どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。
今回はちょっとした企画を実施してみたいと思う。
基本的にこのブログでは季節ものの記事(時間が経ったら読まれなくなるもの)は書かないようにしているのだが、いち本好きとしては見逃せないイベントがやってくるので、こうして筆を取った次第である。
そのイベントとは“2018年本屋大賞”である。
世の書店員さんからの投票によって選ばれる、とっても大衆的な賞である。
この2018年本屋大賞のノミネート作品が先日発表された。
賞レースが行なわれるのであれば、これはもう私のような読書ブロガーがやることは一つだ。
題して、
“読書中毒ブロガーが「2018年本屋大賞」を本気で予想してみる”
である。
これでも人生の大半の時間を小説読み込みに費やしてきた人間である。それなりに本の価値を見出すことには長けている。と言い切っておく。
これまでの本屋大賞の傾向や、私の“素人センサー”を駆使し、見事に的中させてみようじゃないか。まあ外れても、何も失うものはないし。本屋大賞という小説界にとっての一大イベントの余興、前座みたいなものとして楽しんでいただけたらと思う。
それではまずは、今回の2018年本屋大賞にノミネートした10作品を紹介していこう。
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2018年本屋大賞ノミネート10作品
エントリーNo.1
『AX アックス』著:伊坂幸太郎
最強の殺し屋は――恐妻家。
物騒な奴がまた現れた! 新たなエンタメの可能性を切り開く、娯楽小説の最高峰!
「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。 一人息子の克巳もあきれるほどだ。
兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。 引退に必要な金を稼ぐため、仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。
こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。
書き下ろし2篇を加えた計5篇。シリーズ初の連作集!
毎度おなじみ伊坂幸太郎。もうすでに本屋大賞の常連と言ってもいいぐらい。
そんな伊坂幸太郎、今回は大人気の“殺し屋シリーズ”でノミネート。
初の複数回大賞受賞を狙えるか。
エントリーNo.2
『かがみの孤城』 著:辻村深月
あなたを、助けたい。
学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。
メフィスト賞の出身の数少ない正真正銘の売れっ子作家辻村深月である。彼女も本屋大賞は常連組、今回で4度目のノミネート。
達者なストーリーテリングを武器に、悲願の大賞受賞なるか。
エントリーNo.3
『キラキラ共和国』著:小川糸
「ツバキ文具店」は、今日も大繁盛です。
バーバラ夫人も、QPちゃんも、守景さんも、みんな元気です。
みなさんのご来店をお待ちいたしております。
――店主・鳩子 亡くなった夫からの詫び状、川端康成からの葉書き、 大切な人への最後の手紙……。
伝えたい思い、聞きたかった言葉、 「ツバキ文具店」が承ります。
昨年本屋大賞にて堂々の4位を獲った『ツバキ文具店』の続編である。
最高の癒やしエンタメ小説は今回こそ大賞を掻っ攫えるだろうか。
エントリーNo.4
『崩れる脳を抱きしめて』著:知念実希人
彼女は幻だったのか?
今世紀最高の恋愛ミステリー!!
作家デビュー5周年、 実業之日本社創業120周年記念作品
圧巻のラスト20ページ! 驚愕し、感動する!!!
広島から神奈川の病院に実習に来た研修医の碓氷は、脳腫瘍を患う女性・ユカリと出会う。 外の世界に怯えるユカリと、過去に苛まれる碓氷。心に傷をもつふたりは次第に心を通わせていく。
実習を終え広島に帰った碓氷に、ユカリの死の知らせが届く――。
彼女はなぜ死んだのか? 幻だったのか? ユカリの足跡を追い、碓氷は横浜山手を 彷徨う。そして、明かされる衝撃の真実!?
どんでん返しの伝道師が描く、 究極の恋愛×ミステリー!! 2度読み必至!
刊行されるたびに色々と騒がしい知念実希人の最高傑作と名高い『崩れる脳を抱きしめて』である。
帯とか紹介文の文句を読むと地雷臭が半端じゃないのだが、今回はどうやら本物?!
