カエル男』
『螢』
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変態たちの変態ヒーローであるマヤタンこと麻耶雄嵩の作品が2つもランクインしている。
勘違いしている方がいるかもしれないので一応注意喚起しておくが、この時点でまだ38位である。かなり下位に感じるかもしれない。
名言しておく。それは間違いである。
今回のランキングは手間とか情報量の調節のために、4票以上獲得した作品しか載せていない。それでも294作品もある。
では3票以下の作品を含めればどれくらいになるか。厳密に集計したわけではないが、いまざっくりと見た感じだと900作品ぐらいある。
つまりこの時点で全体の上位14%なのである。相当な人気作だ。かといって決してマヤタンが真っ当な人気者だとは全く思っていないことも名言しておく。『夏と冬の奏鳴曲』を読めばそのぶっ壊れ具合を存分に理解できるはずだ。もちろん理解する必要もまったくない。
37位
さあさあ、ミステリー界きっての変態作家のデビュー2作目を絶賛したところで、次に移ろう。9票を獲得した37位は18作品。
~~~~
『その可能性はすでに考えた』
『ナイルに死す』
『厭魅の如き憑くもの』
『煙か土か食い物』
『王とサーカス』
『仮面山荘殺人事件』
『館シリーズ』
『殺人鬼』
『重力ピエロ』
『神様ゲーム』
『折れた竜骨』
『電脳山荘殺人事件』
『倒錯のロンド』
『秘密』
『霧越邸殺人事件』
『名探偵の掟』
『夜歩く』
『乱れからくり』
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うわーーーーーー…。
とっても喋りたいことがあるラインナップだけど、処刑されてしまうレベルのネタバレになるので無理だ。分かる人だけ分かってくれればいい。まさか同じ順位になるとは…。
それとは別に個人的に好きなのが、舞城の『煙か土か食い物』。完全にどうかしてたと思うだけど、一時期メフィスト賞にハマってる頃があってその流れで読んだ。
絶対にキワモノだと決めつけてたし、実際あの文字塊はキワモノそのもの(決して春琴抄の悪口ではない)だったわけだが、それでもタイトルの深さに思わず膝を打ってしまった。彼の著作は他でもそうだけど、純文学に通ずる深みがあって面白い。全然ミステリーではないけど『熊の場所』とか完全に純文学だ。胸に迫るもん。
36位
まだまだ先は長いぞ!
10票を獲得した36位は早くも一桁の8作品。
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『○○○○○○○○殺人事件』
『99%の誘拐』
『クリスマスに少女は還る』
『タイム・リープ』
『空飛ぶ馬』
『幻の女』
『赤毛組合』
『羊たちの沈黙』
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「人さらいの岡嶋」として誘拐小説で有名な岡嶋二人の名作『99%の誘拐』がランクイン。岡嶋二人は地味な装丁とダサいタイトルのせいで目立ってないけど、めちゃくちゃ面白い作品がごろごろあるのでオススメだ。
ミステリー作家としては珍しい、トリックと本文執筆の分業制を採用していたのもコンスタントにハイクオリティを連発できた大きな要因だろう。
あと『クリスマスに少女は還る』に関しては私は完全に壁本だと思っている。
これは完全に文化とか思想の違いのせいかもしれない。読んだのが私がゴリゴリの本格ミステリー信者だったときだったので…全く受け付けず無事死亡しました。めでたしめでた死。
35位
11票を獲得した35位は11作品がランクイン。
ランキング記事を書いていると、いっつもこの辺りで不安になる。
「こんな膨大な記事、本当にみんな楽しんでくれてんのか…?膨大な文章を書きまくってるけど、誰も読まんのでは?」って、はい愚痴です。見苦しいものをお見せしてすいませんDeath。
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『アリス殺し』
『カラスの親指』
『ゴールデンスランバー』
『さよならドビュッシー』
『マリアビートル』
『悪意』
『暗闇坂の人喰いの木』
『夏と花火と私の死体』
『三毛猫ホームズの推理』
『心理試験』
『第三の時効』
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私が激推してる作品が並びまくっている垂涎のラインナップだ。
コンゲーム物の傑作『カラスの親指』とかエンタメ小説の最高峰『マリアビートル』とか切れ者刑事に脳の芯から痺れる『第三の時効』とか。
垂涎すぎて思わず順位を操作したい欲求に駆られたけど、なけなしの自制心と社会性で堪えてる最中である。果たしてこの記事を書き終えるまで堪え続けられるのかどうか見ものである。今あなたが見ている順位は本当に正しいものなのか。それは私しか知らない。(※冗談です。真に受けないように)
34位
どんどん行こう。
12票を獲得したのは11作品。
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『Another』
『その女アレックス』
『リバース』
『ロートレック荘事件』
『逆転美人』
『鏡の中は日曜日』
『九マイルは遠すぎる』
『硝子の塔の殺人』
『人間椅子』
『体育館の殺人』
『戻り川心中』
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やっぱりちらほら性癖が漏れ出てる選書が見受けられるんだけど、これって本当に素直に「絶対に読んどけっていうミステリー小説」って思ってるんだろうか。
作品名は名言しないけど、あんな性格の悪い作品を初心者に読ませたらミステリー嫌いになるでしょ。あんなん「オススメのミュージカルは?」って訊かれて『ダンサー・イン・ザ・ダーク』って答えてるようなもんじゃん。罪深すぎる。
あと『硝子の塔の殺人』に関しては、作者が現役医師なんだけど、診察の合間に館の見取り図とかトリックを考えてる様子をポストしていた。人を助ける仕事をしてる最中に、上手な殺人方法について考えてんのめっちゃ面白い。
33位
13票を獲得したのはたったの2作品。
『カササギ殺人事件』
発表後すぐに各種ミステリーランキングを席巻した『カササギ』である。
上巻を読んでたときはまあまあだったのだが、下巻からの…ね?
