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Twitterの力を借りて“神がかってる短編集”を集めてみた!!

 

はいどうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。

 

今回は短編集にスポットを当てた企画である。

 

 

好物。それは短編集

私は短編集が好きだ。

もちろん長編も好きなのだが、短編集の面白さには独特のものがあると思っている。

短編というのは短いからこそ、そこに作者の「力量」や「アイデア」が色濃く反映される。

これはちょっと伝わるか微妙なのだが、短い文量だからこそ作者が普段見ている「視野」を強く感じる。脳の中身が出てる感じする。それが、たまらなく好きなのだ。

 

 

短編集は報われない

とにかく短編集は売れない。それなのに作家の負担は大きい(アイデアを出す総量が増える)。

売れなかったとしても、せめて文壇に評価されれば…と思うが、大きな文学賞を穫ることもめったにない。本屋大賞にギリギリでノミネートされるぐらいだ。本屋大賞は文壇じゃないか。

 


そんな「一生懸命で可愛いけど報われない」という、いじらしさの同義語みたいなもの、それが短編集である。

 


で、私は大好きな短編集をぜひとも一躍スターダムにのし上げたい。

…というのはさすがに言いすぎだし、思い上がりも甚だしい限りだが、少しでも短編集の魅力が広まればいいなと思っている。

 

 

読書ブロガー、本領発揮するってよ

ということで、私の本領発揮である。

長年曲がりなりにも読書ブロガーとして活動を続け、細々とした活動には不釣り合いなぐらい暴言をいただいたりした結果、Twitterでは読書アカウントとしてそれなりのフォロワー数を獲得している。

 

これを使わない手はない。

 

ということで私欲のために思いっきり利用させていただいた。

 

 

それが…

 

#神がかってる短編集

 

である。

 

 

読書好きの皆様に、神がかってると思う短編集を思いつく限りツイートしてもらった。

そしてそのツイートをまとめて集計したのが今回の記事になる。

 

いつも通りランキング形式にまとめてはいるものの、順位と面白さが比例していない作品もあり、「とりあえずここに載ってる作品全部読め」というのが正直な所だ。いや、マジで。

 

だってさ「神がかってる」だよ。

Twitterの短文文化のせいで過剰表現が蔓延してるとはいえ、なかなか言えないでしょ。ましてや他人にオススメするにはあまりにもハードルの上がるタグだ。

でもその高すぎるハードルを乗り越えてきた名作たちである。これに「必読」以外の言葉が必要だろうか。

 

 

さあさあ、いらん口上は大概にしてそろそろランキングに移ろうじゃないか。

刹那にして、甘美に満ちた世界を堪能してくれ。

 

では行ってみよう。

 

 

第1位

 

 

まずはぶっちぎりの得票数を見せつけた第1位の発表!!

 

 

 

こいつだっ!!!

 

 

 

米澤穂信…!!

 

 

 

『儚い羊たちの祝宴』!!!

 

 

 

順当~。

 

完全に間違いないね。そのあまりの強力さっぷりに

 

“脳髄を冷たく痺れさせる”

 

という素晴らしい惹句を使われる本書。

“つめたいの”といえば危ないおクスリの隠語なのだが、危険な快楽をもたらすものを“冷たい”って表現する文化なんなの。

 

私が買って読んだのは発表したてのハードカバーの頃で、まだまだ世に評価されていなかった。

何気なしに手に取った作品だったのに、読み始めるなりとんでもなかったから「なんでこれが普通に売ってるの?!」と混乱に陥った記憶がある。

 

得票数はぶっちぎりの21票。

今回の集計に協力してくれた方が全部で40名ほどなので、半数以上の方が推してる計算になる。圧倒的すぎ。むしろ残りの半分は未読なだけじゃなかろうか。

 

 

 

第2位

 

続いては第2位である。

得票数は15票。こちらも約半数の方が入れているので、やはり圧倒的な人気作品と言えよう。

 

 

第2位は2作品が同時にランクインしている。

 

 

まずはひとつめは~…こちら!!

 

 

 

おっ…!!

 

またしても!!

 

 

米澤穂信!!!

 

 

 

 

『満願』!!

