どうも。
日常的に本を読んでいると、いつも思うことがある。「面白い本を誰か教えてくれ」と。
だが私ほどの読書中毒者になると、面白い本を探す手段はもう大体網羅しているし、あとは自分がどれだけ読めるかにかかっていたりする。
ただ、それだけ読み漁っている自分なので、まだ私よりも読書歴が浅い人には、これまで読んできた蔵書の中から「これぞ!」と言える作品を紹介できるはずである。そうでなきゃ困る。今までの人生はいったい何だったのだ。
ということで、今回の記事では、エッセイや知識本、対談集など、フィクション以外の超面白い本たちを紹介させていただく。
どれもこれも読書中毒の私が自信を持ってオススメできる作品なのだが、ひとつ注意してもらいたいことが。
フィクション以外の作品なので、笑えるものから、考えさせられるもの、悲惨なものまでジャンルは多岐にわたっている。一概に「面白い」とは言えないような重い作品もあるので覚悟してもらいたい。正確には「興味深い本のまとめ」だろうか。
幅広く取り揃えてみたので、おもちゃ箱をひっくり返すような楽しみ方をしてもらえればと思う。
では、行ってみよう。
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特殊清掃 死体と向き合った男の20年の記録
「腐乱死体を片付けるお仕事です」
いつもキレイな作られたものばかりを愛でる私たちは知らず知らずの内に、朽ち果てるものを忌避するようになってしまった。死を遠ざけるようになってしまった。
しかし誰もが御存知の通り、死はすぐそこにある。目の前にある。
だからこそ本当はみんなが死に対して考えなければならないと思うし、目を背けるべきではないと思うのだ。
常日頃から“強烈な”死と触れ合っている彼の文章は、不思議と美しい。余計なものを削ぎ落とされた美しさを感じてしまう。
生と死は光と影である。どちらか一方だけでは成立しない。両方を見ている人だからこそ、こんなにも力を持った作品を作り上げられたのだろう。脱帽である。
奇跡のリンゴ
ベストセラー系の本はあまり好みじゃないので避けていた本書だが、PrimeReadingでタダだったので試しに読んでみた。
で、感想。
この人、普通にイカれているでしょ?
未読の段階では私はこの本の中身を「いち農家の挫折と成功の記録」という、よく見かけるものの類だとタカをくくっていた。
私が甘かった。この人、まともじゃないよ。完全にイカれてる。
でもだからこそ“リンゴの完全無農薬、無肥料栽培”という偉業を成し遂げた。
中身を読んでもらえば分かるのだが、リンゴという果物は、数ある農作物の中でもトップレベルで無農薬栽培が難しいと言われている。というか、不可能。例えるならそれは、現代人が裸でジャングルに放り込まれるようなもの。身を守ってくれるものがないと、現代人は自然の中で生きていくことはできない。それはリンゴも同じで、今のリンゴは自然の中で生きていくような力を持っていないのだ。
でもそれを成し遂げた男がいる。まるでフィクションのような話だ。でも実話だ。
成し遂げた偉業の凄さも当然だが、それよりも木村秋則という変人を楽しむ本だと思う。
一気読み。
言葉にできない思いは本当にあるのか?
