※2017年8月13日更新
どうも。
面白いマンガが読みたい。だけれども何十巻も出ているようなものを読むのはダルい。
そんな方のためにこの記事では、「短いけどクソほど面白いマンガ」を紹介したい。
短いマンガの良さ
マンガというものは連載が基本にある。作者はどうしても毎週毎週の連載が最優先になってしまう。
そのために、作品は冗長になったり関係ない話に移ってみたり、ときにはバトルシーンを永遠と垂れ流したりする。
マンガ好きの私としてはこれは悲しい現象である。
マンガは作品である。物語である。そこには筋が通っていてほしくて、どれだけの名作であろうとも、そこに余計なものが混じってしまえば、途端に興ざめになったりする。
連載の大事さはよく分かる。それはある意味、作者のサラリーみたいなものだ。生命線を少しでも長く確保したいと思うのは当然のことである。それは出版社も同じ。
だが私は消費者である。いち消費者としてはやはり完成された作品を読みたくなるのが、人情というものだ。客の勝手な言い分かもしれないが、誰もが思うことだろう。
短いマンガの良さはそこにある。
寄り道もせず、余計な描写もなく、ただただ物語を遂行することに注力している。
そこにあるのは完成度の高い『作品』である。
もしかしたらただ単に打ち切られただけのものもあるかもしれないが、それでも切れ味は十分で、読むに値する作品を集めてみた。
短いが故に手出しがしやすいこの作品たち。ぜひ手にとって頂きたい。
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①SPRIGGAN(スプリガン)
“超古代文明を悪しき者から守れ”そのメッセージをうけて、スプリガン・御神苗優(おみなえゆう)の戦いが今、始まる。彼は世紀末の救世主(メシア)なのか!?
オーパーツ×SF。この設定に興奮しない奴がいるのであれば、ぜひともその脳みその中にこの作品を放り込んであげたい。
出てくるキャラクターがどいつもこいつも無敵感に溢れていて、それはもう魅力的。
万人にオススメできる最高のマンガ。文句なしの傑作。どれだけの賛辞を送っても誇張にならない稀有な作品である。
②レベルE
変態作家が生み出した究極の変態マンガである。といっても別に変態が出てくる訳ではない(出てくるけど)。
これを読めば、冨樫がいかに天才かを思い知らされることだろう。やつは別次元の人間である。そりゃサボり魔にもなるわ。こんだけの傑作を描けるんだから。
偏屈な人にこそ勧めたい怪作である。脳汁ダラダラ垂らして読んでくれ。
③01(ゼロワン)
MBZと呼ばれるバーチャル格闘ゲームに興味を持った少年、音露。ふとしたことでゼロワンというキャラクターデータを手に入れた音露は、次第に仮想空間の中でその才能の片鱗を発揮して…!?
奥浩哉の隠れた名作。
才能ある作家はときに我々の前に欲しくてたまらない未来を創造することがある。今でこそ奇想天外なSF作品ばかりを描いている奥浩哉だが、この頃は「ちょっと先」ぐらいのたまらない距離感の作品を描いていた。
笑ってしまうほど短い作品なのだが、この設定と世界観にやられることだろう。
④ゾンビパウダー
死者を蘇らせ、生者を不死にする悪魔の秘薬を求め、「死者の指輪」を探しつづけるパウダーハンター・芥火ガンマ。「黒腕の死神」ともいわれる賞金首・SO級犯罪者が、血と硝煙の荒野を舞台に自らを賭けて戦う!!
久保帯人の魅力はこの作品にこそ表れている。スタイリッシュな描写にクールな登場人物、何よりも「ゾンビパウダー」を追い求めるという分かりやすいストーリー。これで面白くならないはずがない。
キャラ立てが上手い久保帯人だが、BLEACHよりも圧倒的にZombiepowder.の方が魅力的だと思う。惜しむらくは、盛り上がっているところで完結してしまっている点である。
⑤僕といっしょ
『行け!稲中卓球部』でその才能を世に知らしめた鬼才古谷実。彼の第二作は当然のことながらキレッキレのギャグ漫画である。
笑いの中にも若干の切なさを秘めていて、なかなか味わい深い作品。
気持ち良く笑った後に訪れる、なんとも言えないやり切れなさを楽しんでいただきたい。
⑥ギガントマキア
数億年に一度繰り返される地球規模の大災厄の彼方。
その変わり果てた世界を舞台に語られる生命群の激突。
神話の巨人を擁する帝国に、ただ一組の男女が挑む。
男の名は「泥労守(ルビ・デロス)」、女の名は「風炉芽(ルビ・プロメ)」。
彼らの目的と、この世界の成り立ちとは…?
