どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。いくらでも時間があるのになぜか毎日寝不足です。
突然だが皆さんは、
「人類が好きなものランキング」の1位をご存知だろうか。
それは…
ランキングである。(※ひろたつ調べ)
では2位は何か?
それは…
ミステリー小説である。(※ほんとは調べてません)
この事実(私の中では)を総合すると、
いま現在人類が最も求めているもの、それは…
ミステリー小説ランキング
なのである。
ということで開催しよう。
2022年版
最強のミステリー小説10選ランキング!!!!!
今回の記事の発端になったのはこちらのツイート。
【募集】読書アカウントの皆様へ
— ひろたつ@言葉が好きすぎる人 (@summer3919) 2022年5月3日
最強のミステリーランキングを作りたいので、ぜひあなたの思う#最強のミステリー小説10選
を教えてください。邦洋は問いません。
後日集計して、ランキングにまとめたいと思います。
期限はツイートの集まり具合によりますが5/14を締め切りの目安とします。
ツイッターに生息する「我こそは!」というミステリー好きの皆さんに、各自の「最強のミステリー小説10選」をツイートしてもらった。その数、なんと260名。
そしてすべてのツイートを私が手作業で集計。ゴリッゴリのアナログに作り上げたのが、今回紹介するランキングである。
実はまったく同じ企画を2年前にやっている。
ここ最近でまた新たな傑作が登場してきているので、最新版に更新したいと思った次第である。
※2020年のやつ
さてさて、御託はこれくらいにしてさっそくランキングに移ろうか。
世のミステリー好きたちよ。存分に愉しむがいい。
※情報量があまりにも膨大になってしまうため、6票以上入った作品までのランキングとなっております。
「全部知りたい」という、どうしようもない変態の方はこちらの記事へ。
では行ってみよう。
25位
6票獲得した25位は全部で14作品。
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『64』
『アヒルと鴨のコインロッカー』
『イニシエーション・ラブ』
『エジプト十字架の謎』
『スイス時計の謎』
『バスカヴィル家の犬』
『リバース』
『幻の女』
『人狼城の恐怖』
『青の炎』
『隻眼の少女』
『匣の中の失楽』
『シャーロック・ホームズシリーズ』
『硝子のハンマー』
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“あのトリック”を使われたものがいくつかランクインしていて、順当といったところか。どれとは絶対に言わないけど。
やっぱり「最強」という括りになると“あれ”を使った作品ってのは10選に入れがちだろう。私もいくつか入れたし。
集計してて思ったのが、強い作品を連発している作者の場合、票がバラけがちということ。
10選という縛りがあるので、ひとりの作家に何冊も入れるのはちょっと気が引けてしまう。その結果、好きな作家でも苦渋に苦渋を重ねた決断で1冊に絞っている方が非常に多い。
なのでクイーンの『エジプト十字架の謎』みたいな国名シリーズ最高傑作と呼び声高い作品が、25位に甘んじてしまったりする。
そういう見方をすると、このランキングもそこまで信用できるものではないのかもしれない、と言い出しっぺの私が言ってしまうのは本当にゴメン。
あとシャーロック・ホームズものでも単品じゃなくてシリーズでまとめられる方が多かった。思い入れの強いシャーロキアンの仕業だと思われる。
まあそんなに厳密やってもつまらないので、そのまま集計させていただいた。
24位
7票を獲得した24位は7作品。いやー、絞られてますなぁ。
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『異邦の騎士』
『仮面山荘殺人事件』
『鉄鼠の檻』
『氷菓』
『絡新婦の理』
『ジェゼベルの死』
『孤島の鬼』
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京極の百鬼夜行シリーズが同時に2作品ランクイン。やっぱりバラける。さっきのクイーンと同じ現象である。
それにしても京極の人気強さには驚きである。前回やった2020年のときはベスト10に唯一、2作品入った作家だったからね。
デビュー当時は作風的にも風貌的にも、異色のミステリー作家感が凄かったんだけど、いまとなってど真ん中のスタンダードになってしまったようである。
京極の話題ついでにだが、本人いわく「執筆作業が一番嫌い」だそうだ。
夢を壊すような発言だが、それだけ負荷の高い作業だから良い作品を生み出せるということだろう。
あとみんなに愛されまくってる『異邦の騎士』だが、前回が15位だったので大幅なランクダウンとなっている。
