どうも。
私が今の会社に勤め始めてからもう12年になる。
入社当初はポンコツそのものだった私にも、気がつけばいつの間にやら100人を超える部下ができた。ポンコツなのは相変わらずだが。
リーダー歴が長い私は部下から相談を受けることが多い。
その中でも特に若いリーダーがよく口にすることがある。
それが、「人から嫌われたくなくて、上手く注意が出来ない」というものである。
人から嫌われたくない人は多い。小心者とかそういう問題ではなく、人は元々徒党を組んで生きてきたので、「仲間を失うと危険だ」という本能があるのだろう。
きっと同じような悩みを抱える若いリーダーは多いと思う。
そこで今回の記事では、私が職場で若いリーダーに教えていることをまとめておく。
私の経験がきっと役に立つと信じている。
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嫌われたくない心理
注意して嫌われたくない人の心理というものは、大概こんな感じである。
注意する
↓
注意した人から嫌われる
↓
関係が悪くなる
↓
職場の空気が悪くなる
↓
人間関係が悪くなったせいで、仕事も嫌になる
↓
だから人には注意できない
では順を追って説明しよう。
なぜ注意するのか?
ひどくつまらない話になってしまうかもしれないが、大前提として確認しておきたいことがある。
なぜあなたはリーダーなのか?
なぜあなたはお金を会社から貰えているのか?
このふたつの質問に答えられるのであれば、もう言うことはない。だったらさっさと注意するべきだ。以上。
と言いたいところだが、きっと悩めるリーダーのほとんどがそんなことは分かっているのだ。分かっているけど、嫌われるというリスクを負えないで、いつまでも部下の問題行動を放置しているのだ。
一応、上のふたつの質問の答えを載せておく。
雇い主がそう決めたから
役割を全うするから
「できないから辞める」もできない
部下の問題行動を注意できないというのは、もはや契約違反である。お金を貰うに値しない。すぐにリーダーの席から外れるべきである。
しかしきっと事はそう簡単ではない。
職場によっては慢性的な人手不足に陥っており、やりたくなくてもリーダーをやらざるを得ない人もいるだろうし、企業的にもやらせたくないけど仕方なくリーダーをやらせている場合もあると思う。ちなみに私の職場がそんな感じ。
若いリーダーの中には「自分はそんな役割したくない」と思っている人も多いことだろう。だけど、周りで困っている人(主に上司)がいるから、「できないので辞める」ということさえも言えなかったりする。
厳しいことを言って終わりにするのは甘え
一昔前の、みんなが上を目指していて上に立つ人間には厳しさを求められる時代であれば、さきほど私が書いたような、
「できないなら辞めろ」
というような厳しい教育も通用したと思う。
だがもうそのやり方は通用しない。むしろそんなやり方は上司が頭を使うことから逃げ出した、「甘え」でしかない。部下への甘えだ。
是正のやり方
話が逸れてしまった。
注意することが苦手なのであれば、やり方は他にもある。
要は部下の間違いを是正すればいいだけであって、注意だけが手段ではないのだ。まあ注意するのが一番手っ取り早いけど。
だから、あなたなりに間違いを是正する方法を考えるのが一番だ。
参考程度に私が是正の方法として実践しているものを挙げてみる。
リーダー歴が長い私でも、直接注意するのを躊躇ってしまうような人は確かにいるので(主に人格的に未熟な人)、若いリーダーが悩むのも仕方がないことだと言える。
朝礼終礼など、みんなの前で注意する
別に個人攻撃をするわけではなく、「こういうことが見られますよ、みんな気をつけてくださいね」という程度である。
この方法自体で効果が出るのは問題意識が高い人間に限られる。本当に問題行動をしてりる部下には届かない可能性が高い。
しかし、みんなの前で注意することによって「それはルールなんだ」と思わせることができる。
ルール=それが正しいこと、という認識になると部下同士で注意し合ったりする空気ができあがったりするので、あなたが直接注意をする必要がなくなったりする。
また、直接注意するときにも「朝礼で話したけど…」という前置きができるので、やりやすいというメリットがある。「ああそういえば言ってたな」と受け入れてくれる。
人は前提があると納得しやすいので、朝礼終礼は使いようだ。
紙で貼り出す
みんなが見るような場所に注意事項を貼っておく、というのも朝礼終礼同様に使える。
ただし、直接言葉で語っていない分、効果は薄れるので気をつけてもらいたい。
「貼り出してあるんだけどさ…」と言われても「いや、知らねーし」と思われてしまうことがある。というか、上司に言われて私がよくそう思っていた。
一緒に考える
相手の行動や考え方をこちらが改めるのは難しい。
だが、本人に改めさせるのはそんなに難しくない。
ということで、「一緒に問題か解決する」のが一番簡単で効果的だろう。これをオススメしたい。
