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【2025年版】#絶対に読んどけっていうミステリー小説ランキング!!

 

どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。軽井沢に旅行に行ったら、地元より暑かったです。避暑地とは。

 

 

ミステリーの本質

 

ミステリー。

 

小説の中でも屈指の人気を誇るジャンルである。

その実、あまりにも幅広い解釈を内包する概念のため、どこまでがミステリーなのか度々論争になっていて、さらには「ミステリー小説」と「推理小説」を別物として扱う考えがあったり「探偵小説」とか「犯罪小説」とか「ミステリィ」とかとにかく収拾がついていない。

ジャンルとしての定義が曖昧なものの、このジャンルを愛する人間たちの興味には一貫した目的がある。それは、

 

不道徳。

 

これである。

 

試しに書店でミステリーの棚を見てもらいたい。

0.1秒ほど見ただけでも「殺人」の文字を10個は確認できるはずだ。しかもただの殺人に収まらず、バラバラにしたり、宇宙空間に行ったり、ゾンビにしてみたりと、道徳心の欠片もない行ないが日々「ミステリー小説だし」というお題目によって平気で生み出され続けている。

そんな供給があるのは当然、不道徳を欲する者たちの強固な需要が存在するがゆえである。

中には「誰にも読まれなくなってもミステリー小説を書かずにはいられない」という需要全無視変態供給作家もいるが、それも結局は不道徳を愛する人間がいることの傍証にしかならない。

 

ということで、今回はそんな不道徳ものたちが狂喜乱舞し、古参のミステリー好きがうんざりすること請け合いのランキング記事である。

 

題して、

 

絶対に読んどけっていうミステリー小説ランキング

 

である。

 

いらん前口上

 

もう幾度目か分からないがミステリーの強烈なランキングを作ってみた。

きっかけはこちらのポスト。

 

 

今回ご協力いただいたのが合計で233名。ありがたい限りである。

総作品数はたぶん500ぐらいだろうか。

 

それらをすべて手作業で集計して、画像で投稿されているものも読み取って作り上げたのが今回のランキングである。

いい大人が時間を費やして作るものではないのでは?という私の内なる社会性が囁いて邪魔してきたりしたが、なんとかアホのふりをしてやりすごすことができた。あぶねー、もうちょっとで正気になるところだった。

 

でも結果によるとは思うけど、たぶんこの趣旨でミステリーランキングを作ることはもうないと思う。皆さん同じような結果ばかりでウンザリしてるっぽいし。もうちょい年代を限定したりとかしてもいいかも。

 

ということで、世のミステリー好きたちによる最強のミステリー小説ランキングの発表である。

どんな顔ぶれになるのか、とくとご覧あれ。

 

 

行ってみよう。

 

 

※集計作業の都合上、3票以上の作品のみのランキングとなっております。

 

 

25位    

53作品がランクイン。一気に行こう。

 

~~~~

 

『46番目の密室』

『かがみの孤城』

『クラインの壷』

『ママは何でも知っている』

『リラ荘殺人事件』

『悪意』

『噂』

『厭魅の如き憑くもの』

『王とサーカス』

『火刑法廷』

『眼球堂の殺人』

『逆転美人』

『君のクイズ』

『護られなかった者たちへ』

『七つの海を照らす星』

『秋の花』

『十戒』

『人格転移の殺人』

『人形はなぜ殺される』

『人狼城の恐怖』

『生ける屍の死』

『聖女の救済』

『折れた竜骨』

『千年のフーダニット』

『僧正殺人事件』

『体育館の殺人』

『誰が勇者を殺したか』

『白昼の悪魔』

『八つ墓村』

『武家屋敷の殺人』

『弁護側の証人』

『魔術師』

『羊たちの沈黙』

『翼ある闇』

『絡新婦の理』

『乱れからくり』

『匣の中の失楽』

『崑崙奴』

『慟哭』

『Another』

『GOTH』

『ソロモンの偽証』

『ドグラ・マグラ』

『暗黒館の殺人』

『奇想、天を動かす』

『孤島の鬼』

『堕天使拷問刑』

『さよならドビュッシー』

『黒い仏』

『メルカトルかく語りき』

『硝子のハンマー』

『名探偵に薔薇を』

『名探偵のいけにえ』

 

~~~~

 

まずは3票が入った作品たちである。

色々と語り代のある作品ばかりでどこから手を付けたものやらという感じ。

ということで私が大好きな2作品をピックアップさせてほしい。ブログ主の特権ということで。

まずは『弁護側の証人』でしょう。

あまり有名ではないのだが、ミステリー的快楽をガツンと食らわせてくれるパンチのある作品である。私の長いミステリー遍歴の中でも屈指の威力を持つ作品である。ガツン好きにはオススメ。

あとはミステリー作家が書いてないにも関わらず、物凄い完成度を体験させてくれた『君のクイズ』。

バカ売れしちゃってるので今更感が拭えないが、上質なミステリーとして改めて評価したい。

冒頭でいきなり提示される魅力的すぎる謎、クイズ道とでも呼べそうな奥深きクイズの世界。さらには人間の根源的な喜びにまで話を展開させ、完璧な構成とページ数で完結する。まるで上質なクイズのように洗練された物語。大好物です。

 

あ、あと『黒い仏』に入れた不届き者がいらっしゃいました。

みんなが楽しんでるときにそういう異物混入させるっての、ちょっとどうかと思うんですよね。はい、入れたの私です。あ、その京極夏彦、読み終わったら殴るのに使ってOKですよ。狙うのはここね、ここ。しっかり致命傷でお願いします。

 

 

24位

まだまだ序盤。25作品がランクイン。

 

