甘美なミステリーの世界
どうも、推理小説中毒のひろたつです。
いきなりだが、私はミステリー小説が大好物である。
人間の頭脳に挑戦した数々の名作たち。次々と繰り出される、思考の遥か彼方からやってくるアイデアに、私の脳髄は快感に震えてしまう。あの衝撃が欲しくて、いつまでも推理小説を読み漁っている。推理小説好きの方なら誰もが理解してくれることだろう。
そう、推理小説というのは中毒になるのだ。
一度あの快感を知ってしまったら、もうマトモな世界には戻ることができなくなる。
スポンサーリンク
初心者にオススメしたい!
そんな推理小説中毒の私は仲間を求めている。推理小説の魅力をみんなに伝えたい。
そして何よりも、みんなにあの脳髄が痺れる快感を味あわせたい。推理小説の快感でヤラれて骨抜きになってるところを見たい。
私は自分で言うのも何だが、読書力があまり高くない。つまり難解な本は読めないタイプの人間である。
だからこそ、初心者が「読みやすくて」「すぐに楽しめる」作品を紹介することができる。
ということで、今回の記事では「ミステリー初心者にオススメする最高の作品」を11冊紹介したいと思う。
どれもこれもあなたを欺くために、作者が頭脳の限りを尽くした傑作ばかりである。
ひとたび読めば間違いなく「中毒者」になることだろう。
ぜひ、甘美な推理小説の世界に足を踏み入れていただきたい。
※限界までネタバレを防ぎたいため、あらすじなどは載せていません!
確認したい方はリンク先でよろしくおねがいします。その際はくれぐれも、レビュー欄を読まれませんようご注意ください。
スポンサーリンク
GOTH
天才乙一 が生み出した切れ味抜群の短編集である。絶品である。極上である。
乙一の特徴として、読みやすい文章が挙げられる。クセがなくスラスラと頭に入ってくる。読んでいるだけで気持ちよくなれる。なので初心者には強くオススメできる作品である。
そしてその読みやすさと相まって繰り出される変態技の数々。
めくるめく快感の波に、あなたはきっとその手を止めることができなくなるだろう。
陽気なギャングが地球を回す
人気作家伊坂幸太郎。面白い小説しか書けないという奇病に罹患した稀有な作家である。
伊坂幸太郎の恐ろしさは、誰もが快哉を叫んでしまうような面白い小説を書くだけでなく、極上の推理小説でもあるということだ。心躍るストーリーに、計算しつくされた謎と解決。これが伊坂幸太郎である。
そして彼の真骨頂はこの作品にある。彼が持ち合わせている「魅力」はここに全部詰まっている、と決めつけさせて貰おうじゃないか。
精緻に組み上げられた物語もそうだが、思わずクスッとしてしまうような会話といい、愛さずにはいられないキャラクターといい、小説の「愉しさ」を教えてくれる作品でもある。
全方向で「最高の時間」を提供してくれる作品である。完全無欠とはこの作品のためにある言葉かもしれない。
ちなみに続編も遜色ないクオリティなのでオススメである。
儚い羊たちの祝宴
「あなたの脳髄を冷たく痺れさせることだろう」
これは本作の帯に書かれていた文句である。
推理小説の短編集は、効率よく快感を摂取できるのが利点だが、この作品に関してはそれに加え、「強烈な一撃」を有している。
というのもこの作品は「最後の一文」に特化しているのだ。最後の一文を読んだ瞬間に世界がひっくり返ることをコンセプトに執筆されている。
分かるだろうか。わざわざこうやって手の内を明かしていることの愚かさを、無謀さを。「これからあなたを騙しますよ?」と言っているようなものなのだ。
しかし、自らで作り上げた高きハードルを鮮やかに飛び越えてくる。そんな名作である。
葉桜の季節に君を想うということ
私のように何かにハマった経験がある人ならば、「この面白さを他にも知ってもらいたい!」と周囲に布教したくなる気持ちが分かると思う。
私にとっては『葉桜の季節に君を想うということ』がそれにあたる。
歌野晶午はバケモノである。彼の頭脳は人を欺くために作られていると言っても過言ではない。 たぶんバカなのだと思う。逆に。
彼の異常性は作品を読んでもらえれば分かる。絶対に後悔はさせない。
いや、正確に言えば後悔をさせることになる。
「もう二度とこの快感を味わえないのか…」と。
十角館の殺人
本格推理小説の旗手綾辻行人である。
彼はこの作品を、いやこのトリックを生み出すためにこの世に生まれてきたのかもしれない。
推理小説の肝は何と言っても「トリック」である。
私たち一般人の頭脳の限界を余裕で越え、遥か遥か高みからやってくる異次元のアイデアが強烈なカタルシスをもたらす。神の一撃と呼ぶに相応しい、そんなアイデアがこの作品では使われている。。
正直言って、綾辻行人のデビュー作なので小説としては拙い部分があるかもしれない。
だがそれを補って余りに余ってあふれかえるぐらいの力がこの作品にはある。
世界中のミステリーファンに読ませたい傑作である。
第三の時効
推理小説の世界では人が死ぬ。それはもう簡単に死ぬ。それが目的であること多い。
そのために弊害として、登場人物を大事に扱わない傾向がある。つまり人物描写が適当なのだ。
それを真正面からぶっ壊してくるのが横山秀夫である。
彼の描く登場人物たちは緻密に形成されている。人間そのものがそこに息づいている。
そんな人間たちが繰り広げる物語。そして垂涎のトリック。2つの魅力が最高のレベルで融合している。
他では味わえない極上の快感がここにある。きっとあなたは横山秀夫の世界にはまり込むことになるはずだ。
占星術殺人事件
日本で一番優れた「推理小説」は何か?
