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発想が素晴らしい『こどもの詩』の傑作46本を紹介する

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どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。

 

読書中毒を自称する私は、生粋の言葉フェチである。絶妙なセンスや視点から繰り出される言葉を目にすると、誇張ではなく悶絶する。というのはさすがに誇張だが、興奮してしまうのは確かだ。

 

小説・俳句・コピーライティングなどなど。私の琴線に触れる作品はたくさんある。

その中でも最近私の中で熱いのが、詩である。それも子供の詩

常識や知識によって固定された視点からは、到底生まれないであろう発想。純粋すぎる観察眼。周囲の愛情。

彼らの言葉は、そんな素晴らしい要素で満ちている。

そしてなによりも良いのが、狙っていないことだ。打算がない。素直に口から出てきた言葉が輝いている。まさに言葉の宝石である。

そんな彼らもいつかは我々のように大人になり、宝石のような言葉を生み出せなくなっていく。人生の一時期にしか生み出せないと思うと、余計に価値を感じてしまう。

 

ということで、今回の記事では私が特に「これは…!」と感銘を受けた子供の詩を紹介する。

今後も名作を見つけ次第追加していこうと思う。

 

では行ってみよう。

 

 

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1.「ゆうれい」

 

ぼくが、ゆうれいを

みたことがないと

いったら、

おじいちゃんと

おばあちゃんが

ひゃくさいまでいきて

しんだら、

でてあげるねといった。

ぼくは、

とてもたのしみだ。

 

きっとまだ死というものが恐怖の対象ではない年頃なのだろう。

「死」や「幽霊」という暗くなりがちなテーマを扱っているのに、こんなにもほっこりしてしまうのは、この子が周囲から愛されていることが伝わってくるからだ。

 

 

2.「とけい」

 

もうちょっと

ゆっくりの

とけい

かいたい

 

 幼稚園の支度を急かされたときの言葉だそうだ。至言過ぎてぐうの音も出ない。私もほしい。

それにしても、この文字数でこの破壊力。「咳をしても一人」に通ずるものがある…というのは言い過ぎか。

 

 

3.「おべんとう」 

 

まま

きょうのよる

おべんとうつくって

(どこに持っていくの?=母)

ゆめにもっていくの

 

可愛すぎる。こんなん言われたら抱きしめちゃうでしょ。

ぜひとも幸せな夢を見てほしい。

 

 

4.「チョコレートになあれ」

 

おとうとが

アーモンドチョコたべた

アーモンドをのこして

そっと土の中へうずめた

水をあげて

つぎの日も水をあげて

「はやくチョコレートになあれ」と

いった

ぼくは

とっても おかしかった

だけど いっしょに

「チョコレートになあれ」と

いった

 

弟さんが何歳で、どれくらい年の差がある兄弟なのか分からないけれど、ほんのわずかな年齢差で、「普通」が「おかしい」になってしまう。

一緒に「チョコレートになあれ」と願ってしまう兄の、成長途中のいじらしさのようなものが垣間見えて、とても微笑ましい。 

 

 

5.「ママ」

 

あのねママ

ボクどうして生まれてきたのかしってる?

ボクね ママにあいたくて

うまれてきたんだよ

 

本当に幼児が自らの言葉で言ったのだとすれば、ママはどれだけ救われるだろう。

これが大人の口や、本などから出てくると、途端に宗教色が強くなるから不思議である。

 

 

6.「パパ」

 

パパは まいにち かいしゃで

おすなばあそびをしているんだよ

だって

おくつに

すなが はいっているから

わかるよ

いまごろ ママのかおを

かいているのかなあ

 

お父さんは建設業だそう。砂=遊びという単純な図式が可愛くって仕方ない。

 

 

7.「何か言うとき」

 

お母さん

かんじとか

かたかなは書けるけど

何かを言うときは

ぜんぶ

ひらがななんだね。

 

この感性が素晴らしい。思わず考え込んでしまった。

確かに、平仮名もカタカナも漢字も、文字表記の問題であり、音になってしまえば関係ないものである。

 

 

8.「吸血鬼」

 

ね お母さん

吸血鬼がきたらどうしよう

 

だいじょうぶだよ

うちには

ニンニクが沢山あるから

 

でも お母さん

吸血鬼が

鼻をつまんできたら

どうしよう

 

悪臭で撃退してるということなのだろう。でも考えてみれば、恐ろしい怪物が「ニンニクがあるだけで退治できる」という設定は、あまりも都合が良すぎる。

 

 

9.「太陽」

 