元SUPERCARのギタリストにして、音楽プロデューサーの、いしわたり淳治による「言葉の解説書」である。
作詞という、限られた文字数で最大の効果を求められる仕事を通して磨き上げられた、確かな感性とロジカルな分析力を存分に生かして、「世の中でウケている言葉たちが、なぜ多くの人達に受け入れられているのか」、その理由を語り尽くす。
言葉フェチの私からすると、垂涎モノの一冊で、永遠に読めちゃう類の作品である。マジで10倍の文量で値段が10倍とかでも全然買います。
こんだけ言語化が上手いと気持ちいいだろうなぁ。羨ましい。
なんで僕に聞くんだろう。
2017年、血液のガンが判明し、余命3年を宣告されたカメラマン幡野広志。
迫りくる死と向き合った彼の言葉は、恐ろしいまでに研ぎ澄まされ、読む人の心を鮮やかに打つ。
そんな彼の元へ寄せられた人生相談とアンサーをまとめた一冊。
痛烈な回答もあれば、傷口にそっと包帯を巻くような優しい回答もあるのだが、その根底に感じられるのは、大きな愛だ。
悩む人も、そうでない人も、視界をぱっと広げてくれるような、素晴らしい一冊である。
バッタを倒しにアフリカへ
「バッタに食べられたい」
そんな異常者極まりない願望を携えたバッタ博士(ちゃんと博士号を獲得している)の、強烈なバッタ撲滅ノンフィクション。こんな本、いままで読んだことない。
随所に光る文才と、隠しきれない変態性、そして応援せずにはいられないひたむきさ。
笑って、考えさせられて、痛快で、感動までしてしまう、そんな凄い本です。
いやー、それにしても馬鹿な人ってやっぱりいいなぁ。
ギリギリセーフな仕事術
「日本一ふざけた会社」で有名なバーグハンバーグバーグ。その社長がシモダテツヤである。あんなバカな会社の社長なので「まともに本なんか書けんのかよ」と思いながら本書を手にとって見た。すると冒頭からこんな文章が襲いかかってきた。
この本を書くにあたって平仮名とカタカナを覚えました。漢字はどう頑張っても無理だったので編集者さんにやってもらいました。
私は人生の大半を読書に費やしてきた人間である。面白い本を見つける勘は人並みよりも確実にあるだろう。そんな私の勘が言う。「これは100%面白い」
ビジネス本に分類されるのだろう。だがこんなに笑えるビジネス本は見たことがない。
auやHONDAと仕事をするくらいなのだから、社長のシモダテツヤは相当なやり手なはずだ。キレッキレの仕事術を持っているはずだ…、はずなのに…なんだこのふざけた本は!
随所に名言らしきものが登場するが、そのすぐあとに「顔は猿、身体は虎、尾は蛇で雷と共に現れる鵺(ぬえ)という妖怪も、そんなように言っていた気がします」などと書かれていて、感心していいんだか笑っていいんだか分からない。
読んでいるうちに脳みそがぐちゃぐちゃになるので、翌日の仕事に支障が出ない程度に楽しんでいただきたい。
「学力」の経済学
これはですね、完全に私のツボにハマった作品。
教育の分野に経済学の手法を導入し、大量の調査結果をもとにこれでもかと「学力」の正体を見せつけてくれる。
読んでいる最中ずっと面白くて、読めば絶対に誰かに話したくなることばかり。
個人的には、「夏休みの宿題を最後の方でやった人は、大人になったときの肥満率・喫煙率・飲酒率・借金を持っている割合いが多い」、というくだりが最高でした。
誰でも学びを得られる、と断言できる一冊。
反省させると犯罪者になります
誰にでもオススメできる本書だが、子育てをしている人には絶対に読んで欲しい本である。
子育てをしている人に共通する願いは「将来まともな人になってほしい」というものだと思う。犯罪者になってほしいと思う親はいないだろう。
だがそんな願いが子どもを犯罪者にする原因になるとしたらだろうか?
本書は世の親御さんたちに恐怖感や危機感をあたえて商売しようなんて言う、浅はかなものではない。
実際に犯罪者の教育現場で培った知識や知恵から生み出された、“必要な本”である。
売るために刺激的なことを書く本は多い。だが本書は純粋に世の中が良くなることを目的にしている。読めばすぐに実感できるはずだ。
1998年の宇多田ヒカル
深い洞察を持って日本の音楽史、特に日本で一番CDが売れた年である1998年を中心に書かれたこの本は、音楽に興味がある人ならば目を通しておいて損はない。
宇多田ヒカルがいかにして邦楽を壊したのか。
椎名林檎の孤独な戦いとは。
一番の天才はaikoだと言われる所以とは。
この本を読んだあと、邦楽の見方が変わるはず。著者の熱い魂とアーティストの本当の凄さを理解してもらいたい。
NHKスペシャル 超常現象 科学者たちの挑戦
受信料とかで色々と文句を言われがちなNHKだけど、やっぱりこういう徹底的な仕事をさせると凄い!
