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みんなの『大好きな鬱小説』をランキングにしてみた【1~20位まで】

 

 

どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。

 

この記事を書いてるのは、春一番の吹き始めた、とっても穏やかな陽気の3月。そんな爽やかな季節にピッタリの企画を今回はご用意した。

 

題して…

 

 

みんなの『#大好きな鬱小説』をランキグにしてみた!!

 

 

 

である。

最高。

 

 

※『#大好きな鬱小説』とは…

 

Twitterでトレンドにも入るほど、どうしようもない変態たちを大量に吸い寄せてしまった罪なタグ。

小説の中でも「読まなきゃよかった…」と思いつつも、なぜか目を離せない蠱惑的な魅力を持った作品のこと。

精神的な苦痛を楽しむ変態のための嗜好品、または必需品。人生の限られた時間をわざわざ不快なものに費やしたいという、終わっている人のための嗜好品、または必需品。

 

 

この世界でも有数のどうしようもないタグが付いた5000ツイートを、手作業で集計して、無理やりランキングに仕立て上げたのがこちらの記事である。

本当に我ながら脳筋極まりない作業だと思うのだが、いかんせん原始人なみにローテク&ロー学歴な人間なので、これ以外の手法を見つけられずにいる。

そろそろAIに駆逐される未来が具体的に見えてきているのだが、私の膨大な努力がAIで一瞬で凌駕される瞬間というのは、むしろそんな状況こそ鬱小説っぽくて楽しめる気がする。どうせいつかみんな死ぬし。

 

 

元はと言えば、ツイッター経由でとある方から

 

「地獄をすすりたいから鬱小説を教えて欲しい」

 

という要望をもらったのが始まりである。

うーん、こんなに終わってる名言、そうそうお目にかかれない。本当にありがとうございます。

 

しかしこの言葉に非常に多くの方が共感してくれたことも事実。じゃなきゃ5000ツイートも集まらねーし。

 

ということで、Twitterに生息する終わってる方々に贈る、地獄の詰め合わせである。

腹いっぱい地獄をすすり倒してくれ。

 

 

では行ってみよう。

 

 

※情報量が膨大なので20位からの紹介となります。

 

「地獄のすべてを知りたい!」という特に終わられている方は、こちらの記事をどうぞ⇒【完全版】みんなの『大好きな鬱小説』をランキングにしてみた【地獄】

 

 

 

 

 

20位 47票

 

 

『白夜行』

 

 

 

日本小説界の屋台骨こと東野圭吾を代表する鬱小説が見事にランクインである。

トラウマになるほどのダメージはないものの、救いのない鬱々とした物語が永遠と綴られる特異な作風に魅了された方が続出。

酩酊感にも似た読み味は中毒性があって、唯一無二の読書体験になるのでオススメである。鬱小説でのランキングだけど、普通に面白いベストセラーなので安心して読んでほしい。

 

 

19位 48票

 

 

『わたしを離さないで』

 

 

 

2017年ノーベル文学賞受賞者であるカズオ・イシグロの代表作、『わたしを離さないで』である。

綾瀬はるか主演でドラマ化されたり、ハリウッドで映画化もされたりと、小説だけに限らない活躍を見せる一方で鬱小説としての評価もめちゃくちゃ高い。

ネタバレに繋がるので、鬱要素について詳しい内容は語れないのだが、静かに、緩やかに摂取できる毒である。芯まで染み込むようにダメージを食らってほしい。

 

 

18位 49票

 

 

『殺人鬼フジコの衝動』

 

 

 

これまたど派手な作品がランクイン。

このタイトルで期待できる内容を100点満点で提供してくれるので、パッと見で気になった方は間違いないので、思う存分この間違った作品を味わってほしい。

 

ちなみに私はこの作品に関しては、凄すぎて逆に笑ってしまったクチである。頭蓋のくだりとか。色々。

 

 

17位 50票

 

 

『アルジャーノンに花束を』

 

 

 

世界的ベストセラーが堂々のランクイン。

 

というか、私としては感動作の代名詞的なものだと思っていたので、こんなにも多くの方が『アルジャーノン』を鬱小説として認識していることに驚いた。

悲しい物語ではあるけど…うーん、鬱かぁ。悲しみがあるからこそこんなにも美しい物語になってると思うんだけどなぁ。たしかに明るくて元気が出る話ではないわな。

 