ねえ ママ

太陽って いくつあるの

 

ぼくのおうちでしょ

ほいくえんでしょ

おおさきでしょ

かまがやでしょ

まりちゃんのおうちでしょ

 

道を歩いてても あるしネ

 

やっぱり

八こは

あるんじゃない

 

もっている知識で世界の見え方は変わる。太陽が何個もあるなんて、大人なら絶対に思いつかないだろう。間違っているけれど、ある意味で正しい。

素直に受け止めれば、世界はこんなにも不思議で溢れているわけだ。 

 

 

10.「あめ」

 

あめ ちょうだい

いっこだけでいいです

あか と みどり 

 

声に出して笑ってしまった。切れ味が素晴らしい。意外な展開って、まさにこういうことでしょう。 

 

 

11.「がいこつ」

 

ねえ

おかあさん

ねえ ねえ

けんちゃん(弟)が笑うと

けんちゃんの がいこつも

いっしょに

笑っているの?

 

さきほどの太陽と同じように、持っている知識で、日常が不思議に変わる一例である。

いつも当たり前に眺めているみんなの“顔”。その下にはガイコツが潜んでいることなんて、普段は意識もしないだろう。

 

 

12.「おとうちゃん大好き」

 

おとうちゃんは

カッコイイなぁ

ぼく おとうちゃんに

にてるよね

大きくなると

もっとにてくる?

ぼくも

おとうちゃんみたいに

はげるといいなぁ

 

親になると分かるけれど、この世で一番“愛”という概念の体現者は子供である。親にはないレベルで相手を認めてくれる。そんな子供からすれば、ハゲさえも尊敬すべき対象なのである。

 

 

13.「鮎子の用事」

 

あゆこね

ママと

ぎんこうに いってくるの

 

何しに行くの(祖母)

 

おすわりしに いくの

 

世界一優雅な役割である。ぜひ全うしてもらいたい。

 

 

14.「うまれたんだね」

 

「あ ヒコーキだ」

「ちいさいね」

「うまれたんだね」

 

空に飛行機を見つけたときの、友達との会話。

小さいものを「生まれたて」と発想できる柔らかさ。唸ってしまう。

 

 

15.「れ」

 

ママ

ここに

カンガルーがいるよ

 

 アスキーアート全盛期に「ぷ。」を「ボーリングやってる人」と表現した人を天才だと思ったことがあったけど、この子の発想も素晴らしい。

 

 

16.「みぬいている」

 

あかあさん

あたしのおともだちが

あそびにくると

やさしいかお

してなくちゃ

なんないから

つかれちゃうでしょ

 

小学校1年生の言葉。大人が取り繕えば子供を騙せる、と思ったら大間違いなようだ。憎らしくも可愛い言葉である。

 

 

17.「六時さん」

 

――六時よ すぐ夕ごはんにするからね

お姉ちゃん まだかな

――六時だから もう帰ってくるよ

(テレビは)ニュースの時間だし

お姉ちゃんの帰ってくる時間だし

夕ごはんの時間だし

六時さんは

いそがしいねえ

 

これは凄い。時間側から世界を見るなんて…! 思いつかないレベルでは、この記事で紹介した詩の中でトップクラス。

 

 

18.「さくら」

 

おばあちゃん

おはなみにいって

さくらのはなが

ごはんのうえに

おちてきたら

どうしたらいいの

 

地球に存在する疑問の中で、間違いなく一番美しい疑問である。美しすぎて圧倒されるレベル。純粋さの暴力である。うん、これは暴力だ。死ねる。なんかツラい。

 

 

19.「大発見」

 

フーの息は

口先からだから

冷たいんだね

ハーの息は

心からくるから

あったかいんだね

 

どこの偉人の名言だよ。墓石に刻むわ。

 

 

20.「みどりちゃんへ」

 

天国での夏休みどうだった

天国がっこうで

たんぼの田ならった?

くものプール

ほしのこうえん

つきのすべりだいに ベッド

いろいろなものがあるのかな

かみのけ ながくなった?