超常現象、つまりいわゆる“オカルト”と呼ばれる現象に対して、最新の科学技術をぶつけてみて、どんな結果が見られるかを調査した模様をまとめた一冊。
元々はNHKスペシャルという番組だったものなのだが、当然本にした方が情報量は多くなるので、放送枠に収まりきらなかった分も含まれている。
この科学が発達した時代にオカルトなんて、と思う方も多いかもしれないが、この本を読んだら「マジか…」となるはず。まあ、読んでからのお楽しみですな。
ちなみに、2ちゃんねる創始者のひろゆきが「幽霊がいないとか言ってる人はバカ」という発言をしているが、その元ネタがこの本っぽい。この本に出てくるエピソードを語っていた。
ゼロ
クソほど売れたホリエモンこと堀江貴文氏の自叙伝。
何が良いって、彼が生い立ちや経験の中で、「何を感じ」「何を考え」「どう答えを選択したか」が書かれていること。
目立つがゆえに批判されることが多い堀江氏だけど、書籍に関してはどれもハズレがない印象。特にこの『ゼロ』は一番オススメしたい。
ホリエモンを好きになると思う。
凶悪 ある死刑囚の告白
映画化もされたこちらのドキュメンタリー。まさに映画を越えた作品。
死刑囚の口から語られる驚愕の真実とそれを追うメディアの物語は、手に汗握るという形容詞がぴったり相応しい一気読みの快作である。
世の中には邪悪な心を持ちながらも、周囲にそれをバラさないように賢く生きている“凶悪”が実在するのだと思い知らされてしまった。ちょっと怖すぎるかもしれないでご注意。
作家の収支
ザ・何でも言っちゃう作家森博嗣が、自作の印税や原稿料について赤裸々に公開した本である。淡々と全部を公開していくさまは、森博嗣が元大学教授だということも忘れて「アホでしょ」と言いたくなるほど。
基本的に森博嗣の作品はどれも面白いけど、こんなにもみんなが興味を持ちそうな話題を提示しているのはこの作品だけであろう。
とっても下世話。
ちなみに他の作品で書いていたことだが、森博嗣の収入を文字数で割ると大体1文字100円ぐらいらしい。まじ別次元。
謎の独立国家ソマリランド
誰も知らないことを知りたくて仕方がない変態が書いた奇書。ネットでもかなり評価が高いのだが、実際に手に取るとその分厚さに少々ビビる。しかしビビるのは見た目だけではない。中身の情報量も目眩がするほど。辺境の地、アフリカの更に辺境の地。地上のラピュタと本書の中で語られるソマリランドを含むソマリア諸国の本当の姿。
この面白さは他の本では味わったことがない。冒険小説とも違うし、旅行記と呼ぶにはあまりにも重すぎる。ハードパンチャーである。
クソ面白いのは間違いない。読後はぐったりしてしまうほどだし、興奮も半端ではない。
だが正直に言おう。この本の面白さを文章で表わす実力が私にはない。とにかく体感してくれと言いたい。これが私の限界である。
絶対貧困
世界のスラムについて詳細に記した本。
世界には1日の暮らしを1ドル以下で賄う人が12億人もいるそうだ。私たち日本人は日本に生まれたというそれだけで幸運だったりする。
スラムというとマイナスなイメージばかりが膨らんでしまうが、中で暮らしている人たちには絆があったり、希望があったりと今までに視点をもたらしてくれる。
スラムの住民たちのトイレ事情なんかも載っていて、地下に水が流れる場所がないスラムの場合が非常に面白かった。
知らないことの連続で堪らなく知識欲を満たしてくれる。
臨機応答・変問自在―森助教授VS理系大学生
森博嗣が教授時代に行なっていた生徒との『質疑応答』をまとめたもの。
本来ならば授業の内容に沿ったものでなければならないのだが、中にはどうしようもない学生もおり、どうしようもない質問が来たりする。授業の専門的な内容は門外漢にはつまらないが、こういったどうしようもない質問はエンタメとして楽しめる。
バカな質問や難解な質問を、森博嗣の明晰な頭脳がバッサバッサと切り裂いていく様子が最高に気持ちいい。
発想の豊かさを味わえます。
自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間"を捨てられるか
1997年に亡くなった日本を代表する芸術家岡本太郎が語る“本当の生き方”。
彼を支持する人は未だに絶えないが、その理由を知るのにこの本を以上の作品はないだろう。
まずタイトルからして「毒を持て」という強烈なモノ。当然、中身の文章も強烈なモノばかりで、中途半端な生き方をしている人には刺さりすぎて死ぬかも。
意識が高い人であれば、気持ちよく背中を押してくれることだろう。
ちなみに私はこの名著を仕事をサボって読んでいたという、どうしようもない輩です。
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我が逃走
天才家入一真の壮大な(?)逃走劇を記した自叙伝。
彼の仕事は素晴らしいし、とても大きな成果を挙げたというのもよく分かるんだけど、彼の視点から見ると、「なんでこんなアホな人が成功できたんだ…?」と疑問になるほど。本当にアホ。
だけど、独特の弱さや繊細さが随所に感じられて、それが彼の魅力なのかなとも思った次第。
多分、愛される人ってこういう人なんだろうなぁ。
われ笑う、ゆえにわれあり
何だか色んな記事で紹介しすぎな気もするがまあいいだろう。