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『13階段』

『ある閉ざされた雪の山荘で』

『カササギ殺人事件』

『カラスの親指』

『コズミック』

『しあわせの書』

『マリアビートル』

『夏と冬の奏鳴曲』

『鏡は横にひび割れて』

『禁忌の子』

『九マイルは遠すぎる』

『空飛ぶ馬』

『黒死館殺人事件』

『新世界より』

『隻眼の少女』

『倒錯のロンド』

『犯罪者/太田愛』

『戻り川心中』

『夜よ鼠たちのために』

『アルバトロスは羽ばたかない』

『イニシエーション・ラブ』

『犬神家の一族』

『ロートレック荘事件』

『神様ゲーム』

『まだらの紐』

 

~~~~

 

エンタメ小説の最高峰だと私が公式に認定している『マリアビートル』が見事ランクイン。

読む前から伊坂のこと好きだったけど、より好きになって、なんなら感謝の念すら湧いてくるぐらい。

「すげえもん生み出してくれてありがとう。というかむしろあなたが作家になってくれて感謝」みたいな気持ちになった。読んでたときの興奮と幸福感ったらなかったな。伊坂幸太郎のご両親にも感謝しておこう。

ただ唯一の欠点というか瑕疵を挙げるとするなら、クソ最悪&ゲボ最低な「王子」っていう悪役が出てくるので、胸クソ注意である。人によっては本当に無理らしいから。でも私は愛してるよ、王子

 

あとは太田愛の『犯罪者』!

ドラマの脚本家として鍛え上げた圧倒的な展開力と、肩入れせずにはいられない血の通った人物描写、そして社会の歪みを痛みを持って見つめる真摯な目。

これも上下巻だけど、分厚さが嬉しくなってしまうタイプの作品である。

あんまりポンポン新作を出さないところも、一作一作に魂を込めてる感じがしてとても良い。実際、彼女の作品は読むとしっかり魂に重く響いてくる。ただのミステリー作品としてだけでは語りきれない魅力がある。太田愛は偉いからみんなで褒めよう。

 

 

23位    

14作品がランクイン。

 

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『Xの悲劇』

『オランダ靴の謎』

『この闇と光』

『モルグ街の殺人』

『烏に単は似合わない』

『蒲生亭事件』

『幻の女』

『刺青殺人事件』

『理由』

『連続殺人鬼カエル男』

『仮面山荘殺人事件』

『本陣殺人事件』

『名探偵の掟』

『その女アレックス』

 

~~~~

 

ミステリー好きになって20年以上経つが、恥ずかしながら古典と呼ばれるようなものを一切通ってない。学校でシャーロック・ホームズさえ読んだことなかった。

ということで、熱烈な横溝正史ファンの友人の影響もあって『本陣殺人事件』を読んだ。

正直、びっくりした。

こんなにちゃんとミステリーしてたんだ

 

金田一作品を知らない人間からすると、湖から足が出てる『八つ墓村』のイメージとか、板尾のマスクで有名なスケキヨとか、おどろおどろしい印象ばっかが先行してて、ちゃんとした推理小説というよりも、サスペンスとかホラーがメインなのかと勝手に思っていた。

ちなみに足が群生してる湖もスケキヨも『犬神家の一族』なので勘違いしないように。

 

しかも和室で密室ものというゴリッゴリに挑戦的な作品で、舞台設定の時点で「そんなの可能なの?!」と衝撃だった。すげえよ正史。

そこら中に散らされた要素がパチパチとハマっていく様は完全に現代ミステリーの本流という感じ。

あとは詳しくは書かないけど、あの独特な語り口ね。現代ミステリーとかホラーを読んでる人間からすると、この試みの影響を強く感じる。ここから始まったのかって。

 

語りすぎかもしれないけど、あともうひとつだけ!

東野圭吾がミステリー小説の可能性をすべて発掘し尽くそうとしてたバケモノ期に生み出された傑作。まさかこんな宝石が眠っていたとは。

ミステリーの衝撃って出会うタイミングに左右される部分が大きい。似たトリックが連続すると威力は半減だろうし、性癖に刺さらない結末の場合は半減どころか怒りさえ湧くだろう。

で、私は『仮面山荘殺人事件』に関してはベストのタイミングでぶつかったので、無事致命傷をいただけたわけだ。ちなみに人生初ミステリーは『葉桜』です。そりゃ抜け出せなくなるわな。

持ち上げすぎてこれから読む方のハードルを無駄に上げてしまってる可能性が否めんが、これが私の素直な評価なので許して。とりあえず東野圭吾は一周しておこう。

 

 

22位    

15作品がランクイン。

 

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『インシテミル』

『ナイルに死す』

『異邦の騎士』

『虚無への供物』

『月光ゲーム』

『殺しの双曲線』

『自由研究には向かない殺人』

『青の炎』

『大誘拐』

『白夜行』

『扉は閉ざされたまま』

『迷路館の殺人』

『密室殺人ゲーム 王手飛車取り』

『ジェリーフィッシュは凍らない』

『アリアドネの声』

 

~~~~

 

我らが真偽の大ヒット作『アリアドネの声』が待望の文庫化である。

さらなる人気の拡大が期待できるのだが、厄介な友人から聞いたところによると帯が素晴らしいことになっているそうだ。もちろん皮肉である。こういう厄介な話をしてくれる偏屈な友達最高である。

 

読書界隈にいるとたびたび帯の話題が持ち上がるのだが、思い返してみるとこれってミステリー界隈でしか怒って…もとい、起こっていない気がする。

「○億売れた」とか「どんでん返し!」「最後の○行で~」みたいな帯って、緻密に組み立てられた作品にペンキをぶっかけるような行為だと思っている←厄介

 

そもそも宣伝という行為が「買ってください!!」という下品なお願いから発しているので、上品にすればするほどヒットする本は限られてしまうだろう。

しかもこの出版不況である。

数十秒の動画で満足している人たちをなんとかして読書というカロリー消費高め&低タイパのコンテンツに引きずり込もうと思ったら、けっこうなりふり構わずに醜態を晒す必要があるのかもしれない。

ということで私自身は厄介な嗜好を変えられそうにないが、本が売れなくなるのは困るので、目立ってない本を粛々と購入していく所存。

 

 

21位    

10作品がランクイン。ざっくり紹介するのはここまで。

 

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『○○○○○○○○殺人事件』

『向日葵の咲かない夏』

『告白』

『首無の如き祟るもの』

『双頭の悪魔』

『エレファントヘッド』

『模倣犯』

『金田一少年の事件簿 電脳山荘殺人事件』

『硝子の塔の殺人』

『その可能性はすでに考えた』

 

~~~~

 

これまたハイカロリーな作品が目白押し。

そうですねぇ…。せっかく強烈な悪魔みたいな作品が集中しているので、特にひどいやつを取り上げようか。

まずはこれ。

公式からあらすじさえも漏らすなという強火なネタバレ禁止令が出ている。

しかし既読の私からすると「そういう問題な…のか…?」と非常に戸惑ってしまう。

そもそも初白井作品だったこともあるだろうけど、とにかく世界観の濃さと倫理観の薄さにやられっぱなしで、何度笑ったことか。狂人が作ったアトラクションって感じだった。

もちろんネタバレは一切する気はないので、多少でも気になる方はぜひ読んでしっかり後悔してもらいたい。

こんな邪悪な作品、そうそう出会えませんぜ。

 

 

そして邪悪の代名詞といえばこれ。

やられすぎてこの表紙を見るだけでゾワゾワしてくる。あれもこれも描かれてて…もう…。

めちゃくちゃ面白いことは前提として、それよりも受けたダメージの印象が強くて、「本当に最悪だった」と正直に感想を書いたら、予想の100倍ぐらい否定的な反応が返ってきて驚いた。

