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間違いないマンガ『ボーイズ・オン・ザ・ラン』を知っているか

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どうも。

世に数多くあるマンガの中でも、その作品にしかない魅力を備えたもの。それが人々の心に残るのでしょう。
今回紹介するのはそんな作品。

◯ボーイズ・オン・ザ・ラン

 

ボーイズ・オン・ザ・ラン 1 (ビッグコミックス)

花沢 健吾 小学館 2005-11-30
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今となっては超売れっ子になってしまった花沢健吾氏の著作、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』でございます。
映画化もしているので、知っている方も多いことでしょう。

ただ私の周りの人に聞くと、単純に知らなかったり、「絵が嫌い」と食わず嫌いの人が多くいました。ヒジョ~にもったいない!

確かに絵はそこまで達者ではないのですが、この作品にしかない魅力があり、それをみすみす手放すのは正気の沙汰ではありません!というか、面白すぎるので薦めずにはいられないんです!

◯かっこ悪すぎて辛い

あらすじはこんな感じ。

妄想ばかりの三十路目前である超等身大ダメ男・田西敏行・27歳は玩具を取り扱う会社に勤務している平凡な青年。職場の飲み会で憧れの後輩・植村ちはると初めて話をし、二人の仲は徐々に進展していくが、残酷で不条理な現実の前に翻弄される。

なぜ主人公の名前が西田敏行から取られているのか分かりませんが、きっともてない男のイメージでもあったのでしょう。



この作品の最大の魅力は主人公田西の”かっこ悪さ”にあります。
それはそれは見事なまでにかっこ悪いです。何ひとついい所を見せてくれません。

そんなどうしようもない男が、憧れの女性である植村ちはるとどうやってくっつのか…?なんていうお馴染みのクソありふれたストーリーだったらここまで薦めることはしません。

この作品では、とにかくダメな男の惨めな戦いと足掻きが描かれているのです。甘い物語なんて期待してはいけません。

世の中はダメ男に厳しいです。女性もダメな男を好きになることはありません。

この物語が他の作品と一線を画しているのはこの点です。主人公にメチャクチャ厳しいです
私のように、イケてない系の学生生活を送ってきた人間は田西にかなり同調してしまします。それなのに、物語の中で田西は現実世界通り、上手く行きません。田西に感情移入すればするほど、精神的にダメージを受けてしまいます。読んでて辛くなるぐらいです。

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◯ただの鬱マンガじゃない


これだけだとただの鬱マンガになってしまいます。

イケてない男に世間は冷たく厳しいです。では世のイケてない男たちは、その厳しい現実に打ちひしがれているだけなのでしょうか?いいえ、それは違います。イケてない男たちだって生きているんです。辛くても現実と自分たちなりに折り合いを付けながら戦っているんです。

田西も同じです。

次々と襲いかかる災難。それはそれは心を打ち砕きにきます。田西はそれらをまともに食らいつつも、それでも前に進み続けます。不格好に抗い続けるんです。

この不格好さに心が震えます

当たって砕けろなんて簡単に言いますけど、砕けた後の悲惨さを知っているでしょうか?ちなみに私は知りません。砕ける勇気がありませんから。でも田西は砕けてくれます。それはもう見事なまでに。

◯かっこ悪いはかっこいい

 
とてもマンガの主人公とは思えないようなダメ男、田西。かっこいい所はなにひとつ無い彼ですが、打ちのめされ続ける彼を見ているとなぜだか段々かっこ良く見えてくるんですよね。

あの感情をどう表現したらいいのか。

全然かっこ良くないのに、なぜだかかっこ良いと思ってしまう。いや、思わされてしまう。そんな「作品に打ち負かされる」ような経験が出来るのです。そしてそれもなんだか悔しいという…。「なんでこんな男に…!」って感じです。

◯田西と共に苦しむがいい


この作品は田西に感情移入することで本領を発揮します。あまりのカッコ悪さについていけなくなるかもしれませんが、決して振り落とされないように!

田西と一緒に苦しみ、一緒に叩きのめされ、悶絶することでこの作品の熱や力が伝わるのです。
苦しんだからこそ、その先にある結末を楽しめるってもんです。

最高のマンガ体験をぜひ! 

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