このエッセイは最強である。最強すぎてエッセイの枠には収まっていない気がする。
エッセイってのは基本的にどれも面白いものだけど、これを超える作品には未だ出会っていない。
あまり知られていないけど、万人にオススメできる作品である。この本を読んで笑えない人なんていないと思う。
小生物語
天才ミステリー作家乙一のエッセイである。
売れっ子すぎて遂にエッセイまで発売してしまったわけだが、あまりにも彼の作風とはかけ離れたキャラクターに度肝を抜かれることだろう。ただし、乙一のファンであれば「乙一は小説よりもあとがきの方が面白い」というのは常識だろうし、当然のエッセイだとも言える。
美女と竹林
なんともエロスのただようタイトルであるが、別に官能小説ではない。こちらもベストセラー作家である森見登美彦のエッセイだ。
森見登美彦作品の面白さは、完全に森見登美彦自身の面白さと思ってもらって構わないし、そもそもこのエッセイもフィクションなのかどうなのかよく分からない境界線上にある作品である。
ただ間違いなく面白いので超オススメである。美女と竹林の意味を知ろう。
失敗の科学
人の失敗…面白すぎる…!!
古今東西の信じられないような人の失敗と、なぜそんな愚かな行動をしてしまったのか、防ぐためにはどうしたらいいかについて、非常に読みやすくまとめられた本。
失敗の例を読んでいると本当に「いやいや…ありえんでしょ」と思ってしまうのだが、実際にそのときの心理状況や環境など、科学的に踏み込んでいくと、思わず唸ってしまうような真実が炙り出されてくる。信じられないような失敗をするのは、次は自分かもしれないと思ってしまうぐらいである。
分かっているつもりだったけど、やっぱり人間ってのは不完全で、愚かな生き物なのである。この本を読んで改めて学習。気をつけなきゃ…。
諦める力
「走る哲学者」の異名を持つ為末大選手が綴る珠玉の言葉たち。
子供の頃から「諦めない」ことを美徳として教育(洗脳)されてきた私たちは、ひどく諦めることが苦手だったりする。
しかし人生は有限であり、才能がない分野に限りある人生を注いでいる場合ではないのだ。
『諦める力』を読んで曇りきった視界を一度クリアにしてみてはいかがか。
続編のこちらも素晴らしい言葉に溢れている。
フェルマーの最終定理
「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」
ある数学者が残したこのあまりにも有名な言葉によって、数多の数学者たちが難問に人生を賭していく。
数学がこんなにも興奮するものだったとは!正直アホな私には何が書いてあるのかさっぱり分からないのだが、それでも難問に対して常軌を逸したレベルで没頭し散っていく数学者たちのドラマは確実に胸を打つ。
全てが繋がるあの瞬間は涙ぐんでしまうほどの感動を呼ぶ。
数学が好きな人もそうでない人も、必読の書である。
死刑
死刑を考える上で入門書となりうる本。ただし、入門した先にあるのは非常に難解な人の心の闇である。割り切ることは簡単ではない。
『「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい』を読んで興味を持った森達也氏。相変わらずあえて“人が首を突っ込まない所”に踏み込む姿勢は素晴らしいと思う。と同時にアホだとも思う。
反対でも賛成でもいいけど、今の日本に確かに存在している“死刑”というものについて少し考えてみてもらいたい。人について、罪について、そして運命というものについての考え方がきっと変わるはずだ。
死体は語る
「死体がこわいとか、気持ち悪いという感覚は、医学を志したときからすでに持ち合わせていなかったような気がする」
独特な低体温の文章で綴られる、検死官による超本物の死体エッセイ。
死を常に見続けてきたプロだからこそ、その言葉には生が宿り、美しさを湛えていて、不思議な感動を覚える。この記事の最初で紹介した『特殊清掃』が好きな人は確実に楽しめるはずだ。
死を通して見えるのは、不思議なことに人間の生である。味わい深いドラマの詰まった名著である。
「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい
作中でノルウエーの官僚が語った言葉が刺さりすぎて堪らなかった。
「犯罪者のほとんどは、貧しい環境や愛情の不足などが原因で犯罪を起こしている。ならば彼らに与えるべきは苦しみではない。良好な環境と愛情、そして正しい教育だ」
「もちろん、少数ではあるが、とても邪悪な魂を持ってしまった犯罪者もいる。つまりサイコパスです。でもならば、彼らに罰を与えても意味がない。この場合は治療をしなければならない」
私は価値観を揺さぶってくれる作品が大好きだ。心が震える。この作品では心と価値観を存分に揺さぶられた。
疑い、考え続けられる人になりたいと思った。
答えを出した途端に人は愚かになるのかもしれない。
この世でいちばん大事な「カネ」の話
幼い頃から金で苦しみ、貧しい町を逃げ出した後もずっとお金に苦しめられてきた著者が語る「お金」と「自分」と「仕事」の話。
恐ろしく身も蓋もない内容なのだが、やはりそれは「生きるためには何でもやる」という決心を持った著者だからこその言葉なのだろう。
お金に執着するのは汚いことだと思われているが、じゃあ生きるために必死になるのは汚いことなのだろうか?