「クリスティ愛が凄い」と評判だけど、私はまったくピンと来なかったけど楽しめたので古典ヨワヨワの民でも問題ないから安心してほしい。オチにはちょっと笑っちゃったけど。
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『バスカヴィル家の犬』
ミステリーランキングを作るたびにホームズ系の票は入っていたんだけど、ほとんどが「シャーロック・ホームズシリーズ」だったり「シャーロック・ホームズの冒険」だったのだが、今回はかなり個別の作品に票がしっかり入った印象。やはりタグを変えたことで幅が広がったか。
…と思ったけど単純に映画とかドラマ効果だったようです。
32位
14票は4作品がランクイン。
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『生ける屍の死』
特殊状況ミステリーと言えばまずはこれでしょ。『屍人荘の殺人』が好きな人は絶対にハマるでしょう。というかこれを参考にしてるフシさえある。
異常なパンク愛と野心的な企みに満ちた一冊。この試みは本当に画期的。
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『大誘拐』
誘拐ミステリーの最高傑作といえば…これ。
知略の数々に、とぼけたキャラクターに軽妙な会話劇と、50年近く前の作品とはとても思えないエンタメっぷり。
「誘拐した老女が身代金の少なさにキレて、自らが誘拐の指揮を取り始める」というあらすじからして最高の物語なのが伝わるだろう。
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『緋色の研究』
またしてもシャーロック・ホームズである。
未読&古典ヨワヨワの名誉市民である私は語るべき言葉を持たないのだが、あのシャーロック・ホームズがこの世に初めて登場した作品である。ミステリーに興味がない人だって知ってる名探偵の代名詞である。
歴史の語る上で、という意味であればこんなに「絶対に読んどけっていう」に相応しい作品もないだろう。
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『模倣犯』
はっはっは。最悪の書。
31位
15票を獲得した31位は、7作品がランクイン。
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『13階段』
あの宮部みゆきをして「とんでもない商売敵を世に出してしまった」と乱歩賞選考の際に言わしめた作品。
私は運悪く映画の方を先に観てしまったため、原作を読む気にはなれないのが残念である。(ネタバレ否定過激派なので、映画化はネタバレだと思っています)
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『イニシエーション・ラブ』
こちらもミステリー界隈では大人気の作品。いつまでこのネタが理解されるだろうかと心配になったり。
そうそう、大事なことなので言っておくが、乾くるみはいいオッサンである。騙されないように。
あとこれの映画のポスター、死ぬほど最悪なので絶対に見ないでほしい。
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『クビキリサイクル』
こうやって見ていくと、本当にメフィスト賞がミステリー小説にどれだけ貢献してて、影響がいつまでも残っているかがよく分かる。
西尾維新がお喋り作家なのはデビュー作から伝わってきてたけど、まさかこんなイカれたレベルで多作&ハイクオリティを維持し続けられるとは思わなんだ。完全に化物の域に足を突っ込んでるでしょ。読んでないけど『化物語』ってエッセイじゃないよね?
不思議だったのは投票傾向を見ると『クビキリ派』と『クビシメ派』に分かれてたこと。
一緒に投票すればいいのに、両方を比べてどちらか片方だけポストしてる人が多かった。なぜ。ちなみに私は絶対に『クビシメ派』です。ミステリーとしては西尾維新の中で一番評価してる。
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『ジェリーフィッシュは凍らない』
残念ながら未読!
みんなの感想を一通り眺めてみたけど、「前半の退屈さがヤバい」「前半で止めようかと思った」みたいな意見ばっかで笑ってしまった。
言っとくけど、ミステリーなんてオチさえ完璧だったら、最後の一行までつまらなくても許されるのだよ。←暴論
~~~~
『悪魔が来りて笛を吹く』
新本格からミステリーデビューした私は、ミステリー好きを名乗っているくせに新本格以前のミステリー小説をほとんど読んでいない。
で、本格の代表格といえばやはり横溝正史だと思う。しかしこれも私の悪癖である「一度映像で見た作品はネタバレなので、原作は読めない」が発動してしまい読めないままでいる。
果たして新本格に慣れきっている私に横溝正史は“効く”のだろうか。誰か教えてください。
~~~~
『星降り山荘の殺人』
霞を食って生きてることで有名な倉知淳が放った最強の大砲である。
読者に正面切って挑戦状を叩きつける、ミステリー好きであれば必読の一冊だろう。
順位がこんなもんなのはそこまで評価している人が少ないからなのか、単純にそこまで有名じゃないからなのか。「絶対に読んどけ」の意味では通っておくべき作品の系譜だと思うんだけど…。
~~~~
『青の炎』
大好物です。
名作が続くから紹介しながらなんかテンションが上ってしまう。好きなものがあるって、なんて素晴らしいことなんでしょう。
でもまあそんな高いテンションで上機嫌に紹介するような作品ではないだろう。作品の空気ぶち壊しである
私個人の感覚で言うと、物語としては「絶対に読んどけ」なのだが、ことミステリー小説というジャンルにおいてと考えるとそこまでではないと判断する。この辺りに価値観の差が出るね。
30位
16票を獲得したのは7作品。まだまだ多め。
~~~~
『クラインの壺』
出ました。岡嶋二人というかほぼ井上夢人のやつ。
これのオチについて作者間でひと悶着あったみたいで、お互いのコメントに完全にミステリーに対するスタンスの違いが出てて面白かった。ネタバレになるから書けないけど。
書かれた時代を考えると、とんでもない先見性に驚くし、ミステリーとしても超一級。
惜しむらくは私の不運により非常に似通ったオチの作品を、直近で読んでしまったために100%楽しめなかったこと。だから逆にそっちの方はめちゃくちゃ心の名著。読書人生の衝撃度で言ったら五本の指に入るレベル。繰り返して申し訳ないけどネタバレになるから作品名は言えない。
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『悪魔の手毬唄』
未読です。伏して伏してお詫びします。
ランキング記事を書くたびに「こんなに未読だらけのやつが書いていいのか」と思うんだけど、こんな酔狂な記事、私ぐらいしか書かないから仕方ねえ、というのが正直な気持ちである。偉い私。
『悪魔の手毬唄』に関しては作者の横溝正史本人が「一番の出来」と言うぐらいの作品で、しかも一週間で一気に書き上げたとかいう逸話も残っている。
苦心して生み出す名作がある一方で、アイデア一発ですぐさま形になっちゃう名作もある。創作の面白いところだと思う。
あと以前の集計で『悪魔の蹴鞠唄』とか『悪魔の子守唄』って間違えている人がいたけど元気にしているだろうか。
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『虚無への供物』
「起こっていない事件を推理する」というミステリーの土台をひっくり返すような設定の話。しかしそれだけでは話は終わらず…。
…って、おい。
こういうのを弾きたいから「絶対に読んどけ」って書いたのに、こんなアンチミステリの主人公を連れてきてどうするつもりなんだよ。三大奇書だぞ。
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『黒い仏』
おいって。
趣旨分かってるかな?言ってる意味分かる?バカなの?
