どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。乾燥肌です。
最近はブロガーというよりも、Twitter集計人としての活動がメインになっているが、そろそろ頭の良い方がプログラムでスマートに集計しだしているので、お役御免になる日も近いだろう。私の残り僅かな命を皆さんで眺めて楽しんでいただきたい。地味に散ってやるぜ。
ということで、この記事を書いてるのは2022年の1月初旬。
この時期になると、Twitter読書垢の風物詩が見られる。
それが…
#2021年の本ベスト約10冊
である。
新刊に限らず、2021年に読んだ本の中で特に良かった(印象に残った)作品を約10冊選んだタグになる。約ってのがいいよね。
読書家といっても人それぞれで、好む読書ジャンルも違えば、読むスピードだって違う。中には10冊を選べるほど読んでないという方もいるし、たくさん読んでるけど10冊はとてもじゃないけど選べないという方もいる。
もちろん、10冊を選んでる方だってそんな簡単に選んでいる訳ではない。
みんな苦しみながら、そして数々の選ばなかった作品たちに申し訳ないと心の中で頭を下げながら選出しているのだ。ちなみに私は心の中だけじゃなくて、実際に頭を下げた。
それくらいみんなが本気で選んだ10選である。
で、そんな #2021年の本ベスト約10冊を集計してランキングにしてしまったのが、今回の記事である。
つまりこれは2021年に世界に存在した本たちによる、人気投票である。総選挙である。バトルロワイヤルである。あと…なんだ…まあいいか。とにかくすんごいランキングだ。
こんなの面白くならないはずがないだろう。私も自分で集計しつつ、大興奮しっぱなしだった。
~集計のルール~
①作品名が出たら1票としてカウント
②同じ人の同じツイートは不可。リツイートも同様。
③ひとつのツイートの中で複数回言及されていても1票としてカウント。
④すべてのツイートを集計し、票数が多い順にランキング付け
以上がカウントの基本ルールである。
ただ、困ったのがシリーズもののカウント方法。
1巻と書いてる人もいれば、2巻と書いてる人もいれば、〇〇シリーズとも書かれているときがある。
未読の作品だとどう対応したらいいのかさっぱり分からない。
で、これに関しては本当に申し訳ないのだが、私の独断と偏見と皆さんの表記傾向を見て分類させていただいた。
例えば、〇〇シリーズと書いてる人が多数の場合は、1巻や2巻と書いてる人も含めて合計し、ひとつの作品としてカウントしている。
1巻や2巻の表記を分けている人が多数のときは、別の作品としてカウントさせてもらった。
また、これこそ完全に独断と偏見なのだが、〇〇シリーズとか1巻2巻といった表記がされていたとしても、私が既読で「これは続き物の作品だから、巻数は重要じゃない」と感じたものに関しては、どんな表記をされようがまとめてカウントした。集計した人間の特権だと許してほしい。
このあとランキングを発表するが、約2万冊分という凄まじい量を集計したので今回はベスト20のみを紹介する。
※無駄口はいいから、集計したやつ全部教えろや!!という方はこちら
ではTwitter読書垢による、2021年に読んだ本総選挙。開催である。
行ってみよう。
※去年のランキングはこちら。
⇒みんなの #2020年の本ベスト約10冊 をランキングにしてみた!
20位
27票
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
本屋大賞初のノンフィクション部門で大賞を獲得した名作が見事ランクイン。ちなみにノンフィクションものでランクインしたのはこれのみ。強さを見せつけてくれた。
2の方でツイートされている方がいらっしゃったのだが、未読で判断できなかったため今回は別作品としてカウントさせていただいたので悪しからず。
それにしても、各種メディアで取り扱われてるからもあると思うけれど、Amazonの評価数が桁違いすぎる。
19位
28票
『本と鍵の季節』
人の死なない、日常の謎作品を書かせたら、今は米澤穂信がキングでしょう。というか最近は、歴史ものまで手を出して売れちゃってるから器用作家のイメージの方が強いか?