こちらに関しては、鬱小説というジャンルとは別に、とにかく唯一無二の名作なので絶対に現世のうちに読んでおくべき。

この表現方法を考えついたダニエル・キイスは間違いなく天才。

 

 

~~~~

 

 

『蝿の王』

 

 

 

田中啓文も同名の作品を出しているので、皆さんのツイートの中にはゴールディングと田中啓文のどちらを指しているのか不明だったものがあったのだが、独断ですべてゴールディングのものと判断した。集計者の特権ということで。

 

知恵を出し、助け合うことの素晴らしさを高らかに歌い上げたのが、超名作『十五少年漂流記』なのであれば、それにマイナスをかけて最悪に仕上げたのが『蠅の王』である。

スリリングで迫力のあるストーリー展開、思索的な要素もある冒険小説なんだけど、最初っから最後まで鬱一色。

無人島に流れ着いた少年たちがどんどんイカれていって、異常が異常でなくなる、集団の悪意を読者にグリグリと押し付けてくる。「表紙を見るのも嫌」という称賛の言葉をいただいております。

 

 

16位 52票

 

 

『されど罪人は竜と踊る』

 

 

 

『され竜』といえば鬱の代名詞的なところがある。ライトノベルに詳しくない私でも知ってるレベルだ。

ライトノベルらしく軽妙な会話で盛り上がったところに、無慈悲な展開をぶっこんでくるという、どうしようもない作品である。

かといって鬱ばかりに力を入れているというわけではなく、戦闘シーンは極上にかっこいいし、カタルシスもある。面白さと鬱をハイレベルで融合している。すんなよ。

しんどいのが大好物の人間でもダメージを負う、と評判である。

 

 

~~~~

 

 

『ハーモニー』

 

 

夭折の天才、伊藤計劃の登場だ。

非常に寡作ながら根強い人気を誇り、#名刺代わりの小説10選 でもたびたび名前が上がっている。本当に惜しい才能を無くしたものである。

 

『ハーモニー』はその人気さゆえに、鬱小説として大量に票を獲得した一方で、「どこが鬱なんだよ!むしろ理想だろ!!」と怒り心頭の方もいらっしゃった。うーん、病的で非常によろしい。

鬱小説というとどうしてもグロみが高いものが多いのだが、『ハーモニー』はどちらかというと乾いた清潔感のある鬱である。上質なホラー小説っぽくもあるし。

 

みんなの評価が鬱かどうかで分かれるのは、ラストのせいだろう。これは読んで、実際に体験しないと分からないだろう。

ラストを迎えたときに、あなたにどんな感想が生まれ、どんな感情になるのか。ぜひ試してほしい。

そしてこんな傑作を生み出してくれた作家の新作が読めないことを悲しみ、鬱々としてくれ。

 