いや怒ったポーズは取ったけどさ『虚無への供物』はそれでも三大奇書と評されるだけあって、ある意味ではミステリーの枠を広げた名作の側面があると思うよ。
でもこれはないだろ。悪ふざけも大概にして。本当に。企画が成り立たなくなるから。いくら殊能将之だからってこれは許さんよ。次やったらパパ許さないから。
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『鉄鼠の檻』
レンガ本の中でも特にレンガじみている『鉄鼠』である。
持ってるブックカバーだと長さが足りなくて困った思い出がある。ただでさえ長期間読むから表紙が傷みやすいのに。
ちょっと評判を調べてみたけど、私が知らなかっただけで百鬼夜行シリーズの中でも『鉄鼠』をベストに挙げてる人が多いようである。ミステリーとしての価値は正直私的には疑問符だが(それを言ったら百鬼夜行シリーズ全部疑問符)、禅についての講釈は一読の価値があるだろう。というかみんなそれにヤラれてる節がある。
面白さ+読み終える達成感も味わえることだろう。
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『本陣殺人事件』
横溝正史が戦後最初に書いた長編推理小説である。
知らなかったのだが、戦中は軍の指示によって推理小説の執筆が禁止されていたらしい。
その鬱憤を爆発させたかのようにかなり野心的で、「不向き」だと言われていた日本家屋初の密室殺人を成功させた最初の作品となっている。
時代も時代だろうけど「完結後に江戸川乱歩に綿密に解剖されて、長所短所を指摘されている」という逸話が豪華すぎる。
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『名探偵のいけにえ』
変態作家の頂点をほしいままにしている白井智之の、珍しく大衆ウケする作品がランクインである。
実際にあった事件を題材にごってりと書き上げた濃厚なミステリーなのだが、何が凄いって解決編のボリュームである。なんとその量、150ページ。うーん変態。
本格ミステリーの礎を築いた先人たちが読んだらどう思うんだろう。手を叩いて喜ぶかも。あの人達もめちゃくちゃ変態だし。
29位
この記事、まだ半分も行ってないって怖くない?私はめちゃくちゃ怖い。一体いつまでこの記事を書き続ければいいのだろうか。生活に必要な時間以外ずっと記事書いてる気分。書いてる途中で死ぬ可能性ぜんぜんあるよ?
ちょいちょい私の愚痴が挟まれるのは精神薬みたいなもんなので、大きな心で許してほしい。もちろん小さい心も歓迎だ。はい、こういうことを書いてるから終わらないんですね。次に行きましょう。
ということで18票を獲得したのは、こちら。
『慟哭』
審査員の度肝を抜いた貫井徳郎のデビュー作である。25歳という若者が書いたとは到底思えない深く、重い悲しみに満ちた読み応えのある作品である。
いまも彼の著作はどれもズシッと来るものばかりだけど、その魅力はデビュー作から存分に発揮されていたようだ。凄えよ、あんなアンガ田中みたいな見た目してるのに。
28位
19票を獲得したのは5作品。
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『46番目の密室』
おお、これは大躍進。
実は過去の2回のランキングでもここまで上に食い込んだことはなかった。また私が知らないだけで映像化とか無いよね?
作家アリスシリーズの第一作で、ミステリー好きが喜ぶ設定がてんこ盛りである。
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『Xの悲劇』
クイーンの悲劇シリーズが遂に登場。
最初の方で「悲劇シリーズ」という得票の仕方があったけど、あれをどうやってカウントしたものか悩んだのだが、今回は別物とさせていただいた。完全に気まぐれである。
じじいぐらい同じ話を繰り返すが、私は古典ヨワヨワの民なので当然ながら悲劇三部作も一切手を触れていない。…というか、多分だけどどこかでどれかのネタバレを食らってるっぽいのだ。教えてきた奴のカップラーメンの蓋が途中で破れ続けますように。それが一生続きますように。
古典の有名どころは、知らない内に読めること自体が幸運なので、私よりも遥かに賢明な皆様に置かれましては、ぜひとも通過していただきたい。
~~~~
『アヒルと鴨のコインロッカー』
うおーい!!!!
伊坂の最強ミステリー作品が28位かよ!!!!
どうして? もしかしてイヌ好きにはキツすぎる内容だから?分かる。あれはキツい。私もイヌ好きだから。
でもこれは激推しでしょう。伊坂幸太郎のフルスイングですよ。超好き。
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『この闇と光』
直木賞候補にもなった極上の耽美ミステリー。
唯一無二とも評される独特の読み味と世界観で数多くの読者を魅了していて、隠れた名作として近年また注目を集めている。ほとんど絶版状態だったところから巻き返しているんだから、地力の強い作品なのだとよく分かる。過去の名作が発掘されるのって、本好きとしてはやっぱり嬉しいのよ。
作者の服部まゆみ氏は惜しくも、この作品を上梓した9年後に逝去されている。作品に再び陽が当たっていることをどこかで喜んでくれているといい。
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『絡新婦の理』
またしても百鬼夜行シリーズ。
『鉄鼠』よりもさらにレンガ。さらにブックカバー泣かせ。いや泣くのは読者か。
私も大好きだし、こんな作品をまとめ上げた京極の手腕は褒め称えるべきだと思うけど、やっぱりミステリーとして「絶対に読んどけ」と言えるかというと、疑問符どころか否を突きつけたい気分である。でも19票も入っている事実は覆らないので、私の感覚がおかしいのだとしておこう。
27位
20票を獲得した27位は5作品。
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『インシテミル』
直木賞も獲って、現役ミステリー作家の中では無敵の存在になりつつある米澤穂信。
そんな彼の才能をデスゲームに特化させた異色作。この試みは面白い。こういうのがあるからミステリー沼は沈みがいがあるんすわ。
エンディングで評価が分かれる部分はあるけど、そこまではみんな最高に楽しんじゃうんじゃないだろうか。あとタイトルがめっちゃいい。明確な答えは提示されてないけど、色々と勘ぐっちゃう名タイトル。
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『モルグ街の殺人』
皆のもの、ひれ伏せぃ!
ここにおられるはミステリー小説の開祖エドガー・アラン・ポーによる、世界初のミステリー小説『モルグ街の殺人』である。
ミステリー好きを公言または自認している者にとっては神のような存在であり『モルグ街の殺人』は聖書である。無論、皆読んでいるだろうな。
ではこの先は『モルグ街の殺人』を読了している者だけが通ってよし。
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はーい、読んでませーん。
ということで、ミステリー好きの片隅にもおけないような未読者(未熟者みたいな意)だけど、記事を書いてる張本人の特権として隙間を開けておいたので皆様お通りください。
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次。
『月光ゲーム』
有栖川有栖のデビュー作である。
ここから始める学生アリスシリーズはミステリー界隈では不動の人気っぷりで、最強のミステリーランキングでも漏れなくランクインしている。つまり誰もが知っている名作ということだ。
なんだけど、集計のときに出てきたこれを見てほしい。
『月光パズル』
どっち?
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『孤島の鬼』
平井先生の最高傑作と呼び声高い『孤島の鬼』である。皆川博子、筒井康隆、中井英夫といった錚々たる面々が最高傑作と評している。
私の肌感覚としては『陰獣』の方が評価されてるイメージだったのだが絶賛してたのは横溝正史だけだった。うん、仲間だね。
江戸川乱歩といえば『悪霊』も色んな意味で必読のミステリーではないかと思っている。理由は推して知るべし。
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『斜め屋敷の犯罪』
なんだろうね、この許せない感覚。
正直このランキングで自分の推してる作品が何位になろうと、自分の評価は揺るがないはずなのに、なんかダメージを食らってしまう。『斜め屋敷の犯罪』みたいに私の中で評価がトップクラスの作品だと特に。みんなが絶賛していると錯覚しているので現実がなかなか認められない。
あれか、タイトルか。ダサいからか。そうなんだな?!