 

7歳で亡くなった友達のために書かれた詩。

言葉の力とは、その人の思いが純粋であればあるほど強力である。たったこれだけの文章で泣かされたよ。感服。

 

 

21.「がれき」

 

こう戸の大しんさいのニュースで

がれきという言ばを知った

がれきは「あっても何のやくにもたたないもののたとえ」

と じ書に

のっていた

でも こう戸のは がれきじゃない

ぜったいにちがう

こう戸の町にあるのは

一人一人の大切な

こわれてしまった

たからものなんだ

 

誰かの思いになってあげる。その優しさが、厳しい言葉となって吐き出される。世界がこんな優しさで溢れてほしい。

 

 

22.「かさ」

 

(お店やさんごっこをしていて)

これ(かさ)は

あめのおとが

よくきこえる きかいです

 

天才的。完全に売れっ子コピーライターの仕事でしょ。

 

 

23.「きゅうしょくのせんせい」

 

きゅうしょくの

おだかせんせい

ほいくえん

やめちゃうんだって

けっこんして

だんなさまに

おいしいの

つくってあげるんだって

だんなさまが

ほいくえんに

たべにきてくれれば

いいのにね

 

名案。先生がこれを言われたら、どうやって返したらいいか悩むレベルでしょう。

 

 

24.「ぼう走ぞくへ」

 

ぼう走ぞくとかいって

ただ走ってないで

新聞でも

くばって走れ

 

これはけっこうネットで出回ってるから有名かも。名言です。頭が下がります。 

 

 

25.「たちしょん」

 

あっ

おしっこが

たびにでた

 

そう来たか。ただのオシッコも、子供からすれば主体を持った生き物です。いってらっしゃい。

 

 

26.「つかれーたー」

 

ママ きょうは

かいだんでいく?

つかれーたーでいく?

ママのすきな

つかれーたーにしてもいいよ

 

ママの疲労が伝わってくるのと同時に、エスカレーターが疲労の象徴になってしまう悲しさが面白い。しかもなんかしっくり来るし。

 

 

27.「とうみん」

 

ぼく ふゆやすみになったら

とうみんしたいな

でも ゆきがふったら

おこしてね

 

子供特有のこういう身勝手さって、なんて可愛らしいんでしょう。一発で幸せな気持ちになれる。もしかしたら私たち大人も、これくらい気軽に勝手でいいのかもしれない。

 

 

28.「すき」

 

きょじんと

おやまと

きょうりゅうが

くっついたぐらい

ママがすき

 

限られた語彙の中で、精一杯「すき」を伝えようとしてるのが分かる。伝えようとしたその気持ちが嬉しい。

 

 

29.「おちば」

 

おかあさん

おちばが

いっぱいさいたね!

 

読んで思わず「おお!」と声が出てしまった作品。確かに「咲いた」って、植物を見て綺麗だと思ったときに相応しい言葉だ。落ち葉だって咲いていいはず。

 

 

30.「はじめての給食当番」

 

あのね

すごく どきどき

してたの

だって

みんなに給食を

つくってあげるのかと

おもってたから

 

そりゃビビるわ。大人でも怯むでしょ。ただ配るだけだと知って、どれだけ安心したか想像すると、ほっこりします。

 

 

31.「雲をたいほしてください」

 

もしもし

こうふけいさつしょ

ですか

くもをたいほしてください

あめをふらせてこまります

 

きっと外で遊びたいときに「雨だから」と言われた経験があるのだろう。窓から外を恨めしそうに見つめる子供の姿が目に浮かぶ。

 

 

32.「ゆびきり」

 

ハリセンボンのむの

かわいそうだから

ウソついたら

ちゅうしてあげる

 

論理が破綻してるにもほどがあるけれど、最高に可愛いし、慈愛に満ちているので許す。確かに針千本はやりすぎ。 

 

 

33.「結婚式」

 

ねえ おかあさん 結婚式って

しなきゃいけないの?

(してほしいなあ)

やだなあ

(どうして?)

だって だれが好きな人なのか

みんなにバレちゃうじゃん

 

これはテレビで紹介されたりしたので有名かも。超名作。

誰にでもあった「好きな人」という情報が最高機密だった頃の心情を、的確に表現している。

 

 

34.「誘導尋問」

 

ねえ おかあさん

せかいでいちばんだれがすき?

“みんな”はダメだよ

ひとりだけ

ちいさいじゅんにゆってね

 

三人きょうだいの末っ子ちゃんの言葉だそうです。さすが末っ子。世渡り上手。

 

 

35.「漢字の五」

 

(漢字の五という字を指さして)

ねぇ このかきごおりつくるの

みたいなじは

なあに?

