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お下品でなによりですこと。『洗えば使える泥名言』

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どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。
今回紹介するのは、西原理恵子の下品センサーが生んだ、最高にお下品な名言集である。

 

内容紹介

 

 

「前科とお金とどっちが大事?」「毎日ウソついたらええやん」など、サイバラが出会った(いろんな意味で)どうかしてる人たちが放った言葉の劇薬。きれいごとじゃない。だから効く。

 

まず皆さんに注意喚起したいのは、この本、平気で放送禁止用語が連発されるので、上品な方にはとてもじゃないがオススメできない。

まさに泥をすするような読書体験をさせられるので、常日頃から汚らしい生活に慣れ親しんでいる方だけが手にとってもらいたいと思う。

他の人がいる所で読むのはキツイ

西原理恵子は他の著書でもそうなのだが、まあとにかく下の方のネタがどぎつい。本人は当たり前に使っている言葉なのだが、一般の感性からするとなかなかに強烈だ。

しかもその強烈な下ネタが、1ページにでかでかと書いてあるもんだから、小心者の私は思わず周囲を見回してしまった。どうにも他の人がいる所では読みにくい本である。

ただ、内容に関してはさすがの西原である。面白さはピカイチ。竹を割ったような分からいやすい語り口と、そこかしこに散りばめられた”真理”に溢れた言葉で、グイグイ読ませる。

まさに泥をすするような生き方をしてきた西原だからこそ、紡げる言葉たちだろう。

 

人間的魅力とはなにか?

この本を読んでいるとつくづく、「人間の魅力ってのは面白い」と思わされる。どの言葉にも人間的魅力が溢れている。

 

ところで、人間的な魅力、とよく言われるが、これは一体なんだろうか。

つまるところ人間的な魅力というのは、「不完全さ」であると私は思っている。

欠けている部分にこそ人は美しさや、愛おしさのようなものを感じるんじゃないだろうか。

 

この本で取り上げられる言葉たちは、どうにも不完全である。ブサイクだし、小汚い。
世にあまたある名言集と比べると、笑えてしまうぐらいにどろんどろんだ。でもとても魅力的だ。これを読んで惹きつけられない人はいないと思う。泥名言とはよく名付けたものである。

 

着飾っていない言葉の魅力

人は基本的に学ぶ生き物だ。強烈な体験をしたとき、そこにある意味を理解しようとする。障害を負うほどの怪我をした人が、その経験を糧にしている姿をよく見ると思う。
それと同様のことがこの本でも起きている。

一見下品極まりなく、どぎつい言葉なのだが、それでも何か心の奥に届くものがある。魂から吐き出された言葉だと、なぜか分かる。だからこそ、そこにある意味を理解したくなってしまうのだ。

 

これが名言集にあるような洗練された言葉たちだとそうはいかない。

たしかにスルスルと読めるかもしれないが、簡単に入る分、簡単に出ていってしまう。そこに”考える”とか”意味を見出す”といった読む側の人間の労力が発生しないのだ。

 

食べがいがあります

きっと自分で苦労して作った料理が、やけに美味しく感じるのと同じ原理だと思う。自分に取り込むのに、少しぐらい抵抗があった方が(食べにくい方が)、身になりやすく、満足感も高いのだろう。

西原の本はいつでも劇薬だが、それだけの効果があると私は思う。というか、単純に読んでて面白すぎる。名言集で声に出して笑ったの人生初である。

 

以上。

 

 

西原が快刀乱麻の活躍を見せる本の総集編はこちら。こっちの方がお得かも。