いやでも『十角館』も大概だしな…。
物理トリックの最高峰です。みんな読んで。そして絶賛して。
26位
21票は4作品がランクイン。
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『ドグラ・マグラ』
いよっ!待ってました。ド変態装丁。
中身も文句なしにクレイジー。こんなのを有難がる人の気持ちが知れんわ。←上巻を読み終えたあと下巻を開くまでに20年ぐらい経ってる人間。まだ開けてません。ごめんなさい。
傑作すぎて愚昧な私にはまったく理解が及ばない作品なのだが、敬愛する森博嗣が絶賛していたので、やはり原因は私である。もっと頭良くなりたい。
でもこの装丁は普通にバカすぎるだろう。実家で机の上に放り出して置いてたら、母親が心配そうに眺めてたよ。
「チャカポコ地獄」とか「読むと気が狂う」みたいな話はどこでも書かれてるからもういいでしょう。
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『八つ墓村』
凄いな。横溝正史。もしかして主な著作全部ランクインする勢いじゃないか、これ。
いい加減に読めというプレッシャーかもしれない。信頼してるミステリー仲間の友人も激推してたしなぁ…。あ、でも彼もめちゃくちゃ変態だったな。
一応知らせておくが、例の水面から足が出てるのは『八つ墓村』じゃなくて『犬神家』である。なぜかみんな間違えるから困る。『八つ墓村』はスケキヨの方ね。←
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『六人の嘘つきな大学生』
ミステリー界のニューヒーローこと朝倉秋成である。ぐいぐい来てるねー。
この『六大』もめちゃくちゃ良かった。読者の翻弄具合が手練すぎる。
ただいかんせん、今回のタグだとどうしても新刊の方は不利になりがちなので、人気と評価と売上の割には低順位になってしまったかも。
これだけ出版点数が多いと、めぼしい新刊を追うだけでも至難の業だし、本の値上がりも凄いしで、どうやってもみんなが知ってる作品の方に票が入りやすくなってしまう。
そういう意味では本当に意味のあるランキングかと言うと微妙である。書いてる私が言うのだから間違いない。
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『七回死んだ男』
ミステリーというジャンルの定義はなんだろうか。かなり難しい問いだ。
しかしながらミステリー好きたちの中にはある程度「性癖に刺さる、投げてほしい球種」みたいなのがあって、パズラーはそのひとつである。
パズラーばかりだとうんざりしてしまうが、ミステリーという広大なジャンルを泳いでいるときにたまに出会えると極上の体験になるのだ。
そしてパズラーものの最高峰といえば満場一致『七男』で決まりである。この記事を書いている私が言うのだから間違いない。
25位
23票を獲得した25位は、たったの2作品。
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『異邦の騎士』
さあ、どうコメントしようか。
もちろん御手洗ファンであれば必読の作品である。島田荘司の豊かな才能が炸裂している文句なしの名作だ。
しかし初めて読むミステリーとしてはどうだろうか。けっこう損なってしまうものがあるんじゃないだろうか。明言は避けるが。
『占星術』からなる御手洗シリーズを数作楽しんでから手を出すことをオススメしたい。
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『迷路館の殺人』
世界一自己主張の強い見取り図でお馴染み『迷路館の殺人』である。
その入口は祠。地下に広がるは迷宮をも超えた“迷路”。
もうね、本を開いてまず最初に迷路をやることになると思わないでしょ。その時点で必読&失笑間違いなしの作品。見取り図見ながら思ったよね。こんなんトイレに駆け込みたいとき殺意湧くでしょ、建築家に…って、あ。
24位
24票を獲得したのはとっても濃い3作品。
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『ABC殺人事件』
女王が登場。古典ヨワヨワの人間国宝である私もさすがにクリスティは読んでいる。
こちらの『ABC』に関してはとあるトリックの系譜を作り出した基礎となる作品である。本当にクリスティは偉大だわー。彼女の作品に触れるたびに畏敬の念にボッコボコにされる。
この作品を踏まえた上で仕掛けてくる後続の作品が多数出ているので、『ABC』と聞いてもピンと来ない人はすぐに読もう。「絶対に読んどけ」はクリスティにこそ相応しい。
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『双頭の悪魔』
学生アリスシリーズ最高傑作して、著者の最高傑作とも呼び声高い、文句なしの名作。
多重密室に、読者への挑戦状が3回も挟まれるなんて、読者のこと煽りすぎでしょ。ひろゆきかな?
過去の2回の成績が13位と10位だったので、タグ変更の効果が現れてしまったかも。この勢いで憎き『十角館』も引きずり下ろすことができるだろうか。
順位は下がってしまったけれど、評価が下がった訳では決してない。
邦ミステリーの歴史に燦然と輝くマスターピースである。
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『翼ある闇』
ミステリー小説の皮をかぶったギャグ小説。ジャンル名は「麻耶雄嵩」。覚悟しろ。
いや間違えた。覚悟しないまま不意を突かれて最悪な体験をしてほしい。
23位
25票を獲得した23位はひとりの作家が独占。
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『氷菓』
アニメ化もされた古典部シリーズ第一作にして、みんなが麻耶雄嵩と同じくらい大好きな米澤穂信のデビュー作である。
殺戮が大好きな変態の皆様には申し訳ないけど、とっても軽やかな謎を楽しめる作品である。
日常系ミステリーとしての面白さ、青春小説としての側面、そして心に染み込むラスト。みんなが虜になるのも頷ける作品である。
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『満願』
穂信っちをもういっしょ。
『氷菓』で青春を味わったあとは、ぜひとも『満願』で気分をぶち壊してほしい。
短編集なんだけど、収められている作品のどれもが、心おきなく気分悪くなれる絶品ばかりである。
私は世間で高評価になって知れ渡ってから読んだんだけど、読み終えて呆然としたよね。「なんでこんなダークな作品にあんな高評価付いてんだ…?」って。日本人暗いの好きすぎる。太宰がDNAに組み込まれてるのかな。
あとこれもブログでは何度も書いてるけど、『満願』はストーリーがめちゃくちゃ面白いんだけど、作者の穂信っち曰く「トリックを考えて、あとから一番映える物語を肉付けしていった」らしい。ミステリー職人、愛してるよ。
22位
これにて、やっとランキングの半分が終了!! 膨大すぎる作業に私の精神も終了中である。あへあへあへあへ。
さて、愛する家族を残して無事精神崩壊したところで、26票を獲得した22位の紹介である。カラ元気を出して進めていこう。
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『首無の如き祟るもの』
三っちゃんの大人気刀城言耶シリーズである。
このシリーズはどの作品もけっこう軒並み評価が高いのだが、知名度で言うとやはり『首無し』だろう。この作品で大ハネした。
三津田信三は、ホラーとミステリーの融合をしないと気が済まない作家で、その偏執的な挑戦が唯一無二の作品世界を構築している。
土着信仰の独特な空気感が作品内に濃厚に立ち込めていて、読みながら現実と幽冥の狭間をフラフラと歩かされているような不思議な感覚に陥る。
それでいて、提示されるのは論理的で膨大な量の謎・謎・謎。
怪しい魅力と論理による解決。存分に沈み込み、刈り取られるがよろしい。
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『Yの悲劇』
はい未読~。
そろそろ「お前いい加減にしろよ」という声が聞こえてくる気がするのだが、これは記事を書きすぎて私の精神がおかしくなっているせいかもしれない。
でもやっぱりこれもネタバレ食らってるっぽいんだよなぁ…。
悲劇シリーズの中でも一番の人気を誇り、「これを読まないと推理小説は語れない」と豪語する人もいるのだが、だったらネタバレしてくる奴には何を語らせたらいい? クレジットカードの番号とか?