なんか今どきは感想さえも素敵な見栄えの良いものしか受け入れられないのだろうか。あれって最悪さを楽しむものじゃないの?それとも「心温まる素敵な作品でした♥」って淹れたてコーヒー&可愛いケーキを添えて投稿した方が良かった?あの表紙の横に?それはそれで最高だけど。

 

『模倣犯』へ熱量たっぷりに語ったポストがあるので、付き合うお暇があればぜひ。

長い読書歴の中でも屈指のキツい読書体験でした。たぶん読み返すことは一生ないと思う。なぜならその必要がないぐらい深く刻まれてるから。

 

 

20位    

2作品のみ。

 

 

『儚い羊たちの祝宴』

以前みんなから募集して作った「神がかってる短編集ランキング」でぶっちぎりの1位を獲った作品。私も1番を挙げるならこれかも。いや、乙一の『失はれる物語』も捨てがたい。いやいや、横山秀夫の『第三の時効』だって…

とにかく短いページ数で無類の破壊力を誇る傑作中の傑作である。

本を読み慣れていない人にも極上の衝撃をくれるのでオススメ。もっと爆裂に売れるべき。『アルジャーノン』とか感動作とかいいからこれを読もう。五十鈴に震えろ。

 

 

 

『アリス殺し』

奇想を駆使した作風で、屈折した性癖を持つ皆様に格別な快楽を与えてくれる、小林泰三の最高傑作がランクイン。現実世界と夢の世界の両方で事件を解決するという特殊にもほどがある設定のミステリーである。

はっきり言ってミステリー慣れしていない人間からしたら意味が分からんと思う…と書こうと思って調べてみたら普通に「普段読書しないけどこれは最高に楽しめた」みたいな方もいたから、もう私から言えることは何もありません。

序盤はちょっととっつきにくい部分があるかもしれないが、そこを超えた途端に面白さが加速度的に増してくるので安心してほしい。そしてラストは…ちょっとこれは凄すぎるだろ。

 

 

19位    

19位はちょっと増えて7作品がランクイン。

 

~~~~

 

『Yの悲劇』

ミステリーといえばこれでしょう。

と書きつつ、私は未読なので本当にすみません。つくづく古典に弱い自分が憎い。

でも次々と魅力的な新刊を出す作家たちが悪いとも言える。あいつらが全員いなければ私だって古典読んでるよ。たぶん。

これもきっと横溝正史と同じで私が食わず嫌いしてるだけだろうし、読むのが遅くなれば遅くなるほど、ゆるネタバレ(緩やかなネタバレの略。他作品でのオマージュとか引用トリックみたいなやつ)を食らう可能性が高まるので、さっさと読もう。

じゃあまずは我が家にある積ん読たちを…(その後、彼の姿を見た者はいない)

 

 

『ストーンサークルの殺人』

我らがニューヒーロー、クレイヴンの登場である。

ここ最近のイギリスミステリーの勃興っぷりは何なのだろう。元々ホームズを生んだ土地だし、ミステリーの聖地ではあると思うだけど、それにしても優秀な作品があまりにも連発しすぎである。しかもちゃんと日本人受けするやつだし。

その中でも特にエンタメ性とミステリー的完成度の両面で高いレベルを叩き出し続けているのがクレイヴンのワシントン・ポーシリーズである。

私も大好きが止まらない作品で、毎回新作が出ることを数少ない人生の楽しみにしている。これは私の人生が寂しいという意味ではなく、それくらいワシントン・ポーシリーズが毎回確実に面白いという意味である。本当だ。

読み手を物語に引っ張り込む手管も素晴らしいし、キャラ造形も最高だし、会話とか展開とかもう全部っす

 

 

『獄門島』

未読。すまぬ。

それにしても皆さんの感想を見る限り、これが日本のミステリー小説の最高傑作で、これ以上がまだ出ていないと評価されている方もいて、やっぱり横溝正史ってちゃんとトリックメーカーだったんだなと再認識。古典読も。それではまず積ん

 

 

『斜め屋敷の犯罪』

ぎゃーーーーー!!

これよ、これ!!

こういうこと!これが欲しかったんだって!!

 

って、読んだときは思いました。

私が求める推理小説の答えが書いてあったような気分。島田御大に私の正解を伝えたことなんてなかったと思うんだけど、知らない間に伝わってたようでなにより。

トリック至上主義の私にとって、ある意味でこれ以上の作品はないかもしれない。

今回のランキングのために私からもたくさんの作品を挙げたけど、トリックという一点に限れば『斜め屋敷』が最強じゃなかろうか。いや、御大といえば"あれ"もあるか…。

 

 

『六人の嘘つきな大学生』

いまいちばん読者をDance on the palm させちゃう作家といえば浅倉秋成でしょう。

就活という見飽きた慣例に、思いも寄らない発想を組み合わせて、こんなに魅力的なミステリーに仕上げちゃうんだから。

設定でまず引き込まれ、話の面白さに夢中になってる間に、大きなテーマ性にまで持っていくし、最後に分かる"あれ"の上手さには思わず「すげぇ…」って声が出てしまうほどだった。どんだけ小説を自由自在に操れるのよ。

 

 

『アヒルと鴨のコインロッカー』

ボブ・ディランを聴きたくなること請け合い。

伊坂って褒めるところしかない作家で、魅力を語り出したら私の寿命が尽きる可能性が高い。

だから一例だけ挙げるとしよう。高い引用能力についてである。

伊坂って、自身が好きなものを作品に上手く落とし込んでその魅力を読者に感染させる力が高くて、『アヒ鴨』の場合、それがボブ・ディランである。

『アヒ鴨』を読むまでボブ・ディランなんて1㍈も興味なかったけど、読み終えたら速攻で音源に当たったもん。新型コロナ並の影響力。悪口じゃないです。

で、もちろん引用だけじゃなくてミステリー作品としての価値も抜群である。

個人的にはエンタメ性では『マリアビートル』。ミステリーとしては『アヒルと鴨のコインロッカー』が最高傑作だと私が公式に決めております。これは食らうぞ。

 

 

『シャーロック・ホームズの冒険』

すまん未読!

…ではなく、なんと古典弱々の私なのにこの文章を書く前に読んでみた。偉すぎる。

で、感想。

 

ゆるネタバレ食らってた~~~

 

さっき『Yの悲劇』のとこで書いてたやつ食らってたよ私。

もしかして『Y』も私がまだ気付いてないだけで食らってるんじゃねーの?ゆるネタバレ。もう勘弁してくれ。

ただでさえ日々ほとんどの楽しみのない寂しい人生を送ってるんだから、せめて大好きなミステリー小説ぐらいは私の味方でいてくれよ。こっそり罠とか仕掛けないでおくれ。

ということで私が今後シャーロック・ホームズを読む可能性はほとんど無くなりました。誰も悪くない。世界ってこういうもんだ。辛え。

 

 

18位    

 

『星降り山荘の殺人』

私が今まで読んだ推理小説の中で最もフェアにして、最も煽りが強い作品

倉知淳という人を食った作家をそのまんま体現したような作品だと思う。

肩の力を抜いて読んでもらうのが一番良いと思うんだけど、章が変わるたびに読者への煽りが出てくるから、次第にこっちもエンジンがかかってくるというか。

 

ちょっとふざけた感じのテンションながらもしっかりとミステリーが効いてて、そのバランス感が大好き。

読み終えたあとにどれだけフェアだったかを確認するのがまた楽しいのでオススメ。

 

 

17位    

 

『満願』

またしても米澤穂信の短編集がランクイン。

短編集って収録作品のすべてが気にいるとも限らないから、どうしてもランキングになると弱い。

しかしさすがは穂信タンである。収録作のどれもがハイクオリティ&でかインパクトで、そりゃ皆さん骨抜きですよね、分かります。

こちらの『満願』はイヤミスで固めた短編集で、しかも最後まで読むとイヤさがより強まる仕掛けになっている最高の書。邪悪なのにゾクゾクと背筋を快感が走るような感覚が得られる。そう、それが背徳感ですね。

 

ちなみに『満願』が大好きな方にオススメなの作品をついでに紹介。ブログ主の特権として差し込ませてもらう。

 

歌野のイヤミス、完成度が尋常じゃなくて最高。最悪すぎて幸せ。

 

 

16位    

2作品がランクイン。

 

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『世界でいちばん透きとおった物語』

もうこの作品に関しては何も語らないことが一番の紹介である。

ただそれだと寂しすぎるので、一言だけ。

 

 

あっぱれ。

 

 

ミステリーに魂を売った作家の仕事って、きっとこんな感じ。

これから読む方は、人生で一度しか食らえない衝撃を存分に楽しんで。確実にあなたの人生に新たな扉が開きます。

 

 