 

~~~~

 

 

『失はれる物語』

 

 

ここにもまた天才が。

 

天才乙一の才能が最高レベルで発揮されていた頃の短編集である。

鬱っぷりというか切なさが強めだと個人的には思っている。少なくとも不幸な物語ではないかな。ネタバレになるからあんまり言えないけど。

私の#名刺代わりの小説10選に入れている作品なので、正直冷静に紹介することが不可能だと思っている。とにかく大好物である。

 

常々小説の価値について考えているのだが、「唯一無二の体験ができること」が私の中ではとても比重が大きい。その作品だからこそ味わえるもの、をずっと追い求めている気がする。

そういう意味で『失はれる物語』は文句なしで唯一無二だ。この作品を体験したときに味わった感情は、私の中にずっと根付いている。

ランキングで紹介している他の作品に比べ、心にダメージをもたらすことはほとんどないのでオススメしておく。

 

…褒めすぎたか? まあいいか。好き。

 

 

15位 53票   

 

 

『新世界より』

 

 

弩級の面白さを誇る怪作が、鬱小説としても高い評価を得た。

自分の話ばかりをして申し訳ないのだが、こちらも私の「名刺代わり~」に入れている作品である。

だからといって別に私が鬱小説に極端な癖を持っているわけではなくて、好きな作品にたまたま鬱要素が盛り込まれていた、というだけである。現に皆さんが『新世界より』で言及されている鬱要素に関して、私は何も感じていない。「ああ、そういえばそんなシーンもあったね」ぐらいである。

 

こうやって皆さんのツイートを集計しているとよく分かるのだが、鬱小説として認識するにも2パターンあって、

 

①ストーリー全体

②ワンシーンが致命傷

 

という感じである。

それぞれに嫌さがあるけれど、人によって得意不得意があるみたいである。

ちなみに私は①の場合だと、鬱展開がベースになっていると、それが当たり前の世界として素直に受け止めてしまうので、そこまでダメージを食らえなかったりする。

それよりは不意の一撃で劇的に抉られる方が多い。

 

そんな感じで、自分がどんなタイプの鬱に弱いか、好みかを分析してみると面白いかもしれない。

そして『新世界より』は無条件でドチャクソに面白くて、脳汁がダラダラ分泌されるので、みんな読んでくれ。好き。

 

 

14位 55票

 

 

『虐殺器官』

 

 

またしても伊藤計劃…!!

 

「虐殺」なんて言葉が入ってるぐらいだから、そりゃ鬱小説にもなりますわなぁ。しかもその後に続くのが「器官」だからね。なにその部位。最悪すぎる。

ちなみに私は会社の食堂でこれを読んでいて、表紙を見かけた部下の女子から汚物を見るような目で見られた経験がある。

悔しかったので「いや違うんだよ。これは人間に虐殺する器官があるっていう話で…」と必死に説明を試みたが、あんなにも一瞬で相手の心が離れるのを肉眼で確認できた経験、もう一生ないだろうな。まあいいか、どうせいつかみんな死ぬし。

 

スリリングな要素が多めなので、普通に冒険SFとして楽しめると思う。

 

 

13位 57票

 

 

『ZOO』

 

 

またしても乙一がランクイン。

さきほどの『失はれる物語』は“白乙一”と呼ばれる癒やしに傾いた作品である。

しかしこちらの『ZOO』は“黒乙一”と称される非常にダークな物体である。

 

で、この作品に関しては特異な点がある。

最初にも書いたが、今回の集計対象となったのは全部で5000ツイート、作品数で言うと約1900作品に言及されていた。

その中で『ZOO』と書かれたのが57ツイートあったので、今回は14位とさせていただいている。

 

もしかしたらこの時点で『ZOO』に入れた方の中には「ん?」と思われている方もいらっしゃるかもしれない。

 

そうなのだ。

『ZOO』は短編集であり、その収録作のそれぞれに熱狂的なファンが存在しており、票がバラけてしまったのだ。

 

皆さんのツイートだけでは『ZOO』の箱推しなのか、メンバー推しなのか判別できなかったので、単純に『ZOO』と書かれているものだけを集計した。

 

なので、『ZOO』に収録されている各話の票も統一すると…って、まあそれはいいか。

 

ということで、色んな愛され方をされている、とっても邪悪で気味が悪く、乾いた鬱を楽しめる良作である。

 

 

~~~~

 

 

『天使の囀り』

 

 

作家が偏るねえ!またしても貴志祐介!!

 

世の中には色んな恐怖症があるのは皆さんご存知だと思う。きっとあなたも何かしらの恐怖症を持っていることだろう。

恐怖症によって日々の生活に支障が出る。支障とまでは言わずとも、ストレスに感じる。恐怖症なんて無くなればいいのに…。そんなふうに思ったことのある方にオススメなのが、こちらの『天使の囀り』である。

恐怖症を克服した先にある素敵すぎる展開には、そりゃ囀るしかないでしょ、という感じである。

 

皆さんが『天使の囀り』で鬱ポイントとして挙げるのはやはり虫関連だと思うのだけど、私は途中で出てきた研究所のウサギのシーンで地味に大ダメージを食らった。あのサラッと流される感じも相まって…って思い出しただけで、ぁぁあぁぁ…。

 

ちなみに全然関係ないけど『天使の囀り』じゃなくて『天使の嘲り』って間違えて書いてる人がいて、それはそれで皮肉が効いてていいなと思いました。

 

 

12位 61票

 

 

『ドグラ・マグラ』

 

 

 

はい。

 

 

 

11位 64票   

 

 


そろそろこのランキングも後半戦である。

 

皆さん愉しんでいただけているだろうか。それとも次から次へと現れる多種多様な鬱の数々にウンザリしているだろうか。うん。それを5000ツイート分と組み合った私を褒めてくれ。そのせいか分からんけど、ここ数日なんかテンションがおかしい。

 


ということで、惜しくもベスト10を逃した第11位の発表である。

 

 

 

『悪童日記』

 

 

 

