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職場にいる大嫌いな人はどうすればいいのか?

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どうも、中間管理職ブロガーのひろたつです。

人間関係の話である。

 

人間関係のトラブルに揉まれて、かれこれ10数年…

このブログでは100回ぐらい書いているが、私は職場で100人を超える部下を抱えている。

それだけの人間がいる職場なので、人のトラブルは通年行事みたいなもんで、誰が誰と不仲になろうが、私の心には波風一つ立たないぐらいには人間性を失っている。

だがそうは言っても、こんなアホ丸出しの私だが一応は管理職である。面倒極まりないが人のトラブルがあれば鎮火させる役割がある。正直キツイ。両者の意見を冷静に聞いて、どちらの肩を持つわけでもなく公平さを保ち、でも「あなた達は大事な仲間だよ」という温かな眼差しは忘れずに…なんていうことを繰り返し続けていると、心の中では「二人とも明日死なねえかな」と思ったりする。さすがに声には出さない。家に帰ってから奥さんに報告するぐらいだ。「今日部下たちのケンカの仲裁に入ったんだけど、めんどくせえから二人とも死ねばいいのにね」って。まあ半分冗談である。半分だけな。

 

で、そんな仕事をかれこれ10数年続けているので、人間関係のトラブルについてはそれなりに精通していると自負している。精通と言っても思春期の男子に来るあれではない。あれでも別に構わないけど。

 

人間関係の問題に対するふたつの答え

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そこでこの記事のタイトルの話になる。

 

人間関係のトラブルで、ふたりが思いっきりぶつかる場面というのは、実はそんなに多くない。むしろ稀だ。

トラブルのほとんどが、片方が勝手にキレていたり、一方的に苦手意識を持ったりするような、片方だけが「大嫌いな人とどう付き合ったらいいのか?」と悩むものになる。

 

ちゃんと数えたことはないけれど、この手の相談にもう20回以上は付き合ってきている。なので私はこの問いの答えを知っている。別に勿体つけるようなものでもないので早速教えよう。

 

それは

 

①避ける 

②克服

 

このどちらかである。それ以外の選択肢は存在しない。

 

もしかしたら「何を当たり前のことを言ってるんだ、このアホは」と思われたかもしれない。その通りだ。当たり前なのである。私がアホな件のことではない。苦手な人との付き合いにおいて、避けるか克服するかのどちらかしかないのは、誰が考えても当然の答えなのである。

 

ではなぜみんながそんなに苦しむかと言うと、結局はこのふたつの答えの、どちらかを選べないor選びたいけど選べない(と思い込んでいる)からなのである。

 

 

ちょっと抽象的すぎて分かりにくいかもしれないので、具体的な例を出そう。

私の職場で実際にあった話である。 

 

 

とある新卒の話

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新卒のイルンガさんという女の子がいた。ちなみに仮名である。さらにちなむと、イルンガとはコンゴ共和国で一番多い名字である。特別な意味はない。

イルンガさんは丁寧な仕事がとても得意な子で、スピードは遅いものの、「どんな要件を満たせばいいのか」を把握する能力に長けていた。また、新しいことを覚える要領が良く、新卒の中でも一番成長が早かった。

 

そんなイルンガさんだが、人付き合いが苦手というか、気の弱いところがある。

周囲に気を使いすぎて、聞けばいいところを聞けなかったり、助けを求められなかったりすることが多々あった。

それでもイルンガさんには気の弱さを補って余りある強みを持っている。そこまで問題ではない。苦手なことは徐々にできるようになればいい。と上司の私は判断した…のだが、みんながみんな同じ判断はしなかった

 

ある日、イルンガさんの10個ほど先輩のAさんが突然キレた

 

「分からないときは聞いてって何度も言ったでしょう?!」

 

以前よりAさんの口から何度もイルンガさんへの不満は聞いていて、そのたびに私は「まだ入ったばっかりだから」となだめてきた。

だがここへ来て限界を迎えてしまった。溜まりに溜まった鬱憤を本人に直接ぶつけてしまったのだった。

Aさんの剣幕に押され、消え入るような声で「すいません…」と謝罪したイルンガさんだったが、相当にショックを受けている様子だった。

 

それからというもの、イルンガさんはAさんを苦手とするようになった。

そりゃそうだ。あんだけ乱暴な言葉づかいで「聞いてよ!」と言われても、聞けなくなるだろう。わざわざ怒っている人に話しかけたい人なんて存在しない。

最初はAさんを避けるぐらいで済んでいたのだが、そのうちにAさんと同じ日に出勤するだけで腹痛を起こすようになった。会社で姿を見かけたら涙ぐんでしまうときもあった。会社の入り口のドアの前で体が固まってしまい、そこから一歩も動けなくなってしまい、私に電話をしてきたときもあった。

そんな状態を数日繰り返して、イルンガさんは体調不良を理由に、会社へ来れなくなってしまった。私は頭を抱え、少ない人員でひいこらすることとなった。ひいこらの意味は分からないけれど。

 

一週間ほど欠勤したイルンガさんから連絡が入った。

電話越しの涙で濡れた声で彼女は「異動させてほしい」とお願いをしてきた。

「Aさんの姿が見えるだけでツラい。怖くて仕方ない」と。そして「どうしたらいいですか?」とも。

 

私は考えた。

イルンガさん自身が「ツラい」と言うのだから、実際ツラいのだろう。

しかし、果たして異動させるのが正解なのだろうか?

