どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。
毎月恒例の月イチまとめ記事である。
私は日頃からネットで不特定多数の方に、面白い本を紹介する活動を行なっている。
これは自分の嗜好の流れを把握するのにも役立っていて、「自分には今この辺りの分野がツボだな」なんていうことがよくある。面白い本を効率良く探すためには、自分の好みを正確に把握することがとても重要だ。
しかしながら、自分の視野だけで探しものをすると、どうしても範囲が狭まってしまうものだ。狭まった世界を突き進もうとすると、あっという間に作品が枯渇してしまう。性癖と似たようなものである。
なので最近の私は、自分の好みの流れができたら、あえて違う路線に進むようにしている。例えば一週間で5冊読むとするならば、その内の1、2冊は今まで読まなかったような本を選んでみるのだ。
こうすることで、また新たな面白さを発見したり、とんでもなくつまらない思いをして死にたくなったりするのである。とっても人生だ。
ということで、一ヶ月かけて見つけてきた面白い本たちである。参考にしてもらいたい。
クジラアタマの王様
ドキドキハラハラの展開に、気持ちのいいラスト。これぞ面白い小説という作品。 伊坂幸太郎は、純粋に面白い小説でぶん殴ってくれるから大好き。
正直、伊坂幸太郎よりも好きな作家はいるけれど、未読作品への信頼感は伊坂がぶっちぎりかも。それくらい優秀な作家。
こちらの『クジラアタマの王様』は、あらすじをまったく知らないで読み始めたんだけど、まあびっくり。まるでコロナ禍を予想してたかのような具体的な内容で、何度も出版年月日を確認してしまった。伊坂すごい。
玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ
吹けば飛ぶような些細な日常の瞬間。だけどとても大事な瞬間。それを短歌という技によって鮮やかに、そして天才的に切り取った作品集。
この本のヤバさは実際に体感してもらうのが一番だろう。あんまりネタバレしたくないので、お気に入りの三首だけご紹介。夏がテーマである。
『てのひらにてんとう虫を踊らせてきみが八重歯の見せ場をつくる』
『瓶ラムネ割って密かに手に入れた夏のすべてをつかさどる玉』
『体育館の窓が切り取る青空は外で見るより夏だったこと』
愛しの座敷わらし
職場で夢破れ、家庭でも居場所のない夫。狭い世界で生きて、文句の絶えない妻。いじめに遭いつつも、現実を受け入れられない娘。過干渉の母親を疎ましく思いつつも、勇気が足りない息子。認知症に侵されつつ、余生を静かに過ごす祖母。
どこにでもいるような、普通に暮らし、悩み苦しむ家族。その生活が夫の左遷により、激変する。
ちょっと不思議な、とっても優しい奇跡の物語。
悪寒
気がついてしまったのだが、伊岡瞬はヤバい作家だ。
この男の著作、とにかくまあ読ませる。“伊岡機関”と称される独特のリーダビリティは、“強烈な謎”と“圧倒的不安感”で読者を捉えて離さない。
こちらの『悪寒』では、それなりに普通に暮らしていた会社員が、転がり落ちるように最悪の事態へと突き進む様が描かれる。
こうやって書くと何が面白いのか、という感じだが、これがもう面白いのである。
物語に鷲掴みにされたい方。オススメである。
以上。参考にされたし。