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【祝本屋大賞20周年】勝手にオールタイムベストを作ってみた

 

 

どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。日常会話でふと「20年前にさ…」と使ったときに震え上がりました。老いの速度よ。

 

さて、今回も馬鹿の一つ覚えのTwitter集計企画である。

売れない表現者の常で、一発当てたらそれにずっとしがみついているのである。おっと、高橋ジョージの悪口はそこまでだ。

 

手垢が付きまくった集計企画であるが、それでも今回は特別だと言わせてほしい。

というのも、本好きたちの祭典にフューチャーしたものだからである。

 

その祭典とは…

 

 

 

 

本屋大賞である。

 

 

本屋大賞とは…

 

全国の書店員さんの投票によって、その年にいちばん売りたい本を決める催し。

プロの作家や書評家ではなく、“書店員さん”という読者に近しい存在が決めているからこそ、広く大衆に愛される作品を揃えた賞レースとなっている。

ひろたつがこの世で一番信用している賞レースである

 

 

みんな大好き本屋大賞であるが、このたび20周年を迎えた。(2023年6月現在)

いやー、めでたい。第1回からずっと見てきた私としても、非常に感慨深いものがあるし、思い出の作品たちがまざまざと蘇ってくる。改めて数多くの出会いをありがとうございます。

 

さて、本屋大賞20周年ということは、これまで過去にノミネートされた作品が200あるということだ。

選書の際に非常に頼りになる本屋大賞だが、さすがに200作品ともなると初心者の方はどれから読めばいいのか分からなくなってしまうことだろう。

 

そこで私は欲深いことを思いついた

 

「みんなから本屋大賞のベスト10冊を教えてもらって集計したら、20年分のオールタイムベストが作れんじゃね?」

 

思いついたら動かずにはいらないのが私である。

しなしながら、いくらなんでも本屋大賞を利用し過ぎな気もした。だが、相談した友人たちから熱い希望が殺到したのでGOさせてもらった。

だってさ、これでランキングが作って、大賞じゃない思わぬ作品が上位に食い込んできたら、めっちゃ楽しいでしょ。私自身が誰よりも興味津々だったわけだ。

 

ということで、Twitterの読書アカウントの皆様に #私の本屋大賞ベスト約10冊 のタグでツイートをしていただいた。その数、実に774名。あざっす。

その774名分のツイートを集計してランキングにまとめたのが今回の記事である。さてさて、どんな顔ぶれになるか楽しみでしょ?ね?ね?

 

で、このあと発表に移るのだが、一点だけ注意喚起しておきたい。

いつも私がランキングを作ったときは、詳細な情報まで欲しがる変態方のために極力下位まで紹介しているのだが、今回は20位からとしている

というのも、あんまり下位だと作品のマイナスプロモーションになってしまう恐れがあるからだ。

せっかくみんなが大好きな本屋大賞を利用させてもらうのだから、少しでも傷がつかないようにお返ししたいと考えた次第だ。

 

 

それでは行ってみよう。

 

 

 

20位

 

ランキングの端緒を開くのはこちらの作品である。

 

84票を獲得。

 

 

今村昌弘

 

 

『屍人荘の殺人』

 

 

 

ここからランキングが始めるので、まるで人気が無いかのように感じてしまうが、並みいる名作200作品の中での20位である。しかもこんなマニアックにもほどがある作品が、である。

私は発売直後ぐらいに読んだんだけど、まあ食らった。そして笑った。やりすぎでしょって。

ミステリーなのであんまり感想を具体的に書くとネタバレになってしまうので控えるけど、「ミステリ偏執狂が作り出した変態建築物」って感じ。よくぞここまで、と拍手を送りたくなる。

ちなみにミステリー慣れしていない私の後輩が、本屋大賞3位という実績を信じて読んで呆気にとられていた。どういう意味でとかは明記しない。察して。

 

って、いま調べてみたらもうシリーズ通算で120万部超えなのか。すげえ。変態の愛がなせる業。

 

 

(※2018年本屋大賞第3位)

 

 

19位

 

続いては19位。

 

 

85票獲得。

 

 

 

村田沙耶香

 

 

『コンビニ人間』

 

 

 

おおー、これはすごい。

何がすごいって、『コンビニ人間』は芥川受賞作なこと。

本屋大賞は賞の特性上なのか、ノミネートされた時点で他の賞を獲っていると、順位がそこまでふるわない傾向がある。実際、『コンビニ人間』は2017年にノミネートされているが9位である。

