この世は箱だらけ。
悩める人々
どうも、読書ブロガーのひろたつです。
人間関係で悩んだことがない人なんていないだろう。誰しもが周囲の人間の誰かしらに苦悩しているはずだ。
もしかしたら「気にしないようにしている」なんて人もいるかもしれないが、そもそも「気にしないようにしている」時点で気にしていることにお気付きだろうか。道端に落ちている小石の存在を気にしないのは、あなたの人生において影響がないと判断しているからに他ならない。
まあ、偉そうに書いているが、私も似たようなものなので安心してもらいたい。問題が解決せずとも、自分と同じような問題を抱えている人がいると分かるだけで安心できてしまうのが、人間の便利な機能である。
名著の重要ポイントを抜粋
さて今回は、そんな人間関係に悩む全人類にオススメする名著『自分の小さな「箱」から脱出する方法』から、重要ポイントを抜粋してご紹介する。
身の周りの人間関係は実はすべて自分が原因で引き起こしていることに気づかせてくれる『自分の小さな「箱」から脱出する方法』。
本書を読み進めるうちに家庭や職場での人間関係を深め十分な成果を出せる環境を作る方法を学べる。全米ビジネス書ベストセラー
堅苦しいビジネス書とは違い、会話形式でストーリー仕立てで進む本書は、普段こういった本を読まない方にも、非常に読みやすい構成になっている。
画期的な内容はもちろんのことだが、きっとそれがこの本が売れた大きな要因にもなっているのだろう。
※注意点
この記事で挙げているポイントはあくまで内容をかいつまんだものなので、深く理解したいた方は、ぜひご一読いただくことをオススメする。
では行ってみよう。
スポンサーリンク
ほとんどの人は「箱」の中に入っている
そもそも「箱」ってなんじゃい、という話なのだが、困ったことに本書では明確に「箱」の定義をしていない。ただ、私が本書を読む限りだとこういうことである。
“「箱」とは、世界を真実とは違う歪んだ状態で見てしまうこと”
これによって、どんな問題が発生するか。
世界を歪んで見てしまうので、相手を悪く評価し、自分を過大に評価するようになる。
問題の原因を相手の中に見つけ、自分は悪くないと思い込む。
それはまるで視界をシャットアウトする箱の中にいるような状態である。
この盲目さが、人間関係の問題を引き起こしているのだ。
どんなきっかけで人は「箱」の中に入るか
それを本書では
自分を裏切った瞬間から
と書いている。
全然意味が分からないと思うので、例を挙げてみよう。
仕事が終わって電車に乗り、クタクタになって座り込んでいると、目の間に妊婦が立った。臨月間近というのはひと目で分かる。
このとき頭の中を「席を譲るべきだ」という考えが浮かぶ。ほぼ無意識のレベルである。
この考えに対して、イエスとノーのどちらを選択するかで「箱」に入るかが決まる。
イエスを選択すれば。そこでお終い。疲れてはいるかもしれないが、人助けをできた達成感を味わえるだろう。
しかし問題はノーの場合である。
「席を譲るべきだ」という考えが浮かんだものの、それをすぐに打ち消し、
「今日は本当にキツイ一日だった」
「この妊婦よりも自分の方がはるかに身体の状態は悪い」
「そもそもこんな時間に電車に乗るから、立つことになるんだ」
「それに優先席はあっちじゃないか。なんでわざわざこちらの席の方に来るんだよ。常識のないやつだ」
「きっと『自分が妊婦だから偉い』なんて勘違いでもしているんだろう」
「自分は明日も朝早いし、ここでしっかりと休むべきだ。明日も大事な会議がみっちり詰まってる。みんなに迷惑をかけないためにも、自分にできる最善のことをするべきだ」
「それに、最寄り駅まであと20分ぐらいだし、それくらいならこの妊婦も立ってられるでしょ。自分が降りた後にいくらでも座ればいいさ」
といった具合に、自分の都合のいいように言い訳をし、相手を、そして自分を歪んだ状態で見るようになる。
こうしてめでたく人は「箱」に入るというわけ。
どうだろうか。何か思い当たる節はないだろうか。
「箱」に入ることで人間関係だけでなく、仕事へも影響が出る
「箱」は人に歪んだ視点をもたらす。
そのため、企業の目的である「利益の追求」や「社会への貢献」という大きな視点を見失う。