しかしこれはきっとタイミング的な問題であり、また来年やったら一気に上がったりする可能性も全然あると思う。あれはミステリー的評価と同時に、愛着の割合も高いだろうから。
23位
8票を獲得した23位は10作品。
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『GOTH』
『カラスの親指』
『空飛ぶ馬』
『向日葵の咲かない夏』
『斜め屋敷の犯罪』
『重力ピエロ』
『僧正殺人事件』
『連続殺人鬼カエル男』
『シャドウ』
『孤島パズル』
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これまた凄い。道尾秀介が3作品同時ランクイン。しかもけっこう毛色の違う3つで、選出された理由も三様だろう。このブログでは何度も書いてるけど道尾秀介は「誰にも読まれなくなっても小説は書き続けてる」と断言するぐらいの創作中毒者だ。ど真ん中の変態である。ご立派。
個人的には『斜め屋敷の犯罪』が意外&落胆。もっと上位かと思ってた。
“あれ系”のトリックとしては最高峰だと認識していたんだけど、23位とは…。タイトルがダサいからか…?
あと乙一ね。ペンネームを分ける前の乙一はまさに神がかってた。短編をひとつ読み終えてるたびに打ちのめされてたのは良い思い出だ。
乙一自身もそうだし、他の作家でも『GOTH』辺りの乙一クオリティとはもう一生出会えない気がする。
22位
9票を獲得した22位は7作品。凄いラインナップ。どれを手にしても無敵って感じ。
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『ロートレック荘事件』
『告白/湊かなえ』
『星降り山荘の殺人』
『迷路館の殺人』
『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』
『慟哭』
『薔薇の名前』
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ここ。ひとつ断りを入れておきたいのだが、『告白』と書かれていたものはすべて湊かなえのものだと勝手に判断させてもらった。
町田康の『告白』の可能性も少なからずあったが、あれはミステリーではないと私の感性が告げていたので、その可能性は排除させていただいた。
いやー、それにしても歴代本屋大賞でも屈指の性悪作品『告白』の根強い人気っぷりったら笑っちゃうよね。あんだけ邪悪なのに大賞って。ここ最近の本屋大賞の流れを見たら、絶対に大賞はありえんでしょ。
でもあのエンタメ性は群を抜いてるから、みんなが魅了されてしまうのもよく分かる。性格最悪なストーリーだけど、最高に楽しめちゃうからね。
21位
ここからかなり絞られます。
10票を獲得した21位はたったの2作品。
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まずひとつめはこちら。
『暗黒館の殺人』
綾辻行人「館シリーズ」の、最大ボリュームにしてラスボスとも称される『暗黒館の殺人』がランクイン。
非常に評価の高い作品なのだが、さすがに文庫で4冊はハードルが高すぎたか。ベスト20には一歩及ばず。
ちなみに私はノベルス版を新刊で買って20年ぐらい積んでます。本当にありがとうございます。
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21位の2作品目はこちら。
『夏と冬の奏鳴曲』
問題作&話題作しか書けない奇病に罹患しているマヤタンこと麻耶雄嵩。そんな彼の問題児っぷりが遺憾なく発揮された、間違いなく間違っている作品。
こんなん書いたマヤタンもどうかしてるし、熱狂的に支持してる方たちもどうかしてる。早く目を覚ませ。
…いや、もしかして目を覚ましていないのは私の方なのか…?
20位
さあ、ここからはベスト20である。
11票を獲得した20位は3作品がランクイン。
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ひとつめはこちら。
『時計館の殺人』
綾辻行人強し。ベスト20にも余裕で入ってくる。そして館シリーズはバケモノ揃い。
色んな趣向で人気を博している館シリーズだけど、『時計館』の仕掛けは…って書くのは野暮ですわな。うん、大満足だったね。
綾辻行人というと“あれ”が称賛されがちだけど、『時計館』もめちゃくちゃ人気なので未読の方はぜひ体験してもらいたい。
・・・
20位の2冊目はこちら。
『儚い羊たちの祝宴』
作者の米澤穂信が“最後の一撃”に特化して作り上げた至高の短編集である。
私がこれまで読んできたミステリ短編の中でも、五本の指に入るほどお気に入りの作品。特に好きなのは『玉野五十鈴の誉れ』なんだけど…ああ!語れん!!読め!!!
