どうも、『俺だってヒーローになりてえよ』の映画担当スズキです!
この度ボクの人生が今まで観てきた映画の中でも“最高傑作”と言える作品に出会えました!
これは本当にヤバイですっ。どれだけヤバイかって…
・2017年の限定公開では連日ソールドアウト
・国内外問わず、さまざまなインディペンデント系映画祭で受賞
・2018年の夏、ようやく都内2館で の劇場公開も異例の満席続き
・そこから次々と公開館数が増加中!
この流れは昨年大ヒットした『この世界の片隅に』と非常に似ています。
超マイナーだったにも関わらず、あまりにも面白い映画なので口コミで人気が広がり続けているんですね。これこそ本物の映画の証…!
間違いなく誰にでもオススメできる最強映画なのですが、ひとつ注意点が…!
それは…
事前知識なしで観ると死ぬほど面白い!
ということです。
分かりますか、「死ぬほど」ですよ。
なので少しでも『カメラを止めるな!』に興味のあるあなた!そう、そこのあなた!こんな記事を読んでいる場合ではありませんっ。今すぐブラウザバックです。そして劇場へGOです。
マジで人生最高レベルの映画体験ができるので、ぜひ劇場で味わってもらいたいと思います。これを逃すのは、あまりにももったいなさすぎます。
ちなみにこちらが公式サイトです。
公式の予告編でも若干ネタバレ要素があるので、それすらも見ないほうがより一層楽しめるかと思います!
ではここから先は、予告編程度のネタバレを含むレビューになります。
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監督&俳優養成スクール「ENBUゼミナール」のワークショップ《シネマプロジェクト》の第7弾作品。
長編初監督となる上田慎一郎監督と、無名の俳優たちが送るエンターテインメント映画。
それが『カメラを止めるな!』です!
強烈な出だし!
まず出だしから衝撃的なのが、ゾンビ映画にしながら37分間完全ワンカット撮影。
正直、こんなの正気の沙汰とは思えません。近年撮影・編集技術の進歩でワンカット"風"映画が何本も出てきましたが、この映画は、37分間と「映画」としては短い時間ながら本当のカメラ1台長回しのワンカットで撮影されています。
ワンカッ トで表現される利点として…
「カット割りが無いことによる没入感」
「自分と近い目線の高さ」
「走ったときの揺れ」
といった要素によって、あたかも自分が役者と共に現場に居るように感じることが出来ます。
そして、ただのワンカット撮影なだけではなく、これは「ゾンビ映画」です。
戦闘シーンや血や傷跡の特殊効果、特殊メイクなどなど裏でやることが多いのがゾンビ映画です。本来なら、用意して撮って、用意して撮って…を繰り返して作り上げるのに、『カメラを止めるな!』では力わざでやってのけています。いやー、ほんと変態的。
何か違和感が…
場所は山奥の廃墟。ゾンビ映画を撮影している一行。
なかなか思うように画が撮れない監督と、その監督の横暴さにイラつく出演者たち。
そんな一行は撮影中に本物のゾンビに襲われます。
撮影クルーは一体どのような行動を取るのか…
という出だしなのですが、割とありがちな設定だったりします。
しかーし。どうもなにかおかしな場面が多々ある…。
本当のカメラに向かって叫ぶ(=第四の壁を超える)監督役、
不自然な流れの盛り上がらない会話、
急に進まなくなる話、
ループする会話などなど…。
これは、一体…?
もやもやが止まりません。
「ワンカット撮影なのは挑戦的で面白いけど、どう考えても出来の低すぎる映画じゃないか…?」
「いや、でもなんかおかしな雰囲気が…」
「なんか辻褄も合わなくなるギリギリのラインでどうにか進んでる話だな…」
なんて思いながら見守っていた37分後、エンドロールが流れます。
良いのか悪いのか評価がつけづらく、
「面白かったけど違和感だらけのよくわからないものを見せられたな…」
なんて思った次の場面、時間は1ヶ月前に戻ります。
ゾンビは壮大な前フリ
「なぜワンカットでゾンビ映画を撮影することになったのか?」という話が描かれます。実はメタ映画だったのですね。
ここからは怒涛の展開を見せてくれます。
ゾンビ映画内での監督役が本当の「監督」として仕事を任されたのに、なぜ「監督役」として出演しているのか?