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野心のすすめ
当代随一の肉食系作家の人生に必要な「野心」について語った本。
もうね、この本は滾るよ。自分の胸の裡から欲望の塊みたいなのが飛び出してくるね。
それを醜いと思うかはあなた次第。
成功している人たちは、常人とはかけ離れたエネルギーを持っていること。そしてその原動力はどこから来ているのか?を考えると、何か気付きを得ないだろうか?
直感力
みんな大好き羽生さんのエッセイ。
羽生さんの文章には彼の人間性がそのまま表れていると思う。いや、実際に会ったことはないから分かんないんだけどさ…。
でも文章を通して、彼の優しさとか、実直さがそのまま届いてきて、「ああ、本当に良い人なんだな!」と思ってしまう。
しかもそれと真反対の「勝負師」という厳しく獰猛な顔も覗かせたりするのだから、そのギャップにやられるのは乙女だけじゃないでしょ。
大局観
タイトルに書いてある『大局観』についての記述があるのは冒頭のほんの一部なので、そこだけは残念。
しかし内容はさすがの羽生クオリティ。目から鱗の内容の連発だし、要所要所で出してくる将棋の名言がいいアクセントになっている。使ってみたいよね「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」とか。
個人的には「ツキ」に関する記述が特に刺激的だった。ツキに対してどう向き合うかがその人のレベルを決めるのだろう。
自分のアタマで考えよう
超人気ブロガーによる「アタマの使い方」指南書。
具体的な事例を使って、
どういうふうに情報を読み取るか?思考を広げていくか?比較の仕方は?
などなど非常に分かりやすく説明してくれている。
ちきりん氏の著書の中でも特に評価が高いのも納得の一冊なのだが、著者自身があまりにもアタマが良すぎるので、「うん、オラついてけねえ」となってしまった。
ちきりん氏のアタマの中を覗けるという意味でも必読の書である。
勝負論 ウメハラの流儀
ギネス認定のプロゲーマー“ウメハラ”による勝負の本質を語り尽くした本。
のっけから「勝ち負けにはこだわらない」など度肝を抜かれる言葉に満ちている。しかし勿論、奇をてらっている訳ではなく、ちゃんと彼なりの確固たる論理があり、しっかりと説得してもらえる。
勝負だけではなく、「成長」というのが大きなテーマになった一冊。
それにしてもウメハラは本当に素晴らしい。ゲームという堕落の象徴みたいな分野で活躍している人だからこそ、余計に素晴らしく見えるのは、きっと私の偏見によるものです、はい。
つぶやきのクリーム
このシリーズは最高だ。超人気作家の森博嗣が日々考えた閃きを短いコラム形式で連ねたものになる。その数なんと100個。
森博嗣の頭脳から繰り出される数々のコラムは確実に私たちの視界をクリアにしてくれる。今まで見てきた景色が変わることだろう。
常識にとらわれない100の講義
ひとつ前で紹介した『つぶやきのクリーム』と恐ろしいほどまったく同じ手法で書かれた森博嗣のエッセイである。こちらも森博嗣の明晰な頭脳によって、人生を、社会を、日本語を、そしてどうでもいいことを分解し、整理してくれる。
頭が良い人の文章ってのは、知的刺激に満ちていてたまらんとです。
はるまき日記
星の数ほどある育児エッセイの中でも屈指の実力を持つ、『はるまき日記』
である。たぶん、これ以上笑えるエッセイは存在しないんじゃないだろうか。
育児テクニックとかそういうのはどうでもよくて、ただひたすら作者の下品な文章を楽しめばよろしい。1ページに一回は笑えるので覚悟して欲しい。
育児世代も、そうでない人も笑える奇書である。このセンスには脱帽。
っていうか、全然知らないで読んでたけど、この人『江古田ちゃん』の作者なのか。
聖の青春
29歳の若さで急逝した、天才棋士村山聖九段の人生を追ったノンフィクション。
映画化されたことで一躍有名になったが、この方、とにかく凄まじい人生を送っている。将棋の才能に恵まれながらも、不治の病に苦しめられ、人生の色んなことを諦め続けていた。
残酷な運命に翻弄される彼の人生は、フィクションを越えたドラマがある。