話題に乗った勢いで、このまま大賞受賞まで突っ走れるか。
エントリーNo.5
『屍人荘の殺人』著:今村昌弘
デビュー作にして前代未聞の3冠!
『このミステリーがすごい!2018年版』第1位
『週刊文春』ミステリーベスト第1位
『2018本格ミステリ・ベスト10』第1位
神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。
合宿一日目の夜、映研のメンバーたちは肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。
緊張と混乱の一夜が明け――。部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった……!!
究極の絶望の淵で、葉村は、明智は、そして比留子は、生き残り謎を解き明かせるか?!
奇想と本格ミステリが見事に融合する第27回鮎川哲也賞受賞作!
ミステリー界の新たな至宝、今村昌弘。タイトルは非常に挑戦的な『屍人荘の殺人』である。こんなタイトルを付けたら、そりゃあもうマニアは確実に食いつきまっせ。
どミステリー作品の力は、大賞受賞まで届くだろうか。
エントリーNo.6
『騙し絵の牙』著:塩田武士
話題作『罪の声』塩田武士の待望の最新刊は、まさかの大泉洋に、騙される!
昭和最大の未解決事件「グリ森」をテーマに描いてから、約1年――。
『罪の声』塩田武士の最新刊は、大泉洋“主演小説”!
塩田武士×大泉洋 新しい<小説の形>がここに!
そして最後は“大泉洋”に騙される!
現実とフィクションの境目を限りなく曖昧にした話題作『罪の声』。作者の塩田武士の扱う次なる現実は、なんと大泉洋。
今までにないアプローチで描かれた物語は、見事大賞の座をもぎ取ることができるだろうか。
エントリーNo.7
『たゆたえども沈まず』著:原田マハ
誰も知らない、ゴッホの真実。
天才画家フィンセント・ファン・ゴッホと、商才溢れる日本人画商・林忠正。
二人の出会いが、〈世界を変える一枚〉を生んだ。
1886年、栄華を極めたパリの美術界に、流暢なフランス語で浮世絵を売りさばく一人の日本人がいた。彼の名は、林忠正。その頃、売れない画家のフィンセント・ファン・ゴッホは、放浪の末、パリにいる画商の弟・テオの家に転がり込んでいた。兄の才能を信じ献身的に支え続けるテオ。
そんな二人の前に忠正が現れ、大きく運命が動き出すーー。
『楽園のカンヴァス』『暗幕のゲルニカ』の著者によるアート小説の最高傑作、誕生!
超アートマニアの原田マハが遂に“ゴッホ”に手を出した。
フィクションのような数奇な運命を辿った悲劇の芸術家を、稀代のアート小説作家はどのように描くのか。
本屋大賞ノミネート三回目にして、三度目の正直なるか。
エントリーNo.8
『盤上の向日葵』著:柚月裕子
実業界の寵児で天才棋士――。 男は果たして殺人犯なのか! ?
さいたま市天木山山中で発見された白骨死体。唯一残された手がかりは初代菊水月作の名駒のみ。
それから4ヶ月、叩き上げ刑事・石破と、かつて将棋を志した若手刑事・佐野は真冬の天童市に降り立つ。向かう先は、世紀の一戦が行われようとしている竜昇戦会場。
果たしてその先で二人が目撃したものとは! ?
日本推理作家協会賞作家が描く、渾身の将棋ミステリー!
骨太な物語で読者を唸らせる柚月裕子。初の本屋大賞ノミネート作品のテーマは“将棋”。
藤井四段の29連勝達成、羽生善治竜王の永世七冠達成など、将棋界にとって明るい話題の多かった2017年。
にわかに生じた将棋ブームは大賞受賞への後押しとなるか。
エントリーNo.9
『百貨の魔法』著:村山早紀
時代の波に抗しきれず、「閉店が近いのでは?」と噂が飛び交う星野百貨店。
エレベーターガール、新人コンシェルジュ、宝飾品売り場のフロアマネージャー、テナントのスタッフ、創業者の一族らが、それぞれの立場で街の人びとに愛されてきたデパートを守ろうと、今日も売り場に立ちつづける――。
百貨店で働く人たちと館内に住むと噂される「白い猫」が織りなす、魔法のような物語!