それなのに20年のオールタイムベストとなると途端にここまで上に食い込んでくるのである。今回のランキングでは上位20位を紹介しているので、単純に考えるならばほぼすべてが大賞受賞作で埋め尽くされておかしくないわけだ。

 

ノミネートされたときの時代の空気感や、他の作品との兼ね合い。または、時間が経ってからの作品の効き具合(読んでからじっくりと沁みてくるパターンとかあるでしょ?)などが影響しているのだろう。

 

そう意味で考えると、今回の企画で選ばれた作品たちは、本来の本屋大賞とはかなり趣向の違う選ばれ方をしているのかもしれない。

 

 

(※2017年本屋大賞9位)

 

 

18位

 

さあどんどん行こう。

 

続いては87票を獲得した、第18位。

 

 

相沢沙呼。

 

 

『medium霊媒探偵城塚翡翠』

 

 

 

テレビ局と揉めることでお馴染み、相沢沙呼氏の登場である。(作家が作品の筋にこだわるのは当然だと思う。念のため)

 

発売されるなり、目を引く装丁と相まって爆売れし、ドラマ化まで一気に駆け上がったミステリーの新星である。

こちらもミステリー作品がゆえに多くは語れないのだが、未体験の方はネタバレを食らう前にさっさと禊を済ませておいた方がいいだろう

 

ちなみに私が『medium』で一番最高だったのは、ドラマは家族みんなで観ていたときである。

子供たちが驚愕しているのを見るのは、自分がミステリーの一撃を食らうのと同じくらい痛快であった。

あの経験だけでも作者の相沢沙呼氏には感謝である。強烈な作品を生み出してくれてありがとう。まあ私自身はそこまで好きな作品じゃないんだけどな!!

 

 

(※2020年本屋大賞第6位)

 

 

17位

 

続いては…第17位!

 

88票を獲得。こちらは2作品が同時ランクインである。

 

まずはひとつめ。

 

 

朝井リョウ。

 

 

 

『正欲』

 

 

 

いよっ!待ってました!

 

これは入るでしょ。入れるべきでしょ。

さっきの『コンビニ人間』もそうだけど、こういう大賞受賞作以外でも強烈なインパクトを残した作品にスポットが当たってほしいという希望もあって、今回の企画を立ち上げている。

『正欲』に関しては私が大好き…と簡単に評価できるような飲み込みやすい作品ではないのだが、とにかく心に強烈に物語を刻みつけられた。完全にノックアウトされた。比喩ではない。本当に読後、倒れ込んでしばらく動けなくなってしまったのだ。

Twitterで他の方の感想を見ても、同じような現象が散見されるので、どれだけこの作品の持つ力が凄まじいのかよく分かった。これはヤラれるよね。

 

面白いとかそういうレベルを超えた、「世界の見え方が変わる」という読書の大きな醍醐味を体験できる名作である。

これを読むまで朝井リョウのこと、ただのアホエッセイストだと思っていたので、本当に反省した。でも今でもアホエッセイストだとは思っている。

 

 

(※2022年本屋大賞第4位)

 