圧倒的な想像力と筆力で描かれたSFロマン開幕!!
「SFロマン開幕!!」と書いてあるが、実際の所はこの一冊で終了している。面白いのは間違いないのだが、ただそれにしても勿体無い…。こんなに面白い作品をこれ一冊で終わりにしてしまったのはやはり『ベルセルク』との兼ね合いだろうか?
たぶんだが、この作品のアイデアは『ベルセルク』のガッツをもっと強くする方法を考えているときに思いついたものだと思う。
⑦銀と金
バイトとギャンブルに明け暮れ、その日暮らしを続ける森田鉄雄。
彼の人生は、突然現れたいかにもアヤシイ男からの誘いにより一変する。裏社会で生きるその男の名は、「銀王」――。
バブル崩壊後の時代、「国を買う」という野望を抱き、闇の金脈を攻めて天下を狙う男たちの命を賭けたマネーウォーズ!
男だけが好きになるマンガ家福本伸行の傑作『銀と金』である。
読者の裏をかくゲーム性は、彼の著作の中でもこの作品が最高レベル。特に圧巻は最後の…。
これだけ絵がヘタクソでもグイグイ読ませるんだから、マンガというのはよく分からない世界である。
脳髄を痺れさせるマンガはここにあり。
⑧グリーンヒル
またしても古谷実作品。彼がダークサイドに落ちる前の最後の作品。所々に闇の要素が見え隠れしていて、それがまたいいスパイスになっている。
笑いだけでなく、「生きていくこと」というテーマも抱えた実は深みのある作品。
⑨ミュージアム
超戦慄連続猟奇サスペンスホラー、絶望大解禁!!THE SERIAL KILLER IS LAUGHING IN THE RAIN.“ドッグフードの刑”―――。“母の痛みを知りましょうの刑”―――。“均等の愛の刑”―――。“針千本のーますの刑”―――。“ずっと美しくの刑”―――。悪魔の蛙男、”私刑”執行。
私は極度の推理小説マニアなので、こういった謎解きものにはかなりうるさい。そんじょそこいらの作品ではなかなか認められなかったりするのだが、この『ミュージアム』はかなりの出来栄え。正直、マンガでここまでのレベルに到達しているものは他にないんじゃなかろうか?
犯人の殺人の仕方がとってもイカれていて◯。
⑩All You Need Is Kill
人類は今、かつてない戦争をしている。敵は「ギタイ」と呼ばれる化物。ジャパンの南方、コトイウシ島で繰り返される戦闘。初年兵であるキリヤ・ケイジと戦場の牝犬と呼ばれるリタ・ヴラタスキは、まだ見ぬ明日を求める戦いに身を投じていく──。
こういった作品こそ、しっかりと短く、そして濃く、描くべきものだろう。
伏線を散りばめられた良作なので、あえて内容については言及しない。タイムリープものということだけは伝えておこうじゃないか。
それにしても、小畑健はこういう作風でやらせたら最高の力を発揮するんだなぁ。
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⑪ヒミズ
映画化もされた異色作。
ギャグ漫画を量産していた古谷実が一転、闇に染まった作品を上梓した。
この作品の好みが分かれることは重々承知している。だからこそオススメしたい!