簡単に語れるようなものではない。心を震わせる確かな作品である。
あの頃ぼくらはアホでした
日本でも屈指の超人気作家東野圭吾、初のエッセイなのだが、これがもう衝撃的。
面白い人のもとには面白いことが起こるようにできているのか、それとも面白い経験をしたから面白い人になるのか…。とにかく私のような一般人からは想像もできないような学生時代を送っている。
ネット上で「面白い小説はなに?」と聞かれると、かなりの確率で登場する名作である。
感動だったり、考えさせる要素はまったくない。ただただ笑って驚けばよろしい。
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哲学
松本人志、島田紳助のふたりが笑いや人生について書き下ろしたエッセイ。
才気溢れるふたりの優秀な芸人だけあって、どんな話題でもキラリと光るものが見つけられることだろう。個人的にこの頃が松本人志の最高到達点で、島田紳助はこれが平常運転なのだと思っている。
引退してからやたらと持ち上げられることが多い島田紳助だが、彼の言葉は本物である。
生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント
潔白すぎる人は嘘をつく自分自身も汚くて許せなかったりする。そうやって自分を追い込んでしまったりする。
実は世の中を生きていく上では、他人に嘘をつくことは勿論、自分にも嘘をついたって構わない。それで幸せになったり生きやすくなるのであれば、どんどん嘘つきになるべきで。
でも幼いころから「嘘つきになるな」と大人たちから価値観を刷り込まれてきた私達にはなかなか難しかったりする。
そんな大人が子供に「サンタクロース」を信じさせたりしてるのだから、よく分からない。
身の下相談にお答えします
こちらも読者とのQ&Aをまとめたもの。タイトルがすべてを表しているような作品である。
著者の上野千鶴子氏は社会学者。そんな偉い方が、みんなのシモの相談をバッサバッサと切り裂いていくのだが、非常に上品である。話の内容自体は下品なのだが、それを上品にまとめあげるという離れ業をやってのけている。
あなたが悩んでいないような相談でも、相手の身になってみると「どうすりゃええんじゃい」なることが多いが、それに対してどんな明快な解答が返ってくるか楽しみで読み進む手が止められなくなる。
産後クライシス
この本には悲しい事実が書かれている。
ある民間の研究機関の調査の結果、妊娠した時点で「夫に愛情を感じている」と答えた妻は7割。これが出産直後になると5割。子供が2歳になる頃にはなんと3割にまで低下しているそうだ。
子供を産んで家族としてスタートしようとしている夫婦のほとんどが「愛を感じていない」と答えてしまうのが現実なのだ。
愛妻家の私だが、実は奥さんは私を愛していないのかも…?と危機感を抱いた次第である。
みんな奥さんを大事にしろよ。
…と思わせるための本だったりして。
聞き出す力
プロインタビュアーという謎の肩書を持つ吉田豪による聞き出すためのテクニック集…ではまったくない。ただのオモシロエピソード集である。
だがこれがまた強烈。面白いものを見つけるためだけに生きてきた男の引き出しは半端ではない。笑えるのはもちろんだが、それよりも驚きが勝ってしまうほど強力な話がポンポン出てくる。
これ最高だから、続編を出して欲しい。
なんて言ってたら本当に出版された。こちらも超面白いので必読である。
うさぎとマツコの往復書簡
マツコ・デラックスは常々「自分は最下層の人間」と言って憚らないのだが、この本を読んで疑問を感じぜずにはいられなかった。こんなに博識な人間ってそうそういないだろう。
中村うさぎとの雑談&独白に満ちた交換日記なのだが、これがなかなか刺激的。マツコも中村うさぎも、どちらともエロにもゲイにも通じているせいで、普通の会話があまりにもどぎつい。だがそれがいい。
これを楽しめるのはきっと私にとって、遠い世界のことなのだからだろう。そして、そんな遠い存在の2人がたまに見せる「人間らしさ」に、何か心を震わされるものがある。