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20位のラストはこちら。
『アリス殺し』
満場一致の変態作家、小林泰三の代表作『アリス殺し』である。“メルヘン殺しシリーズ”の記念すべき1作目なんだけど、どんなシリーズだよ。ディズニーの大人気キャラを殺すなや。
小林泰三作品でしか絶対に許されない特殊設定の超異色ミステリ。「そんなのあり?!」をやるのが彼なんですよ。
本当に惜しい才能を亡くしました…。
19位
続いては12票を獲得した19位。5作品が同時ランクイン。
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まずひとつめ。
『オリエント急行の殺人』
ポワロの灰色の脳細胞よりも、女王クリスティの発想力に度肝抜かれる名作が見事ランクイン。発表されたのが1934年ってヤバすぎ。いつまで君臨し続けるつもりなのか。
古典ものが苦手な人も絶対に死ぬまでには読んでおいた方がいい傑作。古典&海外ものが不得手な私が言うんだから間違いない。
・・・
続いてはこちら。
『虚無への供物』
出やがったな。
四大奇書から唯一のランクイン。ちなみにみんなから色んな意味で愛されてる『ドグラ・マグラ』は29位。奇書なんてそれくらいでいいのよ。
私は未読なので具体的な感想は語れないのだが、奇書の中では一番読みやすいと評判なので、アクの強い読書体験をしたいという、どうしようもない方はぜひ。
・・・
19位のみっつめはこちら。
『七回死んだ男』
パズラーミステリーの現時点での最高峰にして、西澤保彦の代表作である。
ありえない状況が整理されていく快感は随一。
パズラーの面白さと設定のぶっ飛び具合が見事に融合していて、なかなか強烈な読書体験になること請け合い。西澤保彦は天パーだけど優秀で偉い。
・・・
次はこちら。
『生ける屍の死』
いやー、特殊設定が続きますな。
こちらもミステリーの新たな地平を切り開いてしまった傑作である。これがあるからさきほどの『七回死んだ男』とか『屍人荘の殺人』みたいなのが生まれたわけだ。発想が次の発想を生み出すの恒例。
山口雅也といえば『ミステリーズ』とかもめちゃくちゃ野心的なのでオススメ。そんなのありかよって言ってほしい。
・・・
第19位のラストを飾るのはこちら。
『白夜行』
東野圭吾が全方位型作家であることを証明したノワールミステリーの傑作である。
酩酊にも例えられる独特の読み味は、多くの中毒者を生み出した。有名TikTokerの紹介で再注目されていて、常に誰かしらが話題にしている印象。
それにしても2000年付近の東野圭吾は無敵だったなぁ。同業者はどういう気持ちで彼の仕事っぷりを見ていたのだろうか。
ちなみに『白夜行』の解説はノワールの名手である馳星周。東野圭吾がいきなり傑作ノワールを書いてきたから、愚痴みたいな解説文になってるのがめっちゃ好き。
18位
13票を獲得した18位は2作品がランクイン。
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まずひとつめ。
『火車』
あの筆巧者、宮部みゆきをして「書きながら限界を迎えていた。作品にエネルギーを持って行かれていた」と言わしめるほど、暗く没頭力の強い作品。
ミステリー的仕掛けとかではなく、じっくりと引きずり込まれるような邪悪な読み心地で魅了される作品である。
個人的に納得行かないのが「かしゃ」で一発変換できないこと。なんでじゃ。
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18位の2冊目はこちら。
『満願』
「トリック最優先で、それに最適な物語を当てはめていった」とは米澤穂信本人の談だが、そんなのまったく信じられないほど見事なリーダビリティである。
色んなミステリーランキングを荒らしまくった名作だけど、どちらかというと私は物語性の強さの方が評価に値すると思っている。
最悪な話が多くて笑ってしまった。好き。
17位
さあどんどん行こう。
14票を獲得した17位は2作品がランクインである。
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まずひとつめ。
『模倣犯』
代表作が多すぎる宮部みゆきだが、さきほどの『火車』とこちらの『模倣犯』は飛び抜けて人気が高い。映像の方はファンの方には悪いが、ふざけんなという出来だったけどな。(調べてみたら、宮部みゆきご本人も相当お怒りだったようで…)
人気作だけど、最初っから地獄が展開されるので、初読の際はご覚悟を。
・・・
17位のふたつめはこちら。
『Yの悲劇』
クイーンの超傑作がランクイン!!