『悪童日記三部作』として人気のシリーズ一冊目である。

サイコパスすぎる双子の主人公に、獣と女の漢字が3つ合体するやつとか、色んな要素のせいでカルト的人気を擁するも、長らく映像化は不可能だと言われていた。

なのに2013年に映画化してるらしいじゃねーか。どうせミヒャエル・ハネケあたりが監督なんだろ…と思ったけど違った。監督業に変態多すぎ。

 

戦時下を扱った作品はどうしても鬱要素が多めになりがちだけど、こちらも作者が実際に亡命を経験していることもあるし、かなりどぎついシーンを盛り込んでいるので、オススメだけど元気なときに読んだ方がいいかも。そして存分に元気を失ってくれ。

 

三部作の最後である『第三の嘘』の最後の最後に用意してあるカタルシスを伴った鬱は必見。存分に元気を(以下略)

 

ツイートを見ていると、どうやら学生時代に図書室で出会ったという方が多かったみたいだけど、文科省は義務教育中の多感な時期に鬱小説を差し込む傾向があるから注意だ。

 

 

ちなみに皆さんのコメントの中で一番好きなのはこれ。

 

何度も途中で読むのを放棄しながら読了。嫌すぎて一度手放したのにまた手元に置いてしまった。

 

これぞ“業”という感じ。素晴らしい。

 

