どうも、ひろたつです。
今回は超オススメできるエッセイの紹介。知る人ぞ知る名作でございます。
◯哲学者らしいけど…
われ笑う、ゆえにわれあり (文春文庫) | ||||
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色々な所で語られているこちらの作品ですが、面白さを分かってもらうには著者自身の文章をちょっと読んでもらうのが一番だと思います。これがハマらないのであれば、読んでも意味が分からないと思います。
◯はじめに
本書は、笑っていただくことを目的にしている。もちろん笑いの中から哲学的洞察や金もうけの方法などを読み取っていただくのは大歓迎である。読み取れた場合にはわたしに教えてもらえれば幸いである。
本書の面白さは、例外を除けばすべての人に分かっていただけると思う。(どんなものにも例外があるのが残念である)。もちろん、いくら面白い冗談でも、言葉を知らない外国人、子供、犬、猫、椅子には通じない。いずれにしても、読んで面白いと感じる人は、読む力をもっていることをわたしは保証する。
◯わたしのプロフィール
わたしの職業はダンス教師で、タレントの女の子たちにダンスを教えている、と言うと、たいていの男性に羨ましがられる。しかし実態は、そんなに羨ましがられるようなものではない。第一に、銀行員と同じで、価値のあるものを扱っているからといってそれを手に入れたり、自由にすることができるわけではない。第二に、価値あるものを扱っているのかどうかかなり疑問がある。第三に、わたしの職業はダンス教師ではない。
どうですか、この溢れる偏屈さ。超大好き。超大好物。
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◯哲学者から繰り出される笑いのラッシュ
大学で哲学を専攻する著者ならではの、哲学的な論理的思考が生み出す不条理な笑いは、読み手を思わずにやりとさせる力があります。
もうね読みながら、にやにやが止まらないんですよ。しかもその手数の多さが半端じゃないんです。1ページに2、3個は何かを仕掛けてくる感じ。そして10ページに一回ぐらいドデカイのが来る感じです。
このドデカイ笑いなんですけど、声に出して笑うだけじゃすまなくて、ハマると思わずページを閉じちゃうぐらいです。妙に哲学的なので、「面白い!」と脳みそが感じてからその面白さを味わい切るまでにちょっと時間が必要なんです。笑いの深さが違うんですよ。これは凄いことです。
◯ほんとに何も得られるものがない
そしてここがこの作品の最大の特徴なのですが、読み終わったあとに得られるものがほんとに何もありません。
ふざけている著者ですが、そうは言っても大学教授ですし、しかも哲学を専攻している。何かしら人生の教訓めいたものを得られるんじゃないかと期待してしまいます。しかし、中身は終始ふざけっぱなしで空っぽもいい所で、むしろ時間を失うぐらいです。日々忙しく人生を切り崩すような生活を送っているビジネスマンにはオススメできません。
ただただ笑って終わる。それがこの作品です。
◯くだらなさの必要性
しかしそれこそが娯楽の本質であり、くだらなさに宿る価値ってのもあるんですよね。いつも建設的なことばっかりやっててもつまらないと思うんですよ。建設的なことの中にも意味不明だったり、ムダなことがあるから笑えるわけで。むしろ建設的なことで笑うことってないでしょ。人はムダなことでしか笑わないんです。
エッセイなので、中身は20ほどに分かれています。色々なテーマにたいして著者のくだらなく、あまりにもムダな洞察がこれでもかと詰め込まれています。
にやりとした笑いが好きな人。そんな人に打って付けの最高のエッセイでした。今までに腐るほど本を読んできた私ですけど、人生でトップ10に入れられるぐらいの作品でしたね。いやー、ムダ最高。
われ笑う、ゆえにわれあり (文春文庫) | ||||
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