青春のほろ苦さと、著者が得意とするダークさで読者を魅了する快作である。
『木曜日にはココアを』
去年の本屋大賞で『お探し物は図書室まで』で2位という快挙を成し遂げて、一気に知名度を獲得した青山美智子の超人気恋愛短編集がランクイン。
青山美智子といえば今、読者を一番幸せにさせちゃう作家である。ツイッターで作品の感想を検索すると、「ほっこり」「癒やされる」「キュン死に」などのワードで溢れていて、ぽわんぽわんの淡ピンクの世界が広がっている。良すぎる。正直私も混ぜてほしい。めちゃくちゃオッサンだけど。
18位
29票
『そして、バトンは渡された』
本屋大賞受賞作はやはり強し。2017年大賞受賞作が4年近く経っても、まだ大人気っていうね。瀬尾まいこファンの私としては嬉しい限り。
絶対に共感できないようなありえないシチュエーションを題材にしているにも関わらず、あらゆる人を共感させて、なんなら感動までさせてしまうという怪力作品である。装丁も地味なのに。
極端な悲喜劇を書かずとも、しっかりと評価してくれるのが本屋大賞の良いところだと思っている。というか、評価してくれた書店員の皆様のおかげですね。私の瀬尾まいこをこれからもよろしくお願いします。
ちなみに、今作で瀬尾まいこの魅力にやられた方には、ぜひとも私がイチオシの『あと少し、もう少し』を読んでもらいたい。いや、読んで。
17位
30票
『invert 城塚翡翠倒叙集』
邦ミステリー界の新星、相沢沙呼の新作がランクイン。
発売した2019年当時のミステリー系のランキングを蹂躙しまくった『medium』の続編に当たる本作は中編集となっている。
1作目があれだけ評価されてるのに、2作目もこれだけ人気ってのはミステリー界隈ではかなり珍しいかも。高まり過ぎな期待値に作者の頭脳とメンタルがどれだけ耐えられるか心配なところではあるけれど…(ツイッターで愚痴ってるのを見かけたので)。
このブログでは前から何度も書いているけれど、みんなが驚愕するトリックを一人の人間が何度も生み出せるはずがないから。作家の試行錯誤の末に生まれるものもあるので、凡作・疑問作が出たとしても暖かく見守ってあげましょう。
ということで、まずは肩慣らしに歌野晶午の『長い家の殺人』殊能将之の『黒い仏』を読んでもらいたい。いや、読め。
『お探し物は図書館まで』
青山美智子作品がさっそく2作目のランクイン。マジで人気者だな。完全に掌握したね、人心を、読書家たちの。
こちらは言わずとしれた2021年本屋大賞第2位。
否が応でも嫌なニュースばかりが目につく時代なので、こういった温かみや癒やしに溢れた作品の必要性が増してるように思う。
何を目にするか、何を気にするかで私たちの人生は作られていく。限られた人生ならば少しでも多くの素敵なものを見て生きていたいものである。
あと、青山作品の装丁をほとんど担当している、ミニチュアアーティストの田中達也氏の仕事も素晴らしい。図書館のシールを模した装丁にしているのも味があってよろしい。彼の写真集も素晴らしいので合わせてオススメしておく。
16位
31票
『自由研究には向かない殺人』
主人公のひたむきさと愛嬌で魅了させつつ、先を読ませないで尻上がりに盛り上がる展開が好評の海外ミステリーが16位にランクイン。
高校生の主人公が、自由研究として殺人犯の無罪をしようとする、かなり変わったテーマのミステリー。最近海外勢ミステリーの強いブームが来ていて、こちらのホリー・ジャクソンとアンソニー・ホロヴィッツはこの1年で完全に定着した感がある。
15位
33票
『クララとお日さま』
日本でいま一番人気のあるイギリス作家、カズオ・イシグロである。
こうやって売れっ子になるかなり前から私は知っていたが(知っていただけ。未読)、以前は「知る人ぞ知る」という感じだった。一部から熱狂的な評価されているタイプだったのだが、『わたしを離さないで』がロングセラーを記録し、なんならドラマ化までされてしまい、一気に認知されたように思う。
そんなイシグロ氏の最新作が見事にランクイン。新作も安定の高評価で実力を見せつけた形となった。なんてったって泣く子も黙るノーベル賞作家である。だから村上春樹はまず泣く子を黙らせるところから始めよう。
『蒼海館の殺人』
ミステリー界を牽引する新たな頭脳のおでましである。
東大卒の頭脳から繰り出される「その手があったか!」というトリックの数々。いま一番、ミステリー好きを唸らせまくっている作家かもしれない。
去年も『透明人間は密室に潜む』で17位にランクインしているし、順調に存在感を示している。
ジャーロでの連載を読むに(というか彼の作風を見れば一目瞭然だけど)、信じられないほどのミステリーオタクにして、速読家。
優秀な頭脳をミステリーに全振りしてるっぷりがめっちゃ愛おしい作家である。
14位
37票
『ザリガニの鳴くところ』
出ました。世界で一番有名なザリガニ。(ザリガニが主人公ではないので悪しからず。)
こちらも根強い人気。2019年アメリカで一番売れた小説で600万部を売り上げたとか。原書の方のAmazonレビューが20万件近く付いていて、人気の度合いが伺える。