ずっと人気なんだけど、不思議なことに海外ではそこまで高評価を得られていなくて、ベストミステリーランキング100とかにも入らないそうだ。
もしかして日本って、ミステリーの文化がガラパゴス化してる…?
考えてみれば、マヤタンが高評価されて連ドラにまでなってる世界線だからなぁ…。
16位
15票を獲得した16位はこちら!!
『首無しが如く祟るもの』
デビュー当時からホラーとミステリーの高次元での融合に挑戦していた三津田信三。
そんな彼の最高傑作がこちら。
雰囲気たっぷりの舞台設定に、両手で抱えきれないほどの大量の謎。畳み掛ける解決編と盛りだくさんな内容で、こりゃ人気も出るわ。
一応シリーズものなので、未読の方は先に『厭魅の如き憑くもの』か『凶鳥の如き忌むもの』を読んでおくとより楽しめるので推奨しておく。
15位
16票を獲得した15位はこちら。
『13階段』
高野和明といえばエンタメ小説の傑作『ジェノサイド』が有名だが、ミステリー縛りとなると軍配は『13階段』に上がるようである。
数ある乱歩賞の中でも最高傑作とも評価されており、重厚なストーリーに緻密に組み立てられたプロットは出色の出来。
高野和明は作風的にポップなのもエグいのもいけるのだが、これはど直球でエグいやつなので、決して気を抜かぬよう。これは映画の方も凄かったなぁ…。
14位
17票を獲得した14位はこちら。
『魍魎の匣』
このランキングに何回登場すれば気が済むんでしょう、京極堂。
このシリーズの強みとして、シリーズのどの作品も満遍なく人気があって、さらに分母も大量なので、全部ランクインしてるんだよね。さすが京極夏彦…伊達に皮手袋してないわ。あんなのどこで売ってんだよ。
ちなみに私も百鬼夜行シリーズでは『魍魎の匣』が一番好きである。バカミスだと思ってるけど。
13位
さあさあ、残りもわずかになってきた。皆さん、盛り上がっているだろうか。私は早くこの記事を書き終わりたくて仕方ない。マジで作業量が膨大すぎる。
では18票を獲得した13位は…こちら!!
『姑獲鳥の夏』!!
また京極かよ!!
これのせいでメフィスト賞が創設されてしまったという、賞レースまで生み出す怪作である。
奇々怪々な世界観と「憑き物落とし」と称する京極堂の気持ち良すぎる解決編。シリーズ一作目なのでここから入る方が多いから、それだけ衝撃を受ける人も多いのであろう。
この展開はマジで他の作品では絶対にできない類のもの。いやー、やっぱりバカミスなような…。
12位
じゃんじゃん行くぜ。
次は19票を獲得した12位!!