という質問を受けたら、私は間違いなくこの作品を推す。それぐらい圧倒的なパワーを持った作品である。
島田荘司が生み出したこの傑作は人知を越えている。よくぞこんなアイデアを思いついたなと素直に感動する。恐れさえ感じるほどだ。
作中で我々の目の前に提示される謎は、あまりにも不可能性に満ちている。どれだけ知恵を絞っても犯人などいない。
でも本気で考えてみてほしい。それが本気であればあるほど、解答を提示されたときの衝撃は格別である。
きっとあなたはこのトリックを生み出した島田荘司に感謝し、そして畏怖することだろう。
スポンサーリンク
仮面山荘殺人事件
ベストセラー作家。
東野圭吾を形容するのに一番適した言葉だろう。
誰にでも愛され、誰でも楽しませられる作家。そんなイメージだ。
だが、彼の本質は違うところにある。いやあったと言うべきか。
彼が若かった頃「推理小説の限界」に挑戦していた時期があった。あらゆる可能性を考え、模索し、実験を繰り返した結果、偶然なのか必然なのか、こうして傑作を生み落とした。
この『仮面山荘殺人事件』は彼の著作の中では売れていない部類になると思う。タイトルからして売れ線ではない。
だが私はこの作品が彼の最高傑作だと言える。断言できる。
小説を愛し続け、その身を創作に捧げた彼に、小説の神がもたらした奇跡的な閃きがこの作品の中にある。
ハサミ男
『ハサミ男』というあまりにも地味なタイトルからは、とても想像できないだろう。この作品が刺激と企みに満ちた名作であることを。
推理小説を読む慣れておらず、すれていない初心者にこそ『ハサミ男』をオススメしたい。
独特な硬質な文章で描かれる物語には、なぜかページをめくる手を止められない力がある。異様に引き込まれてしまうのだ。
異常殺人鬼ハサミ男の内面に触れながら、この物語の終着点を見届けてもらいたい。きっと二度と忘れられない作品になることだろう。
カラスの親指
道尾秀介は簡単に読者を欺く。気負った様子がまったくない。
そんな道尾秀介の技が特に強烈に炸裂しているのがこの『カラスの親指』である。
「あらすじさえもネタバレである」が信条の私としては、あまり語りたくないのだが、本作は“サギ師”を主役に据えている。推理小説好きであれば、それだけでご飯が食べられる題材である。サギ師を扱ったコンゲーム小説でハズレはそうそうない。総じて面白い。
その中でも『カラスの親指』は初心者も楽しみやすく、またしっかりと欺いてくれる作品である。
意味深なタイトルといい、美味しいところが盛り沢山である。ご賞味あれ。
夜よ鼠たちのために
推理小説界には悪魔がいた。推理小説作家であれば彼の名に畏怖の念を持たない人間は存在しない。それほどまでに超越した存在がいたのだ。
彼の名は連城三紀彦。惜しくも2013年に亡くなられた。
だが彼の生み出した傑作はこの世界に生き続けることだろう。そう永遠にだ。
連城三紀彦のオススメ作品を決めるのは本当に難しい。たくさんあるからだ。
だがその中でも強いて言うならば、この『夜よ鼠たちのために』になるだろうか。
推理小説界、とくに短編の中では群を抜いた作品である。
悪魔の生み出した珠玉の物語たちを存分に堪能するがいい。
スポンサーリンク
人生で一度きりの経験
以上が私が選んだ名作たちになる。この11冊を読み終わる頃には、あなたはもうミステリー中毒者になっているはずだ。ようこそ。
推理小説というのは難儀なものである。
オススメしようにも中身を語ることが極端に出来ない。制限がある。それでいて、何度も楽しむこともできない。(まあこれは人によるだろうが)
だがそれでも、推理小説には私たち読者を捉えて離さない魅力がある。
そこで得られる経験は、衝撃は、人生で一度きりしか味わえないものばかりである。二度目はもうない。
だからこいつまでも私は面白いミステリーを探し続けるし、いつまでも求め続けずにはいられないのだ。
最高の体験。だけど一度きり。
そんな刹那の楽しみを追い求めていきたい。
このリストがあなたの感動のキッカケになればいいと願っている。
以上。