著者のオーエンズ氏は元々動物学者であり、作家としてデビューしたのはなんと70歳のとき。で、デビュー作がこちらの『ザリガニ』である。快挙すぎ。
日本ではほとんど知られていないホワイトトラッシュ問題を扱いつつ、卓越した筆による自然描写にノックアウトされる人続出。自然描写でノックアウトって…未読の私には想像ができん。
あと全然関係ないけど、ザリガニは顔からオシッコを出すらしい。
13位
39票
『六人の嘘つきな大学生』
こちらも超話題作。あの装丁を書店で何回見かけたことか。大学生600人分は確実に見たな。
私は絶賛積ん読中なので詳しい感想などは語れないんだけど、「一気読み」「伏線回収が凄まじい」などなど、皆さんの絶賛っぷりを拝見するに相当期待しても良さそうである。そして、こうやって無駄に期待を高めてしまうと、ロクな結果にならないこともよく分かっている。皆さん、感想は控えめに頼む。私もできる限り話半分に聞くようにするから。「読みにくい」「風呂敷広げっぱなし」と言ってくれて構わんよ。
それにしても、著者の朝倉秋成は新人でいきなり売れたのかと思ってたけど、10年選手だったのか。地道にキャリアを積み上げた末のホームランだったのか。おめでとうございます。
私も本書を積み上げている場合ではない。さっさと読まねば。
12位
40票
『流浪の月』
去年はこのランキングで2位にダブルスコアという圧倒的存在感で1位を獲得した『流浪の月』である。
『流浪の月』の凄さって、作品の良さを上手に伝える言葉が存在しないことだと思う。
「驚愕の展開」とか「キャラ萌え」とか「先が読めない」みたいな、分かりやすいキャッチフレーズを一切受け付けない作品。なのに読了後のあの充足感とか、感動とか。言葉にならない何かが心を満たしてくる。
せっかくだから良さをみんなに伝えたいのに、伝えるべき言葉が見つからない。相応しい修飾語が存在しない。
良さを伝えにくい。なのに作品はどんどんこうやって広く読まれていっている。
作品の本質をつかむことはできず、遠くからその美しさを称えるのみ。まるでたゆたう月のような作品である。
超蛇足だけど、私の熱いレビューはこちら。
11位
41票
『推し、燃ゆ』
文学界で一番イカれてることで有名な芥川賞。
前衛すぎてアクが強いので、受賞者を多数排出しているものの、ベストセラーとは縁のないことが多い。
一方で、その恐ろしいまでの感性と卓越した表現力によって、時代を掴み、一般大衆の心を掻っさらってしまうときもある。
宇佐美りんはまさにそんな作家で、時代を完全に乗りこなした感がある。この系統に『コンビニ人間』の村田沙耶香がいる。どちらも間違いなく天才である。
芥川賞を受賞した今作は、きっと長い時間読みつがれることだろうが、今この時代に読まなければ感じられないものがあるはずだ。未読の方はぜひ。と言っておいて私も未読だが。
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さあ、ここからは遂にベスト10の登場である。
2021年に読書家たちを一番狂喜させた10冊だ。間違いなさすぎなラインナップすぎて逆にダメかもしれない。今後何を読もうか迷ったら、ここから選べばいいだけなのだから。
本を読むというのは、選ぶところから楽しみは始まっている。目の前に出されたものを機械的に摂取するだけではあまりにも味気ない。なので、へそ曲がりの多い読書家の皆さんの場合は、逆にこの10作品を避けてもいいかもしれない。
では王者の貫禄漂う作品群を、お目にかかろうじゃないか。
10位
46票
『スモールワールズ』
見事第10位にランクインしたのは一穂ミチの『スモールワールズ』である。
いやー、これも入るわな。凄いもん絶賛が、全方向から。九頭龍閃でもここまで全方向じゃないでしょ。
収められた6つの短編で繰り広げられる表現の豊穣さに、圧倒される人が続出。「才能の見本市」とか「ほっこりからイヤミスまで」「全部がメインディッシュ」といった魅力的な感想が多数飛び出している。なんだよ、ほっこりからイヤミスまでって。ゆりかごから墓場までより行き届いてるじゃねえか。最高かよ。
9位
47票
『medium霊媒探偵城塚翡翠』
なんと9位は『medium』である。
まだこんなに読まれてんのかよ!とびっくりしたけど、あれか、文庫化したのね。2年連続でベスト10入りである。おめでとうございます。続編の『invert』も大好評だし、しばらくはミステリー作家としての地位は安泰でしょうね。
私は去年に引き続き、友人たちの反応が絶賛と酷評の半々に分かれているのが怖くて、未だに手を出せていない。
しかしそれにしても、あれだけAmazonで大量の評価が付いているのに、星が5近いのは本物の証拠ではないだろうか(評価数が増えるほど平均値に近付く傾向がある)。
8位
48票
『黒牢城』
これは入るよね~。今年のミステリ系のランキングで4冠ですから。
私が本を読み始めたころは脇でちょっと評価を集めている小粒な作家、というイメージだったけど最近の穂信は完全にスターダム。作風も広くなる一方だし、このままの勢いで全方位作家として、東野圭吾の牙城を崩す日も近いか?