こちらも去年に続いて連続エントリーの村山早紀である。新たな“泣かせの名手”として評価が高まっている。
本屋大賞でこれまで短編集の受賞は『謎解きはディナーのあとで』のみ。しかも酷評の嵐。
感動という“大人への魔法”を武器に、短編集での大賞受賞、そして高評価なるか。
エントリーNo.10
『星の子』著:今村夏子
主人公・林ちひろは中学3年生。
出生直後から病弱だったちひろを救いたい一心で、 両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、 その信仰は少しずつ家族を崩壊させていく。
第39回 野間文芸新人賞受賞作。
優秀作家を多数輩出している野間文芸新人賞を受賞した作品である。さらには芥川賞候補作でもあるあたり、純文学の匂いが濃厚に漂っている。
純文学と言うと取っ付くにくいイメージを持たれるかもしれないが、そんなことはない。世界を文字という記号によって切り取る芸術は、確実に多くの人の心を打つ。
エンタメ小説が持て囃される中、純文学は小説界の頂点に立てるだろうか。
~~
このような10作品が出揃ったわけである。
なかなかの良作ぞろいというか、曲者ぞろいというか…。書店員が選んだだけあって、オススメしやすいポイントがはっきりしている作品が多いように感じる。
ではここからは、私の独断と偏見と確かな分析と個人的な好みを存分に絡めて、2018年本屋大賞の順位を予想してみよう。
ちなみに現時点で私はどの作品も未読である。
「おい、予想とか偉そうなこと言ってるクセに未読ってどういうことだよ?このハゲ」
と思われた方。ちょっと落ち着いてほしい。まず私はハゲていない。少なくとも現時点では。もし、未来から来てて将来私がハゲることを知っている、という方なのであれば、一回病院に行って来い。
いや、私が言いたいのはそんなことではない。
未読の状態だからこそ、フラットな偏見のない目線で考えることができるのだ。さっき「独断と偏見で~」と言ったばかりだが、もう忘れた。
小説の評価というのは、読んだ時期や順番、タイミング、テンションによって、全く違ったものになる。既読であれば精確な評価ができると思ったら大間違いである。サザエさんのアナゴさんをオッサンだと思うぐらい間違いである。彼は27歳だ。
まあ所詮は素人の遊びである。的中させるも良し、外れるも良し。一緒に楽しんでもらえたらこんなに幸いなことはない。
では行ってみよう。
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予想発表!
まずは第10位!
じゃじゃんっ。
『騙し絵の牙』!
賞レースの悲しさで、全国の何千という小説作品の中のトップ10入りしているにも関わらず、10位になると世界で一番つまらないと思われたりする。本当に名誉なことなはずなんですよ、10位ってのは。
まあそれは置いておくとして。
去年は『罪の声』で強烈なインパクトを残した塩田武士だが、今回もひと工夫を凝らした作品で挑戦してきた。
しかしながら、たぶんこれは厳しい。
なぜかと言うと、芸能人を起用することによって、軽薄な印象が生まれてしまうからだ。
小説好きはかなりマイナーな人種だ。マイナーがなぜマイナーに甘んじているのかといえば、それは“他の要素を排除する”傾向があるからだ。
『本屋大賞』で求められているのは「とにかく面白い小説」。
そこに
「大泉洋をあてがき」
「芸能人の写真が表紙」
なんてという要素が絡んでくると、混ぜ物感が出て来る。これだと敬遠されても仕方ないと思う。これは作品の質は全然関係ない部分での話だけど。
筆力の高い塩田武士のことだろうから、きっと『騙し絵の牙』は面白い作品だと予想されるが、それでも『本屋大賞』にはハマらないと思う。
ということで、残念ながら10位は『騙し絵の牙』で。←さっき名誉あるって言ったばっかじゃねーか。
Amazonの低評価が物語っているのは、作品の質そのものよりも、やっぱり混ぜ物に対する忌避感のように感じる。
続いては~…9位!