物語に徹するということはこういうことなのであろう。他のマンガはあまりにも装飾品が多すぎる。
⑫星守る犬
朽ち果てた車の中で寄り添うように、男性と一頭の犬の遺体が発見された。鑑定の結果は男性が死後1年。だが犬は死後わずか3ヶ月。この時間差が意味するものとは? それは哀しくも愉快な一人と一頭の、残されたわずかな“生”を生き抜く旅の終着点―。
「泣ける!」と話題になったこちらの作品。ただ私的にはそうやって評価をするのがためらわれるのが正直な所…。というのも、泣けるのは確かなのだがあまりにも救いがなさすぎる気がするのだ。
そんなことを言いつつもこうやって勧めているのは、やはりこの作品の魅力にやられたからなのだろうか。
とにかく泣きたい人には超オススメである。ただ良い話ではないのでご注意。
⑬キムンカムイ
僕達は助かる……家に帰れるんだと……その時までは本当にそう思っていたんだ…………でも……僕達はまだ家に帰れそうもなかった……
小学生がキャンプに来て、熊の生息する山中に閉じ込められる話。
閉鎖空間系の作品が好きな方はドハマりすることだろう。作者が次から次へと登場人物たちに難題をふっかけるたびに絶望感が増してくる。これが堪らない。
ちなみにキムンカムイとは「山の神」というアイヌ語である。
股間がヒュンヒュンするかも。
⑭僕だけがいない街
毎日を懊悩して暮らす青年漫画家の藤沼。ただ彼には、彼にしか起きない特別な症状を持ち合わせていた。それは…時間が巻き戻るということ! この現象、藤沼にもたらすものは輝く未来? それとも…。
人が死ぬ瞬間に立ち会うと時間が巻き戻る、というこの設定を思いついた時点で作者の勝ちである。この舞台装置が用意されたら作品が面白くならないはずがない。
そのシリアスな内容と画風が合わない点が若干のマイナスポイントではあるものの、魅力的な謎と展開で読者をグイグイと引っ張ってくれる。
⑮シガテラ
あこがれはバイク。恋心もほんの少し。高校2年生のさえない男子・荻野が、非日常を呼び込んでしまう、そんな青春遁走曲ーー。
古谷実作品ばかりで申し訳ない…!このまま全部紹介することになりそうだ。
ただ彼が闇堕ちしてからの作品には、得も言われぬ魅力があって、どれも一読の価値があると思っている。
今作はヒミズに負けず劣らずのダークな作品で、頼りない主人公の幸せな生活が描かれれるたびに忍び寄る「毒」の存在が怖くて仕方なくなるという…。
目の前のでふらふらと揺れる幸福の危うさが、読者のページを捲る手を止めさせてくれない怪作である。
⑯寄生獣
生命の倫理は人間の論理。それが突然、崩壊したら。
大都市で多発する「ひき肉殺人事件」。残虐な手口に人々が戦く中、高校生の泉新一だけが“犯人”を知っていた。それは人間の脳に寄生し、変幻自在に顔を変えて社会に浸食している新生物。真実を明らかにすべきか悩む新一。だが彼もまた、右手に寄生生物を宿していた。
寄生獣を読んだとき胸の裡に訪れるあの興奮は何なのだろうか?言葉にするのが非常に難しい。
ただひとつ確実に言えるのは、完結してから20年近く経ってから実写映画化されるなど、強烈なファンを生み出していることだ。名作というのは人を狂わす。観たその人の人生に影響を及ぼしてしまう。
凄惨な描写が苦手な人は注意してもらいたい。だがそれはこの作品の本質ではない。もっと奥深くにある作者が作品に託したメッセージを受け取ってもらいたい。
⑰ママはテンパリスト
作者の東村アキコは才能の塊である。作品を通して作者から溢れ出る魅力がこれでもかと読者を打ちのめす。
大人になるとマンガでそこまで笑わされることはなくなってくるのだが、この『ママはテンパリスト』は別格で、本気で声を出して笑ってしまった。
子育てをしたことがある人も、ない人にも、強烈にオススメできる傑作である。
東村アキコを喰らいやがれ。
⑱かくかくしかじか
自分は絵がうまい。本気でうぬぼれていた林明子(高3)は竹刀を持った絵画教師・日高先生に罵られ…!? 少女まんが家を夢みたあの頃を描くドラマチック・メモリーズ!
