厳選した泣ける小説をご紹介!
どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。
今回の記事では私がこれまで読んできた作品の中でも特に「泣けた」作品をまとめてみた。
こちとら20年以上読書を習慣にしている人間である。その長い読書歴から厳選した作品たちなので、かなり自信を持ってオススメできる。なので決して人前では読まないようにしてもらいたい。確実に恥ずかしい思いをすることになるだろう。
涙を流すというのは、ストレス発散には持ってこいである。このストレス社会だ。ストレス解消できるアイテムがあるのならば、有効活用しないわけにはいかないだろう。
ぜひ日々の生活で溜まりに溜まってしまった心の疲れを、この珠玉の作品たちで洗い流してもらいたい。
存分に涙を流したあと、見上げた景色はきっと少し晴れやかになっているはずだろう。
ここで紹介した作品たちが、そんな心の浄化薬にしてもらえたら幸いである。
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1. 明日の記憶
知っているはずの言葉がとっさに出てこない。物忘れ、頭痛、不眠、目眩――告げられた病名は若年性アルツハイマー。どんなにメモでポケットを膨らませても確実に失われていく記憶。そして悲しくもほのかな光が見える感動の結末。上質のユーモア感覚を持つ著者が、シリアスなテーマに挑んだ最高傑作。
笑いと泣きというのは、実は根っこの部分は同じである。どちらも興奮を抑えようとする脳の働きから起きる現象なのだ。
なので普段から読者を笑かすことを得意としている荻原浩が、こんなに泣ける小説、しかも傑作を生み出せたのは当然のことかもしれない。
若年性アルツハイマーという重いテーマを扱い、残酷に、だけど爽やかに描き出している。
今まで数えきれないほどの作品を読んできた私だが、ここまで心に刻まれたものはないと断言できるほどである。
2. くちびるに歌を
長崎県五島列島のある中学合唱部が物語の舞台。合唱部顧問の音楽教師・松山先生は、産休に入るため、中学時代の同級生で東京の音大に進んだ柏木に、1年間の期限付きで合唱部の指導を依頼する。それまでは、女子合唱部員しかいなかったが、美人の柏木先生に魅せられ、男子生徒が多数入部。ほどなくして練習にまじめに打ち込まない男子部員と女子部員の対立が激化する。一方で、柏木先生は、Nコン(NHK全国学校音楽コンクール)の課題曲「手紙~拝啓 十五の君へ~」にちなみ、十五年後の自分に向けて手紙を書くよう、部員たちに宿題を課していた。提出は義務づけていなかったこともあってか、彼らの書いた手紙には、誰にもいえない、等身大の秘密が綴られていた--。
奥さん曰く、「キラキラしすぎて見てられない」。
学生の部活動ってのはいい。
私も高校3年間を吹奏楽部で音楽に捧げてきたクチなのでよく分かるのだが、スポーツなんかと違って、音楽では勝敗が明確ではない。審査員はいるし技術的な部分の評価はされるが、結局は審査する人の”好み”には勝てなかったりする。
順位は決められてしまうが、本当のところ音楽では得点を争うようなことはできない。AKBよりもレッチリの方が優秀だとは言えないのだ。順位があるってことは“強い音楽”が存在すると認めてしまうことになる。音楽に強いも弱いもないだろう。
だから音楽のこういった大会で演者たちは、ただひたすらに自分たちを高めることしかできない。数字で表せる努力が存在しないからだ。
そんなある意味理不尽な世界で切磋琢磨する仲間たち。そこで生まれる想いや、仲間との関係。これが青春でなくてなにが青春であろうか。これだから部活ってのは最高なのだ。
暗い学生生活を送っていただけたアンデット系の方には毒になるかもしれない。それくらいキラキラの青春物語である。
ちなみに泣き所になる部分は、誰も想像できないような用意のされ方をしている。
読者の予想を裏切ることを得意とする、作者中田永一の腕が冴え渡る名作である。
3. カラフル
生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。不朽の名作ついに登場。
これは児童文学だ。だが大人が読むべき作品である。むしろ大人こと読めば骨抜きにされてしまう作品である。
できることなら、そう構えずに「どうせ児童文学だろ?」と舐めてかかってもらいたい。
それだけを守ってもらえれば泣けることを保証できる。読んだら他の人に勧めずにはいられない感動を抱くことだろう。児童文学作品というマイナージャンルにも関わらず、映画化されているのは伊達ではない。それだけクリエイターの心を動かしてしまった作品でもあるということだ。
こちらも私の長い読書歴の中でも、ベストと読んでいいレベルの傑作である。
ちなみにとてもシンプルなタイトルには、深い深い意味が込められていて、それも合わせて楽しみにしてほしい。著者の森絵都は本当に天才的。
4. 永遠の0