↓
『硝子の塔の殺人』
2022年本屋大賞にもノミネートされ、島田荘司をして「本格ミステリを終わらせた」とまで言わしめた知念実希人の『硝子の塔の殺人』である。
知念実希人は現役の医師なんだけど、このプロットを患者が来るまでの合間に考えていて、よく途中経過をツイッターで報告していた。殺人方法を考えながら診察って、サイコパスすぎんだろ。
最近は反ワクチンとの戦いで忙しく、ときには殺害予告じみたことまでされているようだけど、医師に執筆活動にとその活躍はとどまることを知らない。
個人的に彼の作品はあまりハマっていないのだけれど、こればっかりは島田荘司・綾辻行人の二大ネームが推しているので、仕方ないから読もうと思っている。
11位
惜しくもベスト10入りを逃してしまった11位は20票を獲得。
同時に3作品がランクインである。
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まずひとつめ。
『アクロイド殺し』
またしてもクリスティ。世界のミステリー史に燦然と輝いてますなぁ。
『アクロイド殺し』は…そうだなぁ…うーん…。
今回の記事の趣旨が“最強のミステリー小説”だから、たしかに『アクロイド殺し』は最強と呼ばれるに相応しいだろう。理由は語れないけど。
・・・
続いてはこちら。
『獄門島』
凄まじい装丁。時代が違うのもあるだろうけど、今じゃここまで攻撃的なのは無理でしょうね。フェミ的にも。倫理的にも。
でも収集しちゃうぐらい熱狂的なファンがいることからも分かる通り、横溝正史といえばこの怪しくて禍々しい雰囲気の装丁が相応しいわけで。
・・・
11位のラストはこちら。
『屍人荘の殺人』
いま最も偏執的なミステリー作家、今村昌弘のデビュー作である。
衝撃的な設定で度肝を抜かれたのは記憶に新しいだろう。
私がこの作品を読んだときに思ったのは「やりすぎだろ…」というもの。
相当に時間を費やして構築したのが伺える一方で、こんな詰め込みまくった作品だと「本屋大賞3位」という看板に誘われて勘違いした人が被弾するのではないかと危惧していた。
結果、私の予想通り無防備な状態で手に取ったミステリー耐性の無い方は「…は?」という困惑に満たされ、どうしようもないミステリーマニアたちは手を叩いて大喜びしていた。
10位
さあ遂にベスト10の発表である。
これまでの作品も十分最強だけど、ここからは正真正銘の民主主義によって決められた最強作品たちである。
では行ってみよう。
260名のミステリー好きが選ぶ、最強中の最強のミステリー小説とは??!!
まずは第10位!!!
23票を獲得したのは…これだ!!
有栖川有栖!!
『双頭の悪魔』!!!
学生アリスシリーズの中でも屈指の人気を誇る名作が堂々の第10位にランクイン。
閉ざされた世界に、入り組んだ人間模様。山積する謎・謎・謎。
クローズドサークルの限界に挑戦したような内容で、しかも「読者への挑戦状」が3回も挟まれるという好戦的な作り。作者の有栖川有栖がどんだけ調子に乗っていて、さらには実力がそれに伴っていたかがよく分かる。
9位
続いては、26票を獲得した第9位!!!
『medium 霊媒探偵城塚翡翠』!!!!
2020年の本屋大賞で5位に入り、衝撃をもって迎えられた『medium』である。
詳細を語れないのが残念でならないが、読んで見る価値はある…とだけ言っておこう。
人気っぷりを見るに、新たなスタンダードとなりそうなニオイがプンプンする。
私の観測範囲だとハマる人とそうでない人の割合は8:2といったところか。
なのでもしこれから読む方は、ご自身が2の方になっても泣かないように。ちなみに私は2だった。泣きたい。
8位
さあ泣いてる場合じゃねーぜ!!
お次は27票を獲得した…第8位!!!
こいつだっ!!
『葉桜の季節に君を想うということ』!!!!
稀代のトリックメイカー、歌野晶午の最高傑作が堂々のランクイン。
これはもう言わずもがなでしょう。というか何も言えんよ。
デビュー作の『長い家の殺人』のトリックを敬愛する島田荘司に瞬殺で看破されちゃって、飲み屋で泣き崩れていた頃から考えると、とんでもない成長を遂げたもんだ。
美しい著者名と、詩的なタイトルに期待してページを捲ると、開始一行目からド下ネタをぶっ込んでくるのはご愛嬌。ぜひとも最後までお付き合いいただきたい。
まあ多少の瑕疵はね…ミステリー小説には憑き物…じゃなくて付き物ですから。
7位
どんどん行こうぜ!!
31票を獲得した第7位は…
これだ!!!!