~~~~

 

『地雷グリコ』

ゲームの天才がひたすら無双する快刀乱麻な連作短編集

頭脳戦のテンポ感と何度が絶妙で、ぐりぐり読み進めてしまう。現役最強と呼び声高いのも納得の内容。

「どうせこっちの予想は裏切られるんでしょ」と思っているのだが、それでも「その手があったかあーーー!!」という衝撃を楽しめる。青崎有吾、これを練り上げるのにどんだけ時間と知能を費やしたことやら。

キャラ造形のせいか、個人的にはマンガで読むのが一番適した作品だと思っている。

 

 

15位    

 

『星を継ぐもの』

かっかっか。

 

好きすぎて悪役老人の笑いが出ちゃったよ。実際にこんな笑い方してる老人いたら、喉になんか詰まって死にかけてんのかと思うだろうけど。

以前やったSFランキングではぶっちぎりの1位を獲得してる、SF界に燦然と輝く不動の名作である。

それは重々承知の上で、私はやっぱり極上のミステリーとしか見られません。不純です。ミステリースケベですよ。もうね、ミステリーに狂っちゃうと世の中をミステリーかミステリーじゃないかでしか見られんのよ。もう嗤うしかないでしょ。かっかっか。

全然作品の紹介してないけど、このあらすじだけでイチコロでしょう。

 

月面調査員が、真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体はなんと死後5万年を経過していることが判明する。果たして現生人類とのつながりは、いかなるものなのか?

 

これを超える魅力的な謎にはもう出会えないだろうなー。

 

 

14位    

14位も2作品がランクイン。

 

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『爆弾』

推理小説的なインパクトだけで考えるとちょっと物足りない部分もあるが、圧倒的なエンタメ性と不愉快すぎる犯人"スズキタゴサク"の邪悪な魅力だけで、寝るのも惜しくなるレベルでハマってしまう作品

魅力的な悪役といえば伊坂作品とか、あとは中村文則の『掏摸』とかが最高だけど、スズキタゴサクはこのジャンルで頂点に立ったかもしれん。

悪辣さでは全然他の悪役に劣るんだけど、どストレートに嫌いになる。

なのに離れがたいカリスマ性も持ち合わせてて、「こいつ次は何を言うんだ…?」って期待もしちゃう。そんなアンビバレントな自分の感情も含めて、「あぁーー!もうっ!!悔しい。面白え!!」ってなる。

思う存分心を蹂躙されたい方にオススメの一作。

ちなみに私は旅行先に持っていって子供たちが寝た後に読み始めたんだけど、あまりの止められなさに明け方まで一気読みしてしまった。翌日海水浴だったのに。疲労で溺死してもおかしくなかったね、あれは。危険なのでくれぐれも皆様は用法用量をお守りいただいて、タゴサクの摂取量にはお気をつけくださいませ。

つまり面白さで人を殺すほどのパワーを持つ作品です。←過言

 

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『魍魎の匣』

もうさっきからずっと最高な作品ばっかで、紹介してるだけで脳汁が出てくる。

京極の中で私が一番好きで、一番ミステリーとして評価してる作品。

京極堂シリーズは読み物としてただただ面白いから、それだけで十分である。

でも『魍魎の匣』はそれに加えて、カタルシスたっぷりの"憑物落とし"を見せてくれるから、もうもうもう…っ!!(興奮のあまり膝を叩きまくっています)

独特の世界観に浸らせてくれる格式高い文章と、圧倒的なページ数…!まさに箱、函、匣。殴られて死ぬとしたこれが一番。

基本的に百鬼夜行シリーズは私の中でバカミス(んなアホな、とツッコミを入れたくなるルール破りな作品群のこと。人よってその定義は様々)なんだけど、『魍魎の匣』に関しては、バカの壁をぶち破っているというか、あの怪しくも魅力的な物語を綺麗に収めるにはあの結末以外は許されないというか。とにかく衝撃的な体験でマジで最高だった

あの謎のスッキリ感はまさに私の憑き物が落とされた快感によるものかもしれない。何の憑き物かって?そりゃ革手袋の妖怪でしょう。

 

 

 

 

あなたはすでに妖怪です。

 

 

 

 

13位    

ここまで来ても複数ランクインが続くのは珍しいかも。

13位は3作品。

 

 

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『姑獲鳥の夏』

妖怪おじさん再びランクイン。完全に憑かれてる。

京極夏彦の華々しいデビュー作で、デザイナー業の傍ら執筆されてたとか。

私がバカミスと評したのはまさに『姑獲鳥』が最大の原因です。繰り返すが作品を批判しているわけでも、貶しているわけでもない。愛称みたいなもんだと受け取っていただけると助かる…って、セクハラパワハラするやつの言い分って、大抵こんな感じだよね!