そういえばシャーロック・ホームズ好きの人を“シャーロキアン”とか、カー好きを“カーキチ”とか言うけど、クイーンって何かあったっけ? クリスティも聞いたことないな。
ちなみに世界的に見ると人気はそうでもないらしくて、ベストミステリー100みたいなランキングを作っても入らないレベルだそう。うーん、不思議。
21位
ここから後半戦だが、当然作品数がめちゃくちゃ絞られてくるので、進みは早いぞ。
さすがに皆さんもウンザリして来ているだろうし、私も疲れ果てているので、お互いに朗報である。となるとこの記事は一体誰のために書いているのだろうか。とってもミステリーだね!
21位は27票を獲得。
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『告白』
主成分は「邪悪」。効用は「背徳感」。
あなたの倫理観を易々と侵食する、異色の本屋大賞受賞作である。性格が悪いと言えば湊かなえ。湊かなえと言えば性格が終わってる、である。言い過ぎである。さすがに怒られるかもしれない。ちゃんと謝罪します。本当にすいません。
冗談だと伝わっているとは思うが、あくまでも彼女の作品群についてである。
湊かなえの登場によってある種の「性格悪い小説」みたいなのが乱造された時期があったが、湊かなえファンの私からするとチャンチャラおかしい作品ばかりだった。
不愉快の表層を撫でただけの作品なんて、湊かなえの前では児戯に等しい。心をえぐるためには丁寧な舞台装置が必要で、湊かなえは誰よりも丁寧に嫌がらせをしてくる。
それにしても、これが本屋大賞だったなんて今となっては信じられない。またいつか本屋大賞で、最悪な作品がぶっちぎるところを見てみたいものだ。
20位
30票を獲得した20位は2作品がランクイン。
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『シャーロック・ホームズの冒険』
今でも世界一有名な探偵といえばホームズだろう。次いでコナン君かな?いや、メルカトル鮎かも。
もちろん私はこれも未読なのだが、少しだけ言い訳をさせてもらうと、島田荘司というか御手洗潔のせいである。彼の持論を真に受けた私は、ホームズのことを完全に「性格が破綻した麻薬中毒者」だと刷り込まれている。
シャーロック・ホームズといえば小学生からでも楽しめるイメージだったけど、実はけっこう危険な作品なのか…?
ちなみに過去2回のランキングでは3票とかしか入ったことがなかったので、映像化の影響が大きいのか、それともタグを「絶対に読んどけ」にしたせいなのか。
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『向日葵の咲かない夏』
ん?
え?
…いやいやいやいや…。
もう一度確認しよう。
今回のランキングの趣旨は「絶対に読んどけっていうミステリー小説」である。
「絶対に」である。
え? もしかして私が知らないだけで、「絶対に」って言葉、他の意味があったりすんの?「トラウマになるから」みたいな意味あったりする?
『向日葵~』に入れた方々にはもう一度、自らの性癖を冷静に見つめ直す機会を設けてほしいと思う。滝行とかがオススメだ。
↓ 滝行が出来る旅館
19位
31票を獲得した19位はこちら。
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『儚い羊たちの祝宴』
神がかってる短編集ランキングで堂々の1位を獲得した、世界一魅力的な羊である。
ちなみに3位は『満願』だった。米澤穂信やば。
こちらに関しては私自身の思い入れがあまりにもありすぎて、言葉にするのが難しい。
今までミステリーの短編集はたくさん読んできたけれど、これを超える作品はないと言える。まあ超えないレベルで好きな作品はたくさんあるんだけど…。(好きな作品の優劣って愛が邪魔して付けにくいよな!)
強烈具合では誰もにオススメできる作品である。
この作品に対して「脳髄を冷たく痺れさせる」というキャッチコピーを生み出した方、ほんとに素晴らしいお仕事。まさに。
18位
こっから票数がガンガン増えていきます。
18位は35票を獲得。
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『犬神家の一族』
出た~~~~~
ありがとうございます!! ありがとうございます!!