じゃじゃん。
『屍人荘の殺人』!!
あぁ、残念だ…。
個人的にはもっと上の順位にしたい作品である。いや、未読なんだけど私は極度のミステリーファンなので、こんなド直球のミステリー作品は上位に食い込ませて、ぜひとも世の皆さんの目に触れさせてあげたい。
しかしながら、これも減点箇所がある。
まずタイトル。
こんなザ・推理小説っていう感じの『◯◯の殺人』ではさすがに1位に推したいとは思えないだろう。
分かる。分かるんだ。私のようなミステリーファンであれば、むしろこんなタイトルの方が萌える。食い付く。
だけど本屋大賞の性質と考えると、食い合わせが悪い。ちょっと想像してみると分かると思う。
~~
ここは2018年本屋大賞発表会場。みんなが司会者を固唾を呑んで見守っている。遂に大賞の発表だ。
シン…と静まり返る会場の中、司会者の女性が大きく息を吸い込む。
「2018年、本屋大賞は…『屍人荘の殺人』ですっ!!」
~~
…。
スベるでしょ、確実に。
「屍」とか「殺人」とか、不穏なワードが飛び交いすぎである。
書店員さんが投票してるから、やっぱりそれなりに「売りやすい本」「大賞に相応しい本」を選ぶだろうから、このタイトルでは厳しいかなぁ。
あとは、これまでの本屋大賞の傾向を見ると、どストレートなミステリーは上位にランクインしてないんだよね。例外は『謎解きはディナーのあとで』ぐらい。あれはあれで、大衆受けする設定が効いてたし。
ちょっと硬派すぎる、ということで第9位は『屍人荘の殺人』で。
でも繰り返すけど、自分はホントに好きよ、こういうの。絶対に買うし。
さあさあ、続いては…8位!
どんっ!
『キラキラ共和国』!!!
これはですなぁ、理由は結構単純。
「続編はハネない」からである。
シリーズものは確かに売れる。面白さも担保されているし、人が手に取りやすい。
しかし、それはあくまでも「予想範囲内」の面白さであり人気である。
これまでの作品たちを見てみても、続編の方が売れた例ってほとんどないんじゃないだろうか。売れ行きはシリーズが進むごとに減っていって、でもファンの濃度は上がるから、評価は高くなる。
Amazonのレビューを見るとよく分かるが、シリーズもののレビューはどんどん少なくなっていくのに、評価はどんどん高くなる、という現象が見られる。目の曇った信者が評価しているのだろう。別に悪いことではない、それがファンである。
本屋大賞の採点方法は、各書店員の思う「1位に3点、2位に2点、3位に1点」である。
あくまでも『キラキラ文具店』の続編である今作に、ノミネートされた10作品の中で「トップ3」の評価を与える人は、余程のファンじゃないといないのではないだろうか。
ということで、8位は『キラキラ共和国』でした。
これも絶対面白いとは思うんだけどねー。大賞の称号は相応しくないかな…。
さあ、どんどん行きましょう。
次は…7位!
どどんっ
『星の子』!!!!
芥川賞候補作に選出された作品。8位にしようかどうか迷ったが、7位で。
下位にしているのにはもちろん理由があって、この作品の純文学性による所が大きい。
まだ未読なのであくまでも、あらすじや皆さんのレビューを見た印象だけで語っているのだが、どうやらこの作品は結構「読者に判断を委ねる」ようなタイプの作品であるように感じた。
こういう作品は、感度の高い読書家であれば刺さるのだが、一般受けする作品ではない。これまでの大賞受賞作を見てみれば分かるが、どれもこれも「楽しませてやるぜ?」的なドヤ顔作品ばかりだ。エンタメ性が高い、とも言える。
どちらが優れているかを決めるのは難しい。あまりにもジャンルが違いすぎる。例えるならば、お笑いで狩野英孝と麒麟川島のどちらが面白いかを決めるようなものだ。
それは「人それぞれだよ」みたいなクソコメントとは別の評価軸で、残酷に決する。
つまり、勢いだ。人をどれだけ熱狂させたか、である。本屋大賞のような賞レースの場合、瞬間最大風速がカギになる。
人に「これが1位だ」と思わせるには、それなりの分かりやすい武器があった方がいい。その方が人は酔いやすいからだ。勢いに任せることができる。
そういった意味で『星の子』のような作品な、本屋大賞という賞レースには不向きではないかと予想する。
以上の理由から、7位は『星の子』ということで。
個人的に宗教がらみの作品は大好きなので、こちらも後ほど読ませてもらおう。
続いては、前半戦が終了する…第6位!