とはいえバカミスは本当に揶揄でもなんでもなくて、もっと優しい表現にするなら「見たことないタイプの面白さ」だし、私のミステリー性癖に真摯に向き合うならば「そりゃねーだろ」である。自分に正直になるって難しいよね。

 

それでも悔しいことに面白さは一級品で、没頭に次ぐ没頭で、この幻惑的な夏にずっと浸っていたい気持ちになった。みんな分厚い本読もうぜ。10秒じゃ味わえない世界に行こう。

そうそう、『姑獲鳥』は夏に読みたい本ランキングで堂々の1位である。

 

 

 

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『屍人荘の殺人』

ミステリー変態による、ミステリー変態のための、異形の建築物。それが『屍人荘の殺人』である。

界隈の人間であれば大喜びする仕掛けや挑戦がふんだんに盛り込まれていて、謎と伏線の張り巡らせっぷりが凄まじい。特に後半の方とか読みながら「やりすぎだろ…」と笑ってしまうほど。

デビュー作にも関わらず、いきなり本屋大賞で3位に食い込む快挙。さらには映画化までしてしまい、一気に表舞台に踊り出た感があった。

しかしその実、ポップさがそこまで高い作品ではなく、ミステリー慣れしていない方は「え?死…?えっえっ?!」と戸惑いと困惑の二重奏を披露することになるだろう。

現に職場の後輩から「あれ何なんすか!」とクレームが入ったことがある。私に言われても困る。ミステリー小説の総合受付対応とかやってねえから。命がいくつあっても足りないよ、そんなの。おっと、清涼院流水の悪口はそこまでだ。

 

 

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『七回死んだ男』

ピースがはまる快感、ここに極まれり。

 

同じ1日を繰り返してしまう男子高校生のお話。

よくある設定じゃん、と思われるかもしれないがまったくもってその通りである。では何が凄いか。構築力である。

主人公は資産家の祖父が殺されてしまう場面に遭遇する。「同じ1日を繰り返してしまう」という得意体質を活かし、なんとかして祖父が殺されないように画策するがどうしても上手く行かず…。

試行錯誤をしながら着実に埋まっていく真相と、軽やかに読者の上を飛び越えていく発想。主人公と一緒にうんうん唸りながらパズルをはめていき、脳内でカチリと完成したときの快感といったらない。

 

紛うことなき、パズラーものの傑作である。

 

 

12位    

さあそろそろ佳境を迎えてきたこのランキング。

いつも記事を書いてるときに思うけど、書いてる私ばっかりテンションが上がってて、読んでる皆さんは果たして付いてきているのだろうか。

もし私が逆の立場だったら、勝手にひとりでテンションが上がってるオッサンがいたら絶対に関わりたくない。もちろん人生は自由である。テンションを上げるのに勝手もクソもない。好きなタイミングで上げればいい。だけどオッサンは基本的に生きてるだけで嫌われる生き物である。であればタイミングとテンションぐらいは周囲の迷惑にならないように合わせるべきではないだろうか。

 

ということで、ベスト10にぎりぎりで及ばなかった12位はこちら。

 

 

 

『容疑者Xの献身』

前回は確か7位とかだったかな?ベスト10常連な作品なので、これはちょっと意外。

ただまあミステリー作品としての強さを評価するならば、そのときどきのインパクトよりも、どれくらいのアベレージかの方が大事であろう。

 

数多くのヒット作を飛ばしている東野圭吾の中でも特に評価が高く、ミステリー小説なのに直木賞まで獲ってるんだから誰も文句ないでしょ。(私を除く)

そういえば先日回ってきた記事で北方謙三が直木賞の裏側を語ってたものがあったけど、『容疑者X』が獲るまでにも相当にご苦労があったそう。

確かにミステリーと文学の相性は悪いだろうなーと、ミステリーファンである私でさえ理解できる。

だって「ミステリーにおいて命は軽いですよ」※from綾辻行人 である。命を軽々に扱ってる作品に国を代表する文学賞を与えるのはかなりの勇気がいったはず。選考委員の皆様には頭が下がります。

でも今回の受賞作なしは許してないけどな。

 

ミステリー部分よりも数学談義の部分が個人的にはとっても好き。

 

 

11位    

 

ほとんどベスト10入りと言っても過言ではない第11位である。←過言

 

いつもベスト10まででまとめ画像を作ってるから、11位には特別に思い入れを持ってしまう。

紹介してるだけだし、私なんてただの読者だから何の責任もないんだけど、それでも心のどこかで「作品に優劣をつける」という行為に引け目を感じている

 

こういったランキングに入るということは、誰かにとっての傑作なわけであって、それを票数なんていうただの数字で順位付けするのは乱暴の極みである。本好きとしてそれでいいのかと内なる読書家が叫んでいる。

 

うるせえ。

本が好きだからこそ、本のランキングが楽しいんだろうが。本好きが楽しまなくて誰が楽しむんだよ。絶滅危惧種なんだよ、読書家なんて。人類みんなTikTokかNetflixしか観てねーから。世の中のコンテンツって、もうそれしかないから。

 

というのは、さすがに言い過ぎである。

でも改めて己を顧みると、愛する本たちに対して誠実になるならばランキングになんて作る必要はない。優劣を生み出す必要なんてない。

その一方で俗っぽい正直な私はランキングを欲してて、しっかりとこうやって記事にこしらえている。完全に誠実さが欲望に屈している格好である。てへへ。

 

どうせコンテンツの端っこで楽しんでいる絶滅危惧種である。せめて己の欲望ぐらい成仏させてやっても構わないんじゃないだろうか。喜んで地獄に行こう。

ということで、地獄といえばこれでしょう。11位はこちら。

 

 

 

『火車』

カードローンによって、身の破滅を招いた女性の足跡を、落ち着いたトーンで、でも容赦なく丁寧に拾い上げた宮部みゆきを代表する傑作である。

宮部みゆきの手法なんだろうけど、あえて普通の人を起用することで読み手の我々がその場に引きずり込まれるような感覚がある。

 

『火車』の場合、あと『模倣犯』もそうだけど被害者となるのは女性である。読んでる私はオッサンなのだがその性差に関係なく、作品における被害者の存在感の温度があまりにも自分に似通ってて、それこそ他人事として読むことができなくなってしまうのである

 

