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差別を生み出した実体験。やっぱり「~してあげなきゃ」は暴力なんです。

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どうも、ひろたつです。
今回は差別に関する私の実体験のお話です。


差別に関心のない日本人は少ないでしょう。私も普段から「差別とは無縁の人間でいたい」と意識するようにしています。差別=野蛮、低能的なイメージがあるので、自分だけでもせめてそういった低レベルな人間にはなりたくないもんです。

出先で出会ったある子供

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先日のことです。

子供達とイオンに出かけました。子供用品売場のそばによくあった小さい遊び場で子供たちを放し飼いにしていた所、一人の少年がニコニコしながら近づいてきました。
多分、中学生ぐらいでしょうか?おっさんになると子供の年齢が分からなくなってくるものですが、この少年は特に分かりにくかったです。

というのも彼はダウン症の子供でした。

無言で見つめる私の足元に寄ってくると、いきなり抱きついてきました。かなり人懐っこい性格のようです。
正直な所、驚きました。しかし、私の中の自制心が語りかけてきます。

「拒絶するな。差別するな。受け入れるんだ。彼になんの罪がある」

その通りだと思い、優しく彼の頭をなでてあげました。その間、ウチの小猿たちは遊具ではしゃぎまくってます。

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別の問題に気づく

ダウン症の彼の頭をなでていると、更に一人の少年が駆け寄ってきました。こちらは健常者の子です。
その子は私とダウン症の彼を見ると、一目散に引き返していきました。

「ダウン症の人を見たことがないのかな?」

そんな風に感じていましたが、全くの誤解でした。
少年はすぐに母親と現れました。そして私とダウン症の彼を指差すとこう言いました。


「なんでお兄ちゃんにばかりみんな優しくするの!」


ダウン症の子の弟だったのです。

彼の言葉は私の心のどこかを削り取りました。言われた瞬間に自分が何か大きな間違いを犯していることを察してしまいました。


差別をしているのは誰なのか?


私は差別する人を軽蔑します。それは愚かだからです。

しかし、今回の一件で差別をしていたのは他でもない私でした。私は他の子供と、ダウン症というハンデを抱えた子供を差別していたんですね。
兄が優遇されていることを、心の底から純粋に不満に感じている弟の方がはるかに差別とは無縁の人間でした。そこには相手と自分の間に溝がありません。同じ地平で見ていることが伝わってきました。

私の中には「ハンデを抱えている人間には優しくしてあげなきゃ」という差別がありました。もっと言えば、「差別をしなければいけない」という暴力的な考えが潜んでいることに気付いてしまいました。


自分の心を見つめなおせ

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普段から気をつけていたつもりでも、このザマですからね。自分の心ってのは思い通りにならんもんです。はぁ…。

意識して差別するにしろ、意識しないにしろ、人を傷つけることには変わりありません。他人の気持ちが分からないのは当たり前としても、せめて自分の心の手綱ぐらいは握れるようになろうと思った30歳の秋でした。


おしまい。