 

~~~~

 

17位のふたつめは、こちら!

 

 

瀬尾まいこ。

 

 

『そして、バトンは渡された』

 

 

 

遂に出ました。大賞受賞作。

 

私はかなり小説を幅広く読むタイプだと思うのだが、あまり作家買いというのをしない。

そんなに推し作家を持ちすぎても遅読なので追いつけないという問題もあるのだが、ガッチリと相性が合う作家がそんなに見つからないのである。

とりわけ女性作家は壊滅的で、どうにもハマりきらないことが多い。片手で余るレベルでしかハマっている作家がいない。

そんな中で私の数少ないハマっている女性作家が瀬尾まいこである

 

彼女の作品の大きな特徴として、内なる静かだけど心の大事な動きを的確に捉えることが挙げられる。

読んでいて「うわっ、それ分かる!」と悶える瞬間がめちゃくちゃあるのだ。誰もが言葉にできないけれど、共感できること。その描写が抜群に上手いのだ。

 

で、その手腕が最高に発揮されているのが本作だろう。なにせ「親が7回も変わった子供の話」である。この状況に共感できる人が、全世界にどれだけいるだろうか。マイナーにもほどがある。いっそファンタジーである。

そんな無茶な設定なのに、丁寧な描写とクリティカルな文章で、読者を物語世界に惹き込んでしまうのである。しかも沁みるように感動してしまう。

 

…とついつい熱く語ってしまったが、文句なしの大賞受賞作である。オールタイムベストに食い込んでくるのも当然だろう。そして票を入れてくださった方々、ありがとうございます。これだけ語っておいて、私は10選に入れてなかったりする。どうか石をお投げください。

 

(自分でタグを作っておいてなんだけど、本屋大賞ノミネート作品200から10冊しか選べないのは厳しすぎる)

 

 

(※2019年本屋大賞受賞作)

 

 

16位

 

それでは第16位の発表である。

 

89票獲得。

 

 

米澤穂信。

 

 

『満願』

 

 

 

いいよー、盛り上がってまいりました。またしても大賞以外の作品がランクイン。

みんなもこういうのが見たかったんでしょ?でしょ?

 

それにしたって、こんな黒い作品が入るとはね。並みいる感動作や大長編を押しのけて、邪悪な短編集がランクインだからね。小説好きの懐の深さが垣間見えるというか、フェチの歪さが漏れ出てるというか。

以前書いた記事で、神がかってる短編集をランキングにしたときも米澤穂信は抜群の強さを発揮していて、そんときに確か3位だったか?に入っていたのが『満願』である。(ちなみに圧倒的な1位を獲得したのも同じく米澤穂信の『儚い羊たちの祝宴』。驚くことに本屋大賞にはノミネートされていない)

短いページ数でしっかり読者を翻弄して、さらにはしっかり暗澹たる気持ちにさせてくれる、上質で悪意に満ちたミステリー短編集である。

 

 

(※2015年本屋大賞第7位)

 

 

15位

 

思いのほか波乱のランキングで、楽しんでくれている人も多いんじゃないだろうか。

それでは第15位の発表である。

 

90票獲得。

 

 

凪良ゆう。

 

 

『汝、星のごとく』

 

 

凪良ゆうの凄さは『流浪の月』を読んだときに骨の髄まで味わったけど、まさかわずか3年で本屋大賞を複数回受賞するなんて…。今まで恩田陸しか成し遂げていなかった偉業で、あの恩田陸でさえ12年もかかっている。バケモンすぎる。

私が知らなかっただけできっと、最初の本屋大賞を獲るまでも評価されてきたと思うけど、ここへ来てさらに勢いを増してしまった感がある。圧倒的皇帝感というか。

だってTwitterの方でも書いたけど、『汝、星のごとく』が書店で並んでたときの強者っぷりは凄かったよ。完全に抜きん出た存在感を放ってたし、「あとは本屋大賞の帯を巻くだけです」って顔してたもん。装丁が。

 

で肝心な中身なんだけど、そりゃ本屋大賞を獲ってるんだから文句なしでしょう。

なんなら「最近獲ったばかりなんだから、今回は他の作家さんに…」という配慮が働いておかしくないのに、それでも複数回受賞だからね。作品の握力が強さが伺える。どんだけ読んだ人の心を握り潰してたのかって。

 

簡単な感想を許さない物語だけど、確実に胸がいっぱいになるはず。

満たされよう。

 

 

(※2023年本屋大賞受賞作)

 

 

14位

 

名作が次々出てくるから、なんか凄い贅沢してる気分。

 

ではお次は93票を獲得した、第14位である。

 

 

三浦しをん。

 

 

 

『風が強く吹いている』

 

 

 

ツイートを集計してたときに、皆さんのコメントでたまに見かけたのが「作家さん被りを避けました」というもの。

作品への愛もそうだけど、ひとりでも多くの作家さんを選出したいという本好きのいじらしさが伺える考えだ。

三浦しをんの場合、そりゃあもう何度も本屋大賞にノミネートされているので、どうしても票がバラける。人気作家ほどランキングに有利かといえば、一概にはそうも言えなさそうだ。

で、具体的には明言しないけど、三浦しをんは“あれ”があるでしょ? だから余計に他の作品には票が入りにくいかなー、と思ってたんだけど、やっぱり名作は名作。ちゃんとランクインしたというわけだ。

青春小説でランキングを作ったときも3位だったからね。みんなが大好きな駅伝をどストレートに描いてるから、そりゃ根強い人気も出るよ。

 

ドラマチックなオープニングから、ドタバタの仲間集め、合宿、本戦へと流れるような展開には思わず一気読みしてしまうことだろう。

 

 

(※2007年本屋大賞第3位)

 

 

13位

 

続いては、96票を獲得した第13位。

 

こちらも2作品が同時ランクイン。ちなみに複数ランクインはこれが最後である。

 

 

ではまずはひとつめ。

 

 

貴志祐介。

 

 

 

『新世界より』

 

 

 

世界一面白い小説です。

異論は認めないとかのレベルじゃなく、存在しないので認めようがありません。以上。

 

 

(※2009年本屋大賞第6位)

 

 

