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【月イチまとめ】2020年1月に見つけた面白い本

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 毎度恒例の月イチ企画

どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。

場所も人目も気にせず読書をしていると、たまに声を掛けられることがある。「本なんて読んで偉いね」とか「読書家ですごいですね」など。

スマホをいじってても気にもとめられないのに、読書となると違うらしい。不思議なもんだ。

普段から本を読まない人からすれば特別なことをしているように見えるのかもしれない。はたまた、「本とは知識を得るためのもの」という思い込みがあるのかもしれない。なるほど。可哀想な人たちである。

 

このブログでは何回が書いているが、私は勉強をしたくて本を読んでいるわけではない。

単に面白いから読んでいるだけで、もっと根本的な表現をするならば、本から得られる快感を求めて読書をしているだけである。

読書は知的な行為に見えるかもしれないが、本質的にはスマホをいじったり、XVIDEOSやPornhubを漁ったり、自慰に耽るのと変わらないのである。

真面目な顔して読んでるからそうとは受け取られないかもしれないけれど。もしあなたがこれから読書をしている人を見かけたら、「あの人、人前で自慰してる」と思ってもらって構わない。

これは「私は構わない」という意味であり、「正しい」という意味ではないことを理解しておこう。

 

ということで、今回も私がこの世に溢れかえる本たちの中から、ツボにハマった最高の作品を紹介しよう。少しでも参考になれば幸いである。これはもちろん「あなたにとって」という意味である。

 

では行ってみよう。

 

つんつんブラザーズ

 

実は、すべてのものが「いなくなる」運命にある。生きていることこそ、奇跡的な状況なのだ―。都会を離れ、森に暮らす人気作家が考える、社会のあり方、日々の送り方。少しだけ発想を変えれば、目の前の世界がまったく新しくなる。素朴な疑問から導かれる深い答えが衝撃的な、大人気エッセィ・シリーズ第8弾! 

 

森博嗣が本格的に執筆業を終えようとしている感が満載の大人気エッセイ8冊目である。

年末に発刊されているのだが、これを楽しみに取っておいて、本業の忙しさを乗り切るというのが、私の恒例になっている。もし森博嗣が書かなくなってしまったら、私は何を支えにすればいいのだろうか。

 

相変わらず、適当に思いついた話題を100個挙げ、森博嗣の優秀すぎる頭脳が快刀乱麻のごとく、次々と切り裂いていく。難題があっさりと切り分けられる様は、素晴らしいまでの爽快感がある。

これだから森博嗣は止められないのだ。本人は辞めたがってるけど。 

 

 

 ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。

 

「34歳のときに治らないがんの告知を受けた。
後悔はない。それは、すべてを自分で選んできたからだ。

生きにくさを感じている人に、
生きやすさを感じてもらえることを願って――。」

家族、友人、仕事、お金、自分の居たい場所、そして生と死。
命を見つめ続けてきた写真家が、大切にしてきた「選ぶ」ということ。

自らが取材したがん患者や、患者の関係者たちとの対話を通して見えてきたもの。
最後に選択するという安楽死について。
生きにくさを超えるために、自ら「選びとる」ことの意味を、強くやさしいことばで綴る。

 

幡野広志の言葉は、私のたちの心に優しく、でも深く突き刺さる。

 

彼の文章を読むたびに、その独特な力に圧倒されていて、「なんでこんなに刺さる文章が書けるんだろうか」と、恥ずかしながら物書きの一員として疑問に思っていた。

その理由がこの本には書いてあった。彼の深い考察と、温かみのある文章。そういうことか、と納得した。

そしてまた、この本には世の多くの人が抱える苦しみの原因についても書かれて、きっと多くの人の背中を推してくれるんじゃないだろうか。それもむやみやたらと押すんじゃなくて、「こっちにも道があるよ」と言ってくれるような。

 

私たちはなんのために生きているのか。

その答えと幡野広志は真摯に向き合っている。

 

 

フーガはユーガ

あらすじは秘密、ヒントを少し。 双子/誕生日/瞬間移動 1年ぶりの新作は、ちょっと不思議で、なんだか切ない。 

 

ひっさびさの伊坂幸太郎は、やっぱり期待に応えてくれた。愛してるよ。

 

私の中で伊坂幸太郎の評価は絶対的である。信用していると言えるだろうし、盲信してるとも言えるだろうし、崇拝してると言ったら言い過ぎである。

なので、あらすじぐらい伏せられた所でなんの影響もない。むしろあらすじがない方が、より楽しめるだろう。

何が起こるかわからない。伊坂幸太郎がどこに連れてってくれるのか。我々はその巧みな筆に、素直に身を預けていればいいのだ。

待っているのは最高にエキサイティングな読書体験である。

 

 

はじめからその話をすればよかった

『羊と鋼の森』で本屋大賞をした宮下奈都のエッセイ集になる。デビューして間もない頃から、色んな媒体で数ページの短いエッセイを書いていたようで、全部で100篇ぐらい入っている。

で、感想を簡潔に表すと「読むと幸せになる」だろう。

まだ宮下奈都の作品は恥ずかしながら『羊と鋼の森』しか読んでいないのだが、彼女の作品の特徴として、人間を大きく肯定する姿勢がある。そして、人の素晴らしさや良さに気付いて、具体化させる力を持った作家だと思う。

そんな彼女の柔らかくも鋭い視線から紡ぎ出されるエッセイの数々は、読む人をあまねく幸福にさせてくれる。まるで宗教勧誘の文言のようだが、本当にそうなのだから困る。

ちなみに、表紙のヤギは何かの伏線かと思ったのだが、まったく関係なかった。それも含めて大好きな作品である。 

 

以上。参考にされたし。