『売れっ子作家東村アキコの作り方』
天才が自伝を書けばそれはもう面白くならないはずがなく。
安定の東村アキコ節で笑わせられることは勿論のこと、青春期特有のバカな行ないを後悔する様子や、失われた時間に対する視線、色んな要素が絡み合って私たちの涙腺を刺激する。何なのだ、この涙は…!
東村アキコをギャグだけの女だと思ったら大間違いである。ぜひこの作品で彼女のイメージを覆してもらいたい。名作である。
⑲わにとかげぎす
深夜、巨大スーパーマーケットに棲息する1人の警備員男。ずっと、うつむいたままで生きてきた。友達をください……友達!
ギャグ漫画に回帰するわけではないが、それでも少しだけ作品に明るさを取り戻した古谷実の第6作である。
彼はマンガを使って「物語とはなんぞや?」ということを実験している最中なのかもしれない。他のマンガのように余計な装飾が少なく、ただただ人が動くことだけで物語が生まれるようになっている。
⑳ドラゴンヘッド
修学旅行帰りの僕らを乗せた新幹線が、大事故を起こした。それは僕が、これから思いがけない世界に放り出される始まりだった――。
作者が魂を吐き出し続けた末に生まれた傑作。
物語のスケール感が半端じゃないのに、常に付き纏う異常なまでの閉塞感。 常に目の前にぶら下げられる謎。
元がギャグ漫画家であることを忘れさせるほどの傑作。笑いと狂気はやはり隣り合わせということか。
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㉑俺はまだ本気出してないだけ
いい歳こいて突然漫画家を目指し始めたおっさんと、彼を取り巻く“いい迷惑”な人々が織りなす哀愁コメディー!
これの実写化を堤真一にするという暴挙。ホントに原作を読んだのか疑うレベルである。いや、これを忠実に再現なんかしたら誰も観に行かないか。
主人公のダメっぷりに笑いながらも、心のどこかで共感する部分があって、何とも言えない気持ち悪さと切なさを醸し出している。この作者がそこまで計算しているとはとても思えないが…。
最終的にはこんな絵柄なのに泣かされてしまうのだから、本当に訳が分からない。
㉒ヒメアノ~ル
主人公の岡田君は20代半ばで、ビルの清掃会社のパートタイマー。何の変哲もない日々に不安や不満を感じて暮らしています。一念発起しようにも、何も思いつかない彼がとった行動とは?
冴えない主人公が美人の彼女をゲットする流れはいつもの古谷実作品同様なのだが、それよりもこの作品で異彩を放っているのは殺人鬼の森田の心理描写に尽きる。
マンガに出てくる殺人鬼というのはアイテムとして使われることが多く、その内面まで迫るのはあまりない。
その悲しみに触れた瞬間、物語は別の顔を見せる。
こちらも実写化されているのだが、森田の配役にV6の森田剛を起用したのはセンスがいいいのか悪いのか。原作に忠実だとはとても言えない。
㉓サルチネス
14年間、引きこもっていた残飯おとこが、自立をするため立ち上がる‥‥。とはいえ、何もできるはずもなく、周囲に大迷惑をかけるだけ。己のため、“愛”のため、この想いをつらぬけるか!?
バカがバカなことを言っているだけの作品なのに、なぜこんなに面白いんだ…!
バカな中にも世の真理を突くような言葉があるようなないような、その記憶も定かじゃないような…?
暗い描写はほとんどなく、軽く笑えてちょっと考えさせられる作品である。
㉔殺し屋1
ハード・バイオレンス・エンタテインメント
いじめられっ子の殺し屋・1<イチ>×激マゾヤクザ・垣原!
アドレナリン全開、壮絶な殺し合いが幕を開ける--!
作者はこの作品で「読者に痛みを感じてもらいたい」と語っている。
そんなわけでこの作品はとにかく痛い。作中の至る所に顔をしかめてしまうような、体が強張ってしまうようなシーンが散りばめられている。
面白いマンガとは何か?と考えたときに、それは笑いだったり感動だったりが一番挙がってくると思う。
だが面白いマンガというのは、何でもいいからとにかく「読者の心に爪痕を残す」ものだろう。
人がホイホイ死ぬ不健全にもほどがある作品であるが、あなたの心に強烈な印象を残すことは間違いないだろう。
㉕のぞき屋
「他人の秘密をのぞきたい」
そんな欲求を解消してくれるのがこの作品。人が誰にも見せない姿、隠された本性。隠されているからこそ感じられる”本物"の味わい。
あまりにも倒錯した欲求だとは分かっていても、のぞきたい衝動があるのだから仕方ない。ここはもう真正面から自分の変態性と相対するべきでは?
