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奥さんのマッサージをめぐって、2歳児と戦った話

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育児日記です。余裕のある方だけ読んでください。

 

皆さん大変そうでなにより 

 

私は既婚者である。そして子供が3人いる。どちらも今のところは、の話である。

で、世の多くの夫婦と同じく、我が夫婦もそれなりにケンカをしたり、仲が悪くなったりする。文句のひとつも言いたくなる瞬間もある。結婚して7年も経てばそれなりに色々ある。

でもわざわざ他人に相方の悪口を言いふらすほどのレベルではない(少なくとも私は。奥さんは知らん)。

 

しかし世の夫婦を見ていると、リアルにしろネットにしろ、パートナーの悪口を言わずにはいられないみたいな。私にはよく分からない感覚である。

パートナーへの不満や愚痴を具体的に言語化したところで、自分が不快になるものをよりリアルに感じるだけであり、繰り返し口から出すことで、より思いが強固になるだけだ。

遠回しにパートナーへの攻撃をしているつもりかもしれないが、一番危害を受けているのは口にしている本人である。次点がその愚痴を聞かされている人。

 

夫婦円満の秘訣

 

夫婦円満とはさすがに言うつもりはないが、それなりに上手く運営している方だと思っている。

その理由を考えてみたのだが、これぞというものがひとつある。結構自信がある。

 

マッサージである。

 

別にエロいマッサージではない。そもそもエロいマッサージってなんだ。知らんぞ。誰か教えろ。っていうかやってくれ。美女が。

 

このブログを読んでいる方であれば重々承知であろうが、私はサービス精神の塊である。サービス精神でもなければブログなんて書いてられない。

そんな私なので、見返りを求めずに奥さんにマッサージをすることが苦痛じゃないのだ。というか、よっぽど疲れていなければ常にやりたいぐらい。

どこぞのAV監督が「異性とヤリたければ、手を握れるようになればいい」とか語っていた。

つまり、人は肌が触れ合う相手には好意に近いものを抱くようにできているのだ。

日常的にマッサージをして、しかも給料も毎月稼いできて、小遣いも欲しがらないときたら、これはもう最高の旦那である。控えめに言って神旦那だ。仲の良い夫婦になって当然である。相方が神なんだから。上手くいかないわけがない。違う宗派でもないかぎり。

 

マッサージ職人と2歳児 

 

日頃からマッサージをしていると、ただただやるだけは飽きてくる。

指の使い方とか、力の掛け具合、押す場所など、いろいろと改善や工夫をしてみる。繰り返すうちにどんどん上達してくる。自分でも上手くなっているのが分かってきて面白い。奥さんも喜ぶので一石二鳥だ。

私はこのマッサージタイムを、自虐を込めて”奴隷タイム”と呼んでいる。報酬はなし。ただただ女王様を喜ばすためだけの時間。別にMっ気があるわけじゃないけど、それなりに楽しんでいる。とっても平和だ。

 

しかし、この平和を脅かす存在が最近現れた。

わが家の末っ子(2歳児)である。

 

この頃、末っ子ちゃんは人のマネをするのが大好きだ。義務感にでも駆られているかのようにひたすら真似する。仕草も言葉もだ。この前は、兄がやっているしんちゃんのモノマネ、「ブリブリ」を真剣な顔でやっていた。テレビに汚染される瞬間を目撃したようで、なかなか刺激的だった。

 

で、この末っ子ちゃんがマッサージのマネをする。

とは言っても、所詮は2歳児。握力200gしかないような貧弱である。揉まれても、ほとんど空気レベルだ。そんな非力なガキンチョなんぞに、凝り固まった奥さんのぶよぶよの身体をほぐせるわけがない。大体にして2歳児の身体もほとんどぶよぶよである。ぶよぶよにぶよぶよがぶつかったところで、お互いにぶよぶよするだけで、なにもほぐれないだろう。気持ちはほぐれそうだけど。