でも根暗だったり、ひねくれ者の要素が彼の作品の基本的な魅力になっていると思うので、できればあまり明るいところに行かないでほしいと思ったりもする。
…と書いている最中に直木賞受賞の報が入った。おめでとうございます。米澤穂信はキャリア的にそろそろだと信じてたよ。
7位
50票
『硝子の塔の殺人』
コロナ騒動のせいで完全に最近は(色んな界隈と)喧嘩しまくってる人みたいになってる知念実希人。
実は本業もちゃんと活動していて、さすが現役医師の頭脳とたんまりと蓄えたミステリ知識&愛をフル活用して生み出したのが、こちらの作品である。
島田荘司や綾辻行人から始まった“本格ミステリ”というジャンルを、ある意味で終わらせてしまった作品であると話題だ。
私はまだ本格ミステリを終わらせたくないので未読である。死ぬまでには読む予定。
6位
53票
『同志少女よ、敵を撃て』
来ました。デビュー作にも関わらず、その確かな筆力と圧倒的なストーリーで読者を魅了し、2021年の年末に発売された途端、瞬く間にベストセラーへと駆け上がった話題作が見事第6位ランクイン。
これは入って当然という感じ。むしろ発売時期が年末だったから6位なだけで、来年は1位でもおかしくない勢いである。
こちらも私は未読なのだが、絶対に面白いのが分かる作品なので、もったくなくてなかなか読めなくて困っている。でも読みたい。苦しい。誰か助けて。
5位
57票
『52ヘルツのクジラたち』
第5位の1つ目は、去年の本屋大賞を掻っさらった、町田その子『52ヘルツのクジラたち』である。こちらも当然のランクインと言えよう。
思えば、去年もみなさんの年間ベスト本ツイートを集計していた時点で、「こりゃ本屋大賞獲るな」と思えるぐらい激賞されていた。めでたく大賞を受賞したあとは、順調に評価されて、孤独のただ中にいる人たちに寄り添い、大事にされているようである。
読書の価値ってそれこそ無限にあるけれど、『52ヘルツのクジラたち』みたいに、生きていくための力をくれるというのは、とても貴重な役割だと思う。
『兇人邸の殺人』
第5位の2つ目は、デビュー作の『屍人荘の殺人』が笑っちゃうぐらい高評価だった今村昌弘のシリーズ3作目である。
とんでもない状況下からミステリーへと鮮やかにまとめあげる手腕には、異常なミステリー愛と偏執さを感じる。簡潔に言うと変態です。
読んでる最中は無限にとっ散らかっていく印象があって(これはヤバいな…)と思わせるのに、読み終えればすべてが嵌るべきところに嵌った快感がある。どれだけ時間をかけて煮詰めてきたのかが伺えて、その点も高く評価したい。ほんとに、こんなの正気の沙汰じゃないでしょ。
ミステリー好きを狂喜させる一方で、興味ない人からすると地雷作品扱いなのがまた最高である。私は愛してるよ、今村昌弘。
4位
64票
『かがみの孤城』
5位の57票から一気に突き放して64票を獲得したのは『かがみの孤城』である。
言わずと知れた辻村深月の最高傑作だ。これを読まずして辻村深月を語るべからず…と言えないほど名作の多い辻村深月だけど。それでもやっぱり本屋大賞受賞作だし、代表作と言っても構わないだろう。
去年のランキングでは13位だったのに、1年でここまで順位を伸ばしたのはやっぱり文庫化の影響が大きい。
私が本好きになりたての大昔は、単行本(ハードカバーのことね)が発売されてから文庫化されるまで3年という縛りがあったものだ。最近ではすぐに文庫化されてしまっているけれど。