絵面ひどいね。コンプラ上等すぎる。でもこれぞ金田一でしょう。ちなみにさっきはふざけたけど、本当のスケキヨは『犬神家』です。
17位
17位は36票を獲得。
~~~~
『時計館の殺人』
「メイントリックを思いついたときの興奮、手応えは今も忘れられません」と綾辻行人自身が語る、館シリーズの5作目である。
『十角館』よりもこっちの方が好きな方も非常に多く、「この世で一番凄いミステリー」と語られることもあるぐらいだ。
驚きの種類が『十角館』とは違うので確かに分かる。感動さえ覚えるほどで、綾辻行人という稀代の才能に感謝したくなるだろう。いやー、ほんと記憶を消せる技術どっかで開発されないかなー。
そうそう、最近知って驚愕したのだが、ミステリー好きを自称する方でも綾辻の館シリーズを未読だったりすることがあるそうだ。信じられん。水は飲んだことあるけどコップに入れて飲んだことないって言われてる気分。つまり館シリーズはコップということだ。分かるか諸君。私は分からない。
16位
38票を獲得した16位はこちら。
『白夜行』
好きですねぇ、皆さん。『白夜行』ですよ。
東野圭吾が「ミステリーで出来ること全部やったる」と息巻いていた頃の傑作で、ミステリーというジャンルの懐の広さを感じられる、という意味でも必読の作品だろう。謎解きだけがミステリーじゃないのよ。
東野圭吾はトリックとか試みだけでも凄まじい功績があるのに、さらにミステリージャンルの中でもちょっと純文学的というか、かなり特殊な領域である"ノワール"にまで手を出して、さらにはめちゃくちゃ面白い作品に仕上げてしまっているのだから、本当に同業者泣かせの読者喜ばしである。
酩酊感のある読み味に中毒者になる人が続出。本の必殺仕事人こと けんご氏の紹介で本を読まなかった層にも届いてしまい、また評価が高まっている。天井知らずにもほどがある。
このブログでは何度か書いているけど『白夜行』は解説まで最高である。
書いているのはノワールの名手である馳星周なんだけど、いきなり東野圭吾がノワール界に乗り込んできて、さらには疑いようのない傑作を書いてきちゃったから、解説が愚痴みたいになってて必見である。馳星周も最高だから元気出してほしい。「ずっと同じような作品を書いてる気がする」は完全に同意だけど。(東野圭吾があらゆるジャンルに手を挑戦しているのに自分と来たら…という文脈で)
15位
40票を獲得した15位は3作品がランクイン。ちなみに複数ランクインはこれにて終了。
もう本当に佳境です。さて頂点はどんな顔ぶれになるだろうか。なんかいつものメンツが出てきていないので、なんだか嫌な予感がするが気にせず行こう。ほらあなたも気にしないで。ね?いい子だから。言うこと聞いて。
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『medium霊媒探偵城塚翡翠』
爆発的な人気を獲得し、連ドラにもなった『medium』である。小学生の息子が最終回を観て目を丸くしてたのが最高の思い出である。あれを見れただけでもこの作品と出会えた価値があったと思う。
あんまりにも勢いよく売れたから、そういう"流行りモノ"の常で「期待してたほどじゃなかった」みたいに一気に評価が下がったり、高評価が中和されて凡作程度に落ち着いたりするかと思ったけど、健闘を続けている。
これだけの順位を獲得しているから評価が高いのは間違いないんだけど、構成が特殊なので好みが分かれてしまう部分があって、私の観測範囲だと2割ぐらいのたまたまツボに入らなかった不幸な方々がボロクソに言っているイメージである。
え、私? 2割の方だけどなにか?
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『獄門島』
素敵な装丁ですね。(京都の方がおっしゃってると思ってください)
名探偵金田一耕助のシリーズ2作目にして、横溝正史本人も認めるシリーズ最高傑作。推理小説愛好家たち500名が選出した『東西ミステリーベスト100』では、過去2回ともに1位を獲得している。やばいな。未読って言い出しづらくなったな。黙っておこう。
雑誌の編集者に『本陣殺人事件』を書いたあとすぐに「早く次を書け」とせっつかれたために、新しい探偵を考えるのが面倒だったので金田一を再登場させただけだったという逸話がある。非常によろしい。
あと映画化を2回されてるんだけど、1977年版の方では原作と犯人が違ってて、映画館の入り口に「原作と犯人が違います」という看板が立てられていたそうだ。誰が犯人だったんだろう?スケキヨ?
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『屍人荘の殺人』
いまミステリー小説界のトップを走っている作家を挙げるとしたら、絶対に外せないのが今村昌弘だろう。
デビュー作の『屍人荘の殺人』ではとんでもない小道具(大道具かも)を使って、誰も見たことがない変態的な展開が用意されている。さっきも書いたけどたぶん『生ける屍の死』を参考にしていると思われる。それにしても凄え。
ミステリーマニアたちはこの作品の凄まじさがよく分かるので、手放しで称賛したわけだが、不幸はそこから始まった。
称賛が集まるとその年の本屋大賞にて3位を獲ってしまう。すると「あの本屋大賞にノミネートされるなら」と手に取られる。さらには映画化までしてしまった。
その結果どうなったか。
売れ線の誰もが楽しめるポピュラーな作品を期待していた人たちに、シームレスに大ダメージを食らわせることとなった。映画の評価も清々しい点数が付いている。
私も職場で後輩から「なんすかあれ?!」と怒りをぶつけられてしまい、めちゃくちゃ笑ってしまった。毒書の被害者見るの楽しすぎる。
14位
さてさて、ここからは単独ランクインのみ。つまりあと14作品だけ、ということになる。
きっと読むだけでも大変な(もしくはスクロールするだけでも面倒な)記事だったと思うが、私は数週間に渡って書き続けているので、迫る開放感に胸が躍っている。嘘。死んだような目をしながらおっさんがディスプレイに向かってキーボードを叩きまくっているだけだ。
考えてみれば私の日常はずっとこうだった。
上司の尻拭いをし、部下のご機嫌を伺い、奥さんの機嫌を伺っては、子どもたちの尻を物理的に拭う。自らを押し殺して、なんとか社会の表層を平和に保つ。機嫌と尻に押しつぶされる。それが私だ。は?この記事関係ある?
そろそろ病的だと引かれてしまう可能性が高くなってきたので、次に行こう。というかこういうことを書いてるから終わらんだよ、葉村くん。
14位は、一気に増えて47票を獲得。
こちら。
『方舟』
2022年、読書アカウントのTLを最も騒がせつつ、黙らせもしてしまった正真正銘の怪作がランクイン。
こんなヤバい作品が14位というのもどうかと思うが、衝撃度合いで考えるとまあ外せんわな。こいつに関しては…もう…ほんとに。絶句という言葉が一番似合うし、評価として相応しい。
一気に知れ渡ってしまったので悲鳴がある程度出尽くした感があるけど、いまだにちょいちょいTLで悲鳴を見かけることがあって、思わずニッコリしてしまう。やっぱり毒書の被害者を(略)
13位
13位は52票を獲得!!
こいつだっ!
『姑獲鳥の夏』
この記事を書いている2023年11月現在、『姑獲鳥の夏』が発表されてからちょうど30周年ということで色んなところで宣伝がされ、17年ぶりに百鬼夜行シリーズの新作『鵼の碑』が発売されている。すごい賑わいだ。
数ヶ月前に書いた『夏に読みたい本ランキング』ではぶっちぎりの1位で、その独特の空気感や作風について皆さんのコメントが多数寄せられていた。
もちろん私も百鬼夜行シリーズは大好きだし、こちらの『姑獲鳥の夏』も面白いと断言できる…のだが、だが…だが…だが…(目眩と共に虚空の彼方に消えていく)
12位
クライマックスのときは近いぞ!!
12位!! 54票獲得!!
なんと!!
これは驚くでしょ。
『葉桜の季節に君を思うということ』
前回8位、前々回は10位と常にベスト10から外れなかった名作中の名作が、惜しくも12位に陥落。
これもタグ変更の影響なのか、それとも少子高齢化が影響しているのか。…ん?
もちろん順位と評価は別物である。
この作品の功績は永遠に失われないだろう。私がミステリーの衝撃を初めて食らったのも『葉桜』だったので、個人的にも一生忘れられない作品である。じじいになっても褒め続けてやる。え?