寝っ転がっている奥さんの上に乗っかり、一生懸命適当な場所をぐいぐいと押す2歳児。マッサージという観点で見たらなんの意味もない時間だが、これもスキンシップである。しばらく任せるままにしてみた。

 

その間、私はやることがなくなってしまったので、横で寝っ転がって本を読んでいた。どうせすぐに飽きるだろうと。


ちょっとしたら、いきなり奥さんが声を挙げた。

 

「なにこれ、めっちゃ気持ちいい。ヤバイ」

私のマッサージでも聞いたことがないレベルの反応だ。

 

は? あんなガキンチョに気持ちいマッサージなんかできねえだろ、と顔を上げてみると、末っ子ちゃんは足裏に取りかかっていた。相変わらずデタラメな動きで、とりあえず押しまくっている。

しかし奥さんいわくそれが「未知の快感。お金になる」というのだ。

 

マジか。こちとら7年掛けて積み上げたテクニックがあるんだ。まだ地上に降り立ってから2年ちょいしか経ってないような人生ビギナーに負けるわけないだろ。思わず奥さんに言ってしまった。「ちょっと代わって」と。どんだけのマッサージをするのか体感してみたくなった。

 

末っ子ちゃんに「ちょっとやってみて」と言うと、まったくもって私の身体に触れようともしない。2歳児とはいえそこは女の子か。ママにマッサージはしても、パパになると途端に嫌がりやがる。あれか、お前も私のことを奴隷だと思ってんのか。

それにしても赤ちゃん類に属する奴らの女好きは一体なんなのだろうか。男では出せない特殊な何かが分泌でもされているのだろうか。もしあるなら買いたい。赤ちゃんの人気者になりたい。


話がそれた。

末っ子ちゃんが嫌がって仕方ないので、奥さんにマッサージをしてもらうことにした。こうすると、末っ子ちゃんはすぐにマネしたくなるはずだ…と思ってたらものの数秒で食いついてきた。ふふん、単純な奴め。こちとら伊達に30年も地上で生活してないわ。老化を舐めるなよ。


ということで、いざ2歳児のマッサージである。そもそも私は足裏マッサージを気持ちいいと感じない人間なので、末っ子ちゃんのマッサージの良さを理解できるか一抹の不安があった。

 

奥さんに誘導されるがままに、おもむろに私の足裏を揉みだす末っ子ちゃん。

 


ぐいぐい。

 

…!

 


ぐいぐい。

 

……!!

 


なにこれ…。

 

 

めっちゃ気持ちいい…!

 


ヤバイぞ。なんだこれ。妙にテンション上がる。

いや、マッサージの意味は果たしてない。2歳児なんてほぼ脂肪の塊だから、揉まれたところで皮膚に刺激を与えるぐらいのことしかできてない。コリなんて1ミリもほぐれない。コリの単位がミリなのかどうか知らんけど。

ちっちゃいおててと指が、ちょこちょこ足裏を触っているだけだ。…だけなのに、めっちゃ気持ちいい。超ベビータッチ。なにこの優しい力加減。言葉にできない。小田和正でも言葉にできない…って元からできないタイプか、あの人。

なんだろう。無理やり擬音にするなら「ほみほみ」だろうか。普通のマッサージなら「もみもみ」だけど、「も」ができるほども筋力を有してないので「ほ」になっちゃう。でもそれがいい。天使に触られてるみたいだ。ずっとやってほしい。

なんて思っていたのだが、所詮は2歳児なのですぐに飽きちゃう。ものの10秒ぐらいしかやってくれない。でも至福の時間だった。これはヤバイ。金になりまっせ。へたな風俗よりも金取れるよ。「天使のマッサージ」って。10秒だから、回転率もいいし。

 

 

ということで、確かに2歳のマッサージは最高だった。私の7年間の努力を上回る快感を奥さんに与える恐ろしいものだった。

 

でもこの非力さも、もうちょっと成長したら失われてしまうわけで、それが悲しかったり、嬉しかったり、いろいろと複雑である。

 

以上。