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受刑者がハーバードの学生にディベートに勝ったそうです。映画化は金の匂いがプンプンします。

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ライブドアニュースで気になる記事が。

 討論でハーバード大生に勝った受刑者が話題に

以下記事より抜粋。


最大級の警備が敷かれたニューヨーク州の刑務所で先月18日、3人の受刑者がハーバード・カレッジ(大学過程)の学生とディベートで対決し、勝利を挙げた。このとき、受刑者たちはただ、ディベートで勝負して、刑務所内の教育の力を示したかっただけだったと語った。
 そのあとのことは全く考えていなかった。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が受刑者チームの勝利を紹介した記事はソーシャルメディアで人気を呼び、世界中で報道された。映画化の権利についての映画プロデューサーからの問い合わせも相次いだ。
 


BLOGSで一番人気の記事なっている通りこの手の話題は市民の耳目を集めがちです。”元ヤクザの牧師”的なやつですね。恐ろしいことにすでに映画化の話まで進んでいるというんですから驚きです。金儲けの世界は手が早いですね。

さて皆さんはこの記事にどんな感想をお持ちでしょうか?私は「ちょっと嫌だな」というのが最初の感想でした。
以下にその理由をまとめていきます。

マジメにコツコツよりも面白いものが優先される

ここで非難しているのは受刑者のことではありません。これを面白がる人達のことです。
お互いにコツコツと勉強を重ねてきたのは間違いありません。ハーバードに入るのなんて才能だけで成し遂げられるものじゃありませんし、更にハーバードの学生を言い負かしたのも並大抵の努力では出来ないことでしょう。

エンターテイメントの側面として”面白いもの”が優先されます。しかも分かりやすいストーリーがウケやすいです。
今回のはその最たる例です。

―不遇な人生を過ごし罪を犯した彼らが、鼻持ちならないエリート学生を打ち負かした―これは真実の物語である。

ね?ありそうでしょ?どちらもコツコツ頑張ってきたはずなのに分かりやすい物語にするためにどちらかを悪者にしなければならないんです。面白くするために。

日常にエンターテイメントは基本、ない

非日常であるからこそエンターテイメントな訳で。マジメに勉強しました、つらい時期もありました、やっと合格しました。では何も面白くないですよね。これではエンターテイメントにはなりません。 だからこそ受刑者にスポットライトを当てるのでしょうが、この学生達はどんな気持ちで映画を観るんでしょうね?クソみたいな気持ちになるんじゃないでしょうか?そもそも観ないでしょうけど。

エンターテイメントにするということは、削ぎ落とすことでもあり、真実を湾曲することでもあります。これを面白がる人が耐えない限り永遠にこの手のやり方はなくならないでしょう。

犯罪を助長しないといい

「俺はもっとできるはずだ。環境が悪いだけなんだ。だってあの受刑者達だってハーバードの学生に勝てるなんて思っていなかったじゃないか。俺は悪くない。みんなが悪いんだ。親が悪いんだ」

これは私の妄想ですが、こんな風に考えてします若者が現れないことを願います。もし映画化するのであれば犯罪に走った自分自身を哀れんだり、受刑者を美化するような表現は止めてもらいたいものです。どんな境遇であれ他人のせいにすることからは何も生まれませんから。いや、憎しみぐらいのものでしょう。

犯罪に走る人の多くがこの被害者意識を持っていると思います。根っからの悪もいるでしょうが、人を犯罪にまで突き動かすのは「自分だけが」的な他人のせいにする思考を基礎としています。人を羨んだり、憎んだりする気持ちは全てそうです。

せっかくの美談を有効活用してほしい

私は映画製作の人間ではないので、こういった美談を世に披露する機会がありません。金儲けだけに走るのであればエンターテイメント性をたっぷりと含んで、お涙頂戴、そして痛快な逆転劇にしてしまうでしょうが、せっかくの美談なので世界をよくする為に有効活用してもらいたいと小市民の私は思うのです。

努力は金では買えません。気持ちからしか生まれない数少ないものです。その思いを踏みにじるような作品にだけはしてもらいたくありません。

受刑者のコーチをしたレジスター氏は言っています。


「彼らは本気でよくなろうとしている」
 


金儲けになりそうな匂いがプンプンしますね。さてどんな作品になることやら。