俺だってヒーローになりてえよ

何が足りないかって、あれだよあれ。何が足りないか分かる能力。

部下に「みんなあなたが嫌いです」と言われた上司の話

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どうも、中間管理職ブロガーのひろたつです。毎日元気に大嫌いな会社に行ってます。仕事大好き!

 

さて、まるで他人事のような記事タイトルになってしまったが、何を隠そう、私自身の話である。みんな私のこと嫌いだってさ。でしょうねー。 

 

ということで、今回は上司のツラさと、人間関係の難しさの話である。

基本的には私の不幸話なので、他人の不幸が大好物な皆さんには、とっても楽しめる内容だろう。

 

では張り切って行ってみよう。

 

突然突きつけられたアンケート 

何度も書いているが、私は職場で100人を超える部下を抱えている

100人もいると日々色んな問題が起こる。主に人間関係にまつわる問題である。はっきり言って面倒である。しかし職場を運営する立場の私は、面倒だからと放っておくわけにもいかない。トラブルがあれば火消しに走る。職場のためというよりは、明日の自分が少しでも心安らかに仕事をできるようにするためだ。私は誰よりも私のことを考えて行動しているのである。

 

さて、そんな喧嘩の仲裁に忙しい私は、色んな人の話を聞く機会が多いからか、折に触れて個人的な相談をされることがある

上司と部下の関係以上の悩みを持って来られると正直、困る。私のプライベートな時間がサクサクと削られてしまうし、悩みについて一緒になって真剣に考えると、メンタルもいっそ気持ちよくなるぐらい削られる。

そして存分に私へと悩みをぶつけた皆さんは、吐き出しきって気分良さそうにしていたりする。これだけを見ても、世界平和は誰かの犠牲の上に成り立っていることがよく分かる。つまり世界平和なんて未来永劫訪れないということである。

 

とはいえ、捧げる犠牲が少なからずあるものの、誰かの役に立つのは悪い気分ではない。個人的な悩みを打ち明けてもらえるほど、信用されている事実もまた、悪いものではない。

そんなわけで私は自身のことを「自己犠牲をいとわない、素晴らしい上司」と評価していた。他人から言われたことはない。でも事実がそう物語っている。事実はいつだって正しい。事実を受け取る側が歪んでいなければ。

 

突きつけられたアンケート

仕事に追われ、他人の悩みに付き合い、忙しくもそれなりに充実した日々を送っていたある日のこと。

部下の1人である女性(10個上ぐらい。見た目が。実年齢は知らないし興味ない。仮に「いくつぐらいに見える~?」などと言われたら「(物体としては)ひとつですね」と答えるだろう。え?カッコ内の注釈が多すぎて、本筋を見失いそうだって?そんなの私だって見失っているのだから、お互い様だろう。世界平和ってのはそうやって維持されているのだ)が、突然私の元にやってきた。

あまり仲の良い人ではない。むしろ以前から嫌われてるような空気は薄ぼんやり感じていたぐらいの方だ。

その女性…そうだなぁ…仮にパンプットさんとしようか。天下一武道会22回大会の出場選手と同じ名前なのに特に意味はないから気にしないでほしい。

 

パンプットさんは「これから目にもの見せてやる」という覚悟に満ちた顔をしている

間違いなく数秒後に私にとって不快なことが起こるだろうと、予感させてくれる素敵な表情だ。うんうん、よく見るよく見る。よく見るからって全然慣れてないけどな。思い出したらちょっと腹が立ってきたので、少し吐き出させてくれ。F○ck!!!

 

さて、落ち着いた所で話を戻そう。

呼び出された会議室。だだっ広い部屋でそこまで仲良くない女性と二人っきり。妙な緊張感だ。あー、早く終わってほしい。私は素直にそう思った。あ、決してパンプットさんの人生が、という意味ではないので深読みしないように。

 

パンプットさんはアンケート結果なるものを用意してきていた。内容はこうだ。

今の職場にはあなたの仕事方針に納得できてない人がたくさんいる。もっと言えば、あなたのことがみんな嫌いだと。

 

完全に寝耳に水状態だった私が呆気にとられていると、パンプットさんは得意気に話を続ける。

 

部下のことを人と思ってない

こちらの意見をまったく聞かない。その上、自分が正しいと思ったやり方は押し付けてくる

前の上司はもっと優しい言葉をかけてくれた。あなたはそういう気遣いがまったくできないカス 

だからみんなあなたのことが嫌い。あなたが近くにいるだけで気分が悪くて吐き気に見舞われている。できることならすぐに死んでほしい

以上の話をまとめると、あなたはゴミのような人間である。生ゴミの日に自殺されてはいかがか?