派手な展開があるわけでも、強烈な謎解きがあるわけでもない。

ただただひたすらに、ひとりの女性が人生を転落していく道を辿るだけ。なのになぜこんなに面白れーんだ。イヤさと面白さを融合するの巧すぎるよ、宮部みゆき。本当なら相反する感情なのに、こんなに上手いことやられたら情緒狂うわ。

ストーリーテリングもさることながら、私としてはラストシーンが抜群に好物。ここで終わらせるのフェチすぎる。

余韻というか、作品への距離感がみたいなのが突きつけられるようでゾッとする。改めて宮部みゆきは傑物だと思う。

 

ちなみに2回連続で11位である。うーん、強し。

 

 

~~~~

 

だらだらと余計なことばかり書いてきたこのランキングも遂に本番である。

お待ちかねのベスト10の発表である。結局みんなここを見に来たんでしょ?私も同じである。

 

とはいえこれまで何度もミステリーのランキング記事は書いてきたが、ことごとく同じ結末を迎えており、ループものの主人公になった気分である。あとは誰かが七回死ねば完璧である。

さて、今回はどんなラストが待っているだろうか。期待通り、期待外れ、がっかり、納得。どんな評価をするのもあなた次第。大人しく現実を受け入れようじゃないか。何がとは言わないけど。

 

 

それでは現実への旅路、行ってみよう。

 

 

10位    

 

まずは21票を獲得した第10位の発表である。

 

 

常連中の常連…といえば…

 

 

 

 

 

綾辻行人!!

 

 

 

 

 

の……

 

 

 

 

 

 

 

『時計館の殺人』じゃい!!

 

 

 

 

 

 

 

あっぶねぇ~~~!

 

何がとは言わないけど、あぶなかった~~。歴史が壊れたかと思った

時計の方でしたね。はいはい。思わずコーヒーカップを持つ手が震えたよね。口紅は…っと、ここにあったか。OKOK。

 

館シリーズの中でも「これが一番好き」と語る人が多く、何がとは言わないけど皆さんどうやら特別な作品と比べて語られている印象がある。私にはよく分からないけど、比べがちな作品があるんですかね?(茶番)

 

ちなみに私がミステリー好きなせいで、読書仲間もミステリー狂いが揃ってるんだけど、彼らも『時計館』推しで「これこそがトリック」「神の一手」と評していた。凄い人気である。

 

で、さっきから芯を食わないコメントばかりしている理由は未読だからである。ごめん!

でもこんな強烈な作品を取っておいてあるって、ミステリー好きとしてはとても幸せなことなのだ。読んだら終わっちゃうからね。当たり前だけど。初読体験の貴重さはミステリー好きほど分かってる

再読で得られる楽しみがあるのは否定しないけど、結末を知らずに読む楽しみほど最高な体験は他に無いよ。聞いてるか、キング。ネタバレはガキの泣き言じゃねーんだよ。こちとら人生をかけてミステリーを愛してんだよ。部外者は他所に行ってな。

 

おっと、ネタバレに関するひどいニュースが飛び込んできたから、思わず毒づいてしまった。こんな上品なブログで、しかも高貴な読者の皆様に醜態を晒してしまい申し訳ない。落ち着いて落ち着いて。f××k。

 

 

ネタバレだめ、絶対。ということで、第10位をもうひとつ発表しよう。

ベスト10とか言いながら実は12作品がランクインしている。

そんな細かいことを気にする方はこんな最後まで読んでいないだろう。改めて度量の広いあなたのような方々に感謝である。おかげさまで恥ずかしい文章を不特定多数に晒し続けております。止まれなくしたのはあなた方である。

 

それでは2つ目の第10位は…こちら!

 

 

 

 

歌野晶午!!

 

 

 

と、来たらこれでしょう!!

 

 

 

 

『葉桜の季節に君を想うということ』

 

 

 

 

 

出ました。

 

私の性癖を決定的に歪めた罪深い作品がランクイン。

歌野晶午はデビューからずっと野心家で、大掛かりなトリックに挑戦し続ける稀有な作家である。その鼻息の粗さからたまにすんごい空振り(でも人によっては大当たりと受け取る人もいる)もするが、当たるととんでもない結果を出したりする

そんな稀代のトリックメーカーが放った最大のホームランがこちらの『葉桜』である。

タイトルだけ見ると恋愛小説みたいに感じるかもしれないが、ど真ん中のミステリーである。恋愛小説だと思ってページを開いたら1行目で凄い顔になるんじゃないだろうか。そんなの面白すぎる。かっかっか。

 

元私立探偵がとある霊感商法について調べる話なんだけど…そこからの展開ったらね。ありゃあ最高ですよ

私は通勤中の電車で"あの瞬間"を体験した。興奮しちゃって思わず周囲を見回しちゃったもの。抑えきれなくて。何かを吐き出したくて。

読んだのがもう20年以上前なのに、あのときの電車内の様子が思い描けるぐらい強烈に記憶に残ってるもんな。これはもうジジイになっても同じこと言ってる気がする。でしょ?

 

ちなみにAmazonのレビューはネタバレのオンパレードである。

一番上にあるAIによる要約もネタバレを吸収合体した怪物になっているので一切見ないこと。あんなん全部モザイクかけとけ。

 

 

9位    

 

続いては22票獲得の第9位!!

 

 

異色の探偵が登場である。

 

 

 

相沢沙呼!!

 

 

 

 

 

 

『medium』!!

 

 

 

 

 

 

 

爆発的な人気を獲得し、連ドラにもなった『medium』である。

私はすでに原作を知ってたので眺める程度&文句を言うために観てただけだったけど、最終回で家族みんなが凄いことになってて痛快だった。特に小学生の息子は人生初のミステリー的衝撃で目を丸くしてた。あれを見れただけでもこの作品と出会えた価値があったと思う。最高の思い出である。

この探偵が扱うは論理ではなく、死者が視える霊媒である。完全に卑怯なんだけど、それを成立させちゃう手腕はさすがの相沢沙呼。テレビ局を相手取って喧嘩する男はちげーぜ。さてこのネタもいつまで引っ張れることやら。いい加減忘れるんだぞ、みんな。

ミステリー衝撃の他にもキャラ造形が魅力の大きなひとつで、それゆえにシリーズとしても無類の人気を誇っている。

しかしながらキャラが強いというのは、好き嫌いを生み出すことの裏返しでもある。その強烈なキャラ設定のためにミステリーのファンが耐えきれなくなっているのは御愛嬌。

それにしても何十年も前の作品ばかりがベスト10を占める中で、ずっと孤軍奮闘している『medium』は凄すぎるぞ。やはり好き嫌いを生み出すぐらい作品の振り切りがないとダメなのかも。

 

 

 

8位    

 

第8位は23票を獲得!!

 

 

 

 

満を持しての登場。

 

 

 

道を開けぃ。女王のお通りだ!

 

 

 

 

 

クリスティ!!

 

 

 

 

 

『アクロイド殺し』!!

 

 

 

 

 