「箱」の中でひたすら、
「あの言い方が気に入らない」
「ルールを守っていない」
「あいつはダメだ」
のような、職場の些末な問題だけで頭がいっぱいになっている。
こんな状態の人間が大きな志を持って仕事ができるわけがないのだ。
「箱」の中に入っている人は、周囲の人を「箱」の中に入れてしまう
「箱」に入った人は自分を中心にした見方をし、相手を責めることしか考えなくなる。責められた人は、当然自分を守るために責め返す。
これによって、「箱」に入った人は周囲の人までも「箱」の中に入れてしまうという悪循環が生まれる。
そしてお互いに「あいつが箱に入っているのが悪いんだ」と言い合い続ける。
例えを出してみよう。
子供の躾のために夜遅く帰ってくることを「箱」の中から責めたとする。
そのときはきっとこんな言い方になる。
母親「なんでこんな時間に帰ってくるの?!いつも言っているでしょう?あなたの将来のために注意してあげてるのに!」
それに対して子供は
「くちうるさい」
「独裁的」
「分かってくれない」
というふうに思い、その気持ちを発散させるためにさらに親に対して背くような行動を取る。そうすると親はまた「言うことを聞かない」というイライラを募らせる。
こうしてお互いに「箱」の中に入る。
この状態はつまり「お互いに箱の中にいられるように協力し合っている状態」と言える。
最悪な関係を続けるために、お互いが協力してしまっているのだ。地獄絵図である。
どうやったら「箱」から脱出できるか
本書のタイトルにもなっている一番大事な部分なのだが、恐ろしいほど簡潔な答えが書いてある。
どうやったら「箱」から脱出できるか。
その考えを持った瞬間に人は、「箱」から出ることができる。
自分自身への裏切りに気付き、自分の「箱」を見ようとする。それだけで人は手品のようにあっという間に「箱」の外へと出られるようになる。
人間を縛り付けるやっかいな存在である「箱」だが、実は簡単に脱出することができる、というのが非常に救いがある解答だと思う。自らを省みる、という行為がいかに崇高かを思い知らされる次第である。
ただ勘違いしてはいけないことがある。
簡単に「箱」から出られるのと同様に、人は簡単に別の「箱」の中に入ってしまう。
すぐに違う問題や、違うタイミングで知らず知らずのうちに「箱」の中に入ってしまうのだ。
だから何か問題を感じた瞬間、すぐに「自分は箱の中に入っていないか?」と自問をする習慣を持つことが大事なのである。
スポンサーリンク
最後に
この本の内容はあの『7つの習慣』で書かれている、
「自分の反応は選べる」
という部分を最大限に具体化したものだと思う。
例えば、お店で店員に失礼な対応をされて、怒ったとしよう。
そのときに私たちは「怒るようなことをされた」と認識してしまいがちだが、その「怒る」という行動を選択したのは、他でもない自分自身なのだ。決して、他人にコントロールされていたわけではない。自分が数ある選択肢の中から「怒る」という行動を選び取ったに過ぎない。
「箱」に入った状態の人は「失礼なことをされたから怒った」と思い、声を荒げて注意したりするかもしれない。そこまでしなくとも、お店の悪口を食べログとかに投稿するかもしれない。方法はともかくとして、自分の視点からだけ見た怒りに染まった行動を取ることだろう。
その一方で「箱」から脱出できる人は、黙ってやり過ごしたり、店員がその失礼な対応をしてしまった原因に思いを馳せるだろう。
どんな行動を取るか、ということよりも、相手をひとりの人間として扱うかどうか(箱の中から見るかどうか)で違いが生まれるということなのだ。
なので『7つの習慣』を普段から意識して実践している人には、そこまで目新しい情報は本書の中にないかもしれない。「箱」の中に入っている、という見方は面白いかもしれないけど。
『自分の小さな「箱」から脱出する方法』には、人間関係を改善するために必要な素晴らしい考えが詰まっている。
人間として生きていくならば、絶対に避けて通れない「人間関係」。
「箱」が見えるようになれれば、人間関係で悩むことは無くなることだろう。
あなたの人生を向上させるヒントがこの本の中にあることを願う。
以上。