そんな風潮の中、4年近く経ってから文庫化というのは、単行本でも根強く売れていた結果だろう。メフィスト賞という奇っ怪な賞レース出身の作家が、ここまでの稼ぎ頭に育ったことは、いち読書好きとしても、メフィスト賞を馬鹿にしつつも愛している人間からすると、非常に喜ばしい。
3位
67票
『正欲』
堂々の第3位は朝井リョウの『正欲』である。
これはねー…ヤバイよね。読了後の脱力感とか、無力感とか。作品に打ちのめされて、価値観と心が寝そべってしまう。もちろんフィジカル的にも倒れ込んだよね。やられたー、つって。
大仰なことを書くけれど、『正欲』で喰らわない人なんていないと思う。読んだ誰しもの心の核に触れるテーマだし、心当たりがあって居心地が悪くなるはず。
さっきからマイナスなことばっかり書いてるから、未読の方には鬱小説と思わせちゃったかもしれないが、そんなことは全然ない。絶対に読んで良かったと思うはずだ。
でも心にだいぶ“くる”のは間違いないから、どんな衝撃がやってくるのか楽しみにしてほしい。
2位
70票
『テスカトリポカ』
本の年間総選挙、準優勝作品は『テスカトリポカ』である。
とんでもねえ内容で読んだ者に衝撃を与える本作だけど、まさか直木賞を獲るなんて思ってなかったし、このランキングで2位なんて快挙を成し遂げるとは思わなんだ…。
だって、メキシコのマフィアが画期的な拷問を披露しながら古代アステカの幻想を語って、日本の怪力少年が大暴れする話って、まったく意味わからんでしょ。なんでこんなに売れてんだよ。
説明が難しくて、魅力を簡潔に伝えにくい本書だけど、とりあえず唯一無二の体験ができることだけは保証しよう。見たことのない世界に放り出されたい方にオススメである。
ちなみにだが、私は著者の前作である『Ank:a mirroring ape』の方が好みだし、分かりやすく楽しめると思っている。あと連続して装丁を担当している川名潤氏は天才。めちゃくちゃ好み。
1位
ではいよいよ1位の発表である。
得票数は…75票!!
2021年を締めくくる最強の一冊は…
これだ!!!!
『三体』!!!!
知ってた。
今年は完全に『三体』の年だったね。というか、もう1巻が出た時点で話題を掻っさらってたけど、まだ完結してなかったから保留されてただけで、完結したらもうそりゃ遠慮なく絶賛できるわな。
間違いなく、日本のみならず世界のSFの度肝を抜いただろうし、歴史に名を刻んだはず。しばらくはこれを超えるSFは出ないんじゃないか。それとも触発されて一気にSF黄金期が来るのか。分からないけど、とにかく影響の範囲は凄まじいだろう。
私はまだ1巻しか読んでいないのだが、桁違い(誇張じゃなく)のスケール感には心底圧倒されてしまった。こりゃ、みんなが騒ぐわけだと納得した。フィクションにおける人間の想像力を新たなフェーズに連れてった感があるよね。
その一方で、難解すぎるという声も挙がっていて、たしかに分かりやすいポップな作品ではないので、それも分かる。
なので、この骨太SFの場合、腰を据えてじっくりと立ち向かうのが正しい姿勢だろう。
食らいついたからこそ得られる弩級の体験である。
ということで、2021年に一番読書好きたちを魅了したのは、劉慈欣の『三体』でした。
以上。最後までお付き合いいただき感謝。
そして、膨大な集計&記事執筆に20時間がぐらい費やした私は偉い。
※もし楽しんでいただけたなら、この記事を拡散したり、コメントいただけると、私の摩耗しきったやる気が復活します。人助けだと思ってぜひ!
※こんな酔狂な記事を書き上げた私を褒めてあげたい方はこちら。