㉖ボーイズ・オン・ザ・ラン
痛みを知る、すべての男たちへ。あるいは、すべての痛い男たちへ。三十路目前、そろそろ選択しようじゃないか、我が人生! 超等身大ダメ男・田西敏行の遅咲き青春ブルース!!
妄想ばかりのダメ男に訪れた、一世一代の恋愛チャンス! 職場の飲み会で、憧れの後輩・植村ちはると初めて話せた田西。そこからメール交換も始まり、ふたりの仲は徐々に進展していくのだが…!?
イケてない青春を送るあなた、送ってきたあなたに相応しい胸をえぐりすぎる名作。
主人公の田西がどうしようもなくダメなのだが、自分と被る部分もあって本当に胸が苦しくなる。
低スペック人間が醜態を晒しながらも戦う姿に、きっと勇気づけられるはずだ。
㉗ペコロスの母に会いに行く
母は、人生の重荷を下したかのように、ゆっくりとゆっくりとボケていきました─
62歳、無名の“ハゲちゃびん"漫画家が
施設に暮らす認知症の母との
「可笑しく」も「切ない」日々を綴った
感動のコミックエッセイ!
40歳で故郷長崎にUターンした漫画家(62歳)が、親の老いを見つめてきた日々の、笑えて、温かくて、どこか切ない家族の物語。
主人公は、認知症と診断され施設に暮らす現在89歳の母。母が見せる「人生の重荷を下ろしたとびっきりの笑顔」や、著者のはげた頭を見て名前を思い出すエピソード、時折つぶやく亡き父との思い出話などを描いたコミックエッセイです。
「忘れること、ボケることは、悪いことばかりじゃないんだ。母を見ていてそう思った」
ポップな画風に手書きのセリフ。きつい方言。それが4コマの中に詰め込んである。お世辞にも読みやすい作品とは言えない。
ただこの自費出版で店舗の片隅でしか発表されていなかったという作品が、これだけ有名になり、最終的には第42回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞するまでに至ったのは、それだけこの作品に人を感動させるものがあっということだろう。
現実と妄想の狭間を行き来するボケた母の見ている世界を、笑いと切なさで描いた感涙必至の名作である。
特に最後のエピソードは、よく言う「涙腺が崩壊した」という言葉がためらいなく使えるほどである。
あなたの心に刻まれる作品になるだろう。
㉘RiN
伏見紀人の学園生活は退屈そのもの。だが彼には、「漫画家になる」という夢があった。やってきた夏休み、渾身の一作を携えてあこがれの雑誌「トーラス」編集部を訪ねるも、評価はボロボロ‥‥。落ち込む伏見だったが、夢に懸ける思いは捨てず、ひたすら漫画に打ち込むのだった。
一方、不思議な力をもつ少女・石堂 凛。彼女もまた、自分の居場所を見つけようともがく日々を送っていた。
伏見と凛――ふたりが出会うとき、壮絶な運命の扉が開く!!!
