俺だってヒーローになりてえよ

何が足りないかって、あれだよあれ。何が足りないか分かる能力。

ピクサー作品の裏側を語り尽くす濃厚な2冊を紹介する

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どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。

今回はピクサー祭りである。

 

以前からピクサー作品は大好きだったのだが、子供ができて繰り返し観るようになってから、余計に好きになった。

子供がいると痛感するのだが、同じコンテンツを楽しむというのは難しい。どうしても親側が降りてあげる必要があって、退屈を我慢して付き合う機会が多くなる。 

その点、ピクサーは文句なしに年齢関係なく楽しめる。しかも子供特有の「繰り返し観たがる」でもそれなりに効力を発揮してくれるからありがたい。(さすがに5回以上繰り返されると飽きる)

 

で、そんな高品質な作品ばかりを毎回コンスタントに生み出しやがるクリエーター集団については、興味津々で、なんなら頭のほんの片隅の片隅でこっそり「自分もピクサーで働いてみたいっ」とか思ったりなんかしていた。

最強のクリエーター集団って、どんなふうに仕事をしているのか。どんなことを大事にしているのか。

きっと私と同じような興味を持っている人は多いと予想される。

 

 

ということで、今回紹介する本である。

2冊だ。

 

この2冊を読めば、ピクサーの裏側が舐めるように味わえる。しかも作品の裏側である制作の話だけでなく、制作の裏側であるお金の話まで網羅していると来たもんだ。最高である。裏側の裏側まで舐め尽くせるのである。

 

「超天才集団がセンス全開で一致団結して創り上げてる」

この本を読むまではそんなふうに思っていた時期が私にもありました。

しかしこれは大間違いだった。

 

正解はこれ。

「超天才集団が死ぬほど努力して、さらに、超ハイレベルな職場環境を構築しながら、作品を創り上げてる」

 

超天才の能力だけでなんとかなっていると思いきや、全然違った。超天才たちがさらにめちゃくちゃ努力して、さらに常に職場環境を改善し続けながら、必死こいて創り上げてる。

それが真実だった。

 

ちょっとでも「自分もピクサーで仕事を…」なんて考えたことが恥ずかしい。蟻が宇宙に行こうと夢見るようなものだ。まあそれを“夢がある”って言うんだけど。

 

制作の裏側を語り尽くす

 

 

「モンスターズ・インク」「トイ・ストーリー」「ニモ」……ヒットを積み重ねるピクサー。「アナと雪の女王」世界的ヒットで完全復活したディズニー・アニメーション。彼らの成功を支えた、本当の理由とは?ピクサー創業者でディズニーアニメーションのトップが、その内側を惜しみなく開示する。 

 

まず最初に紹介するのは、ピクサーの創始者にしてディズニー・アニメーションの社長も務めるエド・キャットムルが書いたこちらの本。

 

キラキラと輝くピクサー作品たちだが、裏側では試行錯誤と苦悩の連続。ときには命に関わるようなトラブルに見舞われることもあった。

世界で最初のCGによるアニメーションを作りたいという想いはあるものの、資金がまったく足りず、初期の頃はひたすらスティーブ・ジョブズが個人資産を切り崩してたそうだ。

そんな感じで、ピクサーという会社が地獄の時間をどう過ごしてきたか。そしていかに成功を収めたか。さらには、成功し続けるために、どのような組織を創り上げているのか。すべてを余すことなく語ってくれている。

ピクサーが産声を上げた瞬間から、長い迷走の時間、そして映画製作へと舵を切るまで。そんなピクサーの紆余曲折の歴史も合わせて語っているので、より深くピクサーを理解できると思う。

 

知的好奇心刺激されまくり

私は勉強になる本を読んだときは、気になった箇所や思いついたことなどをメモするようにしているのだが、この本を読んだときは、今までにないぐらいのレベルでメモを取りまくった。

ものづくりの世界最先端にして最高峰であるピクサーの裏側は、知的好奇心を刺激されまくる話ばかりだった。 

 

ネタバレしたくないので、特に気に入った箇所をひとつだけ紹介しよう。

 

エド・キャットムルが、社長を務める上で常に抱えているある難問を、機会があるごとにあらゆる企業の社長に聞いてみたそうだ。

その難問とは…

「ビジネスもおいて、優秀なアイデアと優秀な人材。どちらが大事ですか?」

というもの。

色んな業種に確認してみたそうなのだが、アイデアと人のどちらかに偏ることはなく、ほぼ半々だったそうだ。

実はこれは統計の専門家に言わせると、「全員が適当に答えるとこういう結果が出る」らしい。

 