 

 

 

 

穂信っち~、無双しすぎでしょ。

 

こちらの『満願』は発表当時のミステリーランキングを荒らしまくっていて、たしか3冠ぐらいしてて、なんなら山本周五郎賞も獲ってる化け物作品です。

穂信っち本人によると「トリックを最初に考えて、トリックが一番活きるストーリーを肉付けしていった」と創作手順を語っていたのだけど、とてもそうは思えないほど濃厚で、ダークな物語が展開される。

 

いやー、それにしてもすげえわ。1位と2位で連続で米澤穂信とは。

私の世代だとミステリーで短編の名手といえば、“魔王”こと連城三紀彦なんだけど、こりゃ完全に代替わりしたね。

きっと連城三紀彦もあちらの世界で、この新しい短編の名手の誕生を喜んでくれていることだろうし、新たな世代に道を開けてくれていることだろう。

まあね、いくら魔王とはいえ時代の流れにはさすがに勝てないよね…。

 

 

ちょっとしんみりしてしまったところで、続いて第2位のふつめである。

 

 

それは…こいつだ!!!

 

 


『戻り川心中』!!

 

 

 

全然現役。

 

誰だよ、「新たな世代に道を開けてくれていることだろう」とかほざいてた奴。全然君臨してんじゃねーか。死してなお評価され続けてるよ。

 

それにしてもさすがは魔王。切れ味鋭い短編をこしらえさせたら日本一。

さらには美しさまで兼ね備えてるっていうね。読んでて心に染み渡るような美しさがあって、さらには綺麗にスパッと切られる。連城マジックとはよう言ったもんだ。言葉の魔法使いですわ。

 

そんな連城文学の最高傑作といえば『戻り川心中』でしょう。

文句なしに短編集の最高峰です。

 

 

第3位

 

連城三紀彦の魔王っぷりに圧倒されたところで、続いては第3位の発表だ!!

 

 

これだっ!!!

 

 

横山秀夫!!!

 

 

 

『第三の時効』!!

 

 

 

日本一警察小説が上手い電球こと、横山秀夫である。いいか、「横山秀夫」で画像検索なんてするよ。

 

横山秀夫といえば、映画化された『64(ロクヨン)』や『クライマーズ・ハイ』に代表されるように、長編の濃厚な人間ドラマが持ち味でそちらのイメージが強いと思う。

だが、初期の横山秀夫といえば短編の名手であり、「ドロッドロの人間ドラマ×最高切れ味」を両立させていたバケモンだった。

デビュー作の『動機』からバケモノ級だったけど、その技が最高レベルに達したのが、こちらの『第三の時効』だろう。

 

私は“名刺代わりの小説10選”に入れていて、読んでから20年ほど経っているが、未だにこれを超える短編集に出会えていないし、出会える気もしない。

 

 

第4位

 

続いてはベスト3を惜しくも逃してしまった、第4位である。

 

 

それは…

 

 

これだ!!!!

 

 

乙一!!!!

 

 

 

 

『失はれる物語』!!

 

 

 

 

 

はい、天才。

 

乙一といえば天才。天才といえば乙一、というのはさすがに言い過ぎだけど、その才能を疑う人間がもしいたらそいつの人間性を疑ってやる。覚悟しやがれ。

 

このブログではかれこそ100回ぐらいオススメしている私の最愛小説である。(だからといって集計結果をイジったりは断じてしていない。念のため)

乙一の作品自体がどれも最高で愛しがいがあるのだが、こちらの『失はれる物語』は既刊の短編集から選りすぐりのものを収録した、いわば“乙一ベスト”なのである。

当然『失はれる物語』の刊行後も乙一は作品を出しているので、彼の生涯ベストというわけではないのだが、それでも最高レベルの作品集であることは間違いない。

 

色んな持ち味を持つ乙一ならではの作品集で、収録作のどれが好きかを語り合ったら、最高に楽しめると思う。ちなみに私は『しあわせは子猫のかたち』一択である。…いや、やっぱり表題作一択だ。…いや…う~ん。ね。

 

 

第5位

 

ここから一気に票が割れます。

第5位には一気に6作品がランクイン

 

 

まずひとつめ。

 

 

 

『なめらかな世界と、その敵』

 

 

申し訳ないのだが未読。

ベストSF2019の1位に輝いたり、みんなの#読了ツイートなんかでも高評価な感想をよく見かかけていたし、その実力は十分耳に届いていた。

評価される作品の常だけど、思いっきりハマる人もいれば、極端に拒否反応を見せる人もいる。私としては前評判に踊らされて勝手に怒り倒してる人を見るのはとても楽しい。

 

 

 

5位のふたつめはこちら。

 

 

 

『亜愛一郎の狼狽』

 

 