『ハサミ男』
自らの犯行手口を真似されたシリアルキラー“ハサミ男”が、模倣犯の正体を暴こうとする。
シリアルキラーVSシリアルキラーという、あらすじだけでマニアにとっては垂涎ものの作品である。こうやって書いてるだけでも興奮してくるぜ。
著者の殊能将之の膨大な知識と、たしかな知性、そして変態性によって構築されたこの作品は多くの中毒者を生み出した。
かくいう私もその一人で、普段は再読なんてしないのだがこの作品だけは、なぜかもう一度味わいたくなる欲求が出てきて、折を見ては読み返している。
もしかしたら作者の殊能将之が亡くなっていて、もう永遠に新作が読めないことも関係しているのかもしれない。
硬質で冷たく、それでいて吹き出した血液で暖を取るような、背徳的な読み味。
間違いなく引きずり込まれてしまう怪作である。
6位
それそれーぃ!!
32票を獲得した第6位じゃい!!!!
これじゃああああ!!!
『そして誰もいなくなった』!!!!
間違いなく世界に存在するミステリー小説の最高峰である。
最高すぎて発表から80年以上経った今でも、ファンが全然いなくならないという困った作品である。
これが鎮座しているせいで、どんだけ優秀な新作たちが現れても、永遠に後塵を拝してる感が拭えない。先にやったもん勝ちというミステリー小説の宿命か、それともクリスティの頭脳が天才すぎたか。
海外ものが苦手な私だけど、これにはさすがにヤラれたなぁ。「え?え?どうすんのこれ?いやいやいや…」って。
どこに連れて行かれるのか、あれほど分からなくなったことは、後にも先にも『そし誰』だけである。完敗。
5位
残すところ、あと5作品である。泣いても笑ってもこれで終わりだ。
でもきっとミステリー好きのみんなは大体メンツに予想がついてることだろう。あとは、どれが何位かだけ予想してくれればいいよ。
さあでは行こうか。
第5位!!!
34票を獲得したのは…
これだっ!!!!
『容疑者Xの献身』!!!!
日本の出版業界を真の意味で支えている東野圭吾の、待望の直木賞受賞作が見事第5位にランクイン。前回は7位だったので、まだじわじわ評価を伸ばしているのか?
天才物理学者の湯川と、同じく天才の数学者である石神の対決が最高に知的に熱い傑作である。
切ない人間ドラマに、冴えわたる論理、仕掛けられたトリック。立ちに立った魅力的なキャラたち。
小説界の巨人である東野圭吾による、最高の仕事を堪能せよ。
…と書いている私には全然ハマらなかったことを正直に報告しておく。
うん、なんかきっと具合が悪かったのかもしれない。きっとそうだ。東野圭吾はまったく悪くない。
4位
ラスト4!!
35票を獲得した第4位は…
かまいたちじゃねえ!!
この変態だ!!!!!
『殺戮にいたる病』!!!!
おでましですよ。殺人鬼体験型ミステリーの。
憑依系作家として辣腕を振るう我孫子武丸。そんな彼の筆が我々を連れて行くのは禁断に満ちた“殺戮”の世界。
ページを開けばそこはサイコ・キラー蒲生稔の目線。殺して殺しまくって弄んで蹂躙するという、グロ100%絞り出し最悪のミニッツメイド小説である。殺人鬼になってみたい方には腸…じゃなくて超オススメだ。
ちなみに、Amazonの説明文はマジでクソだから絶対に読まないでほしい。あれ書いた担当者、センスなさすぎ。可愛い動物とかに嫌われろ。
3位
遂にベスト3である。ここまで来ると、どれが1位でも変わらんかもしれない…いや、そんなことないか。1位がぶっちぎりだし…。
では38票を獲得した第3位の発表である。
お手洗いは済ませたか?
当たり前だろっ!!!!!
『占星術殺人事件』!!!!!
