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仕事で“全力”を評価しないで欲しい

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でも全力さんは大好きです。

 

「全力」を求める上司

どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。

 

以前、部下に「全力」を求める上司のもとで仕事をしたことがある。

その上司は社内でも有名な熱血漢で、誰よりも努力を惜しまない人だった。誰よりも早く出社するし、誰よりも遅く帰るし、なんなら休みの日も来るし、単純に帰らない日も多かった。とにかく仕事にすべてを捧げているような人だった。

その上司は口酸っぱく「もっと全力になれよ!」と私に言っていた。

当時若かった私は、その言葉を真に受けて「自分は全力さが足りないんだ。でも全力って…何だ?」とよく分からない迷路にハマってしまった。

 

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仕事って楽しんじゃダメなの?

子供っぽいと思われるかもしれないが、私は仕事を楽しんでやることを信条としている所がある。今はたくさんの部下を抱え、仕事の量も責任も圧倒的に増えてしまったので、そんな甘いことを公言するつもりはない。だが、若手だった頃は「仕事は楽しんでなんぼ」という気持ちでいっぱいだった。楽しんでお金が貰えるなんて最高じゃないかと思っていた。しかも成長付き。

でも私のそんな態度がその上司は気に入らなかったらしい。ある日上司から強烈に否定されたことがある。

どうやらその上司にとって、仕事とは苦しそうにやることが正解だったようなのだ。

 

驚くべき発言。そして真に受けるバカ。

とある女性社員が仕事でミスをしてしまい、責任を感じるあまりその上司の前で泣き崩れてしまったことがあった。その光景を見た私はなんともいたたまれない気持ちになった。しかし何もできることはない。ただただ、もう同じことが起きないといい、と思っていた。

その騒動があった帰り。私は例の熱血上司に呼び止められた。内容は例の女性社員が泣いてしまった件について。その問題の原因や今後の対策だった。

素直に話を聞いていたのだが、最後に上司が驚くべき言葉を発した。

 

「お前もああやって、泣く姿ぐらい見せてみろよ

 

は?

 

今でこそ「は?」というお言葉なのだが、その当時は繰り返すが本当にまだ未熟だったので「そうか、もっと泣くぐらいじゃないといけないんだ」と素直に自分を責めた。そしてその後の仕事で、マジで泣いた。泣くように自分を仕向けた。

アホである。

 

全力で迷走 

それからというもの、私はその上司の前では「どうやったら全力だと上司に見てもらえるか?」を考えるようになった。感情を高ぶらせることも多々あった。それが上司に「全力」だと思わせる私なりの手段だったからだ。それにその上司自身、よく職場で感情を露わにしていた。素直に真似していたのだ。全力で迷走しまくっていた。そして苦しかった。

思い出すと、当時の私の部下にとって、私は嫌なリーダーだったと思う。ごめんなさい。

 

仕事の本質とは違う所で評価を下してしまうと、部下は当たり前のように道を踏み外す。

私は自分の身をもって、それを実感したのだった。

 

仕事の本質とは?

よくこのブログでは書いていることなのだが、評価することと「快・不快」を混同してしまう人はひっじょーに多い。圧倒的多数だ。一瞬でも不快だと感じたら、その理由を作り出す。一瞬でも快感を感じたらすべて受け入れてしまう(イケメン美女が支持される理由はこの辺りにある)。

しかしながら、仕事の本質はそんなところにはない。

仕事の本質は、いかに価値を生み出すか、である。

仕事に対する態度やテンションは仕事上では表面的なものでしかない。それを評価してしまえば、部下は表面だけを取り繕うようになる。上司が気に入る姿になることが目的になる。

 

全力って何よ?

そもそも“全力”というものが曖昧すぎる。

自分の全力なんて、本人にだって分からないものだ。それが他人から見て、どうやったら判断できるのだろうか。外から見えるのは、態度だけである。それだけを根拠に全力かどうかを判断し、しかも仕事の評価につなげてしまうのは、あまりにも愚かだ。

 

仕事上の評価というのは、上司と部下にとってお互いに“見える”もので無ければならない。そうしなければ、部下はどこへ力をかけていいのか分からないからだ。

 

世の上司たちは部下を「全力」なんていう言葉で迷わせないで欲しい。具体的なゴールを示してあげて欲しい。

 

理不尽な上司を経験した私だからこそ、そう思ってやまない。

 

以上。