 

みたいなことをズラズラと列挙された。ひどい言われようである。悪口の博覧会である。彦麻呂なら言ってるよ、「悪口の宝石箱や~」って。私は一般人なので、脳内の彦麻呂に言わせるだけにしておいて、正面上は無表情を保った。これが理性である。

パンプットさんの「とにかくこいつのことを傷つけてやろう」という怨念じみたパワーが、密室の会議室内に充満していた。こういうのもパワースポットと言っても良いのだろうか。みんな間違っても巡ってこないように気をつけてほしい。

 

嫌われもの上司、考える

言葉の暴力に晒されながら、私は思った。

 

「たくさんの人って誰なんだ? みんなって?」

 

これまで個人的に相談に乗ってきた人や、私と笑顔で会話をしてきたみんなの顔が浮かぶ。

あれもこれも、上司の私に気を使っていただけで、裏では忌々しく思っていたのだろうか? 

 

…マジで?

 

もしそうだったとするならば、今まで私が部下のためにと思い費やしてきた時間があまりにも浮かばれない。悩みなんて放っておいて、大好きな読書にあてれば良かった。これだから血肉の通った奴らは面倒なんだ。やっぱり私には紙とインクだけあれば十分。もう二度と人間なんぞの相手なんて…

 

いや待て。 

苛立ちのあまり暴走しかける己を抑えつつ考える。

 

そもそも嫌いな奴に相談なんてしないだろう。それこそ何時間も話し込むなんて、嫌いな奴相手には無理だろう。普通にお金が発生する案件だ。そういう職業が世の中には存在してる。

となると、パンプットさんが言ってることが怪しい。複数人はいるかもしれないが、「たくさん」とか「みんな」という、まるで職場の統一見解であるような言い方は、単に自分の意見を正義に見せかけるための修飾である可能性が高い

そう考える間も文句を言い続けるパンプットさん。あまりにいつまでも文句を言い続けるので、最初は大人しく聞いていたのだが、我慢できずに口を挟んでしまった。

 

「さっきから言ってる“みんな”って、具体的には誰なんですか?」

それは言えない

 

言えないんかい。

 

まあでも、それもそうか。

「みんな」というのがパンプットさんの嘘ならば、当然名前は言えない。逆に、私のことを嫌いだと言ってる人が本当にいたとしても、わざわざ私に名前を教える必要はない。

大体にして、名前を明かさない不特定多数にしておいた方が、私に未知数のプレッシャーを与えられることができる。

 

悩み込む私を見て、勝ち誇ったような顔をするパンプットさん。どストレートに憎たらしい顔だ。

その顔を見ながら私は、あるジレンマに揺れていた。

 

上司としてすべき、正しい振る舞いとは何か、についてである。 

 

実は数日前にタレコミがあった

パンプットさんが私に宣戦布告をする数日前のこと。

別の部下の女の子が朝早くの誰もいない時間に、私の元へやってきた。挨拶もそこそこに彼女は言った。

「困っていることがあるんです。なんとかしてください!」

悪い予感がした。いや、困っている人がいるのだから、良いことな訳がない。爽やかな朝の空気を一瞬でぶち壊す、不穏な空気をプンプンさせていた。

1ミリも興味ないし、聞きたくもなかったし、許されるならすべてを無かったことにして無視したいところだが、私はありったけの義務感を動員して言葉をひねり出した。「…どうしたの?」

彼女は困り果て、疲れ切った様子で語り出した。

「パンプットさんの暴走が酷くて…一緒に文句を言おうって勝手に息巻いているんです。LINEでメッセージが一日中送られてきてて、同調圧力が凄いんです」

 

どうやら部下同士でつながっているLINEグループで、パンプットさんは仲間を募集しているようだった。しかもかなり強引な感じで。

パンプットさんは当然みんなも同じ気持ちだと思っていたようだが、相談してきた子の様子だと、逆に煙たがられているというわけだ。

 

相談に来たからには力になってあげたいのは山々だが、私は部下同士のプライベートの問題については極力口出しをしないようにしている。解決ができないことに、首を突っ込んでも余計にかき乱すだけだからだ。

無責任なアドバイスがどうしても欲しいという場合にだけ、それっぽいことを言ったりする程度だ。

 

今回の件でいえば、パンプットさんが上司である私に対して不満を持っていることは、仕事の一部だと言える。

だが、相談してきた女の子が困っているのは、あくまでもパンプットさんの行動であり、プライベートでの付き合い方の問題だ。つまり、私が関与できる問題ではない

となるとできることはひとつ。とりあえず愚痴を吐き出させてあげるだけだ。そこから少しの時間、私は言葉のゴミ箱としての役割に徹して、めでたく朝からメンタルが終了したのでした。めでたしめでたし。

 