~~~~

 

 

13位のふたつめは、こちら。

 

 

有川浩。

 

 

 

『図書館戦争』

 

 

 

やっぱり映像化作品は強しか。それとも映像化されるほどの作品だからこそ、ランキングに食い込んできているのか。

有川浩も本屋大賞には多数ノミネートされているので、かなり票割れしてしまった印象。だって一時期の有川浩、完全に無敵だったもんな。面白い小説しか生み出せない時期があった。ちなみに一年で本屋大賞複数同時ノミネートは有川浩と伊坂幸太郎しか成し遂げていない。

 

で、『図書館戦争』である。

メディア良化委員会による検閲が行われ、ときには武力行使さえも許されるという、現代日本ではありえない世界が描かれているのだが、それを地に足の付いた物語に落とし込んでいるのはさすが。

コミカルあり、恋愛ありと、非常にエンターテイメントな作品だけれど、本好きの我々としては見逃せない非常にシビアなテーマも含まれている

 

広く映像化が進んでいるのは、それだけ多くの方面から愛されている証拠だろう。非常に強い作品である。

「正論は正しい、だが正論を武器にする奴は正しくない」の名言は常に胸に刻みつけておこう。

 

 

(※2007年本屋大賞第5位)

 

 

12位

 

そろそろ折り返しを迎えた、第12位の発表である。

 

遂に3桁の大台。102票を獲得。

 

 

 

逢坂冬馬。

 

 

『同志少女よ、敵を撃て』

 

 

 

超骨太な本屋大賞受賞作が堂々のランクイン。

バカな大国のせいで作品にケチが付いてしまったのが非常に残念だったけど、こうして圧倒的な人気を維持をしているのが、いち本好きとしてとても嬉しい。

ここ数年はロートーンな感動作が大賞を獲る傾向があったんだけど、そんな空気感を圧倒的な物語力で吹き飛ばして大賞を掻っ攫ってくれた。

 

はっきり言って、ウクライナ侵攻が現在進行系の状況で読むのは、かなりしんどい作品だと思う。

でもその厳しさも込みでこの作品は、しっかりと味わえると思う。そもそもワクワクしながら心躍るような楽しみ方ができる作品ではない。戦時下における少女の苦しい日々を描いているからだ。

苦しいけれど、読まずにはいられない。辛いのに先が気になって仕方がない。抗いたくとも、物語に“読まされてしまう”。

 

存分に撃ち抜かれてほしい。

 

 

(※2022年本屋大賞受賞作)

 

 

11位

 

これで前半戦が終了!! 第11位の発表だ!!

 

各得票数は105票。

 

 

前半戦の最後を飾るのは…

 

 

宮下奈都。

 

 

『羊と鋼の森』

 

 

 

大好物。

 

私も10冊の中に入れた『羊と鋼の森』である。

読んだ人は分かると思うけど、作品の醸し出す空気とか、リズムとか、視点とか、どれをとっても耽美で、あふれる素敵さに頭までどっぷりと浸からせてもらえる。

全本屋大賞受賞作を見渡しても、ここまで起伏が少ない物語はないと思う。それなのにとんでもない充足感があるからね。

本屋大賞の音楽小説といえば、アメトーークでも取り上げられた“あれ”がやっぱり有名だけど、私は『羊と鋼の森』も並び立つ名作だと思っている。研ぎ澄まされたピアノ一音一音が、確実に聴こえたからね。鳥肌が立つぐらいに。

 

ちなみにだけど、宮下奈都のエッセイを読むと、なんでこんなに素敵な物語を紡げるのかよく分かる。あのね、もう普段から素敵なことに対するセンサーが半端じゃないのよ。そこら中にある素敵なもの見つける視力が良すぎる。これは勝てんわ…ってなんか打ちのめされた気持ちになっちゃった。

 

 