 


~~~~

 

 

 

さあ遂にこの最悪なランキングも後半戦、ベスト10の発表である。

 


毎度のことだが一応断っておこう。

 

ベスト10と言いつつも、同票の作品があるので全部で12作品がランクインしている。

なので正確なベスト10ではないのだが、本を愛する者の端くれとして、ひとつでも多くの作品が皆様の目に留まることを願っているのでこの形を採用している。

 

 

ということで、Twitter最も愛される鬱小説たちの頂点、もしくは底辺たちである

どの作品が地獄の王者となるのか。予想しながら愉しんでほしい。

 


では行ってみよう。

 

 

10位

 

それではベスト10の一冊目、第10位の発表である。

 

 

70票獲得!!!

 

 

 

重松清…!!

 

 

 

 

『疾走』!!

 

 

 

 

いやー、まずこの装丁が素晴らしい。

このブログでは何度も言及している鈴木成一デザイン室の仕事である。「鬱ど真ん中!!」って感じ。

 

今回のランキングにはあくまでも「票数」で順位を付けたので、上に行けば行くほど鬱度が高いというものではない。

鬱度が高くて人気なのか、それとも人気作の中に鬱要素が含まれているだけなのか。その区別はされていない。

しかしながら、『疾走』は鬱度も人気度も抜群である。鬱度が抜群って意味が分からんけど、とにかく不快さが凄い。

 

重松清の作品は総じてリーダビリティに優れているけど、鬱展開なのにここまでぐいぐい読者を引っ張るのは他にない。物語の握力が強すぎる。本当に手が止まらんのよ。ずっと地獄なのに。

 

これで重松清デビューをしてしまい、それ以降、重松清に怖くて手を出せないという方が出るほど罪な作品である。めっちゃ愉しい。

 

ちゃんと清い重松清を浴びたいのであれば『とんび』を読もう。

どストレートに綺麗な涙を流せるのでオススメ。鬱を洗い流せるはず。

 

 

 

9位

 

 

それでは第9位!!

 

 

71票獲得!!

 

 

 

夢野久作…!!

 

 

 

 

『瓶詰の地獄』!!

 

 

 

時代を超えてこれだけ愛されていることを見ると、夢野久作という作家がどれだけ偉大で、かつどうしようもないかがよく分かる。

超有名な(悪名な?)『ドグラ・マグラ』は長編でとっつきにくいだろうけど、『瓶詰め地獄』は短編でサクッと読めて、サクッと地獄をすすれて、夢野久作エッセンスを存分に愉しめるからオススメである。

 

内容としては、3つの瓶に入った手紙が島役場に届き、その内容を記した体となっている。

どうやら同じ書き手らしいが、3つの瓶のどれが最初に出されたものなのかが不明。

順番を入れ替えることで万華鏡のように様々な地獄が映し出される。これはゾッとしたわ。

 

有名で味わいがいがある作品なので、考察が出回っているけれど、まずは自分の中で色々こねくり回して考えて愉しむのが一番だと思う。そんなに難しくないし、答えとか別にないだろうし。

 

 

 

8位

 

 

続いては~第8位!!!

 

 

75票獲得…!!

 

 

 

カフカ!!

 

 

…といえば…

 

 

 

『変身』!!!

 

 

 

 

順当でしょう。これは。

 

目覚めると巨大な害虫に変身していた…という理不尽極まりない物語で有名な傑作である。ギャグマンガかよ。

名作と呼ばれるだけあって、理不尽な目に遭う鬱小説として愉しめる一方で、オーバーワークの末に鬱病になってしまった人間のメタファーとしても読める。

 

「二度と読みたくない」

「読むと安心する」

このふたつの感想が同時に発生しているところに、この作品の凄さがあると思う。

 

私もこうやってパソコンにむかって、ツイートを集計してブログ記事をひたすら書き続けていると、巨大な虫になってパソコンに張り付いているような錯覚を抱くことがある…ってほんとにこれって錯覚ですか? ちゃんと人間に見えてる?

 

 

7位

 

さあ、私がただのでっかい虫である可能性が出てきたところで、次に行こう!!元気出てきたぞ!!

 

 

お次は第7位!!

 

 

82票獲得…!!!

 

 

我らが鬱ヒーローの登場だ!!!

 

 

ジャック・ケッチャム!!!

 

 

といえば…

 

 

 

『隣の家の少女』!!!!

 

 

 

 

あ~~~ムリムリムリムリ!!!

 

これだけは絶対に無理。あらすじだけで無理。地下室に入ってからの展開とかもっと無理!!!

トラウマになりすぎて、“隣家”っていう文字もちょっと嫌いだもん。やば。

 

なによりもキッツいのが、これが実話をもとにしてることね。

ケッチャムは『オフシーズン』もそうだけど、創作欲が倫理観を凌駕しちゃっているのが、心底どうしようもないと思う。なんであんな陰惨な事件を見ておいて、「こりゃ作品にできるわい」と思ってんだよ。

 

でもこれぞ作家、という感じ。変態すぎて立派だわ。

 

 

6位

 

 

あぁ…心が摩耗していくのが分かる…。

はやく記事終わってくれ…。っていうか、みんなこんなの本当に愉しんでくれてんのか?

これでみんなも同じ気持ちだったら最高だな。誰も幸せにならない記事って、まさに鬱小説のまとめに相応しい。地獄に行くならみんなと一緒がいいね!!

 

 

それでは第6位!!!

 

 

86票獲得!!!!

 

 

 

たぶん日本で最も評価されている鬱小説…!!

 

 

 

 

夏目漱石!!!!

 

 

 

『こころ』!!!!

 

 

 

 

 

こちらも今更紹介する必要のない名作だろう。

なんせ教科書に載ってるぐらいだし。だからなんで多感な時期に文科省はこんな鬱作品を思い出に差し込もうとしてくんだよ。

 

長編小説である意味というのを考えたときに、それだけの言葉を尽くさなければ表現できないものが、作品にないといけないと思う。

そういう意味でこの物語はとても色んな要素が絡み合っていて、何かが間違っているのだけど、でも一つ一つを見ていくと、そうなるしかなくて、なんともやるせなく答えの出ない気持ちになる。簡単な言葉でこの作品を表す言葉存在しない。だからこそ長編小説なのだ。

 

だが我らが夏目漱石御大はこの作品を簡潔に表している。

 

そう“こころ”である。

 

 

はっはっは。ひどっ。

 

国が認めた鬱小説である。人間の“こころ”がここにある。

 

 

 

~~~~

 

 

第6位は、もうひとつがランクイン。

 

 

 

これだっ!!!

 

 

 

我孫子武丸!!

 

 

 

 

『殺戮にいたる病』!!!

 

 

 

 

ほうほう!!

同位の『こころ』と比べると、真反対というか、不快さがどストレートすぎてむしろ清涼感さえ覚えるほどである。分かりやすい。

 

私が上の方で書いた「異常さが普通になる」というのはまさにこちらの『殺戮に至る病』のことで、私はとっても楽しく読ませてもらったし、なんなら主人公と完全に同化して殺戮を堪能した。

我孫子武丸は憑依作家と評されるだけあって、人物の内面を描写するのが上手い。読者を没頭させる筆力がある。ほんとうに殺人鬼が書いてるみたいに思っちゃう。

 

臓物に溢れた作品なので鬱小説として挙げられているのだろうけど、本当に気分が落ち込むようなタイプの作品ではないので、怖がらずに読んでもらって構わないだろう。

 

 

5位

 

 

ベスト10も遂に折り返しだ。

 

 

 

では第5位!!!

