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上司が理解してくれない、と言い続けた部下の話

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何度も部署異動したあの子


どうも、中間管理ブロガーのひろたつです。

珍しく職場の人間の話をしたい。身バレにつながるのでできるだけ避けていた話題なのだが、なかなか貴重な話題になりそうだったので、ご提供したい。

 

あなたの身の回りにいないだろうか。常に文句を言う人が

どんな仕事を任されても、あれがダメこれがダメと繰り返すような人。そんな人の話。

 

私の元で5年ほど働いた彼女(仮名としてチョラックさんとしよう。トルコで一番多い名字なのは気にしないでくれ。他意はない)はまさにそのタイプだった。

チョラックさんに新しい仕事を振るたびに「これはムリです」とか「このやり方だと問題があります」とか言い返してきて、非常に仕事がやりづらかった。言い方は悪いが、嫌いな部下だった。改善策を出してくれるなら大歓迎なのだが、突っぱねられるだけなのは本当にキツかった。


それでも貴重な部下なので、嫌いとはいいつつも、できるだけ愛してあげた。別に性行為に及んだわけではない。チョラックさんのダメさ加減を飲み込みつつ、上手く仕事に導いてあげたり、やりやすいように環境を整えていた。

 

そんな彼女が異動になった。問題があったからだ。

その問題とは「上司が理解してくれない」というもの。上司が理解してくれないような職場では働けない。辞める。ということだった。

ここでいう上司は私のことではない。私とチョラックさんの間に入っているプロジェクトリーダーのことだ。経験年数の浅い、20代の女の子(学生時代にチアリーディングの世界大会に出場経験あり。このエピソードはこの記事の内容にまったく関係ない)だった。

そのプロジェクトリーダーもまた、私が感じていたようにチョラックさんに苦手意識を持っていた。

でも第三者の私から見ても、リーダーはかなり歩み寄っていた。経験が浅いなりにリーダーとして環境づくりに励んでいた。それでもチョラックさんには「理解されていない」だったようだ。

 

毎回同じ状況に陥る

 

この人材難の時代である。会社としては一人でも多くの人材を確保しておきたい。少し問題のあるチョラックさんだが、辞めさせるぐらいであれば、別の部署に異動させることに決まった。

次の部署ではまったく別の仕事内容になった。それでもチョラックさんは部署異動できたことを非常に喜んでいた。「これでやっとあの上司から離れられる」と。

 

しかしながら、異動して半年ほどしてチョラックさんがまたしても騒ぎ出した。「上司のやり方がおかしい。そんなんじゃできない」と。
しばらく揉めたりなだめたり、話し合ったりしたそうだが、結局チョラックさんは異動することになった。この時点で私は「なかなか寛容な会社だなぁ」と妙に感心してしまっていた。

 

そして書くのもウンザリするが、チョラックさんはまたしても異動先の部署で文句を言い出し、上司とぶつかった。

 

 

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彼女が見逃している登場人物

 

つい先日、チョラックさんが私のもとにやってきた。もう全然別の部署で働いているので、見かける機会さえなかったので、久しぶりの接触である。

 

「辞めることにしたんです」

ちょっと怒ったように彼女は言った。私の不機嫌を理解してください、と言外に匂わせている。

 

「そっか」

私はできる限り素っ気なく対応した。

自分の部下ならばいざしらず、まったく違う部署の、しかも苦手な人間相手に私の貴重な時間を提供したくなかったからだ。基本私は、義務が発生しないところでは最低な人間なのである。わっはっは。

 

しかし私の素っ気ない態度をものともせず、彼女は怒涛の勢いで愚痴を吐き出してきた。

曰く、

「今の部署の上司はおかしい。こちらの話をまったく聞いてくれない」

「前の部署の上司も変だった。あれだけ相談したのに、まったく理解してくれなかった」

「この会社にはおかしい人しかいない。どこに行ってもムダだからもう辞める」

 

一通り彼女の排泄物じみた愚痴を浴び続ける時間をすごした。よくもまあこれだけ文句が出てくるもんだと思ったし、どこをブログのネタにしようかなどと考えていた。話は9割方聞いてなかった。

 

吐き出し終えたあとに生まれた若干の沈黙。完全に「さあ、あなたのターンですよ」という感じだ。そうか、元上司としては何かコメントが必要なのか。

私は答えた。ムダな時間を費やしたくなかったので、簡潔なコメントで済ました。

 

登場人物をひとり忘れてるよ

 

「え?」

 

それ以上は語らなかった。すぐに理解してくれればまだ救いようがあったかもしれないが、彼女はまったくピンと来なかったようなので、「いや、なんでもない。次の職場でも頑張ってね」とその場をあとにした。

 

自分が変わらなければ、同じ問題にぶつかるのは当たり前

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きっと読んでいる方はお気づきだろうが、結局すべての原因はチョラックさん自身にある。

彼女自身が「人の話を聞き入れられない」という問題を抱えているかぎり、彼女の前に現れる人間はみんな「理解してくれない人」になってしまうのだ。

 

これは当たり前の話である。

極端な例を挙げると、自分が「人の声を聞くのが苦手」という問題を抱えていたら、どんな人間に会っても「みんな声を聞かせてくる!超無神経!」となる。さすがにこの例だと頭が悪すぎだけど、また似たようなもんだ。


よく人間関係を理由に辞める人がいるけれど、それを聞くたびに私は「自分の中の問題はクリアしたのかな?」と疑問に思う。そこをクリアしていなければ、きっとまた次の職場でも同じような問題にぶち当たるだろう。

 

自分を変えるのは難しい。簡単なことではない。

だけど、他人を変えるよりは遥かにイージーだし、やりがいがあると思う。

所詮他人なんて、いつかは目の前からいなくなる。でも自分はずっと自分の近くにいる。であれば、一番近くの問題から片付けた方が、長いか短いか不確定な人生を有意義にしやすいだろう。

 

 

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世界は自分を映し出す鏡

 

カラーバス効果というものがある。心理学で使われる言葉だ。

人は、意識を向けた対象があると、そればかりに目が行ってしまうものなのだ。

例えば「黄色」を意識すると、今まで街なかで見かけることがまったくなかった黄色い車をたくさん見かける、といった具合だ。ちなみに私の場合だと、子供ができた瞬間に街中にベビーカーが溢れ出して、「カラーバス効果すげえ!」と感動したもんだ。

 

要は先入観の話なのだ。

人は見たいものを見て、見たくないもの(興味のないもの)は自然と見ないようになる。

嫌いな人の嫌いな部分はやたらと目につくのに、嫌いな人の良いところは目に入らないor目に入っても認めない(なんか裏があるんでしょ、とか)。

自分で自分の視界をコントロールしてしまうのだ。

これによって、人はいくらでも盲目になれるし、逆もまた然りである。そして自分では誰もが「よく見えている」と思っていたりするから、人間ってやつはどこまで行っても可愛らしい。

 

世界に存在する歪みはそのまんま自身の見方の歪みであることが多い。サングラス越しに色を確認するようなものだ。でも本人には気づけない。難しい話だ。

そんな真理に、今回のチョラックさんの件で痛感した。

 

以上。みんな幸せになれるといいね。