「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、一つの謎が浮かんでくる―。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。涙を流さずにはいられない、男の絆、家族の絆。
特攻隊をテーマにした作品である。
きっと日本人は特攻隊が絡むと泣けるようにできているようだ。私はそれをこの作品で自覚してしまった。
割りと長めの作品だが泣き所は一箇所ではなくて、各章で泣き所が用意されている。
史実がどうのとか、他の作品からのパクリだとか色々言われているが、「泣ける」という点においては最強レベルである。
こんなに効率よく泣ける小説を、私は他に知らない。
5. 世界の中心で、愛をさけぶ
「ぼくにとってアキのいない世界はまったくの未知で、そんなものが存在するのかどうかさえわからないんだ」「大丈夫よ。わたしがいなくなっても世界はありつづけるわ」朔太郎とアキが出会ったのは、中学2年生の時。落ち葉の匂いのファーストキス、無人島でのふたりきりの一夜、そしてアキの発病、入院。日に日に弱っていくアキをただ見守るしかない朔太郎は、彼女の17歳の誕生日に、アキが修学旅行で行けなかったオーストラリアへ一緒に行こうと決意するが―。好きな人を失うことは、なぜ辛いのか。321万部空前のベストセラー、待望の文庫化。
死ぬほど売れた作品である。
私のポリシーとして、売れ線の本はあまり買わないようにしているのだが、友人から紹介されて嫌々読んだところ…
まんまとやられた。
ストーリーに意外性はない。むしろ凡庸だと思う。
ただのベストセラーだと侮るなかれ。やや硬質だが、温かみのある文章から綴られるこの物語は、なぜか人の心をがっちりと掴む力がある。作者が「泣かせよう!」と意気込まずに、淡々と物語を紡いでいるから、読んでいるこちらも自然と引き込まれてしまうのだろう。
「どうせただの流行りもんだろ?」と嫌悪感さえ持ちながら読んでいた私。そんな不純な私でさえ泣かせるぐらいなのだから、相当に強い作品である。
もっと純粋に読める方なら号泣することは間違いないだろう。
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6. ワンダー
オーガスト・プルマンはふつうの男の子。ただし、顔以外は。生まれつき顔に障害があるオーガストは、はじめて学校に通うことになった。だが生徒たちはオーガストの顔を見て悲鳴をあげ、じろじろながめ、やがて「病気がうつる」と避けるようになる。一方で、オーガストの話をおもしろいと感じる同級生は少しずつ増えていた。そんなとき、夏のキャンプで事件が起こる……。全ての人に読んで欲しい、心ふるえる感動作。
トリーチャーコリンズ症候群という先天性疾患をご存知だろうか。
染色体の欠損により、頭蓋骨の形成がうまくできず、とても特徴的な見た目になってしまう。興味のある方はぜひ検索してもらいたい。
こちらの『ワンダー』はトリーチャーコリンズ症候群を疾患した少年と、彼を取り巻く人々の物語である。
見た目は内面と違って、すぐに差別できてしまう。人間関係は最終的には内面が物を言うと思うけれど、逆に見た目で劣ってしまうと、人間関係の最初の入口で躓いてしまう。難しいものだ。
見た目に大きな問題を抱えるオーガスト。彼の場合、学校に行くというだけで大変な挑戦になってしまう。誰もが彼の両親のように見た目を含めて愛してくれるわけではないからだ。
当たり前が当たり前にできないことのツラさ。見た目が違うことの意味。イジメ、優しさ、立ち向かうことの大事さ。そして人間というものの美しさなど、大事なことがこれでもかと詰め込まれている。
胸をいっぱいに満たしてくれる名作である。
これを課題図書に選出した文部科学省は偉い。超偉い。
7. とんび
昭和三十七年、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。愛妻の美佐子さんとのあいだに待望の長男アキラが誕生し、家族三人の幸せを噛みしめる日々。しかしその団らんは、突然の悲劇によって奪われてしまう―。アキラへの愛あまって、時に暴走し時に途方に暮れるヤスさん。我が子の幸せだけをひたむきに願い続けた不器用な父親の姿を通して、いつの世も変わることのない不滅の情を描く。魂ふるえる、父と息子の物語。
逆に笑えてくるぐらい泣ける作品。泣きすぎな自分に笑っちゃう。
家族というテーマを真正面から扱っている作品で、これで泣けない人はいないと確実に言える。ドラマ化されていたけれど、そちらでも涙腺崩壊させまくっていたらしい。どんだけ日本の涙腺を崩壊させれば気が済むのだろうか。
もし私が「泣ける小説知らない?」と聞かれたら、真っ先に紹介するのは間違いなくこちらの『とんび』だろう。長さ的にも文章的にも、非常に読みやすく万人受けする。
もし『とんび』を読んで気に入って貰えたら、作者の重松清の他の作品にも手を伸ばしていただきたい。彼の著作は一貫して“家族”をテーマに描かれているので、多くの人が共感できるものばかりである。
以上。必殺の7冊である。お楽しみいただきたい。