(※2016年本屋大賞受賞作)

 

 

~~~~

 

若干フェアじゃない部分があるのでちょっとだけ話をしておこう。

(そういえばTwitterで見た知識なんだけど、海外の日本語学校では日本人の「ちょっと」を「かなり」という意味で教えているそうだ。日本人が本当に「ちょっと」と思っているときは言及しないからだ)

 

今回のランキングは、#私の本屋大賞ベスト約10冊のタグが付いたツイートを集計してまとめたものなのだが、だからといって本当にオールタイムベストになっているかと言うと、全然そうではない。

なぜならそもそもツイートしている方々が、ノミネートした200作品をすべて読んでいるわけではないからだ。そうなると必然的に、売れている作品は分母が大きいので上位に来やすい。

なので、あくまでもツイートを集計した結果であって、そこまで信頼のおけるランキングではないこと、私が独自に調べた的な勝手なランキングだと思ってもらえれば幸いである。

 

それではグダグダと言い訳しまくったところで、皆さんお待ちかねのベスト10の発表である。

 

 

行ってみよう。

 

 

10位

 

さあ、さすがにベスト10は大賞受賞作で埋め尽くされるのでしょうか。

一緒にランキングを予想しながら楽しんでいただきたい。

 

 

それでは第10位!!

 

 

108票獲得!!

 

 

 

伊坂幸太郎!!

 

 

 

 

『ゴールデンスランバー』!!

 

 

 

 

遂に出ました。おもしろ小説製造人間、伊坂幸太郎。

 

本屋大賞では圧倒的な成績を残していて、過去20年間で12作品がノミネートされている。(阿部和重との共著を含めると13作品。本屋大賞を私物化しすぎ!!)

なのでそれこそ票がまあ割れる、割れる。私も思い入れのある伊坂作品はめっちゃあったけど、苦渋の決断で『アヒかも』にしか入れてないし。10冊ルールで一番不利だったのは間違いなく伊坂幸太郎だっただろう。

とはいえ第10位である。強豪だらけの200作品の中だと考えたら、そんなの実質1位みたいなもんだろう。←錯乱

 

でも本当にそろそろ超長編を書いて、もう一回本屋大賞を掻っ攫ってほしいなと、ファンとしては願っているところだ。本屋大賞への貢献度を考えると大賞一回じゃ足りないでしょ。

 

って、なんか伊坂幸太郎の話ばっかしちゃったけど、『ゴールデンスランバー』の紹介もしておこう。

 

 

全方向からオモロイ。

 

以上。

 

 

(※2008年本屋大賞受賞作)

 

 

9位

 

やっぱり大賞が強いベスト10。下位の作品は太刀打ちできないのかー!!

 

ではお次は第9位!!!

 

 

109票獲得!!!

 

 

 

我らがモリミーの登場だ!!!

 

 

 

 

『夜は短し歩けよ乙女』!!

 

 

 

 

史上最も愛された黒髪乙女の登場である。

アホな大学生の生々しい戦いがあったり、天真爛漫な黒髪女子の可愛さが溢れてたり、奇想天外で幻想的な展開が繰り広げられたりと、非常に忙しく楽しめる作品である。

笑ったり、ヤキモキしたり、うっとりしたり、下品さに顔をしかめたりと、振り回されるのが大好物な方にオススメである。そして読み終えたら、絶対に黒髪の乙女が大好きになってるはず。

 

実は私は今回の企画を思いついたときに、この作品が1位になると予想していた。

というのも、読書アカウントの皆様の“名刺代わりの小説10選”に高頻度で登場するからだ。

「名刺代わり」と「本屋大賞」のベン図で交わってるところの作品なんて、そりゃ強いでしょ。間違いないと確信していたのだが意外と9位と落ち着いた順位になった。十分凄いけどね。

こういう賞レースというか、なにか投票をするときって、やっぱり物語を求めるというか、選出するにも単純な面白さとかよりも、「報われてほしい」「支持したい」みたいな“想い”が優先されるように思う。実際、私が選出したときも面白さを重視していなかった。

そう意味でも、非常に興味深くて意外なランキングになったと思う。

 

 

(※2007年本屋大賞第2位)

 

 

8位

 

続いては…第8位!!

 

 

得票数は一気に増えて…130票。ここから上の作品たちは、またひとつ抜けた人気を誇っているようだ。

 

 