ばばんっ。
『AX アックス』
「え、あの伊坂を低評価なの?」と思われる方もいることだろう。そう伊坂だからこそだ。
伊坂幸太郎の小説は面白い。クソ面白い。伊坂エンタメといえば、本好きの人であれば「あぁ、あんな感じね」と理解してもらえるぐらい、読書界に浸透している。
でも、だからこそなのだ。
もう今さら伊坂の作品をわざわざ「1位だ!」と言う人は全国にはもういないだろう。よくて3位だろうか。
『キラキラ共和国』でも書いた通り、本屋大賞の採点は1位が3点とぶっちぎりに高い。結局は「どれだけ書店員の1位を獲得できたか」というレースになる。
10人の書店員がいて、10人全員が「3位だな」と思うような圧倒的な人気を誇ったとしても、3人が1位に選出してしまえば、得点上はほとんど大差ないのだ。
つまり、本屋大賞の常連であり、しかも大賞を一度受賞してしまっている伊坂幸太郎を押す書店員は少ないのではないかと予想した次第である。
書店員さんがわざわざ1位に推す作品というのは、つまるところ「大賞を獲ってほしい作品」であり「大賞を受賞することで、世の中に知らしめたい作品」である。そこにはかなりの私情が挟まれる。応援したいという感情がかなり作用するだろう。
伊坂ぐらい有名で、面白さも安定しているのであれば、もう応援する必要もない。
ということで、6位は伊坂幸太郎の『AX アックス』。
『マリアビートル』の面白さは半端じゃなかったけど、『AX アックス』はどうだろうか。こちらも後ほど確認しよう。
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さてさて、続いては激闘の後半戦。
ただの素人の予想記事とはいえ、考えるこちらは真剣。ここまで書くのにも5時間ぐらい要している。我ながら暇人すぎるだろ。
そんな余談は置いておいて、では話を戻します。
第5位!
『たゆたえども沈まず』!!
原田マハの“美術小説”は、ある意味小説界にとって衝撃だった。
芸術の専門知識をこれだけしっかりと持っていながら、エンタメ的手法を包含している奇跡の存在。今までにこういう作品はなかった。
作家の単発ものであればいくつか思いつくけど、美術に絞って連続で執筆しているのは彼女ぐらいしか知らない。大体にして原田マハの経歴を見ると、引いちゃうぐらい輝かしい。完全に本物である。
『楽園のカンヴァス』で3位、『暗幕のゲルニカ』で6位と、本屋大賞では常連になりつつある。
小説読みには「物語と一緒に、知識も得たい」という欲求がある。一度で二度美味しいみたいな作品を好まれる傾向があって、原田マハの作品はこの需要に見事にマッチしている。さらに言えば、今回の作品は日本人が大好きなゴッホがテーマである。ダウンタウン松本人志もゴッホ好きを公言しており、人気に拍車をかけている要素となっている。
とまあ褒めまくっているのに、もっと上位にしなかったのは理由がある。
これも伊坂と同様に「安定の面白さ」があるからだ。
とにかく本屋大賞では「これぞ1位だ!」と興奮させる必要がある。または「作者をもっと有名にしたい!」という欲望である。
その点で言うと、これまでに数回ノミネートしている原田マハは弱いのではないだろうか。
逆に言えば、美術小説で名を馳せておきながら、ここで心機一転でさらに違うタイプの傑作を上梓していたら、 大賞になっても良かったと思う。
過去の例だと百田尚樹や三浦しをんがこのパターンである。複数回ノミネートを繰り返しながら認知させていき、書店員たちに「次こそは!」と思わせていたのではないだろうか。そしてそれに応えるだけの、一発をぶつけてきた。
決して悪いわけではない。でも惜しい。そんな思いを込めて、5位は『たゆたえども沈まず』。
正直この辺りの順位になってくると、だいぶ自信ない…。
とまあ、そんな不安も抱えつつ、お次は第4位!