待ってました。遂に女王のご登場である。

ミステリーといえばクリスティ。クリスティといえば女王。どうぞ我らの上にご君臨あそばせ。

その豊富な作品数にも関わらずここまでランクインしたのは『ナイルに死す』のみ。大量の人気作を持つ作家の場合、票がバラける傾向があってクリスティはまさにそれ。

古典不可侵の民である私だが、さすがにクリスティは一通り拝読していて「全部持ってってんじゃん。100年前に」と畏敬と呆れを抱いたもんである。

ミステリー小説において新たなトリックはもう出ないとよく言われるけど、それはクリスティの責任が大きい。とにかく全部やりすぎである。トリックにもし独占禁止法が適用されるならクリスティは確実に有罪なるだろう。チェスタトンもけっこうやってんな。

『アクロイド殺し』はクリスティ作品の中でも問題作とか言われているらしい。

でもミステリー好きの総選挙であるこのランキングで8位に入るということは、まず間違いないだろう。

 

ちなみに私は未読である。なぜならネタバレを食らったからだ

発表から100年も経ってるせいもあるのか、ウィキペディアにさえネタバレが載っている。なんて地球は治安が悪いんだ。クリスティが見たら泣くぞ。

反ネタバレ人間にとって情報化社会はレベルが高すぎなので、もうちょっと難易度調整していただいても?

 

 

 

7位    

 

私の泣き言は置いといて、じゃんじゃか先に進もう。

続きましては25票を獲得。第7位!!

 

 

 

 

 

我孫子武丸!!

 

 

 

 

 

 

 

『殺戮にいたる病』!!

 

 

 

 

 

 

ミステリー好きたちが最も愛したグロ小説のお出まし。

こちらも常連で前回は10位だったけど、もう誤差の範囲内ですね。ベスト3に入ることはないけど、ベスト10には絶対にいるっていうね。もちろんグロさが影響しているのだろう。

 

我孫子武丸といえば"憑依作家"の異名を取るほど、人格を乗り移らせたような筆運びをするんだけど、こちらで体験できるのは稀代の殺人鬼の内面である。

ちゃんと人体を解体するし、解体どころか…という内容なので、人によっては全然無理かもしれない。

逆に言うと無理じゃない奴らは何なのだ。はい、私です。最高に面白かった。読んでるときは完全にあいつになりきってたもん。そりゃ無理じゃないでしょ。本人なんだから。

 

ということで、世にも稀有な殺人鬼没入型小説である。イマーシブシアターもいいけど、もっと劇薬を体験したかったらこれ一択。

読めばあなたも今すぐ殺人鬼。魅惑の人体破壊ショーへGoである。

 

 

 

6位    

 

着々と終わりが…。

ここまで全然意外なラインナップになってないけど大丈夫なのか。

みんな何を考えてる。何度も同じようなランキングを見せられて辟易しているだろうか。それでも…と一縷の望みにかけているのだろうか。

 

ちなみに私は何も考えていない。集計した事実を列挙しているだけである。

ランキングがつまらないかどうかに私の思惑は一切反映されてない。つまり責任もない。責任のありかばかり叫ばれる昨今である。無責任のありがたさに思いを馳せている。

 

ということで、次の常連さーん、どーぞお入りくださいませ。

 

 

25票を獲得した第6位はこちら!!

 

 

 

ベスト10に専用席でもあんのか?!

 

 

再び登場!!

 

 

 

 

 

女王クリスティ

 

 

 

 

 

 

『オリエント急行の殺人』!!

 

 

 

 

 

クリスティばっか入りすぎな気がせんでもないが、これは私も大好物なのでもう大歓迎である。

灰色の脳細胞こと名探偵ポワロが大活躍する話。でも本当に凄いのクリスティの脳細胞である。女王の冠は今後一生誰にも奪われないと確信してしまう作品である。本当にひとりで歴史を作りすぎだろ。

この前会社の研修でやったけどさ、大きな成果を出したかったらみんなで協力して仕事するのが大事か教わったよ。

でも女王レベルになるとピンでOK。同じネタでR-1ぐらんぷりを70年ぐらい連覇してるようなもんでしょ。そんなん許されんだろ。

 

そうやって考えると、ミステリー小説とは真に不思議なジャンルである。

100年近く前に書かれた作品が現在もトップに君臨してるって、他のジャンルじゃあんまり見られない現象だと思う。小説というメディアだからこそ起こる現象なのだろうか。

他のメディアは使う道具の変遷によって新陳代謝が起こるけど、小説ってずっと"文字"しか使ってねーから、最初に凄いことやられると違う方法を編み出すしかない。

同じ道具でひたすら新しい方法を模索し続けるなんて、ほとほとミステリー作家とは業を背負った職業ですね。

 

 

 

5位    

 

佳境も佳境の第5位!!

 

 

31票獲得!!

 

 

 

 

立ち向かえ!!

 

 

 

 

 

島田荘司!!!

 

 

 

 

 

『占星術殺人事件』!!

 

 

 

 

最高。

 

我らが島田御大が生み出した、人類最高のトリックでお馴染み『占星術殺人事件』である。

ミステリーの女神に愛されたとしか思えない発想。トリック至上主義者である私にとって、もうバイブルような作品である。もし記憶を消す方法があったとしたら、間違いなくこれを読んだ記憶を消してもらう予定。グーグルカレンダーに入れておくから安心。

 

何度も紹介して、そのたびに「冒頭がやばい」と書いてて怒られがちである。

しかしやはり今回も未読の方のためにしっかり注意喚起しておこう。

この名作が広く読まれるためにあえて私が泥をかぶろう。

 

どうしても冒頭で挫折してしまう方がいるけれど、そこは何とか耐えてほしい

後々の大ジャンプを生み出すタメである。助走である。

苦労したからこそ辿り着く快感がある。

そう、『占星術殺人事件』は山登りなのだ。

登った先に最高のご来光があるから頑張ろう。しかも実際のご来光と違って、どんな天気でも絶対に見られる。

 

信じられないタイミングで放り込まれる読者への挑戦状からして最高だし、悪魔が微笑むレベルのトリックも悶絶だし、邦ミステリーの最高峰はこれでしょう。

 

あの衝撃を味わえただけで、人間に生まれた価値があったと思える。

 

 

4位    

 

ラスト4!!!

 

35票を獲得した第4位はこれだ!!

 

 

 

 

ミステリー好きたちにこんなに愛された男がいただろうか。

 

 

 

 

 

殊能将之!!!

 

 

 

 

 

『ハサミ男』!!!!

 

 

 

 

 

 

 

はあ…もう極上の作品ばっかりなせいで、紹介してるだけなのに蕩けそう…

 

自らの犯行手口を真似されたシリアルキラー“ハサミ男”が、模倣犯の正体を暴こうとする話。殺人鬼が探偵役なんて、こんなん絶対におもしれーじゃん?そうなんですよ。めちゃくちゃ大好きです

