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カンニングを疑われた高校1年生が試験中に飛び降り自殺。理不尽さをどうやって教えるべきか。

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私も子供を持つ身なので悲しい限りです。


「カンニングやってない」高1飛び降り死亡


以下、記事より引用。


奈良県内の高校で4日午前、男子生徒が飛び降り自殺を図り、その後、死亡した。この直前に、カンニングを疑われるトラブルがあったということで、警察などでは原因を調べている。

 奈良県生駒市にある県立奈良北高校の敷地内で4日午前11時半ごろ、この学校に通う16歳の1年生の男子生徒が頭から血を流して倒れているのを学校の職員が発見した。男子生徒は病院に運ばれたが、その後、死亡した。学校は期末テストの期間中で、男子生徒は「トイレに行く」と言って教室を出て、校舎の4階から飛び降りたとみられている。

 学校によると、この男子生徒はテストの前にカンニングを疑われるトラブルがあったということだが、解答用紙の裏に「おれはカンニングやっていない」と書いてあったという。

 学校では実際にカンニングはなかったとみていて、警察などでは自殺を図った原因を調べている。
 

 
これはキツイな…。

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世界は理不尽で出来ている

こういったニュースがあると、自殺した学生やその親を責める意見がよく見られます。責めはしなくても「起こらないようにできたのでは…?」と話題にするでしょう。それは何故か?みんなこの事件がツライからなんです。自分の感じたストレスを解消してくれたり、抱えたモヤモヤを解体してくれる何かを期待しているからです。

この飛び降り自殺した学生もそうですが、世の中というのは放っておくと理不尽になるようにできています。それがこの世界です。生まれたときから愛に包まれた幸せな生活を送る子供がいる一方で、生まれた瞬間からゴミ箱に入れられて殺される子供もいます。自分の親にレイプされるような子もいます。
これらは全て理不尽で、理由なんかありません。宗教的に説明することはできるでしょうがね。

そしてこのニュースを観た人達も理不尽さに震えることでしょう。

この事件は誰が悪いのか?教師か?いや、仕事をしたまでだ。じゃあ生徒本人か?いや、思春期真っ盛りの多感な時期に犯人扱いされれば傷つくのは当たり前だ。じゃあ、その子の親がいけないのか?きっとそうだ!こんな心の弱い子を育てた親が悪いんだ!私たちがこんなにも嫌な気持ちになったのはこの子の親が悪いんだ!

ストーリー通りにはならない

親の責任を追求するのは酷にすぎます。だってこの事件で一番傷ついているのは死んだ本人でもなく、親ですから。きっとご両親は思っていることでしょう。

「なんでもっと自分の命を大事にしてくれなかったのか」
「もっと大事なことを教えてあげるべきだった」

いくらでも自分達を責めることができます。

その一方で自殺した学生の立場になって考えるとどうでしょうか?彼はカンニングを疑われた腹いせに自殺という復讐を果たしています。「自分を疑ったことを後悔させてやる」といった所でしょうか?ただ疑われただけで自殺するとも思えません。もしかしたら怪我をするだけで終わりするつもりだったのかもしれませんね。

ここでも世界は牙を剥きます。理不尽を振りかざし、思った通りのストーリーにはしてくれませんでした。


自分の命を手段に使うな

もし私が考える通りに学生が「復讐」のために自分の命を使おうとしたのであれば、卑怯と言わざるを得ません。
その行為は非常に暴力的であって、有無を言わさず相手を伏せさせる力があるからです。泣く子よりも死人の方が強いんです。

自分のことを思い返すと似たような経験があります。

反抗期の真っ最中に父親とケンカし、復讐心に駆られて線路に飛び出したことがありました。「俺がここで死ねば、どれだけ自分が間違ったことをしたか思い知るだろう」という気持ちでいっぱいでした。

子供は安易だからこそ子供です。だけど命を手段に使うことだけは教えておかなければなりません。じゃないと子供は簡単に命を投げ出します。それくらい命の重さを知らないのです。


大事なことが多すぎる

私の子供はまだまだ小さいので教えられることは少しずつしかできません。それなのに世の中には教えなければいけない大事なことに溢れていて、とても時間が足りませんし、本人たちに理解させるにはさらに時間がかかるように感じられます。

仕事でもそうですが、時間が限られているのであれば優先順位を付けなければいけません。人生の中で一番大事なこと、それは「命を守ること」それだけです。それ以外には存在しません。

子供を相手にした時に「教えることが多すぎる」という無力感に苛まれることは多々あります。

しかし「命を守ること」だけを教えておけば最悪の自体は防げるという真実を頭に刻み込んで、これからも子供達と暮らして行きます。


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