 

文字を別の見方でしちゃうシリーズ。

かき氷器に見立てるとはさすがである。

 

 

36.「やさしい気持ち」

 

車いすおすの大すき

だって

やさしい気もちに

なれるんだもん

 

誰かのためになること。それが自分にとって楽しいのであれば、こんなに素敵なことはない。平和はこうやって作るのだろう。

 

 

37.「まつ」

 

(そんなところに座って何しているの)

まってるの

(何を)

げんきがでないかなぁーって

まってるの

 

ヤラれました。可愛い。

スマホとかいじってやる気が出るのを待つのはやりがちだけど、そんなじっと待つのは子供ならでは。結果がどうだったのか気になるが、きっと途中で忘れて違うことを始めただろう。子供なんてそんなもんである。

 

 

38.「今年のおみくじ」

 

お宮に行った

おみくじを2回ひいた

でも2回とも末吉

おばあちゃんも末吉で

恋愛はあきらめなさいだった

家族みんなで大爆笑した

 

完全にすべらない話です。ありがとうございました。

 

 

39.「お気に入り」

 

お気に入りの

ふくがあります

大人になっても

きられるように

のばしておきました

 

台無しだけど、その気持ちはよぉ~く分かる。子供の頃って「これ」っていうやつを見つけられるんだよね。大人になると、視野が広がって色んなものを色んな側面から見えるようになってしまうから、逆に一番を決められなくなってしまう。

豊かさって、なんなんだろう。

 

 

40.「幸福」

 

幸福とは

自分で見えるものではない

けど

他の人からは見えるのだ

 

なんとも深いお言葉。そうやって考えてみると、幸福って本当にあるのか?ただの思いこみの一種なのでは?と思ってしまう。

他人の幸福ばかり見えてしまう我々。そりゃなかなか幸せになれなくて当然である。無念。

 

 

41.「あってるでしょ?」

 

おいけから

かものあかちゃんいなくなった

わたし おおきなこえで

「すだ! すだ!」っていったの

だって かものあかちゃん

すだっていったんでしょ

おかあさんどうしてわらうの?

 

あー、かわいい。子供の勘違いは幸福製造機。お母さん、きっと幸せな瞬間だっただろうね。

 

 

42.「ねぇおかあさん」

 

赤ちゃんゆびって

いちばんはじっこで

さむくないのかなぁ?

 

「さびしい」じゃなくて「さむい」ってのがポイント。脳内で指が完全に人の形になっているイメージが伝わってくる。赤ちゃんって、間に挟まれてるイメージあるよね。

 

 

43.「みずたまり」

 

ちゃいろいみずたまりが

あったのに なくなってた

おひさまがのんだの

 

これも凄い。子供の脳内では、太陽が水たまりを吸い上げるイメージが当たり前に存在できる。半分フィクションの世界に生きているのが彼らなのである。

 

 

44.「涙ふかないで」

 

ばあば

涙 ふかないで

お母さんが「どうしたの?」って

言えないから

 

うーん、ずるい。でも賢い!

愛され上手な子は幸せになるから、どうか、そのままで。

 

 

45.「いくじ」

 

おやすみのひ

ぱぱはいつもあそんでくれる

ままはいくじがたいへんって

いってたよ

ぱぱは このは とあそんでばかりで

いいね

たまにはいくじでもしたら

 

どの口が言う、というやつだけど、こんなこと私が言われたら、声を上げて笑ってしまうことだろう。

子供の提案は大抵トンチンカンだけど、子供なりに問題解決しようとしている意思が見えて大好きである。

 

 

46.「おとく」

 

ママ いつでも

ぼくのこと

ギューって(だきしめて)

していいよ

ぼくはあったかいから

さむいひは

おとくだよ

 

これもまた破壊力十分な詩である。言葉だけで人を幸せにできることを証明している。

 

 

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おわりに

どうだろう。思う存分悶絶していただけただろうか。可愛さとか、発想とか、色々凄すぎて皆様を殺しかけたかもしれない。 申し訳ない。でもきっと皆様の顔は幸福感でニヤついているはずである。

 

言葉が大好きな私は、言葉の力を信じている。

私自身がたくさんの言葉で救われてきた経験があるし、誰かを救いたいときに言葉が味方してくれたからだ。

成長すれば言葉で様々な使い方をしてしまう。ここで紹介したような詩たちを読むと、恥ずかしくなってしまうような使い方をしてしまうときだってあることだろう。

人間であればどうしたって完璧ではいられない。人を傷つけてしまうこともあるだろう。

でもそんな私たちにも、これらの詩で感動できる感性が備わっているし、大事なものが何かを思い出せる理性がある。

 

この詩たちで感動できたなら、少しでもいいから、周囲の人に使う言葉が優しいものなってほしいと願うのである。

 

その言葉を聞いているのは、誰よりも自分自身なのだから。

 

 

以上。