つまり誰もこの問いの答えを知らないのだ。

しかし、ピクサーという超創造的な企業で長らく社長を務めてきたエド・キャットムルは、経験から明確な答えを見出している。

 

それは「人」である。

なぜなら、どんな優秀なアイデアも生み出すのは「人」だからである。

どんなに優秀なアイデアだとしても、それを二流の人材に渡してしまうと、台無しにしてしまう。二流のアイデアを一流の人材に渡せば、さらに磨きをかけてくれるか、見限ってさっさと捨てて、よりよいものを生み出してくれる。

だから人なのである。

 

ピクサーの長い歴史を読んでいけば、人を効果的に活躍させることがどれだけ難しいか。人がどれだけ簡単に愚かになってしまうかを思い知る。

でもその難問に抗い続けているからこそ、ピクサーは輝き続けているのである。

 

さらに裏側

 

 

ジョブズとともにピクサーを育てた真実の物語

 

ジョブズが自腹で支えていた赤字時代、

『トイ・ストーリー』のメガヒット、

株式公開、ディズニーによる買収……。

小さなスタートアップだったピクサーは

どうやって世界一のアニメーション企業になったのか。

 

さて、さきほどの『ピクサー流 創造するちから』 を制作の裏側とするならば、こちらは裏側である制作のさらに裏側である。

創造をコンスタントに生み出す現場を、裏から支えるお金はどうやってこしらえたのか。その部分にフォーカスした本である。

 

『トイ・ストーリー』のヒットを生み出すまで、ピクサーはただの“最先端のオタク集団”であった。社長のエド・キャットムルがどれだけその界隈で高名だったとしても、「世界初の全編CGによる長編映画の制作」なんてものに大金を差し出すような酔狂な人間はスティーブ・ジョブズぐらいしかいなかった。

そこでスティーブ・ジョブズから招集されたのが、この本を執筆したローレンス・レビーである。シリコンバレーという最先端の技術が集う街で弁護士や会社経営をしていた人物で、資金調達のプロ中のプロである。

しかしそんな彼をしても、当時としてはまったく想像がつかない(どれだけ可能性があるのか不明な)CGの長編映画を制作するお金を工面するのは、難問中の難問だった。

それに、そもそもローレンス・レビーは、わざわざピクサーなんていう正体不明で、悪名高いスティーブ・ジョブズが経営責任者を務めるような会社で働かずとも、十分に好条件の職場環境を手に入れているのだ。転職のリスクがあまりにも大きい。

でも彼はジョブズの誘いで訪れたピクサー社屋(ボッロボロのアパートビル)で魔法を見てしまった。

パソコン画面の中で生き生きと動くウッディ。まさしく世界のどこにもないものがここで作られている。そして資金難にあえいでいる。

完全にピクサーに魅了されたローレンス・レビーは、恵まれた職場環境を捨てて、ピクサーを資金難から救うという大きな航海へと旅立つのであった。

 

どちらの本にも言えること

ピクサーの裏側を語っている2冊で、片方は制作と経営、片方は資金調達。とってもビジネスに満ちた内容なのだが、読んでみると温かい愛に溢れていることに気がつく。

創始者のエド・キャットムルにしても、資金調達に奔走したローレンス・レビーにしても、ピクサーの生み出す魔法に魅了されていたし、ピクサーのクリエイターたちを愛していたし、可能性を信じていた。

だからこそ相次ぐ苦難にも、スティーブ・ジョブズの苛烈な責めにも耐えられたし(ジョブズももちろんピクサーを愛していたし、たぶん一番誰よりも成功を信じてた)、実際に成功し、さらにはディズニーとの合併までこじつけることができたのだろう。

本書で語られるエピソードの端々に、彼らの大きな愛情が感じ取れてしまい、めっちゃビジネス書なのに何度も泣いてしまった。まさかお金の話を求めて選んだ本で泣かされるとは思わんかったよ…。

 

結構な文章量があるので、読む人を選ぶかもしれないけれど、ピクサー好きにはぜひとも知ってもらいことばかりだし、もっと好きになれるはずなので、強くオススメしたい。

 

以上。