それでは発表しよう。

 

 

 

恩田陸!!

 

 

 

…と来たら…

 

 

 

 

 

『夜のピクニック』!!

 

 

 

 

みんなが大好きな青春小説の最高峰が、見事に8位を獲得。恩田陸の名前を見て『蜜蜂と遠雷』だと予想された方は残念でした。

 

中学校最後の行事として、12時間かけて一晩歩き続ける“歩行祭”の様子を描いた物語。これは実際に恩田陸の出身校で実施されていた催しだとか。言っちゃあ悪いがそれだけの物語である。

なのにこれが沁みるんだわ。ただ歩くだけなのに、さまざな感情が寄せては返すように味わえる。誰もにあったあの頃の瑞々しさを感じさせてくれる。

年齢を重ねれば重ねるほど、学生時代の時間って凄く輝いているように感じられるんだけど、冷静に思い返すと全然そうでもなくて、普通の些細な毎日だったりする。

でもその普通さへの感度が全然違くて、視野がめちゃくちゃ狭くて、半径30cmだけでいっぱいいっぱいになってた。普通に過ごしてるだけでドラマになってた。

身の処し方を覚えて、他人との付き合い方が上手になって、自分の飼い慣らし方を知るうちに、私たちは次第にドラマを失っていってしまった。うーん、死にたい。

 

私の希死念慮は置いておくとして、『夜のピクニック』で描かれる学生たちの心の機微は、本当に些細だけれども、かけがえのない美しさに満ちている。ここでしか摂取出来ない栄養がありまっせ。

 

 

(※2005年本屋大賞受賞作)

 

 

 

7位

 

さあさあ、皆さんの順位予想はどんな感じだろうか。

私はこの時点でまったく分からなくなっていたけど、推し作品のラインナップにもよるのかな?

 

では第7位の発表である。

 

 

135票獲得!!

 

 

邪悪の代名詞の登場だ!!

 

 

 

 

湊かなえ!!!

 

 

 

 

『告白』!!!

 

 

 

 

 

いっそ清々しいね。過去の本屋大賞を眺めてみても、やっぱり『告白』の特別感は抜けてるもん。ひとつだけ毛色があまりにも違いすぎる

私が『告白』を紹介するときによく書くんだけど、面白さが倫理観を凌駕しちゃってるんだよね。冷静に見たら相当に最悪な物語なんだけど、面白さが爆発してるから読まずにはいられないし、お気に入りにせずにはいられないし、本屋大賞ノミネート200作品からベスト10冊を選べって言われたら、良くないと分かってても入れずにはいられないわけ。覚醒剤かな?

 

で、邪悪面白い名作なんだけど、一点だけ注意が。

作品自体の話ではなくて、集計の問題である。

 

Twitterで募集したときに親切な方数名が注意喚起してくださっていたのだが、本屋大賞のノミネート作品には『告白』がふたつあるのだ。そう、町田康だ。

なのでツイートで『告白』だけ書かれてもどちらのことを言っているのか分からないのである。

 

大多数の方は作者名まで書いてくださったのだが、不明なものも1割ぐらいあった。

さすがに無効票にするのは忍びなかったので、その時点で判明しているツイートの割合に準じて、不明なものは振り分けさせてもらった。

なのでもしかしたら正確に集計したら、『夜のピクニック』と順位が逆転している可能性はある。まあせっかくの楽しい企画なので、細けえことは気にしないでおこう。

 

ということで、本屋大賞が誇る性悪作品が見事に7位を獲得である。痛快。

 

 

(※2009年本屋大賞受賞作)

 

 

 

6位

 

さあベスト10もこれで半分が終了。なんかあっという間に感じるな!!って、たんまり集計作業して、記事に起こしてる私は全然あっという間じゃないけどな!!

 

 

では第6位!!!

 

 

 

148票獲得!!!

 

 

 

またしても凪良ゆう!!

 

 

 

『流浪の月』!!!

 

 

 

 

 

強し。

 

凪良ゆうは完全に覇王です。ラオウも天国で屈服してるはず。この圧倒的な強さに。

 

私は強烈な原作信者なので『流浪の月』の映像化がどれだけ高品質なのか知らないのだけど、あの繊細で奥深い心理描写を、映像という時間軸で余さず伝えられるとは、到底思えない。

文章の強みとは、時間のコントロールにあると思っていて、特に心理描写にその強みは発揮される。日常生活やそれこそ映像のスピード感であっという間に過ぎ去ってしまう私たちの心の動きを、ひっ捕まえて具現化して曝け出すのに、文章という武器はあまりにも強力だ。

