どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。
読書中毒ブロガーならではの、あまり知られていないのにめっちゃ素晴らしい作品のご紹介。
内容紹介
無実の罪で少年たちの矯正キャンプに放りこまれたスタンリー。かちんこちんの焼ける大地に一日一つ、でっかい穴を掘らされる。人格形成のためとはいうが、本当はそうではないらしい。ある日とうとう決死の脱出。友情とプライドをかけ、どことも知れない「約束の地」をめざして、穴の向こうへ踏み出した。
この記事を書くにあたって、初めてアマゾンレビューを見たのだが、予想通り賞賛の嵐である。まあ当然であろう。これを読んでガッカリという人は、相当に感度が死んでる。虹を見て痰吐いてるような人種じゃなかろうか。
掛け値なしの最強児童文学作品
この作品、冒頭にも書いた通り知名度はかなり低いことだろう。良質な作品を多数話題に上げている2ちゃんねるでも、この本の話は見たことがない。それだけ“知る人ぞ知る”という作品なわけだ。
私が知ったきっかけは、敬愛して止まない作家、森絵都氏がこの作品を「生涯最高傑作」と絶賛しているのを何かのインタビューで拝見したことである。
大好きな森絵都の生涯ベスト作品とは言われても、児童文学にそこまでのクオリティは期待していなかったのが正直な所。どれだけ素晴らしい作品だとしても、言っても子供相手のものだろう、と。もしくは、プロにしか分からないような芸術性の高い作品なんだろうな、というのが読む前の私の予測だった。
しかし、読んで裏切られた。もちろんいい意味で、である。弩級に、だ。これ以上の誇張表現を知らないのが残念だ。
とにかく覆された。固定観念を。
読み終えた私は真っ先に思った。「なんでこの本が有名じゃないんだ…?」
やはり児童文学作品というのがネックなのだろうか。私と同様に、普段から小説を読む人だとしても「児童文学は雑魚でしょ」みたいな思い込んでるカス野郎が大部分を締めているのかもしれない。先人として教えておいてやる。早く脱却しろ。思い込みから。
シンプルにとにかく面白い!。痛快である。こんなに掛け値なしに爽快感に浸れる話もそうそうない。翻訳小説なのだが、海外でもいまだにレビューが付いているのを見る限り、世界的に長い間愛され続けている作品であることが伺える。
なので、私は強く強くこの作品をオススメしたいので、余計な事前情報は入れずに、天然素材のままのあなたでぜひ臨んでもらいたい。それが一番美味しい楽しみ方である。
確かに児童文学作品なのだが、これを子供の時に読んでしまったら他の本を読んでも感動できない子供になってしまうんじゃなかろうか。それくらい他の作品を圧倒している。
日本での知名度が低いだけ
調べてみたら、出版されたアメリカでは複数の賞を獲っていて、累計350万部の大ベストセラーになっているようだ。
児童文学でこれは驚異的な数字である。子供にしか読まれていなかったらとても達成できない数字だろう。普通に知れ渡っているということだ。
ただ単に日本でブレイクしなかっただけで、こういう良質な作品ってのは、他にも沢山あるのかもしれない。誰か教えてくれ。
ちなみに、オススメしていたのは森絵都だけではなく、こちらも私が大好きすぎる森博嗣も唯一と言っていいレベルでオススメしていたのが『穴 HOLES』である。なんだこれ、私が好きになった森さんは絶対に『穴 HOLES』を好きになる運命なのか。
大人にこそ効くから読めって
絶賛しまくっているが、基本は児童文学なので、過激な暴力描写やエロもドラッグも、この作品には登場しない。不道徳な連中は多数出てくるが、大人向けのエンターテイメント的なものでは全然ない。
小説に限らず、最近では表現の過激さにインフレが起きていて、「いかに強烈なものを見せつけるか」という勝負が、創作界隈で行われているように思う。よく見るでしょ、ネットの広告で「うわっ」って思わされるようなタイプの。
そうやって過激だったりギリギリを狙うことで、人目を引いたり、没頭させるのがエンタメの手法として流行っているが、『穴 HOLES』を読むとそれがいかに小手先のテクニックであるかがよく分かる。
もっとエンターテイメントの本質で私たちを魅了してくれるのだ。むしろ普段から添加物だらけの大人向けの小説ばかり読んでいる人の方が、楽しめるはずだ。
それに以前から言っているのだが、小説を楽しもうと思ったら同じジャンルで固めるのは良くない。水戸黄門状態になってしまうのだ。お約束を楽しむようになってしまう。
これでは脳の感性が鈍くなっていて、最高の小説体験をできない。お互いにフレッシュであるべきなのだ。
だからこそ、もっと手広く様々なジャンルに挑戦した方が、充実した小説ライフを楽しめるってのものなのだ。だから児童文学も読め。
以上。埋もれた作品にヤラれちまってくれ。
※参考記事