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太陽は距離があるから好きになれる。箕輪厚介『死ぬこと以外かすり傷』

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どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。

たまに書いちゃう、「記事タイトルですべて語っちゃってるシリーズ」である。

 

内容紹介

 

 

ベストセラー連発!わずか一年で100万部突破!天才編集者の革命的仕事術。 

 

このご時世に「出版不況って何?」と豪語する超暴れん坊編集者、箕輪厚介。口だけじゃなくて、ちゃんと売れまくっているのだから、凄まじい。

そんな彼が初の自著を発表したというので、どれだけ薄っすい内容なのか確かめたくて、わざわざ発売日に買って、しかもすぐに読み終えてやった。

 

で、感想はざっくりまとめると、こんな感じである。


最大の特徴は「暑苦しい」
読むとなんか燃えてくる
内容は少ない(物足りない)
一緒に仕事したくないなぁ
いつものパターンでうんざりする


以下にそれぞれ詳しく説明していこう。

 

最大の特徴

私は勝手に日本一の読書ブロガーを名乗っている。なので本を紹介するときは、なるだけ多くの人に理解してもらえるような、キャッチフレーズや評価をするように心がけている。

で、『死ぬこと以外かすり傷』を評価する際に、万人に納得してもらう表現はなんだろうか、と考えたときに出てくる言葉はひとつしか見つからなかった。

 

暑苦しい。

 

これに尽きる。

 

著者の箕輪厚介の実績は本物である。このご時世に百万部を達成するのは異常だ。それに情熱も溢れんばかりに持っている。正真正銘のインフルエンサーだし、行動力は桁外れ(編集者がなぜか水道橋博士とキックボクシングをやったりしている)。

まさに”仕事のできる男”である。夢中で生きている彼を否定すると、否定している側が悪役に見えるパターンである。うーん、暑苦しい。

 

勘違いしてほしくないのだが(本当はされても全然平気なのだが)、暑苦しい暑苦しいと繰り返しているが、別にそれは悪いことでもない。

これは「熱源がある」という現象に対しての私の感想でしかない。

なので別の人からすれば「感化される」になるだろうし、「元気or勇気をもらいました」となるだろう。夏と冬で太陽の暑さに対する感想が変わるのと似ている。

 

感化されちゃう

私は基本的に燃えるタイプではない。淡々と静かに楽しんでいきたいタイプである。テンションを上げたくない。

ただそんな私でもこの『死ぬこと以外かすり傷』を読了後は、妙にテンションが上ってしまい、何かを始めたくなるような気持ちになってしまった。結局何も始めなかったけど。もしかしたら筋トレしながら読んでいたのが原因かもしれない。

人間というのは単純なもので、周りに一生懸命な人がいるとつられて一生懸命になってしまうし、倦怠感が蔓延してたらぐったりするものである。基本的に人は周囲の平均値になるようにできている。

だが中にはそんな場を支配する”空気”を破壊するのが得意な人がいて、著者の箕輪厚介はまさにそれである。もっと簡単な言葉を使うならば「わがまま」である。

一緒にしていいものかどうか疑問だが、スティーブ・ジョブズにせよ、イーロン・マスクにせよ、圧倒的な結果を出す人というのは総じて「わがまま」な人間である。芯があるといえば聞こえはいいが、ただ単に自分の意見(欲望)を押し通したいだけだったりする。

しかしそれだけの熱量を持った人なので、やはり周りにいる人は感化されたりして、なんならこうやって文章越しだったとしても、その熱量にあてられてしまう。これは素直に凄いと思う。

 

褒め要素はここまで。

 

内容が物足りない

私がケチなだけかもしれないが、これだけの金額なのであればもうちょっと内容が充実していてもいいんじゃないかと思う。熱量は感じるけれども、情報量的にも構成的にも、さっさと作り上げた感が凄い。どこかで見たような内容ばかりだった。

もしかしたらこういうのが流行っていて、私がそこにハマっていないだけなのかもしれない。

現に最近のビジネス本は空白が多くて、ページ数の割に文章量が全然である。でもそれが実際にウケていて売れているのだから、きっと多くの読者は文字を読みたいんじゃなくて、ページを捲りたいだけなのだろう。ページを捲ることに達成感を得ているのかもしれない。別に誰がどんなことで達成感を得ようと私は否定するつもりはない。みんな好きに生きればいい。偉そうなことを書いている私だって、読まずに積み上げるだけで満足感を得ているのだから。

 

遠くにいてください

燃えない私なので、箕輪厚介のようなタイプは苦手である。遠くにいる分には楽しめるのだが、近くにいたりするとダメだ。ましてや一緒に仕事とか絶対に無理である。そっちのペースに巻き込まれたくない。

箕輪厚介自体が嫌いなのではなく、それぞれに適正な距離感があるだけなのだ。

上の方で箕輪厚介を太陽に例えたがまさにそれで、太陽だってあの距離にあるからバランスを取れるわけで、近づかれたら焼き尽くされてしまう。どんなに好きな人だって、あまりにも密着されたらウザいだろう。(え、そんなことない?だったら、好きな人が体の中に入ってくるのは平気ですか?)

 

私は職場で大量の部下を抱えている身なので、人間関係のトラブルにはかなり精通している。

で、人間関係のトラブルと言っても色々あるけれど、結局は「距離感を見誤っていること」が原因である。

なのでぜひとも箕輪厚介氏には、私から遙か遠く離れたところで燃え上がってほしいと思う。そうすれば私は心地よく温まることができるはずだ。

 

このパターン多すぎない?

私がビジネス書を読み過ぎなのだろうか。やたらと最近、このパターンを見かける気がする。

 

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圧倒的…余白…っ!!

 


読みやすいのはいいのだが、これはあまりにもページ数の無駄である。どれだけデカイ文字を求めているんだ、世のビジネスパーソンたちは。みんな老眼なのか。少子高齢化の影響なのか。うちの保育園児たちが読んでる絵本だって、これよりもはるかに文字小さいぞ。

 

確かに文字がデカければインパクトがある。まるで強い語調で言うような効果があって、読者にガツンと影響を与えられるかもしれない。

だがその手法は下品すぎるだろう。

声がデカかったり、語調が強ければ、相手を圧倒できるかもしれない。影響させることができるのかもしれない。だが、それって本当の意味での”伝える”なのだろうか。ただ単に押し切っているだけでは?相手への誠意を失っていやしないか。

 

とまあ被害妄想気味の私は文字がデカイだけで、ここまで考えを膨らませることができてしまうわけだ。ただのデザインですね、はい。もう黙ります。

 

総評

色々書いたけど、私は基本的にベストセラーを歓迎している。愛する出版業界にお金が流れてくれれば、それだけ新たな才能にお金を注ぐことができる。面白い作品が世に生まれる。
なのでこれからも箕輪厚介には大暴れしれもらって、ガンガンどうでもいい本を、脳みそガバガバの人たちに売りさばいて欲しいと思う。

 

以上。