どうもひろたつです!今回も得意な小説紹介と行きましょう。
紹介するのはこちら。
人体模型の夜 (集英社文庫) | ||||
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このクソダサイ表紙にダマサれることなかれ、内容は超一級品の品質です。今までに小説を1000冊以上読んできた中でも忘れられない衝撃を受けました。
短編に必要なもの
この作品は、物語を語る人体模型と少年の対話をベースにした短編集になっています。
短編には短編の良さがあり、長編には長編の良さがあります。どちらも小説の雛形として永遠に愛されるものです。
その短編の中でも色々と味の付け方があるとは思いますが、もっとも必要とされることは”数ページで読者にどれだけ伝えるか”です。私はこれを「切れ味」と表現しています。
切れ味のいい短編集は極上です。そしてその極上がこの『人体模型の夜』なのです。
著者の異色作
著者の中島らもと言えば『ガダラの豚』に代表されるようにコメディタッチのものが有名です。
『人体模型の夜』はジャンルで言うと完全にホラーです。ホラーですが切れ味が半端じゃないです。サクサク切り裂かれます。
長らく作家生活を送っていると神が微笑むとでも言いましょうか、時に全く毛色の違う作品でさらにとんでもない傑作が飛び出すことがあります。それがまさに今作なのです。
ただ、中島らもはアルコール依存だったこともあったり、薬物に手を出したことも数えきれず…。この作品のクオリティを鑑みるにドラッグの力を借りたとしか思えません。それぐらいに飛び抜けています。
中島らもの普段のコメディ作品も素晴らしいんですけどね。著者の作品はほとんど読みましたが、この『人体模型の夜』が最高傑作だと考えています。
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もう失われました…
こんな傑作を生み出してくれた中島らもですが、2004年に自宅の階段から転げ落ちて亡くなっています。きっと泥酔でもしていたのでしょう。彼らしい最後ですよ。中島らものアルコール中毒ぶりが伝わってくる名作がこちら。
今夜、すベてのバーで (講談社文庫) | ||||
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これも素敵な作品です。アルコールに魅せられた若者を、悲しくもシニカルな笑いで包み込んだ傑作です。小説の体をとってはいますがほとんど中島らもの実体験でしょう。
ということで、彼の新作を読むことはもうできません。この世から永遠に失われてしまったのです。まあ仕方ありませんね。
残された私達は、彼がこの世に産み落とした作品達を楽しむことしかできません。
常人の脳みそから出てこない、ドラッグが力を貸すからこそ生まれた物語達を堪能してください。
人体模型の夜 (集英社文庫) | ||||
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