仲違いしてしまった人は、離すべきなのだろうか?

 

イルンガさんの気持ちや感じたことは否定しないように、私は私なりの解答をイルンガさんに伝えた。

 

要約するとこんな感じである。

 

・異動は最終手段。できなくはないけれど、まだやれることがある。

・職場にいる苦手な人にできることは、「避ける」か「克服する」のどちらか。

・避ける方が一時的には楽かもしれないけれど、相手を常に意識し続けているうちに疲弊するからオススメしない。

「怖い」と思うのは、相手の正体が見えていないから。もっと近くに寄ってコミュニケーションを取れば、違う側面が見えてくる。

・ここで逃げてしまうと「逃げた」という事実しか残らない。

・一回立ち向かってみてほしい。それでダメだったとしても「勇気を出してやった」という事実が残る。コンゴの…もとい、今後の人生の糧になる。

・でもあくまでもイルンガさんのメンタル次第。壊れてしまうほど頑張る必要はない。そこのブレーキは誰もかけてくれないので、自分で判断するしかない。

 

イルンガさんと3時間ほど話し合っただろうか。 

 

 

自分でも話しながら思っていたし、イルンガさんにも伝えたのだが、これは話しをするだけでどうにかなる問題ではない。

どんな行動をするかにかかっている。簡単で都合のいい解決策は存在しない。痛みを伴うけど、動くしかないのである。

 

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***

 

そしてイルンガさんは、やはり若さゆえの特権か、私の話を素直に聞いて、翌日から積極的にAさんとコミュニケーションを取るようになった。

といっても最初は挨拶をする程度。

でも出来る限り自分から声をかける。アドバイスを貰うようにする。思ったことを言ってみる。疑問を口にしてみる。過去の事例を尋ねる。

地味だけどそれを少しずつ毎日繰り返した。

当然すぐに打ち解けるようなものではない。最初はぎこちなかった。無理に頑張っている空気が周囲にも伝わってきて、私は思わず「あんまり無理しなくていいよ!」と言いたくなってしまったぐらいだ。

でも逆にその頑張りは「なんとかしてAさんと上手くやりたい」というイルンガさんの気持ちをダイレクトに伝える役割も果たしていた。

 

その振る舞いは思わぬ余波を生んだ。

Aさんと仲の良い周囲の人たちも「イルンガさん、最近がんばってるね」とか「この間のイルンガさんすごいいい仕事したんだよ」とか「いい子だよね」というふうに、援護射撃をガンガンしてくれたのだ。

こういうときに心底思う。一生懸命を笑う人がいないのが私の職場の数少ない美点だと。

 

そうやって少しずつ、職場にはイルンガさんを評価する空気が醸造されていき、Aさんとの関係もちょっとずつ打ち解けていった。

 

 

それから半年以上が経った今、ふたりはどうなったか。

笑い話をして肩を叩きあうぐらいには仲良くなっている。完全に友達である。女って…。

だが素晴らしい結末だと思う。今となっては、Aさんの姿を見ただけで泣いていた頃が思い出せないぐらいだ。

 

ここまでの変化はそうないかもしれない。上手く行き過ぎだとも思う。

だけど確かに人間関係が修復する過程を私は目撃した。人が変わっていく様子を見た。

 

 

まずは克服にチャンレジしてほしい

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人の問題において、避けるか克服しかないのであれば、私はとりあえず克服する道を選ぶことをオススメする。下手に避けて、相手との関係がこじれてしまうと、修復するのは不可能だ。

それに、よっぽどの悪人とか変人じゃないかぎり、人の誠意は伝わる

イルンガさんがそうだったように、「あなたと近づきたい」という思いは、大抵伝わる。自分の行動を変えれば、それにつられて相手も変わっていくものだ。

 

 今現在人間関係で悩んでいる方は、もしかしたら「なんであんなヤツのために私が近づいてやらなきゃいけないんだ」と思われるかもしれない。

だがそれはまったくの逆である。

何でもそうだが、問題というのは優秀な人の方が解決に乗り出すものなのである。優秀だからこそ頭を先に下げるのである。

プライドや見栄・意地などにこだわらず、問題そのものにフォーカスする。となれば、優秀な人が取るべき道はひとつなのである。

 

とても長い記事になってしまったが、少しでも参考になれば幸いである。

 

以上。

 

 

人間関係で悩む人に私が本気でオススメできるのは、こちらの本。世間一般では『嫌われる勇気』だと言われているけれど、あれはちょっと理想論がすぎると思っている。