どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。
毎月恒例の面白本紹介記事である。
この動画全盛期の時代に、わざわざ本を読むような人間なんて、たぶん全体の1%ぐらいだろう。はっきり言って変人である。
しかしながら、そんな変人たちがお金を落としてくれるからこそ、私の愛する出版界は存続できているし、作家たちも食べていくことができている。変態性は出版業界にとってインフラである。
ということで、そんな変態たちに安定して面白い本を供給するのが私の使命である。つまり出版業界のインフラのインフラが私である。縁の下の力持ち、簀の子の下の舞、である。褒め称えよ。
それでは2019年7月に見つけた面白い本たちである。ご参照あれ。
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臆病者のための億万長者入門
臆病者だからこそ億万長者になれる!年金崩壊に国家破産…。不安が尽きない時代に「虎の子」をいかに守り、増やせばいいのか?宝くじ、年金、保険、為替、株、投資信託、不動産…。投資術を極めた作家が、資産運用で成功するための金融の常識を教えます。
お金ビギナーが読めば最高に楽しめるから。
マネー系の本をバンバカ執筆しまくって売れまくっているベストセラー作家橘玲。正直、彼の著作をちゃんと読むまでは、「知識をひけらかしまくって、小銭を稼ぎまくってる胡散臭い人」というイメージだった。まあ今もそんなにイメージは変わらないのだが。
でも彼の本の良さは「分かりやすい」「かゆいところに手が届く」の2点に集約される。読者が欲しがることをようく分かっている男なのだ。そりゃ売れるよね。
で、この本では株式における“現時点で最強の投資法”が紹介されている。私自身がそこまで株に詳しいわけじゃないので、果たしてこの方法が本当に正解なのかどうかは判断つかないのだが、説明を読む限りでは粗はないように思える。それに調べてみると、結構色んな人が参考してるっぽい…。
信じる信じないは別としても、お金に関する基礎知識を蓄えるためにも、ぜひとも読んでもらいたい一冊である。
痣
平和な奥多摩分署管内で全裸美女冷凍殺人事件が発生した。被害者の左胸には柳の葉のような印。二週間後に刑事を辞職する真壁修は激しく動揺する。その印は亡き妻にあった痣と酷似していたのだ!何かの予兆?真壁を引き止めるかのように、次々と起きる残虐な事件。妻を殺した犯人は死んだはずなのに、なぜ?俺を挑発するのか―。過去と現在が交差し、戦慄の真相が明らかになる!
お、おもしれえ…。久々に睡眠時間削られたぜ…。
殺された奥さんと同じ痣を持つ死体って、「これ絶対面白いやつじゃん!」と確信して読んでみたら、マジで面白いやつだった。初めての作家さんだったけど、まったく問題なし。他の作品も読んでみたくなった!
こんな魅力的な謎なのに、事件を追う主人公が「辞職する予定のやる気なし刑事」っていう設定も風変わりでいい。やる気はないのに、事件があるから手を出さずにはいられない的な。強制的に巻き込まれるからこそ生まれる面白さがある。
全然有名な作品じゃないけれど、強烈なストーリーテリングでごりごり読ませる力作である。いや本当に力技でぶん投げられる感じ。存分に叩きつけられちゃって。
人生の結論
人は、どうやって生きたら幸せになれるのだろう。
人との心地よい距離感の保ち方から、しんどい仕事の乗り切り方、
極上の日常のつくり方、
そして、豊かな年の重ね方まで、
ツイッターフォロワー80万人が感動した数々の人生訓を新たに完全書き下ろし。
もがきながら懸命に生きるあなたへ贈る言葉。
日本で一番尊敬できるおじいちゃんこと、小池一夫御大である。
日本有数のマンガ原作者である著者だが、80数年の人生において学んできた“人生の極意”を余すことなく教えてくれている。
彼の言葉の凄さのポイントは、「短い」「急所を突く」「驚きがある」の3つにある。だからこそ多くの人を魅了できたのだろうし、広まっていく力があったのだろう。
2019年4月に惜しくも亡くなってしまったが、彼の言葉は輝きを放ちながら、ずっと残り続けることはずだ。
人生について考えたい人、疲れてしまった人、苦しい人などなど、多くの人に肩を貸してくれるような本である。オススメ。
東京物語
1978年4月。18歳の久雄は、エリック・クラプトンもトム・ウェイツも素通りする退屈な町を飛び出し、上京する。キャンディーズ解散、ジョン・レノン殺害、幻の名古屋オリンピック、ベルリンの壁崩壊…。バブル景気に向かう時代の波にもまれ、戸惑いながらも少しずつ大人になっていく久雄。80年代の東京を舞台に、誰もが通り過ぎてきた「あの頃」を鮮やかに描きだす、まぶしい青春グラフィティ。
奥田英朗はずっと面白いから偉い。
小説家の仕事はなんだろうか。究極を言ったら、面白い物語を提供すること。これに尽きる。だから面白い物語を提供さえできれば、どれだけ容姿があれだろうと、人間性が下劣だろうと、大麻をやろうが関係ないと思っている。
で、別に奥田英朗はブサイクでも下劣でもクスリをやっているわけでもないのだが、とにかく面白い物語を量産する、超優秀なストーリーテラーである。だから偉い。褒めてやりたい。奥田英朗が喜ぶのであれば、あの頭皮を舐め回したい。私は嬉しくないけれど。
この東京物語は、一人の青年の成長記録である。ただそれだけの話である。だが、それだけなのに、妙に面白い。妙に感じ入ってしまう。妙に心に余韻を残す。
奥田英朗の小説巧者っぷりを、とくと楽しむがいい。
錯視芸術図鑑
芸術とは我々に真実を気づかせてくれる嘘だ――パブロ・ピカソ
錯視はマジック――。
古今東西の錯視アートの最高傑作を200点収載。
M.C.エッシャーの貴重な作品から、
ロブ・ゴンサルヴェス、ジョン・ラングドン、サンドロ・デル=プレーテ、
イシュトヴァン・オロス、ヨス・デ・メイ、オクタビオ・オカンポまで、
目の錯覚を利用した古典的作品から「不可能を現実に変える」複雑なグラフィック作品まで、
絵画、写真、コンピューターグラフィックなど、錯視芸術のすべて網羅した永久保存版。
錯視とはマジックである。
なぜ脳は騙されることに快感を覚えるのか。不思議である。でも詐欺に遭うと腹が立つのはなぜか。金品を奪われるからだ。不思議じゃない。
誰でも錯視にハマる時期はあると思うが、その感性は歳を取るごとに失われていくものだ。もちろん私も例外ではない。
そんな幼き日の感動や興奮、遊び心を思い出させてくれるのがこちらの本である。
これがまあ面白い。不思議と快感で次々とページを捲ってしまう。これぞまさしくめくるめく、というやつ。
特に最新の錯視画像は、本当に強烈。錯視も進化を遂げていることをまざまざと思い知らされるはずだ。
以上。参考にされたし。