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子供を作らなくて後悔する人よりも、子供を作って後悔する人の方が多い、という話

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どうも、パパブロガーのひろたつです。

私は3児の父である。お祭り騒ぎみたいな毎日でヘトヘトである。人によっては充実していると言うだろうし、私は「疲れ果てている」と言う。

 

よく聞かれる質問

日本の少子化が叫ばれて久しく、もうこの記事を書いている2019年9月現在で、少子高齢化は残念ながら既定路線になってしまっている。今からどれだけ多産になったとしても、もうすでに子供を産める年齢の女性が少ないからだ。小松左京が書いた小説で『日本沈没』というSFものがあって、タイトル通り日本が海に沈むという荒唐無稽な「んなアホな」というお話なのだが、現実の日本は経済的に沈没してしまうのだからなんとも笑えない皮肉である。

 

今となっては少数派になりつつある家族持ちの私だが、よく会社の未婚者から聞かれることがある。

「子供ができてよかったですか?」

あまりにも頻繁に聞かれるので、不思議に思っていたのだがきっと、部下の数が100人を超えるような大所帯で中間管理職を任されているので、人から尋ねられる機会に恵まれているせいだ。

また、昨今の「結婚しないのが普通」という風潮を感じての発言だと思われる。過去の慣例とみんなの意識がせめぎ合っている時期なのだろう。

 

興味深い話

さて、この質問に対する私の答えを書く前に、興味深い話をひとつしよう。

先日めちゃくちゃ面白い本を見つけたのだが、そこに書かれていた話である。


元Googleのデーター分析担当の人が書いた本で、「人は誰にも本当のことは語らないし、それこそ自分にさえも嘘を付く。だけど検索にだけは本当のことを書く」といった趣旨のもとに書かれた本である。最高じゃないか。

で、この本はアメリカ人が書いたものなので、載っているデータもほとんどがアメリカのものなのだが、一般的な傾向として日本でも参考になる部分がある。
その中のひとつを紹介する。

 

まず、「子供を作らないと後悔するか」と検索する人は、「子供を作ると後悔するか」と検索する人の、なんと7倍も存在する。

やはり人間は動物なのだろう。子孫を作ることに対して、基本的には前向きなのである。

そして、「子供を持つ」と決断した人も「子供を持たない」と決断した人も、どちらも後に後悔をGoogleに書いている。

 

で、ここが肝なのだが、「子供を持つ」と決断した人は、「子供を持たない」と決断した人の3倍もGoogle検索に後悔を吐露しているのだ。あぁ育児よ、なんて過酷なのだろうか。

 

 

これはどういうこと?

この結果を短絡的に見ると、「子供を持った方が後悔しやすい」と読み解ける。もちろんそんな簡単な話ではないだろう。

 

私が思うに、意思決定の過程の違いに理由がある。

「子供を持つ」という行動には決断が伴う。自分の意志が濃く介在している。

しかし「子供を持たない」という判断には、そこまで決断の力を必要としない。今までの日常をそのまま続けるだけでいい。大きな変化もない。

だから子供を持った方が「あのとき、この決断をしていなければ…」という自覚を生みやすい。

また、もっとシンプルなところでは、子供を持つことによって生活には多大な変化が生まれることが挙げられる。

子供を持たなければ発生しない変化だ。となれば、後悔する瞬間に触れる機会が、子供を持たないと決断した派よりも格段に多い。

 

決断には後悔が伴う

子供を持つことに限らず、決断には常に後悔が伴う。仕事で管理職を任され常に決断に晒されている私は、日常的にそれを強く実感する。

人には想像力があり、この能力のおかげで解決できることは多いのだが、逆に想像力のせいで余計な悩みを抱えたりする。「もうひとつの道を選んでいたら…」と今更どうしようもないことに嘆いたりしてしまうのは、想像力のなせるわざである。

 

となると、後悔してしまうような状況が果たして不幸かというと疑問である。

決断しなければ新しい体験もできなければ、人との交流も生まれない。

もちろんなにも後悔せずに、毎日心安らかに過ごすことだって、不幸ではないだろう。どちらが優れているとかいう話ではない。

 

しかしこれもまた人間の想像力の話に戻るのだが、人は決断しなかったことを後悔したりもするから厄介だ。しかもこの後悔は聞く所によると、死ぬ間際にやってくるタイプの後悔らしい。死神のようなやつだ。

 

※参考書籍

 

 

つまり、同じ後悔でも今やってくる後悔と、あとからやってくる後悔の2タイプがあるのだ。どちらを選ぶかは、また自分の決断次第である。

 

質問の答え

さて、ずいぶんと回りくどかったが、冒頭の部下たちから頻繁に聞かれる「子供できて良かったですか?」という質問の答えを書こう。

 

良いも悪いもない。

 

これである。

長々と駄文に付き合わせておいてこんなしょぼい答えを用意して申し訳ない。しかしこれが私の偽らざる本音なのだ。

禍福は糾える縄の如しと言うが、人生だって、子育てだって同じである。良いときもあれば悪いときもある。どっち、というものではない。そんな簡単な話ではないのだ。

 

でも、ここで「良かったよ」と言い切ることもできる。そういうことにしておくことができる。他人に対しても、もちろん自分自身に対しても。

人の本心なんてどこにもない。その場その場で出てくるものがすべてである。人は簡単に変わるし、常に朽ちる方向に進んでいる。変化と生きることはイコールなのである。

だから「自分は子供ができたことを良かったことだと思っている」と決めつけてしまえば、それが事実になる。そちらのルートを進むことになるだろう。

 

この記事が子供を作るべきかどうかの参考には到底ならないだろうが、ひとつ確実に言えることがある。

 

子供がいれば、子供がいる喜びも苦しみも経験できる。

子供がいなければ、子供がいない喜びも苦しみも経験できる。

どちらも間違いなく自分の人生である。大差ない。

 

でも、人はやったことよりも、やらなかったことの後悔の方が大きい(あとからやってくる)ことを考えると、挑戦してみた方がトータルでは幸福度が高いのかな、と思ったり思わなかったり。

 

それに、子供がいない人生は、子供が巣立ってからいくらでも経験できるし。

…まあ、子供が巣立つまで自分が健康でいられればの話だけど。

 

 

以上。