それにても本当に歌野晶午は偉大な作家に成長したものである。
デビュー作の『長い家の殺人』は語りがいのある作品(京都弁)だったので、比べてみるとどれだけの凄まじい飛躍を成し遂げたかよく分かるだろう。って、42位に入ってるし。正気じゃない方がランキングに参加してらっしゃる。ようこそ。そんなあなたには『黒い仏』をオススメしておこう。
11位
遂にここまで来てしまった。フィナーレの良い匂いがしてきましたよ。私からは死臭が出てるだろうけど。
では、惜しくもベスト10を逃してしまった第11位の発表である。
57票を獲得。
これだっ!
『火車』
宮部みゆきの代表作が堂々のランクイン。ちなみに前々回も11位だったので、なんかその辺りの順位に収まるように世界はできているのかもしれない。
華麗なトリックや謎解きで魅せる作品ではなく、じっとりとした粘性の高いドラマで読者を絡め取るタイプの作品である。
失踪した女性の半生を丹念に追いかける物語なのだが、宮部みゆきをして「書きながら限界を迎えていた。作品にエネルギーを持って行かれていた」と言わせてしまうほど暗い力を持っている。
何よりも個人的に評価したいのはラストである。唸ったよね。
賛否両論あるだろうが、このラストにしようと決めた宮部みゆきの胆力には脱帽である。
10位
さあさあ、皆さん寄ってらっしゃい見てらっしゃい。皆さんが本当に読みたい箇所がやってきましたよ!! ベスト10ですよ!!!!
長い長いこの記事も終わりのときを迎えている。書いたも書いた3万文字以上である。私は頑張った。
とはいえきっと、ここまで飛ばし読みしてきたか、飛ばし読みどころから目次から一気に飛んできた方がほとんどだろうと思う。めっちゃ無駄骨。ふざけんな。
さてベスト10である。
「いつものメンツを刷新する」の意図のもと#絶対に読んどけっていうミステリー小説 というタグで募集したわけだが、なーんかあれな感じである。具体的に言及してしまうと具現化しそうなので明言は避けるが、私と同じような予感を持っている方も多そうだ。
果たしてミステリー界に新風は巻き起こるのだろうか。その結果やいかに。
それではミステリー好きたちが決める"絶対に読むべきミステリー小説"たちのトップオブトップである。思う存分食らうがよろしい。
ではまず第10位の発表である。
65票獲得。
日本で一番愛される殺人鬼の登場だ!!
我孫子武丸!!
『殺戮にいたる病』!!!!
やはり『殺戮』は強し。グロ要素も強し。
殺人鬼目線で語られるエログロ満載の名作である。
憑依作家と評されるぐらい登場人物の内面描写がリアルな我孫子武丸だからこそ書けた、殺人鬼体験型ミステリーである。「殺人鬼の心情なんか体験したくない」というそこのあなた。正解。正しい。でも読んで。ぜひ最悪な読書体験をして。
正しさがあるからこそ異常さを感じられる。殺人鬼ではない私たちだからこそ、この作品は私たちが読むべきなのである。うーん、何を語っているのだろうか。
まあ細かいことはいいじゃないか。一緒に死体の山を築こう!!
9位
無事に死体の山を築いたところで、第9位である。
得票数は10位から1.2倍になって、なんと82票。
邦ミステリーの帝王といえば…
東野圭吾!!
その最高傑作!!!!!
『容疑者Xの献身』!!!
完全無欠。
上質なミステリーでありながら、目の離すことができないドラマでもあり、高等な数学の話題を面白く読者に提供しつつ、すべてが一切無駄なく構成されている。
名作と呼ばれる作品を多数排出している東野圭吾だが、その中でも完成度という点で抜きん出ているのはやはり『容疑者X』だろう。
発表されるやいなや、ミステリー関連のあらゆる賞を総なめ。さらには第134回直木賞受賞も獲っている。惜しくも受賞とはならなかったが、世界的に権威のあるエドガー賞にノミネートされる栄誉も得た。映画化もしたし。
さっきも書いたが、バカ売れするとどうしても評価が並みになる。
宣伝に対する対抗心や、人気への嫉妬心が作用しまくって低評価したがる輩が多いのだ。(私もそのメンバーです)
それなのに、発表から15年経っても書籍も映画も高評価のままだ。時間による風化も物ともしていない。凄え。
ひとつ弱点を挙げるとすれば私がそんなに好きではないことだけだ。いやー、ほんとすいません。
8位
次!!
第8位!!!
83票!!!
「この世」と言えば?
そう!
「不思議なことなど何もない」
ですね!!!
つまり…
京極夏彦!!!
『魍魎の匣』!!!
レンガ本が見事にランクイン。ページ数なら1位である。
前回が14位だったのでやはり新作『空鳥の碑』の影響が出ているのだろうか。
百鬼夜行シリーズは私の中で完全にバカミスなんだけど、それでもこの『魍魎』はぶっ飛び方が凄くて、妙に納得させられてしまって一番好きだったりする。
だからミステリーという括りで考えると難しいけれど、単純に面白い作品として強いんだと思う。
作品内に漂う空気感とか、怪奇の数々とか、でも水戸黄門なみに京極堂が絶対に解決しちゃうのが分かってるから安心感があって、思う存分物語に身体を預けられる感じ。
未読の方はあの長さに尻込みしちゃうだろうけど、読めば逆にそれが良さだって分かるからぜひ体験してもらいたい。手は疲れるけど。
7位
ガンガン行きまっせ。
お次は…第7位!!!
84票を獲得したのは…
やはり女王が登場。
クリスティ!!!
『アクロイド殺し』!!!
絶対にwikiは見るなよ!!!!!
開いて一行目に致命的なネタバレが書いてあるから!!!!!
作品の説明とネタバレは絶対に違うだろ。そしたらミステリー小説のwikiには全部犯人とトリック書くことになるだろ。最悪すぎる。そんなサイト絶対に寄付しねえ。
でも逆に「寄付しないとどんどん犯人書いてくよ?」とか言われたら寄付しちゃうかも。ネタバレ否定派は生きにくいぜ!!!弱みだらけだ!!!
6位
あと残すところわずか!!さすがにテンション上がってきたぞ!!
第6位!!!
獲得票数は、なんと7位とわずか1票差の85票。
そして作品は…
またしても女王降臨!!!!
クリスティ!!!!
『オリエント急行の殺人』!!!!
さっきの『アクロイド』もそうだけど、ベスト10入りは初。
これは完全にタグの「#絶対に読んどけ」にクリスティが引っ張られた結果だろう。実際に「こんなんクリスティだろ」ってポストしてる人いたし。それくらいミステリー小説界において基本であり、義務であり、呪いのような存在なのだ。ここまで来ると女王というか魔女ですね。
古典弱者の私だがこちらもクリスティなのでちゃんと履修済み。しかもめちゃくちゃ大好きな作品だ。
「ミステリー小説は新陳代謝が必要」と冒頭で自ら書いておいてなんだけど、やっぱりクリスティは読むべき。特に『オリエント急行』は全力で推したい。
クリスティのアイデアを生み出す力は偉大すぎるよ。一人でミステリーの歴史を作り出して、ずっと頂点に君臨してるんだもん。
5位
さあさあ、ミステリーに詳しい人たちの重い溜息が聞こえてきそうだが、じゃんじゃか行こう。なんてったって泣いても笑っても、気が重くなってもあと5作品だ。短い命、笑って過ごそうぜ。
ということで、第5位!!!!!