こちらも短編のレジェンドである。

一流のマジシャンとしても活躍した泡坂妻夫は、ステージの上だけでなく、本の中でも読者に魔法を繰り出す稀有な存在だった。

奇想天外な発想のオンパレードである。私も大好き。

 

もしこの作品で泡坂妻夫に興味を持たれたなら、ぜひとも『しあわせの書』に手を出していただきたい。彼がどれだけの異常者かよく分かると思う。

 

 

 

5位のみっつめは、こちら。

 

 

『江戸川乱歩傑作選』

 

 

う~ん、反則。

 

こんな偉人の“傑作選”なんてヤバすぎるでしょ。

でもそもそも今回の趣旨が“神がかってる”だから、乱歩神が出てくるのは当然かもしれない。

この記事を書くにあたって色んなレビューを見てみたけれど、1960年に発表された作品集なのに、ここ最近でも未だに「めちゃくちゃ面白い!!」みたいなコメントが寄せられていた。

江戸川乱歩の偉大さはもちろんだと思うけど、アイデアの切れ味や表現の濃さなど、時間による風化に強いのも短編集の良いところかもしれない。

 

 

 

5位のよっつめ~。

 

 

こちら。

 

 

『紙の動物園』

 

 

おお~っと。これは完全に不意打ち。未読。

 

たしかにケン・リュウが凄いってのは見かけていたけれど、ここまで上位に食い込んで日本小説界のレジェンドと肩を並べてくるとは…。

というかこの方って、元マイクロソフトのプログラマーで弁護士なのね。雲上人やん。そらヒューゴー賞も穫るわ。

深いテーマ性を持ったSFで、さらにはかなりの感動作と評判である。

私は感動モノは大好物なのだが、頭の良すぎるSFは付いて行けないことがあるので、一抹の不安はあるけれど、それでも短編集なら…と期待している。

 

 

 

第5位は残り2作品!!

 

 

お次はこちら!!

 

 

『招かれざる客たちのビュッフェ』

 

 

ほぇ~、まったく存じ上げません。

 

ちょっとAmazonのレビューを確認してみようか。なになに…

 

 

って、これ絶対にレビュー読んじゃダメなやつじゃん。なんの知識もなしに読むのが一番いいやつじゃん!!

あぶねー。薄目で見て良かったー。でも薄目で見ても、なんか美味しそうな感想が書かれてるのが分かったよ。これは完全に読む。確実に私が大好きなタイプの作品だわ。気持ちよく一刀両断される予感しかない。

 

 

第5位のラストはこれだ!!!

 

 

 

『夜よ鼠たちのために』!!!

 

 

 

魔 王 再 降 臨 。

 

はい、もう説明は不要ですね。

短編の覇者にして、同業者から畏怖される男、連城三紀彦ですよ。つまり必読という意味だ。

 

ちなみに個人的に連城作品で一番好きなはこれ。

具体的な名前は挙げないけど、あの話を読んだあとに「もうこの男にハマるしかない…」って、完全に“堕ちた”記憶がある。

 

 

第6位

 

続きまして、第6位!!

こちらは5作品が同時ランクイン。

 

 

まずひとつめ。

 

 

『クリスマス・プレゼント』

 

 

アメリカが生んだドンデン返しの名手こと、ジェフリー・ディーヴァーの最強短編集が登場である。なんてったって原題がそもそも『TWISTED』(※ドンデン返しの意)である。どれだけ自信があんだって話でしょ。

ディーヴァーといえばリンカーン・ライムシリーズに代表されるように、長編でジェットコースターのように読者を二転三転させるのを得意としていて、実際にベストセラーになっている。

でも私としては、短編で一気に切り裂いてくる、職人の顔をしたディーヴァーの方が好みである。

 

 

 

続いて6位のふたつめ。

 

 

『チルドレン』

 

 

はい出ました。奇病“面白い小説しか書けない病”に罹患している唯一の作家、伊坂幸太郎である。

こちらの『チルドレン』は連作短編集なので、若干今回の企画の趣旨とはズレている気がしないでもないけれど、多数得票しちゃってるし、まあいいか。数は正義。民主主義である。

伊坂幸太郎の作品のどれもに共通していることだけど、重かったり、深刻なテーマを含んでいるのに、読み味は軽やかでむしろ心地よい。でもちゃんと読後には、とても大切なものを手渡されたような充足感がある。

こちらの『チルドレン』も同様で、頭空っぽにして楽しめる部分もありつつ、人生においてとても大切なことに満ちている。

 

 

 