『流浪の月』で描かれる関係性は、多くの人に共感できるものではない。「そういうのもありだよね。多様性」みたいに簡単に受け入れることも難しいと思う。

でも、作品の根底に流れている“芯”の部分には、なぜか自分を重ねてしまうし、身に覚えがあると思う。遠いのに自分に近いという、不思議な感覚を抱かせる。

そして何よりも、簡単に感想やあらすじを言語化できる作品ではない。それこそTwitterの140文字で簡潔に伝えるのは不可能だろう。それだけ他人に面白さや魅力を“伝えにくい”作品にも関わらず、ここまで広く愛されているのは、それだけ作品の持つ力が本物だからだろう。

 

小説という表現の持つ、器の大きさを実感できる作品である。

 

 

(※2020年本屋大賞受賞作)

 

 

 

5位

 

残るは泣いても笑っても、あと5つ!!

 

 

では第5位!!!

 

 

 

153票獲得!!!

 

 

 

 

小川洋子!!!

 

 

 

 

 

『博士の愛した数式』!!!

 

 

 

 

 

 

記念すべき第一回本屋大賞受賞作が見事5位の座を手にした。

ここからすべてが始まったと思うと感慨深い。

私は本屋大賞が始まる前から本好きだったけど、やはりここらへんから本好きが加速した感がある。ネットで探せば面白そうな本は見つけられたけど、それでも本屋大賞が放つ魅力と信頼感は一味違っていた。まんまとヤラれたよね。

 

で、こちらの『博士の愛した数式』は、80分しか記憶がもたない博士と家政婦、その息子さんの交流を描いた物語で、大賞に相応しいとしか言いようがない感動作である。ど真ん中ストレート、160キロ超えである。大谷翔平である。しかも理系の方も楽しめるようなテーマだし。つまり二刀流だ。大谷(以下略)。

 

それにしても、知的好奇心とドラマを両立させるのって、本当に難しいと思うんだけど、どちらも存分に楽しませてくれるんだから、小川洋子は偉すぎる。

本人のインタビューなんかを読むと、ただひたすらに自分の興味あるもの、書きたいことだけを考えて執筆しているという。あんな少女みたいな見た目なのに、中身は筋肉隆々な感じの方みたいである。やっぱ芥川賞を獲るような作家はこうでなくっちゃ。

 

多くの人の本屋大賞との思い出が詰まった、非常に思い入れのある作品である。

 

 

(※2004年本屋大賞受賞作)

 

 

 

4位

 

ラスト4!!

 

行くぞ!!第4位!!!

 

 

 

166票獲得!!!

 

 

 

 

東野圭吾!!!

 

 

 

 

『容疑者Xの献身』!!!

 

 

 

 

大賞受賞作が連発する中、堂々の第4位にランクイン!!

さすが日本が誇る超ベストセラー作家だぜ!!

 

『容疑者Xの献身』、人気なのは十分知ってるつもりだったけど、でもまさかここまで圧倒的な支持を得てるとは…。繰り返すようだけど、これだけの名作たちの中での第4位だからね。しかも大賞受賞作じゃないし

このブログで集計企画を始めてからというもの、たびたびあらゆるランキングで登場している。ミステリーの名作としても評価されているし、感動作としても確固たる地位を築いている印象だ。

 

東野圭吾が生み出した屈指の天才による、悲しくも気高い犯罪は多くの人の心を震わせたようである。まあ正直私はそこまでではないのが悲しいけれど。

だけど作中の湯川と石神の数学談義にはとても心躍った。読んでから15年ぐらい経ってるが、いまだにあの知的な会話はふとした拍子に思い出してしまう。

 

 

(※2006年本屋大賞第4位)

 

 

3位

 

さあ遂に来ました!!

ベスト3の発表である。

 

どうだい、ランキング予想は? めちゃくちゃ難しいでしょ。分かる。皆さんきっと予想したいだろうが、出てきていない名作が3つの枠に対して多すぎて、全然絞りきれないと思う。

それでも残るはあと3つ。本屋大賞20年の歴史の頂点に立つ、最強の3作品である。

 

では行ってみよう。

 

 

第3位!!!!

 

 

 

各得票数は、さらに一気に増えて…187票

 

 

 