存分に愚痴を吐いたあと、彼女は最後に言った。

「パンプットさんにはみんなウンザリしてるんです。仕事ができるのは認めますけど、少しでも気に入らないことがあったら機嫌が悪くなるし、ワガママばかりだし。あんなんだったら、いない方がマシだってみんな思ってますよ」

 

またここでも大きな主語が登場した。みんな、ほんとうにどうしようもないなぁ。 

 

これが数日前のことである。そして、私が何も知らないと思っているパンプットさんは、何も知らずに私の元へと殴り込みに来たのである。

 

怒りか、優しさか

 

場面を会議室に戻そう。

 

得意気に私の悪口を並べ立てるパンプットさん。

もちろん私が改善すべき点はたくさんあるだろう。指摘されたらまずは素直に受け取るべきだ。その方が人生においては有利に働くことが多い。だから素直に頭を下げるべきだと思う。

だが、このときの私の感情は完全に「やり返してやれ」と言っていた。

「あなたの方こそみんなから嫌われてますよ。裏で手回ししてたつもりかもしれないけど、全部筒抜けだから。仲間を作ったつもりかもしれないけど、あなたはひとりぼっちですよ」と言ってやりたい。

 

どちらの対応を取るのが正しいのだろうか。

感情に任せるなら、怒りをぶちまけるのが一番気持ちが良さそうだ。

 

でも経験的に分かっている。

怒りで何かが解決することはない。怒りが効果を発揮するのは、それを受け止めてくれる相手だけである。

現にパンプットさんが手本を見せてくれている。

少なくともこんなやり方をされたら、相手はいい気分にはならない。素直に話を聞いてくれる方が稀だ。現状よりもより良くしたいのが目的なのであれば、相手を責めるのは悪手である。

 

となると、パンプットさんを受け止めてあげるのが正解なのだろう

指摘に対する一番相応しく、建設的な態度を取ることが。

それに私は知っている。パンプットさんは人を攻撃するのが得意で、ワガママで、すぐに不機嫌になってしまうような人だ。だがそれは、弱さの裏返しであり、自分が攻められる側になった途端に、すぐに壊れてしまうタイプだからなのだ

そんな部下の弱さも認め、憎まれたとしても、嫌われたとしても、上司は受け入れるべきだろう。

部下それぞれの能力に応じて対応する。上司として当然の仕事だ。

そんな誠意ある態度を貫けば、徐々にでも仲間は増える。理解してくれるようになる。また、私の至らない部分も受け止めてもらえるようになる。

 

 

ということで、ギリギリの所で自制心が勝利をあげ、私はパンプットさんに頭を下げた。

 

「至らない点があり申し訳ありませんでした。まだ勉強中なので、もう少し時間をください」

 

私が感情的になることを期待していた様子のパンプットさんは、あっさりと頭を下げたことに驚いたようだった。思わずつられて「こちらこそ、色々言い過ぎてごめんね。ひろたつ君には期待しているからさ…」とも言ってくれた。

 

重い空気に満ちた会議室から二人で出る。

 

「じゃあそういうことで」

「はい、じゃあまた明日からよろしくお願いします」

 

お互いに声を掛け合うと、自然と笑顔が浮かんできた。パンプットさんも笑っている。

上司なんて理不尽な仕事ばかりで、「いつだって降格してくれていいから」ぐらいの気持ちで仕事をしているけれど、こんな瞬間に少しだけやりがいを感じてしまうから、困ったもんである。

 

それから

私が不幸になることをお望みの方々には申し訳ないが、その後特にこれといった問題は起こっていない。相変わらず忙しい毎日を送っている。

あれからパンプットさんは、明らかに私に優しくなった。

好きなだけ喋って、胸のつかえが取れたのもあるだろうし、醜態を晒したことを恥ずかしく思っているのかもしれない。

 

どっかの中尾彬似の心理学者のオッサンは、「すべての悩みは人間関係から生まれる」とおっしゃった。

 

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人と関わらなければ、悩むこともなくなり、平穏でストレスのない生活を送れるのかもしれない。しかし普通に暮らすことしかできない私たち一般人にとって、そんな生き方はちょっと現実的ではない。

それに、人と関わると嫌なことばかりだが、嫌なことだけではないのも事実だ。

人間関係の摩擦の中で成長することもあるだろうし、自分を見つめ直す機会だってあるだろう。

ストレスからできるだけ離れるのも悪くはないと思う。好きにしたらいい。

でも私はこうやって、思いもがけないトラブルが降って湧いてくる現状が、そこまで嫌いじゃなかったりするのである。不愉快だけど、楽しい。そういう経験の積み重ねで、今の私が出来ているのは間違いない。

それに、こうやってブログのネタにもなるし、終わってみれば大したことはないのである。

 

以上。