 

 

 

 

92票獲得…!!!

 

 

 

満を持して大変態の登場だ!!!

 

 

 

江戸川乱歩!!

 

 

 

『芋虫』!!!!

 

 

 

 

 

素敵な夫婦愛の物語です!!!

 

 

 

4位

 

 

さあ理想の夫婦第1位を抑えた、第4位の発表だ!!

 

 

 

97票獲得…!!!

 

 

 

よくこんなんでデビューしようと思ったな…!!

 

 

 

道尾秀介!!

 

 

 

 

『向日葵の咲かない夏』!!

 

 

 

 

超売れっ子なのに堅実に変態的な鬱作品を上梓している道尾秀介である。

その傾向はデビュー作から顕著に出ていて、ダメージを食らっている人が続出である。

 

私は元々ミステリー界隈で生息していて「凄い新人が出てきた」とよく噂になっていた。

ミステリー界隈で「凄い」となると“あのトリック”をどうしても期待してしまいがちなのだけど、実際に『向日葵~』を読んでみたら、「凄いってそっち??!!」と驚愕した。新たな変態スター誕生という感じだった。

 

道尾秀介といえば、横溝正史の熱狂的なファンで有名で、横溝正史作品に出てくる仮の地名(横溝作品はY県やH市といった表記をする)をヒントに、正史の生家まで辿り着いたという逸話がある。

また、小説を発表する機会が無くなったとしても、勝手にひとりで小説を書き続ける、と語っていたぐらいの創作中毒者である。

 

そんなストーカー気質ばっちりの創作狂が情熱の限りをぶつけたデビュー作である。

忘れられない夏を経験してくれ。

 

 

3位

 

 

遂に遂にベスト3の発表である。

もうみんなのメンタルも限界だろうから(もちろん「みんな」の中には私も含む)、一気に終わらせてやろう。別に息の根を止めるという意味ではない。鬱を吸いすぎて私の息の根は止まりそうだけど…ってこんなこと書いてっから終わんねーんだよ。はよ次行け。

 


ということで、皆さんお待ちかねの第3位!!

 

 

遂に3桁の大台を突破だ。

 

 

 

103票獲得!!!

 

 

 

鬱小説界に燦然と輝く偉人!!!

 

 

 

 

太宰治!!!!

 

 

 

 

 

『人間失格』!!!!

 

 

 

これぞ!!というやつが来た感じ。相応しすぎて拍手したくなっちゃった。

シンプルに暗澹とした気分にさせてくれるTHE鬱小説だろう。

 

で、みなさんの評価は言わずもがなだとして、私個人としては『人間失格』は鬱小説というよりも皮肉な作品だなと思っている。

もっというと、あの結末に関しては当時ミステリーに傾倒しまくっていたこともあり、「これってめちゃくちゃミステリー的結末じゃん!!」と思っていた。

あと、あまりにも主人公の葉蔵と私の人間性がかけ離れていたため、遠くにいる可哀想な人という感じで読めたのも大きいかもしれない。

 

その一方で、葉蔵に感情移入して自らを重ねるような読み方をすると、これは大ダメージだろうなとも思う。

現に太宰治は『人間失格』を仕上げたあとは、なにも作品を完成させられずに人生を終わらせてしまったわけだし。

 

すべての苦しみは人間関係から生まれる、というのは中尾彬似の心理学者の言葉だけど、『人間失格』で描かれる苦しみは、自らが生み出した自らの幻影によって生じたものだと思う。

 