『百貨の魔法』!!!
これはねー…迷った。ベスト3に入れるべきかどうかを。レビューを見る限りだと、相当な傑作っぽい。満足度がヤバそうだ。
感動要素が強いものも高得点だし、かなり無敵な作品、という印象。
でも最初にも書いた通り、短編集という点は見逃せない。
超面白い作品であっても、短編集だと読み終えたときの満足感とか達成感が、長編に比べて薄くなりがちである。
さらにいうと、こちらの『百貨の魔法』は続編とまでは言わないまでも、前回の本屋大賞で5位になった『桜風堂ものがたり』と非常に関連の強い作品である。こうなると、例の「続編ものは高い評価を得られないルール」が発動し、高評価を得られたとしても、ベスト3に届くまでは行かないのではないか、というのが私の予想である。
なので感動作として話題を掻っ攫っている『百貨の魔法』は第4位!
と書きながらも、「本当に?」と自問せずにはいられない。意外とすんなり大賞を獲ってしまうかも…。感動作にはみんな弱いからなぁ。
さあさあ、不安だらけのこの記事もそろそろ終わりを迎えようとしている。
ここからは佳境のベスト3である。
まさかこんなに長ったらしい記事になるとは、思わなんだ。この時点ですでに1万文字超えてるからね。
では…まずは…第3位!
こいつだっ!
『盤上の向日葵』!!!!!
今、乗りに乗っている作家柚月裕子。女性らしからぬ骨太なストーリーは、多くの人を魅了する。
以前からその実力は認められていたが、今回遂に本屋大賞にノミネート。実力の高さから一気に大賞獲得か?!と思った。いや、この記事を書き始めたぐらいのときは、完全に『盤上の向日葵』を大賞にしようと思ってた。そう思って書き進めていた。
タイトル的にも大賞映えしてて「それっぽい」感じがする。「2018年本屋大賞は『盤上の向日葵』!!」って、全然想像できる。
でも私は踏みとどまった。Amazonの数少ない低評価もそうなのだが、ある一点が…。
それは、この作品が“将棋”を扱っているからである。
「おいおい、何言ってんだよ、このクソブロガーが。お前知らないのか、昨今の将棋ブームを。去年どれだけ将棋の話題が世間を賑わしたと思ってんだよ。そんな話題に乗ってることのどこがダメなんだよ?脳みそ沸いてんのか」と思われる方もいることだろう。いないかかもしれない。私の完全なる被害妄想かもしれない。脳みそが沸いているからよく分からない。
そう、その通りなのだ。昨今の将棋ブームに乗っているならば、それはプラスに作用するはずなのだ。
でも、だ。
本好きはきっとそんな一筋縄ではいかないと私は思う。
むしろそういった「話題性に乗りやがって」みたい思う、斜に構えた連中が多いことだろう。というか、私がそうだ。10位にした『騙し絵の牙』と同様に“混ぜ物感”が生まれてしまっている気がする。若干ではあるが…。
ほとんどイチャモンみたいなことを書いてしまったが、以上の理由から3位は『盤上の向日葵』とする。
あー、やっぱり外したかなー。柚月裕子、めっちゃ面白いやつばっか書くからなー。深読みしすぎたかも。
さあ、残るは2作!果たして大賞はどちらなのかっ?!
では行くぞ!第2位っ!!!!
『崩れる脳を抱きしめて』!!!!
