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『教団X』が低評価になっているのが嬉しくて堪らない

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別に批判しているわけではないから。

 

『教団X』を読みました

どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。

 

アメトーークの読書芸人の回で、又吉や若林が大絶賛していた『教団X』を読んだ。

 

私は基本的にベストセラーと呼ばれるような、「みんなが大好きなもの」は避けて通るようにしている。だが以前に、中村文則の『掏摸』が非常に素晴らしい体験をさせてくれたので、今回は特例として手に取ってみた。

で、読んだ感想はこちらにまとめてあるので、興味がある方は読んでもらいたい。

ちなみにまったくネタバレはしていないので安心してくれ。

 

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びっくりするほど低評価

で、感想記事を書くにあたって、参考のためにAmazonのレビューでも読もうかと思ったら衝撃の展開が待っていた。

 

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びっくりするぐらい低評価である。テレビであれだけ話題になったり、書店でも平積みしまくっていたのに…。

 

みんなの声

せっかく日本中から酷評レビューが集まっているので、一部抜粋してみよう。めっちゃ面白いから見てほしい。

 

酷い小説だった。中古で買って本当に良かったと思う。

中古で買った事実にすがらないと自我が保てないレベルらしい。

 

 

官能シーン(該当箇所を“官能”と評せられるのか甚だ疑問)も酷い。女性が「お×んこ〜」を連呼し、頭の悪いAVでも見させられている気分になった。一言で言えば“気持ち悪い”のだ。

大真面目な顔をして「お×んこ〜」とタイピングしている人を想像して笑ってしまった。

 

 

アメトークで大絶賛されていたのと、西加奈子さんがラジオで勧めていたので、読みましたが、西加奈子さんまで嫌いになりそうなほどです。

西加奈子被弾。

 

 

★一つ以下のゴミ。

この方はゴミにもいちいち星評価を付けるタイプなのかな?

 

 

ただただ読むのが苦痛でした

悲鳴はシンプルな方が響く。

 

 

お金を払ってこじれた中二男子か残念な大学生の頭をのぞいたような気分。

最悪なアトラクションですね。

 

 

時間を返して。

殺人者に言うセリフ。

 

 

全部読めるのは忍耐強い人。

褒められた。

 

 

このように、『教団X』を読んだ人の多くが、とんでもない仕打ちにあったような感想を抱いている。 可哀想だけどめっちゃ面白いから困る。もっと読みたい。

 

期待値高まりすぎ問題

それにしても、テレビであれだけ話題になったり、書店でも平積みしまくっていたし、作者の中村文則も人気を不動のものしつつあったというのに、なぜこんなことになってしまったのだろうか。

 

いや、違うか。

それが余計だったのだ。

 

私にも経験がある。メディアや書店が過剰にプッシュするがゆえに、期待が高まってしまい、作品のハードルが無駄に上がってしまうのだ。

 

そのせいでどれだけのクソ作品と出会ってきたことだろうか。思い出すだけでも吐き気を催す作品たち

 

※参考記事

orehero.hateblo.jp

 

上の記事では各作品をボロクソに紹介させていただいたが、実は少し責任を感じている部分もある。

そもそも読者は勝手すぎるのだ。

 

作品が面白いかどうかなんて、その人の感性次第だし、出会うタイミングもあるだろう。読み手が作品の面白さを見つけようと努力すればいいだけの話なのである。きっと見方さえ変えれば、この世につまらない小説なんて存在しない。

 

…なんて殊勝なことを書いてはみたものの、やはりつまらない作品はつまらない。それが正直なところである。

 

『教団X』という作品の正体

で、『教団X』である。

 

Amazonには300を超える評価が下されており(ちなみにこれは書籍の評価数としてはトップレベルの数)、そのほとんどが☆1という惨憺たる状況である。ヒドすぎである。私が中村文則だったら、こんな衝撃的な低評価を、平然とデスクトップが表示してたら叩き割るかもしれない。「もっと気を使わんかい」って。

 

読了済みの私は、『教団X』を「クソだ!」だと思っている人の気持も分からんでもない。(ちなみに私は『教団X』を夢中になって楽しんでしまったクチなので、だいぶ幸せ者だと思う)

 

なぜこんなにも『教団X』は低評価が付けられてしまうのか?

読者の怒りを買ってしまうのか?

 

それは以前に書いた『教団X』の紹介記事で説明しているが、『教団X』という作品は、物語の体を取りながら、その実態は中村文則個人を分解して貼り付けたような作品だからだ。

だからそれこそ、タイトルを『小説中村文則』にしても良かったと思う。ただそれだったらこんなに売れてなかったと思う。4000部ぐらいかな。

 

人間性を出しすぎて嫌われる 

詳しくは私の『教団X』紹介記事を読んでいただきたいのだが、とにかくこれは“中村文則自身そのもの”な作品なのだ。彼の人間性をすべて曝け出している。

それゆえに好き嫌いが分かれる。というかほとんど嫌われる。

まあ当たり前である。人間なんて、表面を取り繕っているから社会性を保てているだけであり、中身を見たらドロンドロンのグッチャグチャである。醜悪でグロテスクで下品で、主成分は不愉快。それが人間という生き物だ。

でもあえてその中身を曝け出した。それが『教団X』。ゆえに最高に嫌われる作品になってしまった。はっきり言って中村文則はアホである。

 

しかし私はそんな中村文則のアホ性が堪らなく愛おしい。

こんなにバカな(※「一途な」と同義)創作物とはそうそう出会えない。

まるで全裸で告白するようなものである。バカだけど、そこには純粋な変態性があり、なんだか認めずにはいられないパワーがある。まあ、間違いなく警察沙汰だろうけど。

 

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新しい作品には、新しい楽しみ方がある 

私は『教団X』で感情をかき乱された。魂を揺さぶられた。戸惑った。理解不能に陥った。不快になった。興奮した。呆れた。でも読み終わったら思った。

「なんか凄え体験した…」と。

今まで見たことがないような作品だ。簡単な評価を下すこともできない。上手く感想をまとめることさえできない。

 

 

私は思うのだ。

 

そんな“新しい作品”がベストセラーでなんてあってほしくないと。

みんなに好かれるディズニー作品みたいな評価なんてされてほしくないと。

 

なので私は『教団X』が低評価であることが、むしろ嬉しくて堪らないぐらいだ。

みんなにはこの面白さが分からないんだと、こっそりほくそ笑んでしまう。

 

みんなと共有できない楽しみだってあるのだ。孤独を楽しめない人には理解しがたいかもしれないが。

多くの人には理解されなくても、自分の中で確かな“愉しみ”を感じられる。それだけで十分なのだ。

 

もちろん、その狭い感性を突き抜けた先で、数少ない友人と共有できる愉しみもまた、である。

 

以上。

 

 

 

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