どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。甘党です。
毎月恒例の月イチまとめ記事である。
私の職場は世間が休んでいるときが稼ぎ時なので、正月休みというものは存在しない。
しかしながらそれでも、世間に漂う正月休み特有の弛緩した空気というのは常に感じていて、仕事をしながらもなんとなくホッコリした気分になっている。実情はめちゃくちゃ忙しいので完全なる気のせいなのだが。
気分がゆったりしていると、読書が捗る。これは読書好きなら共通の感覚だろう。
文字情報を映像や感情に置換する作業というのは、思った以上に脳のリソースを使う。なんとなくで読んでも文字の上を視線が滑るだけで全然面白くならない。読書とは余裕の生み出す産物だと実感する。まあ、たまに噛み付くように救いを求めて読むときもあるけどね。
こうやってブログで本の紹介を山ほどしているので「作品の良さを決めるものとは?」と考えることがよくある。いい作品とはなんぞや、などと。
もちろん決まった答えはないと分かっているし、その上で私なりの持論もある。
だけど結局は「タイミング」と「テンション」が一番の要素ではないだろうかと思っている。
その作品にハマるタイミング、テンションというのが間違いなくある。
しかしどんな作品かは読んでみなければ分からない。
ということは、良い作品になるかどうかは運が決めるものなのだろう。それを出会いと呼ぶのもいいし、運命と呼んでもいいだろう。
ということで、2022年を輝かしくスタートさせてくれた運命の作品たちである。
参考にしていただきたい。
DINER
映像化にマンガ化と、平山夢明最大のヒット作となった『DINER』である。
有名すぎて私が紹介するまでもないかもしれないが、数少ない未読の方を道連れにするためにもぜひ紹介したい。
はっきり言って平山夢明は万人に勧められるものではない。だが『DINER』に関しては、彼の良さを一番ポップに摂取できるので、かなりオススメである。
基本的には最悪な話なんだけど、要所要所でキラリと光るものがあって、読み味はむしろ清涼感がある。身体は血みどろ脳漿まみれになるんだけど。
いい匂いのするドブ。綺麗な吐瀉物。触り心地のいい臓物。そんな感じに相反する感情を味わえる、最悪で最高な小説です。
あなたのための短歌集
年始にして、これは年間ベストの予感。天才がすぎる。
ページめくって一首目からハイクオリティで心をぶん殴ってくる。美しすぎて目と心が潰れそう。
短歌って、才能を直接楽しめる感じがしてとても良い。センスが届くスピードが凄い。あと、少ない言葉なのに伝わる情報量の桁違い感ね。一気に景色が広がるような、深海まで到達させられるような、遠くまで飛ばされるような、そんな感覚が何度も押し寄せる。マジで天才以外の言葉を見つけれない。ブロガーとしては申し訳ない限りだ。
言葉で鳥肌が立つ、そんな稀有な経験が何度も味わえる傑作である。
ペッパーズ・ゴースト
このブログでは何度も書いているが、私にとって伊坂幸太郎は生命線である。
これは比喩でもなんでもなくて、マジで伊坂幸太郎に命を繋いでもらっているのだ。
私は器用でも優秀でもない人間なので、血反吐を出しながら泥臭く労働する以外に生活の糧を得る方法を知らない。
そうなると、日々の生活に余裕がなくなるし、そうするとどんどん心が荒んでくる。
そんな精神状態のときにせっかく時間を捻出して読んだ本がハズレだった場合、選択肢はひとつ“死”である。
さすがにそれでは残された子供たちが可哀想だし、私も可哀想なのでそんなときのためにとっておいてあるのが伊坂幸太郎作品なのである。彼の作品がそばに置いてあれば、私はまだ生きていられるのだ。
あのエンタメ性は唯一無二。彼の著作でしか得られないものがたしかにある。え?『ペッパーズ・ゴースト』の紹介?いらんでしょ。面白い。以上。
バック・ステージ
とぼけたストーリーだけど、スピード感で一気に読ませる快作!
ダーキーな作風の印象が強い芦沢央だけど、これは意外。コメディタッチだし、ほんわかしてるし。
でも所々で主人公が追い詰められる描写がやっぱり芦沢央で、コメディなのに真に迫ってて、チャンバラにいきなり真剣が出てきた感がある。この方やっぱりストレス負荷を上げるの上手いわ。
笑えるし、ハラハラできるし、展開も素晴らしいしで、これは相当なアタリ。なんであんまり評判を聞かなかったんだろう?もしやまだ知られていない?
掘り出しものです。オススメ。
ちなみに、この『バック・ステージ』でひとつ芦沢央が読者にこっそり仕掛けた小ネタに気付いてしまって、それが私の思いすごしかどうか確認したくて困っている。
どうか読了された方がいましたら、私に連絡をしてくださると助かる。ネタバレはしない主義なのでブログ内で確認とかできないので…。
以上。来月もお楽しみに。