部下の行動によって引き起こされる「問題」を一緒に考えるのだ。
「最近、こういうことが起こってるんだけど、どうしたらいいと思う?何かいいアイデアないかな?」
部下に行動を促すのではなく、こちらが部下に頼るという図式になる。
きっと注意されるような部下というのは、自分の行動がどういう結果につながっているのかを理解していない。だからこそ、まずは問題を明確に目の前に提示することで「どうしたらいいんだろうか?」と頭を働かせてくれる。
それによって行動を自分から改めてくれるし、しかも自分で考えたことなので本人にとってもストレスがない。納得してやれるのだ。
デメリットとしては、本人に考えさせる以上、未熟だったり間違っている場合があることも受け入れないといけない。
あなたが思う「正しい」をやらせたければ、それはもう注意しかないだろうし、部下に考えさせて「正しい」を見つけさせたいのであれば一緒に考えるのがベストだ。
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注意の仕方
あとは嫌われるような注意の仕方というのもある。
基本的には、リーダーという存在は見上げられるものだ。精神的な話だ。
見上げられる存在だからこそ、部下は軽んじられていると感じると途端に反抗する。
これが嫌われるという現象だ。
逆に軽んじられて喜ぶ男もいるけどね。(なぜか男が多い)
なので、注意するときは相手と対等な立場から言う必要がある。親が子供に注意するような言い方ではダメだ。
言い方に誠実さや相手を思いやる気持ちがあれば、そうそう嫌われることはない。
クズは何をしてもダメ
これも大事なことなのだが、簡単に人を嫌うようなクズがたまにいる。極稀ではなく、結構いる。性格なのか育った環境なのか分からないが、一定数いる。チームを組んだらひとりはいる。
だからそんな人に対して「嫌われたくない」と思うことが自体が時間のムダというか、人生のムダというか、とにかく意味がないことなのだ。
ウンコを洗ってもキレイにならないように、人を嫌う癖がついている人には、どうやっても嫌われてしまうのだ。
どうやっても何か文句はつけられる
上にも書いたように、リーダーというのは下から見上げられる存在である。
そうなると下の人間というのは、アラ探しをしたくなるものだ。
これは上司という権力では勝てない相手に対して、心の均衡を保とうとする心理から生まれるものだ。政治家とか芸能人に文句を言うのと同じだと思って欲しい。
あなたが毅然とした態度で注意をしても嫌いになる人はいる。
それと同じくらい、あなたが注意をしなかったことで嫌いになる人もいるのだ。
どうやったって嫌われるというか、文句は言われる(影で言われてる)ものだ。
嫌われることに関しては、リーダーという立場になった瞬間から同時に発生するものだと諦めた方が精神衛生上、健全である。
人を信じられるか?
最後になるが、結局のところ「嫌われるから注意できない」と思ってしまうのは、人を信じられないから生まれる感情だ。
自分が思う正しさを伝えて嫌われる、というのは「部下がこちらの言っていることを理解できないほど未熟だ」と決めつけているのと同じことである。
別に信じろとは言わない。実際にこちらの気持ちを理解せずに嫌う人はいる。
だが、信じて本気で向き合った方が仕事がラクなのは間違いない。これは私の経験上絶対的な真実である。
いくら策を弄そうが、どれだけテクニックに頼ろうが、それほど関係はない。
相手を信じて、自分が考える正しさを信じて、相手に真正面から伝える。
これ以上に簡単なリーダーのやり方はない。
相手が間違っていれば直してくれるだろうし、自分の考えが間違っていたら素直に謝って成長すればいいだけである。その繰り返しだ。
人は間違う。という当たり前の事実をお互いに共有できる関係になるのが、リーダーとして一番大事なことなのだ。
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まとめ
では記事の内容を以下にまとめておく。
・注意ができないのであれば遠回しに伝えること
・前提の認識を持たせれば部下は受け入れてくれる
・部下自身に考えさせる。上司が頼る姿勢を見せる
・問題を「見える化」すること
・どうやっても文句を言うクズが存在する
・何をしても下の人間は文句を言う。それでバランスを取っている
・自分が正しいと思うことをそのままやるのが一番簡単
・お互いに間違いを認められる関係を作る(ことを目指す)
以上、健闘を祈る。
嫌われることが怖い、という人に絶対的にオススメの本。
人生を変えるなんていう安っぽい言葉を使いたくなるぐらいの名作。
嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え | ||||
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