というか、どぎつい2人の会話に笑えるというただそれだけの本である。非常に楽しませていただいた。
漫画貧乏
この本を読んでわかった。『ブラックジャックによろしく』の主人公斉藤英二郎は作者そのまんまだ。理想を追い求め、周囲との軋轢にもがき苦しみ、敵をいくらでも作り、バカにされ、振り乱して、恥を晒して、醜態を晒して、でも進み続ける。進まずにはいられない。世界を変えたいと本気で思っている。
バカだと思う。だけど本当にかっこいいと思う。
バカにしかできないことがあるし、真剣な人の行動ってのは誰かの心を動かす力を持っている。
なんとタダである。ぜひともこのウザすぎる熱量に触れていただきたい。
家族の悪知恵 身もフタもないけど役に立つ49のヒント
色んなモノを見てきた人だからこそ言える言葉がある。
西原理恵子は自分頭で考え、壁を乗り越えてきたからこそ、今の地位を確立している。
生きる知恵というのはそういう人の口からこそ出てくるもの。
悩み相談形式の本なのだが、きっとみんなも共感できる部分があるはず。
それにして西原氏の幅の広さには本当に驚かされる。
ダメな旦那は川に流しましょう、は名言。
ゆるく考えよう
ちきりん氏ほどのポテンシャルがあれば、ゆるく楽しく生きることも可能なのだと思うが、私のような凡人にはなかなか現実感が薄いのも事実。
だが彼女の著作どれもに共通しているが、冷静な観察と分析からもたらされる視点と発想は非常に参考になるし、脳みそに良い刺激を起こすので面白かった。ちきりん氏の本はほぼ鉄板。(自分メディアの作り方はまあまあだったけど。)
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深爪式
下品を極めたツイッター女王のエッセイになる。 あまりにも極端な価値観と、ときおり見せる深い洞察のアンバランスさが、最高の味わいを醸し出している。
SNSで実力を評価されて名を上げている人の本は、大概ハズレがない。こうやって本当に面白い人が世の中に見つけてもらえるようになったのは、非常に喜ばしいことだ。
それにしても、まさか帯をHISASHIが書くとは…。
木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
水道橋博士があまりにも大絶賛していたので、気になり手に取った。とんでもない文量であり、中身の熱量も半端ではない。厚さと熱さでクラクラしてくる。
人々を熱狂させるだけの本だとは思うが、いかんせん格闘技に興味がない人、というか格闘技を好きな人であれば入り込めるだろうが、ニワカには厳しいかもしれない。
私はそこまで格闘技フリークではないが、格闘技の歴史や、誰もが知るビッグネーム力道山の外道っぷりなど、雑学として純粋に楽しむことができた。
衝撃的なタイトルの意味と答えは作中で探してもらいたい。
社会人大学人見知り学部卒業見込
芸人さんの本も好きで良く読むのだが、オードリー若林正恭によるこちらのエッセイは他の追随を許さないほど、文学的であり、そして彼の孤独さに心打たれる作品である。
彼の弱さはテレビの画面越しでも伝わってくるのだが、文章で内面を語られるとその苦しみや愚かさにより一層理解が深まる。
読書芸人としても有名な彼。生み出す文章もなかなかの味わいである。
これは良い。
ブスの本懐
カレー沢薫による天才的な文章でブスへの悪態を思う存分、一生分楽しめる作品である。
マジでこれ以上にブスを貶している本はないだろう。というか、そんなもん必要ないだろうが。
クソほど笑えるが、読後に何も残らないこと請け合い。そして私のように文章を書く人間からすると、カレー沢薫の才能に嫉妬しまくりである。
ずる-嘘とごまかしの行動経済学-
人間がどんなときにずるや不正をするのかと、実際に人間を使って実験を行なったという超面白い本。知的好奇心が刺激されまくりである。著者は行動経済学の第一人者であるダン・アリエリー。NHKの白熱教室なんかでも取り上げられている世界を代表する学者。
ずるに至るまでの色んな要素が紹介されているのだが、意外な真実から、思わず「確かに…!」と妙な罪悪感に襲われながら納得してしまうものまで出てきて、本当に興味深い。