獲得票数は…90票!!!!
メフィスト賞が生んだ人気者。
殊能将之!!!!
『黒い仏』!!!!!
嘘です!!!!!!
『ハサミ男』じゃ!!!!!
探偵はシリアルキラー。
自らの犯行手口を真似されたシリアルキラー“ハサミ男”が、模倣犯の正体を暴こうとする話である。こんなあらすじ、ミステリー好きだったら絶対にほっとけないよ。懐いてくるコーギーぐらいかまっちゃうでしょ。
主人公がシリアルキラーなので異常者の話なんだけど、文章がとっても知的でスマートだし、冷たいんだけど妙に魅力のある文章で、中毒を起こすかのように好感を持って読み進めてしまう。
この独特の読み味とストーリー運びが妙にツボにハマってしまって、私は普段は再読しないタイプなのだが『ハサミ男』に関しては、たまにどうしようもなく読みたくなってしまうときがある。
邪悪だけどどうしようもなく魅力に満ちたハサミ男。
あなたも一緒に引きずり込まれよう。
4位
惜しくもベスト3を逃した第4位!!!!
獲得票数は91票。またしても1票差。
行くぞ!!
トイレじゃないぞ、御手洗だ!!!!
掃除じゃない、荘司だ!!!!
島田荘司!!!!!
『占星術殺人事件』!!!!!
冒頭がつまんなすぎる、という暴言で有名な罪深いけれど、でも絶対に読むべきミステリーの傑作である。ちなみに「つまんない」と言ってるのは私だけなので好きなだけ石をお投げください。ほんとすいません。この記事で謝んの何回目だよ。暴言書かないと文章紡げないのかな?
さて『占星術』である。
トリックの神が微笑んだとしか思えない、数多あるミステリー小説の中でも屈指の驚きを味わえる作品である。
作者の島田荘司はこれがデビュー作なんだけど、正直これ一発だけでも十分ミステリー作家としての功績が認められると思う。確実に歴史に名を刻んだし、クリスティの名作たちと同じレベルの偉業を成し遂げてる。いやマジで。
私はこの作品を会社の休憩室で仕事終わりに読んでたんだけど、"あの箇所"を食らった瞬間の情景は鮮明に覚えている。思わず周囲を見回しちゃったもん。衝撃が凄すぎて。当然誰にも分かってもらえないし、説明もできないんだけど。
私はやっぱりアイデア一発で食らわせてくる作品こそがミステリーの強さだと思ってるので、そういう意味でも『占星術』は最強だと断言できる。冒頭はつまらないけど。←どうしても綺麗に締められない人
3位
遂にたどり着きました。ベスト3です。王者オブ王者。殺人の中の殺人。
若干ネタバレになっちゃうけど、ここからの3つは票数では完全にぶっちぎり。まさに不動の3作品となった。
もうほぼ答えは出ているだろうけど、一緒に確認していこう。
では…第3位!!!!!
得票数は、大台を突破の118票。
作品は…これだ!!!!
伸ばすな!!!!
森博嗣!!!!!
『すべてがFになる』!!!!!
日本一やる気のない作家の傑作ミステリィが見事にランクイン。
こんなにやる気と作品の質が比例しない作家もいないよ。あと売上もそうか。前回は2位だし、前々回は3位だし、なんでこんなに不動なんだよ。結局頭のいい人が全部持ってくんか。
バカの僻みは置いておくとして、こちらもやはり衝撃度合いでいえば外せない作品だろう。
もう私に若い人の感覚が完全に無くなってしまっているので、この作品を今の子達が読んで同じように衝撃を受けるのかどうかよく分からない。
それでも作品全体に通底する賢さとかアフォリズムとか、知的な刺激に満ちたユーモアとかは、上品さに慣れた世代にとっては親しみのある面白さかもしれない。
『すべF』は私の中でミステリィとしてはそこまでなんだけど、単純に読み物として面白いから評価せずにはいられない感じ。森博嗣成分が大好物になっちゃったもん。
彼のエッセイを読むたびに「なんでこんなに創作に情熱の欠片もない人の作品を有難がってるんだろう」と思ってしまうんだけど、森博嗣からしか得られない栄養素があるのだから困る。
もういい加減作家を引退しそうなので、いちファンとして静かに悲しみを持って覚悟している。
2位
絶対に読んどけっていうミステリー小説ランキング、堂々の準優勝。
第2位の発表だ!!!!
獲得した票数は…126票!!!!
強い!!!
強いといえば、やはりこの人。
三度登場。
クリスティ!!!!
『そし誰』!!!!!
世界最高の頭脳が生み出した、世界最高のミステリー。
なんとベスト10にクリスティ作品が、3つもランクインである。完全に蹂躙されてしまった。女王、ぜひとも私めをお踏みください!!
必読すぎて紹介のしようがないし、この作品をベースにして二次創作が大量に行われているので、もう知らない人はいないものと思われる。とはいえネタバレはマナー違反なので語りませぬが。
そもそも私の評価なんてまったく微塵も必要ないぐらい世界中から愛されている作品である。確実に世界最高峰。『そし誰』を超えたと言えるような作品が、今後地球で誕生するとは思えないんだよなぁ。それくらいクリスティがやっちゃってる作品である。困ったもんだ。未来永劫の色んな人が。
それにしても、読んでる最中の「どうすんのこれ?」感は凄まじかったなー。有名だからこそ信用して読み続けられたけど、無名の新人の作品だったら途中で放り投げてたかもしれない。
改めてクリスティの偉大さに頭が下がる。もう上げることはないだろう。ひれ伏したまま生活しますよ、女王!!
1位
以上。
長い長い茶番にお付き合いいただき、ありがとうございました。
え?
獲得票数ですか?
2位にほぼダブルスコアの234票ですよ。圧倒的。前も言ったけど、本当にランキングにならん。出禁ね。
ということで、なんのコメントも思いつかないぐらい順当すぎる結果となりました。
「絶対に読んどけっていうミステリー小説ランキング」の頂点に輝いたのは、倍率1倍の『十角館の殺人』でした。おめでとうございます。もうやだ。
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今回も膨大な集計作業に各作品の紹介文にと、めちゃくちゃ時間がかかりました。まあ全部私が悪いんだけど。
でも頑張った私を褒めてほしいので、拡散とかコメントいただけると明日も社会人の顔をして生きていけます。
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以上。本当に終了です。
出し切りました。カッスカス。