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【月イチまとめ】2022年5月に見つけた面白い本

 

どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。ネット以外に友達いません。

 

さて毎月恒例の月イチまとめ記事である。

 

最近Twitterで見かけた意見で非常に気になるものがあった。

 

 

「好きな作品を否定するレビューを見ると、自分が否定されたような気分になる」

「“ゴミみたいな作品”とか言われると、そんな“ゴミ”で喜んでる人間だと思われてるような気持ち」

「だから否定的なレビューは必要ない。胸のうちにしまっておけばいい」

 

 

ふむ。

 

そう思う気持ちは分からんでもないし、どう感じようがどんな感情を引き出そうが、その人それぞれの自由である。思う存分人生を堪能していただきたい。

 

フェミニスト論争にも繋がるのだが、

「自分が不快だと思うものは存在してほしくない」

「誰かを傷つける可能性のあるものは無くすべきだ」

という価値観がある。

誰だって傷つきたくないし、誰かを積極的に不幸にしたいとは思わないだろう。まあ憎い相手だったら別だろうけど。

しかしながら、基本的には世界平和をみんな望んでいる。だからこそ、少しでも棘があるものは積極的に排除していく。そうやって世界がどんどん丸くなって、トゥルントゥルンのほわんほわんで、誰も傷つかない未来が築かれるってか。

 

このブログでは色んな作品について、称賛もすれば批判もしている。ボロクソに書いている。これは単純に「私が吐き出したいから」という強力すぎる理由からだ。

なので、どうしたって私は「批判レビュー肯定派」にならざるを得ない。だからここからはポジショントークだと思ってもらって構わない。

 

 

まず大前提としてだが、作品の価値というのは受け手が決めるものだ。

これは絶対である。作品として世界に放たれた瞬間、受け手の数だけ評価の数がある。そうした多数の解釈の中で、作品は深みや価値を増していく。もちろん逆もあるだろう。

受け手がどんな価値を作品に与えようと、それは自由であるべきだ。誰かを傷つけるからとか、他人の存在は気にする必要はない。作品と自分。その間で生まれたもの、それがすべてだ。

 

私もいっぱしの表現者なので分かるが、創作する人間というのはここの覚悟がある。

というか覚悟なんていう大それたものじゃなくて、自分が作品を生み出し、世に放った時点で「役目は終えた」と思うのだ。あとは作者のコントロールできない領域の話である。なんならどうでもいいとさえ思っているかもしれない。

 

もちろん別の側面もある。

否定されたり、ウケなかったしたとき、作者はどうするか。

 

考えるのだ。

 

何がダメだったのか。ダメじゃなかったとしても、もっと良くするためにはどうしたらいいか?

 

称賛の声と同様に、批判の声も次なる創作の力になるのだ。

 

例えば売れていない芸人がいたとしよう。

劇場でネタをやってウケなければ、どうやったらウケるようになるか考えるだろう。

それが観客が気を遣って笑ってあげたらどうなるだろう。ファンの人間が「スベってるの見ると、ファンである私も否定されているような気分になるから、笑ってあげて」と言ったらどうだろう。

その芸人はきっと、つまらないまま芸歴を重ねていくことだろう。

 

このように、表現に対する素直な反応というのは、ある種の相互作用をもたらすのだ。

別に「創作者は批判の声を全部聞け!」なんてことは思わない。創作者それぞれが好きにすべきだ。

 

称賛だけで満たされた世界は誰も傷つけないかもしれない。

でもきっとそれは誰も己の過ちに気付けない世界だ。

 

 

ということで、愚痴が長くなってしまった。申し訳ない。本題に移ろう。

それでは2022年5月に見つけた面白い本たちである。

 

行ってみよう。

 

 

海馬の尻尾

 

これは“黒”荻原浩ですわ。

 

脳の異常により良心を持たない主人公。普段のハートウォーミングな荻原作品とは一線を画すハードな物語で、心に爪を立てられるよう。あえてなんだろうけど、これは痛かった…。

科学治療によって主人公が変わっていくんだけど、分かりやすくではなく自然と徐々に変化していく。ページ数をかけてじっくりと描き出していく様は、さすがの筆力。

良心と暴力を追求した先に見えてくるものが知りたくて、作品に飲み込まれるように読んでしまった。

 

 

「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認

 

ポップな題に気を抜いてたけど、こんなに重い内容だったとは…。

衰退する日本の現状なのか、日本人の気質によるものなのか、とにかく転がり落ちてる感が凄い。

「ぴえん」この三文字に任される役割は大きすぎ、救いの足りなさを実感。

 

これはきっとすがりつくための言葉だ。

 

 

同時通訳者のここだけの話

 

知らない業界のあるあるって、最高に興味深い。

だって、気になりすぎるエピソードがわんさか。

 

・通訳を担当していた政治家が突然、隣の政治家に小声で「中国人はバカだから」と言い出したら?

・相手が早口で聞き取れなかったら?

・オリンピックでアスリートが勘違いしてインタビューに答えていたら?勝手に訂正して通訳すべき?

・法廷通訳で「けいさつ」と「けんさつ」が聞き分けられない!

 

などなど、長年同時通訳者として一線で戦ってきた著者だからこそ味わってきた、ツラくも面白すぎるエピソードが盛りだくさん。

 

 

描いて描いて描きまくる

 

こういう「作者本人が解説してくれる」っていうやつ、大好物。

 

作品を受け取るだけの怠惰な読者では、なかなか気付けない工夫とか狙い、表現方法の発明など、向こう側の目線の話がめちゃくちゃ面白い。

浦沢直樹はこれまで一度も「打ち切り」というのを経験したことがないそうだ。それもそのはず。死ぬほど考えて表現しているし、常に新しいものを生み出そうと脳みそを絞っているから。

「浦沢は風呂敷が畳めない」なんて批判をする方がいるし、私も思ってたけど、これを読んで考えが完全に覆りました。浦沢直樹、偉大です。

 

いやー、漫画を読むときの解像度が上がっちゃうよ、これ。面白すぎ。

 

 

デザインの手本

 

なんちゅー強気なタイトル。

まあそれもそうな話で、装丁の仕事に30年を費やした大家が自らの仕事をまとめた一冊である。

 

本。つまり言葉たちの集積を“ビジュアル”というある種、逃れようのないものに具現化する仕事をしてきた男である。しかも超ハイクオリティ。もし興味がある方は「鈴木成一デザイン室」で検索してみてほしい。知ってる&「好き」と思った装丁だらけのはずだから。

装丁を決める上でどんな点に注意し、どんな趣向を凝らしてきたか。その理由などを、文字・イラスト・写真・素材・特殊加工にカテゴリー分けして解説しまくった一冊。本好きなら絶対に楽しめるはず。

 

 

以上。来月もお楽しみに。 

 

 

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