どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。
毎月恒例の月イチまとめ記事である。
新型コロナの自粛が始まってからというもの、書籍が飛ぶように売れているそうだ。学校で勉強ができないから、本で取り返そうとする親御さんなどが増えているのだろう。良い。
ちなみに我が家の子供たちは死んだ魚のような目をしながら、YouTubeをひたすら観ている。ハイテンションのHIKAKINをローテンションで眺めている。ヤバいかもしれない。
で、私はと言えば、それなりに新型コロナに翻弄されながらも、仕事と読書に明け暮れている。つまり何も変わっていない。自粛で家に居ろと言われても、元々外に出るよりも、家でひたすら本を眺めている方が好きな人間なので、何の苦しみもない。考えてみれば、眺めている対象が違うだけで子供たちとやってることは変わらないか。血縁。
でも正直なことを言うと、家にいるのが好きなのは間違いないんだけど、公式に偉い人から「家にいるのが正解」と言われると、途端に外に出たくなってしまうから、ただ単に天の邪鬼なだけっぽい。思えば学生時代もみんなが体育祭で綱引きをしてるとき、私は同じように頭と性格の悪い友人たちと教室でUNOをしていた。どれだけ青春を無駄遣いしたことか。
さて、そんな天の邪鬼な私だが、面白い本に対してはとっても素直になれる。正直に「面白いです」と言ってしまう。本の前では従順な子猫ちゃんだ。まあ、本物の子猫ちゃんはワガママ放題だけどな。
ということで、素直に面白いとオススメできる本たちの紹介である。自粛期間のお供になれば幸いである。
行ってみよう。
ずっとあなたが好きでした
ミステリー界の鬼才、歌野晶午が贈る純愛短編集…なわけがない。
これまで数々の話題作を上梓してきた歌野晶午。特に短編集ではインパクトの強いものが多く、私のブログでも多数紹介してきている。
で、今回の作品は「恋愛」をテーマに書かれた短編集である。もちろんあの歌野晶午だ。純粋な恋愛ドラマを書くような精神性はとっくのとうに失っている、というかそもそも持っていない。一癖も二癖もある話ばかりである。
意地悪な感じが最高に痛快だった本書だが、単行本版の装丁がもろに純愛仕様だったことが、一番性格の悪さが出てて好きである。
向田理髪店
「静」でも「動」でも面白い物語を書けちゃう奥田英朗は、本当に優秀すぎる。
高齢化・過疎化の進む寂れた街を舞台にした、小さな小さな騒動を描いた連作短編集。
何も起こらない街では、ささやかな変化が大きな話題となる。人付き合いは濃厚で、隠し事のひとつもできない。
そんな街だからこそ生まれるドラマがあり、生まれる希望もある。この辺りの機微の描き方は、さすがの一言。奥田英朗は器用すぎて困る。
諦めに満たされた街の、ささやかだけど、胸に染み込む物語。
珍夜特急
超名作『深夜特急』のパロディ丸出しのタイトル。中身もまあ同じ方向性なのだが、こちらはなんと陸路を自前のバイクで走破するという荒業である。
バイクを海外に、しかもインドに持ち込むという所からすでに至難の業で、トラブル続き。次から次へとあらわれる胡散臭い人物に、手痛い洗礼を受けるスタート。っていうかバイクの手続きが上手くいかなくて、スタートすらできない。
ぐっちゃぐちゃだけど、熱量と解放感に満ちていて、読んでてとても気分がいい。やっぱり旅っていいなぁ…。
残念ながらKindleでしか読めない本書。だけどめっちゃ面白いからオススメしたい。
無人島に生きる十六人
実話が元になっていて、いちいち細部までリアリティが半端じゃない。
例えば、漂着してすぐに主人公が言うセリフにこんなものがある。「全員これからは全裸で過ごそう。貴重な衣服がボロボロになったら、寒くなったり病人が出たときに対応できない」とか。絵面的には最悪だけど、こういったリアリティが物語をぐっと立体的に面白くしてくれる。
無人島と言っても、DASH島みたいな広大なものじゃなくて、すぐに一回りできてしまうようなレベル。木さえ生えてない。だからまともな飲水を確保するのにだって一苦労。なのに主人公たちは全く希望を失わない。どころか、無人島に漂着するなり「ここで何年も生活できる準備を始めよう!」とか言い出す始末。希望しか持ってない。強い。
1943年に書かれた作品でかなり年季が入ってる。個人的に古い小説は読みにくくて苦手なんだけど、これは文句なしに面白かったから満足できた。
読みつがれるだけはある、ということか。
以上。参考にされたし。