6位のみっつめはこちら。

 

 

『ようこそ地球さん』

 

 

やっとかよ!という声が聞こえてきそうだ。

 

短編=星新一。

これは全日本人に共通する認識であり、辞書にも載っている。調べてないけど間違いない。万が一載ってなかったら手書きで追加しとこう。

 

得票数でランキングを作ってしまうと、多作作家の場合は票がバラけてしまい、あまり上位にならない傾向がある。星新一のように常にハイクオリティだとよりその傾向が強まってしまったようだ。

とはいえ、やはり『ようこそ地球さん』は凄まじい。正直なことを言うと、私はそこまで星新一のファンではないのだが、この作品に関していえばゾッとするくらいに食らってしまった。

特に『処刑』の衝撃ときたら、言葉にしたくないレベルである。誇張じゃなく、頭の中に「ガンッ」という音が聞こえた。

有名すぎて逆に未読の方も多いことだろう。ぜひとも『ようこそ地球さん』から手を出してみてほしい。天才の仕事、ここにあり。

 

 

 

続いてはこちら。

 

 

『犯罪』

 

 

これも未読…!!ほんとに、私は海外モノを抑えられていない…。

 

知らない作品だったけど、調べれば調べるほど美味しそうな情報が出るわ出るわ。

 

・2012年本屋大賞の翻訳小説部門で大賞を獲得

・著者はドイツでもトップ弁護士として名高い方

・実際に担当した事件をモチーフにしている

・短いのに濃厚。強烈。感動

・唯一無二の読み味

・27年ぶりに選出された東西ミステリーベスト100にランクイン

 

なかなか凄まじいね。海外モノにヨワヨワな私だけど、ぜひともチャレンジしたい一冊である。

それにしてもAmazonレビューでの激賞っぷりったらないね。こりゃ読みたくなるわ。

 

 

 

第6位のラストはこちら。

 

 

『あなたの人生の物語』

 

 

映画『巨大ばかうけ』…じゃなくて『メッセージ』の原作として有名な『あなたの人生の物語』である。

著者の卓越した想像力と洞察力が全開に発揮された作品で、絶賛の声を見かける一方で、「頭を使いすぎる!!」とぷりぷりになっている方も見かけた。

ハードなSFの常だけど、なんとなくで付いていこうする読者は振り落とされちゃうんだよね。興味を持って真剣に臨むとめっちゃ面白いんだけど、けっこうカロリー使うのよ。大学の講義みたいな感じ。

「人間が自らの知性や肉体の限界を超えたとき、何が起こるか?何を理解して何を理解できないか」を見せてくれる稀有な作品集である。

見たことのない世界まで、想像力の羽を広げたい人はぜひ。

 

 

第7位

 

ここからは作品が膨大なので、タイトルだけの紹介。

7位は10作品がランクイン。

 

 

『ZOO』


『きみはポラリス』


『シャーロック・ホームズの冒険』


『家守綺譚』


『御手洗潔の挨拶』


『光の帝国』


『死神の精度』


『掃除婦のための手引き書』


『息吹』


『盤上の夜』

 

 

 

第8位

 

第8位は約50作品がランクイン。

 

 

『11 eleven』
『13·67』
『GOTH』
『キッド・ピストルズの冒涜』
『さよなら神様』
『ジョーカー・ゲーム』
『スモールワールズ』』
『ついてくるもの』
『ナイン・ストーリーズ』
『ブラジル蝶の謎』
『ベーシック・インカム』
『ぼくのミステリな日常』
『ボッコちゃん』
『ミステリーズ』
『ムーミン谷の仲間たち』
『モルグ街の殺人事件』
『汚れた手はそこで拭かない』
『横しぐれ』
『河童』
『我らが隣人の犯罪』
『怪しい来客簿』
『感応グラン=ギニョル』
『玩具修理者』
『眼球奇譚』
『銀河鉄道の夜』
『高原英理恐怖譚集成』
『黒後家蜘蛛の会』
『黒牢城』
『阪急電車』
『私の頭が正常であったなら』
『宵待草夜情』
『掌の小説』
『新本格もどき』
『人質の朗読会』
『絶叫城殺人事件』
『天国旅行』
『唐草物語』
『瓶詰の地獄』
『福家警部補の挨拶』
『法月綸太郎の冒険』
『無垢なる花たちのためのユートピア』
『綺譚集』
『あなたに似た人』

 

 

以上。最後までお付き合いいただき感謝。もっと短編集売れてくれ~。