映画内にあったおかしな場面、ここがダメだな…なんて感じた場面では何が起きていたのか、なぜ起きたのか?
そのすべてが爆笑ポイントとして明かされていきます。
次々と明かされる予想できない撮影の裏側、とにかくワクワクが止まりません!面白さが波状攻撃を仕掛けてきます。
前半のゾンビ映画部分で「笑っていいのか…?」と思ってしまった場面はもちろん、失敗かと思われていたシーンにもちゃんと理由があったり、逆に違和感なく見ていたシーンの裏側では常に何かが起きていたりと、「そういうことだったのか!」感が半端じゃないです。
中には「本当のワンカット撮影」という都合上、撮影の際に本気で起きてしまったハプニングもあったようなのですが、それすらも「劇中劇の撮影中のハプニング」として上手く使われていたりします。タフすぎます。
前半がワンカットだったのに対し、
後半の「撮影中の裏側パート」はめちゃくちゃカットの切り替わりが多くテンポがとにかく早いです。
その早さに乗せられて、次々と伏線を回収していく様子が最高に気持ちいいです!
ちゃんとドラマでも魅せてくる上手さ
この見事な伏線回収と共に、
「大勢で一つのものを作り上げる青春ストーリー」と「父の娘の物語」が繰り広げられます。ドラマでも観客を魅せてくるんですよ。凄すぎませんか。
無謀とも言える「ワンカットゾンビ映画を撮る」という難関に立ち向かうスタッフ達。そこで起きるハプニングを全員で乗り越えようとする「映画撮影を撮る映画」という二重構造映画として、もうすでに十分出来が良いのに、まだ面白さを被せてくるんですよ!
プロデューサーにへこへこと頭を下げ続け、うだつの上がらない監督と、情熱だけが先走る娘。この2人が最高に魅せてくれます。
すれ違い続ける父と娘。親子関係の難しさを、それとなく観客に語りかける描写。押し付けがましくない所がさらに◯。
そんな親子にも転機が訪れます。
イケメン男優目当てで現場見学に来た娘の前で、父親はプレッシャーと現場に対する熱意が高まり、ついついプロデューサーにまで強く出てしまったりとかして。
そんな姿を見た娘は、父を見直し親子の絆が深まる…とか。
こんな文章じゃ伝わらないでしょうが、気がつけば感動作ですよ。なにこれ?凄すぎ。
そして、予想を軽々と飛び越えるラストに、思わず膝を打つような伏線。
観終わった瞬間に快哉を叫びますよ、これは。
とにかく…凄すぎましたっ!!
二重かと思いきや三重世界?
いや、もしかしたら監督役を演じているように見えて、自分のなりたかった"監督"になりきっているのかもしれない…。
そうすると監督役としてのセリフなのか、撮影監督としてのセリフなのか?
そんなことを考えているうちに、フィクションである映画の中の世界と現実の世界がごちゃごちゃになってきます。
裏側世界を見せてネタバラシ、という構成のはずが、世界の境目が見えなくなってきちゃいました。
『カメラを止めるな!』が仕掛けたこの壮大な構成に対して「裏側を見せてネタバラシなんて後出しジャンケンじゃないか!」
なんて言われたりするのですが、それは大間違いです。
これは「緻密に練られすぎた脚本」なんです。
この映画の衝撃は事前情報無しの1度目しか味わえません。
しかし、裏側を知ったからこそ余計に笑えて仕方ない2度目以降の楽しみもあります。一粒で二度美味しいってやつですね。
映画でしか出来ないこと、映画だから面白いことに溢れている作品です。
こんな体験ができる映画はなかなか出会えない!というか、他に知りませんっ。
全く予期できない展開と、映画あるあるシーン。
笑えて仕方ない場面がたくさんあるのに 、感動も出来る。
こんなに素晴らしい映画が、日本で、しかも超低予算で作られたことに驚き、また感動です。日本映画バンザイ…!
そして、改めて「映画が大好きだ!」と思わせてくれました。
ボクにとっての人生ベストの1本になりました。きっと皆さんにも最高の思い出になる映画だと信じています。ぜひご覧ください!
以上、スズキでした!最後までお付き合いいただき、感謝します。