本屋大賞オールタイムベストの銅メダルは…こいつだ!!

 

 

 

 

恩田陸!!!

 

 

 

 

と来れば…

 

 

 

 

 

『蜜蜂と遠雷』!!!!

 

 

 

 

 

 

音楽小説の最高峰が遂に登場だ。これで恩田陸はベスト10に2作品がランクインである。改めて恐ろしい作家である。どれだけみんなの大好きを獲得すれば気が済むのよ。

 

私も10冊の中に入れた作品である。

というか、もうこんな凄まじいのを読まされたら、入れずにはいられなかった。きっとみんなが入れるだろうとも思ったけど、それでも入れてしまった。

長編でめちゃくちゃ面白いときって、ずっとその物語世界に浸っていたいから、残りのページが少なくなっていくのが悲しくて仕方なくなるんだけど、『蜜蜂と遠雷』はまさにそんな感じ。一生コンテストやっててほしかった。

 

こちらも私は映像化の方はまったく興味ないんだけど、これこそ“音楽がない”からこそ最高に音楽を楽しめる作品だと思っている。以前もブログで書いたけど、『蜜蜂と遠雷』を読んだときに体験する“音楽”って、無音だからこそ味わえる音楽だからね。あんな強烈な体験、『蜜蜂と遠雷』以外じゃできないでしょ。

 

 

 

(※2017年本屋大賞受賞作)

 

 

2位

 

続いては、第2位!!!!

 

 

各得票数は、さらに一気に増えて200票

 

 

本屋大賞オールタイムベストの準優勝は…これだ!!!

 

 

 

三浦しをん!!!

 

 

 

 

 

『舟を編む』!!!!

 

 

 

 

 

敬礼っ!!

 

はっ、これはすまない。辞書編纂室の仕事が尊すぎて、ついつい皆さんに敬礼を強要してしまった。ちゃんとやった?

 

私は恋愛要素にはまったくセンサーが反応しない人間なので、そこらへんは皆さんに任せるとして、辞書である。というか、言葉である。

読書好きの我々。物語や知識を求めて本を読むわけだが、突き詰めると本が好きというよりも、言葉が好きなのである。

大量の言葉を紡いでできた編み物を着て喜んでいるのが我々だとしたら、辞書編纂の方々は毛糸を紡ぐ人たちである。

言葉というのは非常に頼りなく、曖昧な記号で、時代とともに揺らいでしまうものだ。それに日々新しい言葉や使い方が増えていく。それらを常に追いかけ蒐集し、整理してくれるなんて、尊すぎるでしょ!

言葉を支えてくれる人たちの話なんて、そりゃ無条件で愛すべきでしょ。ほらほら敬礼!!

 

 

(※2012年本屋大賞受賞作)

 

 

1位

 

名作に次ぐ名作でカロリーが非常に高めだったこのランキングも遂に終わりである。

 

あんまり勿体つけても仕方ないので、発表しよう。

 

よろしいか?

 

 

それでは…

 

 

本屋大賞20周年オールタイムベスト、その頂点を飾る第1位の発表である。

 

 

獲得票数…234票!!!

 

 

 

 

辻村深月!!!!

 

 

 

 

 

 

『かがみの孤城』!!!!!

 

 

 

 

 

パチパチパチパチ…

 

 

おめでとうございますっ!!!!

 

今まで数えきれないぐらいのランキング記事を書いてきたけど、今回の1位は本当にめでたい気持ちだ。偉業を目の当たりにしたというか。

だって言うなれば、このランキングって本屋大賞大賞だからね。本家のルールとは全然違う集計方法だけど、それでも多くの読書好きが選んだ結果の第1位だから。これは本当に素晴らしい。

 

みんなの感想を読むと、この作品がどれだけ愛されて、宝物のように扱われているかが分かる。感想読んでるだけで全然関係ない私まで幸せな気持ちになったし、辻村深月に対しても「名作を生み出せて良かったね…」と母親みたいなことを思った。

 

語る必要のない名作なのであえて私が魅力をつらつらと挙げる必要はないだろう。というか、私はそこまでハマって…ゴニョゴニョ

 

 

ということで、本屋大賞20周年オールタイムベストの第1位は辻村深月の『かがみの孤城』でした。改めておめでとうございます。

 

 

 

(※2018年本屋大賞受賞作)

 

 

 

 

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以上。最後までお付き合いいただき感謝。