我らが島田御大が生み出した、人類最高のトリックでお馴染み『占星術殺人事件』である。
もしミステリーの女神がいるとするならば、このトリックには思わずニッコリだろう。気に入られすぎてあっちの世界に連れて行かれてしまうかもしれない。
島田荘司は普段目にしたものをベースにミステリーのネタを生み出すそうなのだが、これはその手法が最高にハマった作品でもあると思う。
私も大好きで生涯ベストに入るレベルの作品なんだけど、正直そんなに面白い作品ではない。なんせ島田御大のデビュー作である。アイデアは燦然と輝きを放っているが、筆力がそこに追いついていない。御手洗潔も調子悪そうだし…。
ミステリー好きがよく言う「もし記憶を消せるとしたらどの作品?」というやつだが、私はぶっちぎりで『占星術殺人事件』である。
あの興奮を味わえたことは、この世に生を受けた甲斐があったと思えるぐらいだ。
信じられないタイミングでぶっ込まれる読者への挑戦状といい、悪魔的発想のトリックといい、間違いなく邦ミステリーの最高峰である。
2位
島田御大の傑作を抜き去った第2位は…一気に得票数を伸ばして、49票を獲得。
最強のミステリー小説…ではなく、
最強のミステリィ小説10選ランキングの第2位は…
何になるの?
何になりたいのよ
なにになっちゃうの?
これしかねえだろ!!!!!!
『すべてがFになる』!!!!
正確には“ミステリィ”なのだが、圧倒的な人気を誇っていたので許そう。私も森博嗣の大ファンだし。
口を開けば二言目には「小説なんて書きたくない」と公言して憚らない森博嗣だが、生み出すものは極上。雲上人なみの知性を持つ彼にとって駄文は、我々凡人にとっては宝石である。輝く知性に彩られた描写や会話劇にノックアウトされる人が続出。
そんな天才森博嗣が生み出した天才キャラ、真賀田四季。彼の著作でも屈指を誇る人気キャラである。
すべてを超越した圧倒的な存在感には、フィクションの存在なのになぜかひれ伏したくなる力がある。四季博士どうか私をお踏みください!!
ミステリーとしての評価もありつつ、森博嗣の特異性にヤラれてる部分が大きいのではと個人的には思っている。
1位
はい、『十角館の殺人』です。以上。
もうね。みんな分かってたよね。
得票数は惜しくも2位の『すべF』のダブルスコアには届かなかったけど、ぶっちぎりの77票。前回も圧倒的1位だったし、次やるときはもう殿堂入りとします。ランキングにならん。
最近の綾辻行人はモルカーに魂を売ってしまったみたいだけど、元は最強のミステリー作家だったんですよ、皆さん。
『占星術殺人事件』のトリックも神がかってると思ったけど、『十角館』はちょっと超えちゃってるよね。人間の発想の限界を。ミステリーの女神もさすがにこれには引いてるよ。
凄すぎるミステリーにありがちだけど、なんも語れないタイプの作品なので、未読の方は四の五の言わずにさっさと読むように。人間なんていつ死ぬか分かんないだから。未読のままあっちの世界に行った日には、ミステリーの女神に京極の本でぶん殴られるよ?
ということで、2022年版#最強のミステリー小説10選ランキングの第1位は、予想通り『十角館の殺人』でした。
順当すぎてガッカリした方、ごめんなさい。文句はプイプイ狂いの御本人におっしゃってください。
以上!!!!
長い記事に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!!!
おまけ
長大な記事に最後までお付き合い頂いた方に、おまけとして集計時に見つけた“誤タイトル集”を載せておく。
微妙な間違いだけど、小説好きであれば気付くはず。
まずはこちら。
↓
『聞かせて頂き光栄です』
めっちゃ謙虚。
続いてはこちら。
↓
『惨殺にいたる病』
やられる側じゃん。
あとふたつ。
↓
『悪魔の子守唄』
寝かしつけてどうする。
ラスト。これが一番好き。
↓
『満顔』
やっぱり好き。
おわりに
膨大な集計作業に、各作品の紹介文にと、相変わらず難産の記事であった。頑張った私を褒めてほしい。
この1週間は日本で一番ミステリー小説について考えていた人間だったと思う。
ぜひTwitterでコメントとか、拡散していただけると、生きる気力が湧いてくるので、人道活動の一環だと思ってよろしくお願いしたい。
ひろたつをもっと応援したい方はこちら。
以上。疲労困憊です。