殺人鬼ものなので先程の『殺戮にいたる病』と似てはいるんだけど、こちらはもっと文章が硬質で冷ややか。知性と理性が主成分な語り口なのに、ちゃんと殺人鬼。そのギャップが…もうっ…もう…。頼むから殺してくれ。

 

私は普段まったく再読しないけど、中毒性の高い文章のせいで『ハサミ男』は幾度も読み返している。

先日も後輩からオススメの本を求められて『ハサミ男』を貸したんだけど、貸す前に読んじゃったし。やっぱり好きだった。全然思い出補正とか効いてなかった。絶賛ベタ惚れ中。

 

読者を突き放すような距離感のせいで、こちらがすがりたくなるような焦燥感を持たされる。そして殺人鬼なのに毅然とした立ち振舞で魅了し、要所ではしっかりとイカれている。背徳で頭おかしくなるよ。

 

 

 

3位    

 

本当に長い記事になった。

残すところあと3つ。少しでも楽しんでいただけていればいいのだが。

今回はどんな作品が頂点に輝くんでしょうねー?(茶番)

 

それでは36票獲得の第3位を発表しよう。

 

 

 

 

あれ?

 

今回のランキングって「絶対に読んどけっていうミステリー小説」だったはず。

 

 

 

これはあり?

 

 

 

 

 

ということは…

 

 

 

 

 

 

森博嗣!!!!

 

 

 

 

 

 

『すべてがFになる』!!!

 

 

 

 

 

 

「絶対に読んどけっていうミステリィ小説」なら、ぶっちぎりの1位だったはず。若干レギュレーション違反っぽいけど、こんなに圧倒的な支持を得てるんだからいいでしょう。大体にしてミステリィだって言い張ってるの森博嗣だけだし。

 

森博嗣は機械的に小説を出力するような執筆スタイルのくせに、本人が優秀すぎて面白いものがずっと出続けてるから困る。あんだけ「やる気ない」って公言してて嫌われないのずるいよ。

でも読者としては極上の森博嗣エッセンスを得られればそれでいいわけで、どんだけ適当に生産されてたとしても関係なかったりする。

 

『すべてがFになる』は森博嗣の記念すべきデビュー作。

実際に執筆したのは『冷たい密室』とか『笑わない数学者』とかの方が先だったらしいけど、当時の編集長の神がかった判断により、まだ書いてない3作目をデビュー作にすると決めたそうだ。

 

独特なキャラ造形と機知に富んだ会話劇。文章や構成の端々から知性の輝きが凄くて、読んでての心地よさが半端ではない

 

そして森博嗣最大の発明である"真賀田四季"。

彼女の前では皆、ひれ伏すのみ。完全なる上位存在との会話を楽しんで

 

 

 

2位    

 

それでは大詰めの第2位である。

各得票数は一気に増えて45票。

 

 

絶対に読んどけっていうミステリー小説ランキング、堂々の準優勝はこれだ!!

 

 

 

 

やはり君臨。

 

 

あなたの前には誰も立てない。

 

 

 

 

 

 

女 王 !

 

 

 

 

 

 

 

 

『そして誰もいなくなった』!!

 

 

 

 

 

 

 

 

ランキングキラー。クリスティが三度の登場である。

もうこうなると優先席どころか指定席である。

 

間違いなく世界に存在するミステリー小説の最高峰である。

海外ものが苦手な私でも夢中になるレベルで、「え?ほんとに誰もいなくなったんだけど。いやいやいやいや…」と振り回されたときの記憶は鮮烈に刻まれている。

そうタイトル通りマジで誰もいなくなる。なんてことしてんだ、クリスティ。

 

発表から80年以上経った今でも熱い支持を集める『そし誰』。

今後どんなに素晴らしいミステリーが書かれたとしても、このバケモノ作品を超えることは不可能だろう。

どうぞ地球が終わるそのときまで君臨し続けてください。

 

 

 

1位    

 

 

はい、これです。

 

 

『十角館の殺人』

 

 

今回もぶっちぎりの得票数。62票だってさ。

まあ仕方ないわな。ミステリーの神がもたらしたとか思えない至高のトリック

これに勝てる作品なんて現れんよ。『そし誰』も凄いけど、やはり『十角館の殺人』は頭抜けてる。衝撃度合いで。

 

ということで、皆様毎度茶番にお付き合いいただき…

 

 

 

 

ってあれ?

 

 

 

そういえば「ベスト10は12作品」って書いてたけど、

 

 

 

 

まだ11しか出てないのでは。

 

 

 

 

つまり…

 

 

 

 

 

ということは…

 

 

 

 

 

そう。

 

 

 

 

『十角館の殺人』と並ぶ62票を獲得した第1位がもうひとつ!

 

 

 

偉業を成し遂げたのはこれだっ!!!!!

 

 

 

 

 

 

悲鳴を上げる準備はいいか?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕木春央!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

『方舟』!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ど快挙。

 

 

完全に快挙。それがど快挙

 

もうランキングを作る前から分かってたよ。『十角館』が1位になるって。

でもどうなるか分からないふりをして、その茶番を楽しめばいいかなーぐらいに思ったらこれですよ。まさかこんな日が来るとは…。ランキング作ってよかった。茶番をし続けるループからやっと脱出できたんだ。

『方舟』が文庫化して広く読まれたのもあると思うけど、それでも今まで不動の1位で2位をダブルスコアぐらいで撃破してた怪物に並ぶとは…。

 

 

もう語るまでもない怪作だけど、せっかくなので改めて『方舟』をご紹介。

 

だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。

タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。

 

類を見ないプロットで多くの読者を魅了し、その衝撃から逆に感想が語られないという現象を巻き起こした怪作である。

読めばあなたも今すぐ共犯者。次なる被害者が出るのを待つも良し、悲鳴を共有するも良し。こんなに邪悪な笑みを楽しませてくれる作品、他にないでしょ。

 

 

ということで、今回は初の2作品同時1位となりました。

『十角館の殺人』『方舟』の両作に改めて賛辞を送りたいと思います。

 

そして最高の読書体験をもたらしてくれた数々のミステリー小説たちに感謝

これからも愛し続けるよ。

 

 

 

以上。最後までお付き合いいただき感謝。

なんか報われたね。

 

 

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