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絆の肥満状態な日本人が読むべき本 『孤独の価値』 森博嗣

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どうも。

面白い本に出会ったのでご紹介。

孤独の価値 (幻冬舎新書)

森 博嗣 幻冬舎 2014-11-27
売り上げランキング : 23668
by ヨメレバ

 

相変わらずの森博嗣節で大満足させてもらった。

 

孤独はいけないものと決めつけている 

本書の内容を要約すると、「孤独はいけないものではない。人にとって必要なもの。いけないと決めつけているだけ」になるだろうか。

森博嗣の著作ではたびたび語られているが、私たちは本当に安易に色々なことを決めつけてしまう。メディアが作り出したイメージで脳内が凝り固まっている。しかも自分にはその認識がない。たちが悪い。

 

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寂しいからいけない?

トップの画像もそうだが、孤独というのはやはり寂しい印象を受ける。寂しいという言葉にいいイメージはないだろう。だけど寂しいことはなぜいけないのか?と考えてみるとどうだろうか。 

 「いや、だって寂しいときに気持ちはツライじゃないか」

とあなたは思うかもしれない。だが考えてみてほしい。

「じゃあツライことは必要ないのか?」

嫌なことは価値がないなんて考えている人は少ないだろう。勉強、トレーニング、運動、食習慣などなど、世の中には「嫌だけど自分のためになるもの」がたくさんある

モノの価値を判断するときに、感情で測ることは多いと思う。だけど感情で判断するときというのは大抵間違っている。感情には長期的な視点は含まれていないからだ。

極端な話だが、人を殺してしまうような強烈な感情は、完全に間違っていると言えるだろう。そこに論理はないのだ。

つながってる人が正義

今の世の中には「つながり」が溢れかえっている。いつでも誰かとつながっていられる。ネット上で何万人もの人と触れ合うことだってできる。

「たくさんの人に囲まれている」という言葉にはやはりいいイメージがある。

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暖色に溢れたイメージになるだろう。これも作られたイメージである。

こういったイメージに私たちは取り憑かれていて、自然と善悪の二元論に落とし込んでしまっている。はっきり言ってアホである。自分のことだけど。

何か事件があったときに「容疑者は周囲から孤立しており…」という言い方をされる。孤立していたらいけない、と暗に言っているのと同じだ。

もう一度考えてみよう。孤独だと何がいけないのか? 

 

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孤独が生み出すもの 

自分の話をする。

私は職場で100人を超える部下に囲まれている。人間だらけである。仕事中は常に誰かと喋っている。口と頭が疲れるのが私の仕事である。

そんな私のストレス発散方法は読書だった。

常に人に囲まれる生活を繰り返していた私にとって、ひとりで完結できるという経験が堪らなく贅沢だったのだと思う。

本の世界に没頭し、自分の頭の中だけに集中する。周りの人の考えや感情を気にする必要がない、自由な時間だった。

 

人と接することは多かれ少なかれストレスを伴う。

それに対して、ひとりの時間というのは、自分を知り、自分を調整し、自分を慰める時間だと思う。別に下ネタではない。下ネタでもいいけど。

大体にして寝るときはひとりだ。みんなで寝るのが楽しい、という人は稀だろう。調べたことがないから知らんけど。

癒やしの時間は基本的にひとりの方が効率がいいものだ。

孤独こそが贅沢 

これだけ人とつながる手段に溢れ、機会に溢れた現代だからこそ、孤独には価値があるし、孤独こそが贅沢なのだ。

人と一緒にいることでしか味わえないことは確かにある。仕事は基本的にチームワークだ。みんなが大好きな甲子園なんて最たるものだろう。

だがあまりにもチームや協力することを美化しすぎなのだ

怖いのは、「孤独はダメなんだ」と思ってしまった人の逃げ場がなくなってしまうことだ。

別に孤独でもいい。人と一緒にいるのが苦手だっていい。本人が好きなように(他人にできるだけ迷惑をかけないようにさえすれば)生きればいいのだ。そこに「善悪」は存在しないはずである。

だけど、この世の中は基本的に協力することを美とするし、孤独を醜とする雰囲気が蔓延してしまっている。

 

自分の頭で考えることが大事だ。だけど、世の中はあまりにもイメージで溢れすぎていて、私のような凡人はイメージに完全に乗っ取られてしまっている。 

 

それを悲しいと感じさせられた本だった。

ぜひご一読いただきたい。

 

孤独の価値 (幻冬舎新書)

森 博嗣 幻冬舎 2014-11-27
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