余談だが、ずるをさせる実験のために被験者に支払ったお金は、数万ドルを超えたらしい。大学側もよくこんなの許したな…。
A マスコミが報道しなかったオウムの素顔
森達也の名を世に知らしめるキッカケになった衝撃的映画『A』。
世間がオウムバッシング一色に染まる中、「彼らは一体何者なのか?」という疑問を抱き、施設の中へ。そこには、マスコミが脚色を施していないが故に、誰もが知ることがないオウムの姿があったー。
オウムがやったことは許されない。それは間違いない。でも彼らだけが歪んでいると思い込んでいる、こちら側も同じくらい歪んでいるのだと思い知らされた作品。
信仰の怖さ、強さ、大事さ、不可解さ。報道の醜さ、歪さ。大衆が陥る“思考停止”の怖さ…などなど色んな要素がてんこ盛りで、あっという間に読み終えてしまった。
これは超当たり本。
続編も読む予定。
アヘン王国潜入記
あの『クレイジージャーニー』でも最強との呼び声高い高野秀行。
そんな彼の代表作にして、もろに犯罪行為(アヘンの吸引は外国でやっても犯罪です)を緻密に記したヤバい本。
世界に出回っているアヘンの実に80%を栽培している“黄金の三角地帯”と呼ばれるワ州に潜入し、アヘンを実際に種まきから収穫、そして実食まで体験している。こんな本、絶対に他にはない。
もしこれをYOUTUBEでアップしてたら、今頃彼は億万長者だっただろうに…って思ったけど、そんなことしたらGoogleに速攻で消されちゃうか。
ちなみに表紙に写っているのはアヘンの花である。本の中にはアヘンの作り方も写真入りで説明されている。こんな本売っていいのか。普通に考えて発禁だと思うのだが…。
カブール・ノート―戦争しか知らない子どもたち
9.11の同時多発テロ。そのときにアフガニスタンで国連職員として働いていた日本人がいる。そんな彼が、アフガニスタン国内で見た厳しい現実を記した本。
日本に住んでいると、どうしても報道はテロを受けたアメリカ側に偏りがりであるが、『カブール・ノート』を読むとどれだけ片方に肩入れしていたかを思い知らされる。そして同時に、自分たちがどれだけ幸福な生活を送っていて、世界は悲劇で溢れていることを。
想像できるだろうか。
極寒の地で難民になり、毛布一枚ない生活を送る人を。
翌朝無事に目覚めることを祈りながら子供を寝かしつける母親を。
外に出すとレイプされてしまうので、女の子を学校に行かせることを諦めなければならいことを。
2人の子供が寝ている間に買い物に出かけ、家に帰る途中で拉致され、数日後に家に帰ると、子どもたちが餓死してしまっていることを。
すべて同じ地球で起こっていることだ。
私たちには知らなければならないこと、考えなければならないことがたくさんある。
その中のひとつが、この本の中には書かれている。ぜひ手にとってもらいたい。
増補されているnote版を強くオススメしておく。
↓
腰痛探検家
硬派な探検モノも良いのだが、こういう脱力モノを書かせても高野秀行は一流である。というかバカバカしい方がシンプルにまとまっててクオリティが高い気がする。一気に読んでしまったぐらいだし…。
辺境の地ばかりを旅してきた高野秀行だが今回の冒険はなんと“腰痛”である。
ひどくありふれた病気なのに、いざ本気で治療に取り組もうとすると、まさにそこは“腰痛密林”とも言うべき、未知の世界が広がっていた…!
腰痛の経験がある人も、そうでない人も、確実に笑わせる名作である。これが好きにならない人はいないでしょ。
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面白い本は尽きない
以上が私がオススメするフィクション以外の本である。
ネットで話題の本から、全然誰も評価していないような本まで揃えてみた。自分でまとめておいてなんだが、何もまとまっていないと思う。困ったものである。
ただ、私に限らず人の興味は非常に多岐に渡る。いくらでも世の中に面白い知識やドラマは溢れている。きっとまだまだいくらでも素晴らしい書物が出てくることだろう。その期待がある限り、私は面白い本を探すことを止められないのだ。
いち本好きとして、これからもまだ見ぬ名作を掘り起こす日々である。
以上。