どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。
毎月恒例の面白本まとめ記事である。
新型コロナの影響で、本屋が盛況らしい。ネットに人が流れるものと考えていたし、実際その傾向もあるんだろうけど、少なからず本を選んでくれる人が増えたことは素直に嬉しい。
本好きの私はずっとはるか前から知っていたけれど、本にあってネットにないものは、手間である。
意外とこの「手間」を軽視する人が多い。
手間とは丁寧さであり、情熱であり、もっと簡単に言うなら、作品への愛だ。
本という作品にかけられた手間は、とてもネットで無料で読める・聞けるものにはない。この記事みたいなもんはその最たる例である。なんの手間もかかってない。刮目せよ。
「手間じゃなくて、中身とか質でしょ」と思われる方もいるかもしれないが、それこそ書籍とネット記事じゃ比べ物にならない。濃度が違う。まあ、書籍でもNewsPicks系に代表されるように和紙よりもぺらっぺらのやつもあるけれど。
とにかく、良質なコンテンツに触れたかったら、書籍を選んでおけば間違いない。そこには作者のあらゆる知が込められている。(ことが多い)
だから今、学校が休みでどうしよもない子どもたちには、ぜひとも本を読んでもらいたいと心底思っている。
なんてことを書いてみたわけだが、私は「本なんて面白ければ何でも良い」という雑食&無目的の人間なので、なんの勉強にもならないような、ただひたすらに夢中になれる作品を紹介していこう。
では行ってみよう。
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流浪の月
相応しい言葉がなかったシチュエーションや感情に、的確な言葉を与える。これこそが、作家の技が冴える瞬間だと思うし、読者として幸福を感じる瞬間である。
凪良ゆうは、心情風景を描き出させたら抜群である。引き込まれる。それも、強い引き込み方ではなく、そっと、引っ張られていることを意識しないぐらい自然と、作品世界の人物たちと同化させてくれる。
『流浪の月』はタイトルからもなんとなく想像できるとおり、明るい物語ではない。
しかしこれは幸福について書かれた作品だと思う。そして他人を理解することの難しさ、いや、我々が「理解」だと思っているものの薄弱さを描いた作品だ。
作品の底でずっと流れ続ける悲しみと、冷たい孤独。しっとりとした物語世界に、周りが見えなくなるぐらい没頭させてもらえ、私は幸福であった。
なんで僕に聞くんだろう。
言葉が、ゆっくりと刺さる。
多発性骨髄腫という癌に罹った写真家幡野広志による人生相談である。
相談の内容は基本的に重いものが多くて、読みながら私は「こんなんどうしようもないだろう」と思ってしまった。
だが、そこに幡野広志の言葉はひとつの光明を照らす。そんな発想があったのか、と。そんな捉え方をすればいいのか、と。
優しく背中を押してくれる言葉もあれば、「殺す気なの?」と聞きたくなるようなバッサリ切り裂く回答もある。
相談者と一緒に悩みながら、どんな解決策があるか、自分の身になって考えてみると、最高に楽しめる一冊である。
いけない
新しい試み大好き。
「いけない」をテーマに綴られた短編集。面白いのは、各話の最後に用意された挿絵。これによって物語の見え方が一変する。「…おぉ…」と静かな衝撃を受ける。
よく「ラスト1行の衝撃」とか言われるけれど、文章じゃなくて絵(写真)でひっくり返してくるというのは、なかなか前例がない。さすがは騙しの名手、道尾秀介である。
そこまで派手な展開がある作品ではないが、他に類を見ない作品なので、ぜひ体験してみてほしい。
禁断の現場に行ってきた!!
アマゾン・プライムでタダだったから気を抜いて読み始めたら、濃すぎる内容でくらっくらになりました…。
企画が立ち上がればなんでもやってくれる最強ライター、村田らむ。そんな彼の濃すぎる取材経験を贅沢なぐらいふんだんにまとめた一冊。
・富士の樹海に居を構える謎の新興宗教に潜入
・物乞いをやったらいくら稼げるか
・ゴミ屋敷掃除のリアルな内容
・いきなり断食すると、人はどうなっていくか
・ヤクザの格好をすると街の人はどんな対応をするか
などなど、YouTuberもびっくりな企画が次々と出てくる。
いやでもこれ、本当に動画にしたら簡単に数百万再生行くんじゃないだろうか…って速攻でBANされるか…。
本でしか味わえない禁断の面白さです。
ことばのしっぽ
言葉の天才。それは子供。
読売新聞で50年以上に渡って連載されている『こどもの詩』。
その長い長い歴史の中から、珠玉の作品たちを集めたのがこちらの作品。
子供だからと侮ることなかれ。
笑えるものから、考えさせるもの、感動してしまうものまで、あらゆる面白さが詰まった作品集である。
発想の柔軟さはもちろんのこと、気負いのない言葉には、大人ではとてもじゃないが敵わない魅力を備えている。ため息をついてしまうほどに素晴らしい作品である。
以上。参考にされたし。