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『諦める力』 走る哲学者が紡ぐ珠玉の言葉たちに目が覚める

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 話題になるだけはある。

価値観を破壊される

この本は、多くの日本人が陥っている「努力教」から目を覚ましてくれることだろう。私も目が覚めたし、読んでいて心にグッサグサと言葉が突き刺さってきた。こういった経験をするために私は読書をしているのだと思わされた。目からウロコとはこのことだろう。

以下にこの本の内容をまとめておく。私なりにまとめたものなので、本文とは若干の差異があるがご了承いただきたい。

 

・手段を諦めることと、目的を諦めることは違う。多くの人は手段から離れられなくなっている。目的のために手段を変えることを「逃げた」と考えてしまいがち。

 

・あこがれの人は自分の延長線上にいるか。あこがれと自分の適性はまったくの別物。

 

・何ひとつ諦めないことは、立ち止まっていることと等しい。

 

・諦めないことにはリスクが付きまとう。人生をムダにするリスク。

 

・サンクコスト(今まで頑張ってきた分が勿体無いと思う気持ち)が判断を鈍らせる。

 

・諦めることは周囲との関係を断ち切ること。

 

・人は場に染まる。普通の人がトップレベルに行くには、トップレベルにたくさん触れることで、そこで常識とされることに自分を染めてしまうのが一番早い。

 

・「諦めなければ夢は叶う」と言う人は、人生の責任を取ってくれない。諦めなくて夢が叶っていない人は叶った人の何千倍もいる。

 

・「何が勝ちか」をはっきりと決めておくこと。それを分かっていないと誰かが決めたランキングを過剰に意識してしまう。

 

・苦痛の中で努力しているときは「がんばった」という感覚が強くなる。ただ、満足感と成果は別物。

 読みようによっては「冷たい」とさえ感じさせるほど、為末さんの冷静な分析。

 だがこれが陸上界でしのぎを削ってきた人間が獲得した世界の真実なのだろう。

 

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大抵の人は中途半端

普通の人達ってのは、中途半端なのだからこそ普通の人達なわけで、大抵の人はそこまでの努力もしなければ、諦めようと明確に決断することもない。

だからこそ為末さんのように、一度何かに本気で取り組み、冷静に自分の実力を測り、そして自分が進む道を決断するという経験は貴重なのだ

大抵の人は自分の人生を決めるような決断からは目を背けるし、かといって全力で努力をするかというとそういうわけではなく、自分を誤魔化しながらそれなりに生きている。

どちらがいいと簡単に決められるものではないが、「どちらが後悔しない人生か?」は分かるような気がする。

死ぬ前にする後悔

死の直前、人はやったことよりもやらなかったことに後悔するという。

死ぬときに後悔すること25 (新潮文庫)

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人生は実は選択の連続で、それを意識して「自分の人生はこっちだ」と決断する人と、なんとなく生きて「流された結果行き着いた」人とでは、死を迎えるにあたって大きな差ができるように思う。まあ死んだことがないので想像でしかないが。

ものを見るということ

 きっとみんな見ているようで何も見ていないのだろう。だからこそ、ぼんやりと人生を過ごしてしまうし、ムダな時間をいくらでも量産してしまうのだろう。

しかし心のどこかでは気付いてもいて、必死に自分が充実した人生を送っていることを主張している。自分は他の人とは違うんだぞとアピールしている。

 

私たちが目を向けるべきは、圧倒的に自分の内面であって周囲の顔色や世間体ではないのだろう。きっとそこに自分が幸せになる要素はない。あったとしても自分でコントロールができない。

 

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演じ続けると心が見えなくなる

自分の内面に深く潜り込み、自分をちょっとずつ分解して、自分の望むことを知る。

実はこれが一番重要で、だけど非常に難しい作業だ。

誰もが世間体や人に迷惑をかけないこと、空気を読むことに特化している日本。

「私は潤滑油のような人間です」 

そんなふうに自分を定義している人は本当に潤滑油でいることが幸せだと思っているのだろうか?自分の適性は潤滑油なのだろうか?

誰とも衝突しない潤滑油は確かにストレスが少ない役割かもしれない。人から嫌われるリスクも少ない。しかし潤滑油を演じるために自分の心を押し殺していると、いつの間にか「自分がどんな人間なのか分からない」「自分が何を求めているのか分からない」現象が起こる

 

まずは自分の心がどこに向かいたがっているのかを知ることから始めないと、諦めることの重要さも、決断することの重要さも分からないだろうし、そもそも諦めることも決断することもできないだろう。

 

自分の心のカタチを知る。話はそれからだ。

 

以上。健闘を祈る。