アーティストは変わってしまう
ひとつのアーティストをずっと好きでいるのは難しいことです。なぜなら表現者というのは得てして変わることを求めるからです。
代表的な例で言うと、クリアな歌声がウリの歌い手は歳を重ねるにつれて、あえてハスキーな声になろうとします。逆もまた然りで、言い方が悪いかもしれませんが歌声が汚い歌い手は徐々に綺麗な歌声になろうとします。お互いに自分にない要素を求めてしまうんですね。
HYの主軸
デビュー以来ずっとインディーズで活動を続けているHYですが、今では人気アーティストとしての地位を確立しています。その理由はさまざまあれど、HYをここまでの人気に押し上げたのは間違いなくVo.&Keyを務める仲宗根泉の存在が大きいでしょう。まさにHYの顔です。
バンド内で紅一点の彼女ですが、ビジュアルで売るタイプではありません。純粋にそのクオリティと魅力を武器にバンドの中での地位を確立しています。 いや、ふっくらした見た目は多くの人に安心感を与えるかも…?まあ、それは置いておくとしても私はこういうタイプのアーティストが大好きです。音楽家が音楽性で勝負せずに何で勝負するんだって話ですから。美人で評価を何割も増すのは卑怯だし、そんなのにダマされちゃう客がいけない!なんて思うのです。もっとみんな耳を肥えさせろ!
スポンサーリンク
仲宗根泉の武器
話が逸れました。
そんな仲宗根泉ですが、彼女の武器とは何だと思いますか?ざっとあげてみましょう。
・片思いに揺れる女性の気持ちを代弁した歌詞。
・ポップからゴスペルまでこなす歌唱力。
・切なさを最大限に生かしたバラードのメロディー。
主な所はこんな感じでしょうか。
この中でも特に重要なのは歌唱力です。
彼女が歌うとメロディーが栄えるんです。これができると聴いた人の心をわしづかみにすることができるんですよね。ぐわしっと。
カラオケで素人が名曲を歌ってもそこまで魅了されることはありませんよね。それは歌声にメロディーを伝える為の説得力が欠けているからなのです。これは音程とかテクニックとかの問題ではありません。いや、少しはあるのでしょうが、最大の要素はその声質そのものにあるんですよね。伝わってしまう声というか。
大ヒット曲で確かめてみる
みんな聴いたことがあるでしょうが、実際に検証してみましょうか。
HY - 「AM11:00」 Live Music Video
この曲が一番分かりやすくも残酷なほど差が出ています。1番はVo.の新里英之が主に歌っています。大体にして彼はそこまで歌の上手い方ではないのですが、2番の仲宗根泉と比べると圧倒的にメロディーの耳への入り方が違うのが分かります。いやーボーカル殺しですな。
ちゃんと継続している
冒頭で話したようにアーティストは変化を求めます。そして多くのファンはそのままでいることを求めるので、「あの人は変わっちゃった…」という落胆現象がよく起こります。皆さんも経験があるのでは?
表現をするためには何か新しいものに触れて感動したり、影響されることが必須なので色々と見ている内に変化するのは当たり前なんですよね。
ですが、仲宗根泉の方向性は定まったままです。昔のファンがそのまま愛し続けられます。これは凄いことですよ。
日本のアーティストで見るとあまりいないタイプです。それこそB'zとかドリカムとかかな…?
変わることが悪いわけではありませんし、変わらないことがいいことでもありませんけど、仲宗根泉の変わらない魅力というのは確実にファンを惹きつけているな、と思う次第であります。