 

~~~~

 

 

第3位はもうひとつがランクイン!!

 

 

 

直木賞作家が鬱小説界でも大暴れだ!!!

 

 

 

米澤穂信!!!!

 

 

 

 

『ボトルネック』!!

 

 

 

 

 

これ大好き~!!

 

流産で産まれなかったはずの姉が産まれ、自分が産まれなかったパラレルワールドに飛ばされた話である。

 

これだけ見ると大したことないように感じるかもしれない。

実際、ランクインしている他の作品と比べると、凄惨なシーンも無ければ、バイオレンス要素もないし、臓物が飛び散ることもない。

 

それでもこれだけの票数を獲得している事実が、この作品の特異さを物語っているように思う。

 

もちろん大人気作家米澤穂信の作品なので、読んでいる母数が多いことも影響しているだろう。

でも彼の作品の中ではまだまだ埋もれている方だ。特にメディアミックスが展開されているわけでもないし、なにかの賞を獲っているわけでもない。

 

じわじわと手札を減らされていくような、遅効性の鬱展開が魅力の作品である。

もがき続けた末に主人公が辿り着く結末の最悪なカタルシスは、ミステリー作家ならではだ。読み終えたときに言っちゃったもん。「よくこんなん書いたな」って。

 

 

 

2位

 

 

ラスト2!!

 

 

小説界の鬱リンピック、銀メダルはこれじゃ!!

 

 

 

105票獲得!!!!

 

 

 

性格の悪さ日本一!!

 

 

 

と言えば…

 

 

せ~っの!!

 

 

 

湊かなえ!!!!!

 

 

 

 

と来れば…

 

 

 

 

『告白』じゃい!!!!

 

 

 

 

たぶんだけど、日本で一番売れてる鬱小説じゃないでしょうか。

300万部って尋常じゃないよ。どんだけの鬱成分を世界に供給したんだか。えーっと、湊かなえってどこに住んでんだ? 兵庫なのね。じゃあ兵庫の名産物に加えとけ、鬱小説って。ついでにふるさと納税の返礼品にも入れとこう。

 

2009年に本屋大賞を獲得していて、ちゃんと大衆ウケもバッチリっていのがまたいいよね。アングラアイドルがゴールデンで爆跳ねしてるみたいで。

ちなみにデビューから1作目で本屋大賞受賞というのは、湊かなえしか成し遂げていない快挙である。

 

性格の悪い物語をちゃんとエンタメとして昇華する手腕を発揮させたら日本一でしょう。いや、ほんとにこの場合の「性格悪い」は褒め言葉です。

 

気持ちよく鬱成分を摂取したい方にオススメ。そんなにダメージは受けないはず。たぶん。

 

 

1位

 

 

さてさて、遂にラストである。

もしかしたらもうすでに予想が付いてしまっているかもしれないが、まあいいだろう。

 

 

 

第1位!!!!

 

 

 

各得票数…

 

 

2位に大差をつけた

 

 

 

なんと

 

 

 

165票。

 

 

 

圧倒的である。

 

 

 

鬱小説たちの頂上or底辺に君臨するのは…

 

 

 

これだっ!!!

 

 

 

桜庭一樹!!!!

 

 

 

 

 

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』!!!!!

 

 

 

 

 

パチパチパチパチ…

 

 

いやー…おめでとうございます!!!

もしかしたら不名誉な称号だと思っている可能性もあるので、一応言っておこう。ご愁傷様です。

 

 

まさかここまでぶっちぎりの結果が出るとは思わなんだ。

しかもあの『告白』の1.5倍以上得票してるって…。異常にもほどがあるでしょ。

 

感想ツイートでも絶賛の嵐である。

 

痛みを伴う青春小説

 

読んでて本当に苦しくなるし、読むたびに絶望してる

 

救いがなく鬱々とした内容

 

鬱というより胸糞悪い感じ

 

あまりにも惨い現実にメンタルボロボロになりながら読んだ

 

ラストで死ねる

 

※ネタバレなどに配慮して、若干修正しています

 

 

だそうです。

 

改めておめでとうございます&ご愁傷様です。

 

 

ということで、大好きな鬱小説ランキングの1位に輝いたのは、桜庭一樹氏の『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』でした。

 

 

私のメンタルをボコボコにしてくれたこのランキングもこれにて終了である。皆さん、良質な地獄はすすれそうですか?

 

それでは私はしばらく優しい世界を堪能するため、なんか適当に可愛いやつでも観て心を落ち着けようと思います。

 

 

以上。長大な記事に最後までお付き合いいただき感謝。

 

 

おわりに

 

ぜひTwitterでコメントとか、記事を拡散していただけると、生きる気力が湧いてくるので、人道活動の一環だと思ってよろしくお願いしたい。

 

 

 

あなたが思ってるのの100倍ぐらい、コメントとか引用リツイートは書き手を喜ばせております。

 

 

鬱小説の洪水に耐えた人間に小銭をくれてやってもいいよ、という方はこちら。

note.com

 

 

乞食根性を丸出しにしたところで、これにて本当に終了です。