どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。マスクしわしわになりがちです。
毎月恒例の月イチまとめ記事である。
先日、本屋大賞2022の発表があった。
私としては歴史ある直木賞や芥川賞よりもはるかに楽しみにしていた。素晴らしい作品との多くの出会いをもたらしてくれたイベントである。
せっかく楽しみなイベントなので、毎年順位予想というのをやっている。
記事で発表したり、ツイキャスにしてみたり、今年はツイートで済ましたりと色々やっているのだが、面白いもんである程度の読書歴のある方なら、それなりの精度で大賞を予想できてしまう。
今回に関しては『同士少女よ、敵を撃て』が獲ったわけだけど、もうね、直木賞候補に挙がってた時点で「これは来るな…」って思ってたよね。読んだ人の感想を見てもそうだし、書店で紹介されてる熱量が凄かったもん。
※証拠ツイート
入れるかめちゃくちゃ悩んだのはこの辺り。
— ひろたつ@言葉が好きすぎる人 (@summer3919) 2022年1月19日
・白鳥とコウモリ
・ペッパーズ・ゴースト
・invert
・月曜日の抹茶カフェ
・ガラスの海を渡る舟
・八月のクズ
平山夢明は嘘です。ちなみに大賞は、直木賞を逃して『同志少女よ、敵を撃て』だと予想。逆に直木賞を獲ってしまったら『黒牢城』ですね。
こんな感じで予想していたわけだが、投票締切間近にになって状況が変わった。
そう、ウクライナ侵攻である。
『同志少女』はソ連がドイツから侵攻されていたときの話だ。
舞台や時代は違えど、戦争というテーマ性、作品で出てくる地名など、ウクライナ侵攻にイメージが繋がる箇所が非常に多い。
侵攻が始まったのが2/24。投票締切がたしか2/27。3日間だけだが、これは大きな影響を及ぼすのではないかと思った。
というのも、小説というのは現実に足りない要素を補うからこそ、需要がある。
日常に戦争があるのなら、わざわざフィクション世界まで戦争で満たす必要はない。
感受性の豊かな小説好きだからこそ、今回のウクライナ侵攻に影響されてしまっているのではないか。それによって『同志少女』の評価が下がる…とまでは言わないが、1位だと思っていたところを2位や3位にしてしまうのではないか。
なんなら私は、運営側もなにか行動を起こすのではないかと考えていた。
例えば今回のウクライナ侵攻の影響を鑑みて、再投票もするとか…。だって、今後の売上を考えたら『同志少女』はリスクが高いでしょ。
そんなふうに思っていた。
しかしどうやら杞憂だったようである。
全国の書店員さんは素晴らしい作品、いま推すべき作品がどれなのかを分かっていたのだ。タイミングや不運などに左右されず、作品そのものと向き合って評価してくれた。
ありがたいかぎりである。
本屋大賞に限らずだが、こういった賞レースというのは、普段から本を読まない人にとって読書と繋がる良い機会だ。
飛び抜けて素晴らしい作品と出会い、読書の魅力を知り、新たな世界が拓ける感覚を得られる。
これまでも本屋大賞で注目された作品が、多くの人を魅了し、本好きにさせてきた。
きっと『同士少女よ、敵を撃て』も多くの人を良い意味で狂わすことだろう。
私はひとりの本好きとして、今回の結果を素直に称賛したい。そしてまた世の本好きたちへの信用が高まってしまった。良い判断しやがる。愛してるぜ、お前ら。
ということで、そんな素晴らしい本好きの端くれとして、私もみなさんに少しでも有用な情報を提供したいと思う。
2022年3月に出会った面白い作品たちである。参考にしていただきたい。
では行ってみよう。
チェスナットマン
濃っ…!そして重っ!
生きたまま四肢を切断する殺人鬼チェスナットマンに翻弄される刑事たちの物語。
これは凄いよ。貪るように読んでしまった。全世界50ヶ国で翻訳されてるのはダテじゃないわ。
リアルな捜索ものが好きな方、シリアルキラーと戦いたい方にオススメ。かなりの長編だけど、緊張感もあり、魅力的な謎もあり、凄惨さもありで、ページを捲る手が止まらんよね。そりゃディヴァーも絶賛するわ。
夏の終りの時間割
よくもまあ、こんなにポンポン切れ味の良いアイデアが湧き出るもんだ。
非常に手触りの生々しいドラマを描いておきながらも、ミステリー的な着地は見事すぎて、ほんとこの人の頭の中どうなってんのよ?
この系統だと最強の座は横山秀夫だと私は断言しているんだけど、作品数を考えるとそろそろ長岡弘樹の時代になったかも…。
多様性の科学
飛び抜けて優秀な人たちで形成された組織でさえ、信じられないようなミスをしてしまう。また、我々のような一般人も普段の生活の中で、ふとした拍子に陰謀論の罠へとはまってしまう。
そんなある種、“人間のバグ”とも言える現象について、多数の事例を挙げつつ、その原因と対策について書かれた、知的好奇心をぐっさぐさと刺してくる一冊である。
911から反ワクチン、陰謀論、白人至上主義者、過去最悪の登山事故など、みんなが大好きな話題が盛りだくさんである。これはめちゃくちゃ面白かった。
全然関係ないけど、著者の経歴がとんでもない。
美しすぎる人類図鑑
世界中を旅しながら、現地の方々の笑顔をひたすら撮りまくった写真集である。
撮ってる方がそもそもぶっ飛んでて、ほぼ空手で世界に飛び出し、現地で投げ銭をもらったりしながら旅行を続けていたそうだ。勢いがありすぎたのか、旅行中に事故にあって数カ所骨折したり食中毒で入院したりと、かなり刺激的な経験をなされている。
そんな苦労もあってか、唯一無二の写真となっている。
撮影された環境が違えば、衣装もそれぞれだし、綺麗さも様々である。
それでもカメラに向けられるその笑顔には確実に同じものが感じられて、味わったことのない感覚をもたらしてくれる。
この文章を綴っている現在、ロシアのウクライナ侵攻によって、世界中から多くの笑顔が失われている。だからこそ、この写真集を観ると笑顔の価値に、その素晴らしさや美しさを思い知らされて、なんだか悲しい気持ちにさえなってしまうのである。プーチンのクソ野郎め。
きっといつか多くの人達がこの惨劇から立ち上がるときが来る。そのときに、みんながこんな笑顔をしてくれているといいなと、無力ながら祈っている。
以上。来月もお楽しみに。