こちらも全然大賞でもおかしくない作品だと思う。
去年ぐらいからの書店での超強力プッシュっぷりといい、「どんでん返しの名手」という地雷感たっぷりの触れ込みといい、今、完全に流れが知念実希人の元には来ている。しかも今回の『崩れる脳を抱きしめて』は、最初に話題になった『仮面病棟』と違って、ちゃんと「どんでん」が効いているらしいし、しかも感動作と来ている。
私は思った。「これはっ…!」と。←中身無し
完全に大賞を獲るやつの流れじゃねーか。来てる。間違いなく来てる。
じゃあ大賞は『崩れる脳を…』って、あれ?ちょっと待てよ。このタイトル…なんか…脳…?…臓器…?これって完全に臓器じゃん。内臓じゃん。タイトルに内臓の名前が丸出しじゃん。
2016年のときに大ブレイクした『君の膵臓をたべたい』の前例にもある通り、どれだけ力を持った作品だとしても、タイトルで僅かながら大賞に届かないこともある…。もしかしたら、今回もこのパターンになるかも…。
『崩れる脳を抱きしめて』って、『君の膵臓をたべたい』の二番煎じ感が凄すぎない?
あと、これもイチャモンみたいなことなのだが、作者の知念実希人が「現役医師」という肩書を持っていることも、マイナスポイントである。
書店的には森博嗣の「国立大学助教授兼小説家」みたいに、「現役医師兼作家」という触れ込みで売りやすいと思う。
しかしながら、やはり本屋大賞という冠を授ける作品には若干のノイズになる気がする。もっと純度の高い作品を推したくなると思うのだが、どうだろうか…。
ということで、これまた非常に自信がないのだが、ここまで来たら勢いで行くしかない。
第2位は知念実希人の『崩れる脳を抱きしめて』で。
理由がこじつけ過ぎたかなー。でも「圧巻のラスト20ページ」なんていう軽薄なフレーズもちょっと鼻につくし、表紙のやったる感もちょっと減点ポイントなんだよなー。
さて、どうなることやら…。
さあ、残るはあと1作。もう言うまでもないだろうが、ここまでの流れを踏襲しようじゃないか。
では最後は栄えある第1位!!
つまり2018年本屋大賞受賞作は…
『かがみの孤城』!!!!!
パチパチパチパチ…。
って、まるで自分が大賞を決定しているかのような錯覚に陥っているが、これは完全に私の予想というか妄想である。ただの妄想にこんな1万文字超えの記事を書くことになろうとは、どれだけ人生を無駄遣いすれば気が済むんだ私は。
さあ、辻村深月の『かがみの孤城』である。
辻村深月も本屋大賞では常連中の常連。みんな大好き辻村深月だ。
なんだかんだ言って、本屋大賞は作家のファンの数が結果に作用する部分が大きい。何度も繰り返すが、大賞を獲るためにはより多くの書店員から「第1位にしたい」と思わせないといけない。そうなると、元々のファンが多い作家ほど有利に運ぶのは間違いない。
そしてきっと今まで辻村深月がノミネートされ続けてきたのも、彼女の高い筆力とストーリーテリングだけでなく、そういった“熱心なファン”が絶えなかった部分が大きいだろう。
日本でも有数のイロモノ文学賞である“メフィスト賞”でデビューを飾った辻村深月。
そんな彼女を長年見てきたファンからすれば、「もうそろそろ大賞をあげたい」と思ってしまうことだろう。
今回で本屋大賞にノミネートするのは4回目だ。もういい加減許してあげよう。高梨沙羅みたいな顔をしているのはもう関係ないはずだし、きっと今は褒め言葉の部類に入るだろう。
書店員が投票する、という本屋大賞のシステムから言っても、今回辻村深月が大賞を手にするのは必然の流れだと私は思っている。
以上、読書中毒ブロガーが予想する「2018年本屋大賞」は辻村深月の『かがみの孤城』でしたっ!!
ただなー、一点だけ不安な点が。
今までの大賞作品と違って、ちょっとあらすじがボンヤリしすぎてるんだよなー。「こういう作品です」と紹介しにくい点が、どう作用するか…。
いやー、それにしても疲れた…。合計13049文字の記事です。誰か褒めてくれ。
以上!
読書中毒ブロガーひろたつが、生涯をかけて集めた超面白い小説たちはこちら。