『BECK』で絶大なる人気を得たハロルド作石。そんな彼が「マンガ家」というテーマに臨めばそりゃ面白い作品ができるのは当たり前である。
マンガ家を目指す人間特有の葛藤やドラマは、手が届きそうで届かないもどかしさに溢れていて堪らない。悶えそうである。
ハロルド作石の良いところは、ムダな残虐性やエロなんかで人気を取りに行かない所である。昨今のマンガは過剰な暴力シーンや限界ギリギリの倫理観を披露して注目を集めようとする傾向がある。進撃の巨人なんかもそうだ。
でもそうではなく、真正面から登場人物たちの葛藤やドラマで勝負してくる。
こんなに安心して楽しめる作家は珍しいのではないだろうか。
㉙式の前日
双子の兄弟、ワケありの親子、結婚をひかえた男と女…。“ふたりきり”という情景を温かく、鮮やかに切り取った珠玉の短編よみきり集。新進気鋭の著者・穂積のデビューコミックスにて最高傑作。
ネットで何かと話題に挙がるこちらの作品。はっきり言って間違いない。
私はあまり人気作とかが好きではないし、売れているからと評価するのが嫌いである。
だがこの『式の前日』は良かったと素直に認めたいと思う。
Amazonのレビューは読まない方が賢明である。
㉚柔道部物語
俺は三五十五(さんご・じゅうご)。高校に入学したばかりで何も知らない俺は、先輩たちの甘い言葉に乗せられて柔道部に入ることにした。ところが、入部したとたん、先輩たちの態度が豹変。シゴキはあるわ、坊主頭にさせられるわ、もちろん女の子との交流会なんて真っ赤なウソ。でも、一度やると決めた柔道だ。強くなってみせるぞ――!! 読み出したら止まらない!!
アメトーークなんかでも紹介されている柔道を題材にした超名作。
小ネタとか色々面白い要素はあるけども、主人公の三五十五(なんと読み方はそのまま“さんごじゅうご”) が何もできない状態から成長していく姿が、単純に超おもしろい!
ちゃんと敵キャラが最強感に溢れているので、終盤の盛り上がり方がとんでもないことになっている。
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㉛王様はロバ はったり帝国の逆襲
超マイナー作品なのは重々承知している。ただ面白いのだ。
一応ギャグ漫画なのだが、ただのギャグ漫画として紹介するのが躊躇われる怪作である。
ラジオとかでくすくす笑ってしまうような人にオススメできるかもしれない。ちなみに私はラジオでくすくす笑ったことがないので、完全に想像である。
個人的には掃除機の話が大好きである。あの発想は天才。
㉜幕張
千葉県の幕張にある高校の野球部を舞台に、3度の飯よりおっぱいが好きな塩田鉄人(しおだ・てつひと)とロリコンで変態な奈良重雄(なら・しげお)が活躍する青春下ネタギャグコメディ。
捨て身のギャグ漫画家木多康昭のデビュー作。
彼の作品はどれも危険極まりなくて(作者の身が)作品を越えた面白さがあった。
内容は下品極まりないが、この強烈な笑いは他の作者ではなかなか生み出せるものじゃない。
㉝KYO
IQ250の少年と、警視庁一のグータラ警官が、最新科学技術を駆使する知能犯を叩く! 『スプリガン』の作者コンビが贈る傑作短編全1巻。
もうこのコンビが組めば、たったの一冊でも興奮できる傑作になる。
天才少年とグータラ刑事の凸凹コンビが織りなす物語。知能犯との戦いには快哉を叫ぶはず。 知らていないがゆえに、未知の愉しさを提供してくれるはず。
オチもちゃんとあってよろしい。
㉞ヤンキー塾へ行く
地域一帯に名を馳せる中学生ヤンキー・碇石。同い年の女子中学生・奈津美に出会ったことで、彼は難関高校の受験に挑戦することとなる!志望校の合格圏内に入るのは大変だし、少年院からヤバイ奴は戻ってくるし、内申書のために喧嘩はできないし‥‥。手放したくないものは、仲間? 進路? 女?受験の季節に揺れる、新感覚ヤンキー漫画!!
これメチャクチャ好きなんだけど、全然人気無いんだなぁ…。この作者の次回作である『僕たちがやりました』はドラマ化もされるぐらい評価されたのだが。
誰もが恐れる無敵のヤンキーが、青春に、そして恋に揺れる姿が異常に可愛い。
この面白さを言語化するのはなかなか難しい。
見つけ次第更新いたします
私が特に面白いと思った短いマンガを紹介させてもらった。
ただマンガというのは消費が激しいものなので、これぐらいの量じゃきっと皆さんは満足されないことと思う。
いちブロガーとして皆さんに少しでも多くの「面白いもの」を伝えるために、日々良作を漁り続けようじゃないか。
ただの有名作や売れている作品ではなく、完成された物語を。
以上。