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読書家たちの秘密基地。第二回 推し本会まとめ

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どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。

今回は私が主催するイベントの模様をお送りしたい。本好きには堪らない内容と空気感になっているので、楽しんで欲しい。ちなみに私は悶絶級に楽しんだ。でも表面上は普通の大人のフリをしてたので、参加者の皆さんは私が悶絶してたことを知らないと思う。

 

では、実施したイベントとはこちら。

 

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第二回 推し本会!!

 

推し本会とは…

 

コロナ禍で殺伐とした空気漂う日々。そんな中で、自分と同じ「本を愛でる者」から溢れ出る愛を観察することで、癒やされることを目指す。

また、思わぬ良書との出会いの場とする。

 

推し本会などと銘打っているが、ただ単に本好きのおしゃべり会だと思ってもらって構わない。でも皆さん作品の愛ゆえか、想像以上にちゃんと用意してあったりして、主催者として恥ずかしい限りだ。←始まるまで何も考えないタイプ 

 

参加者紹介

 

それでは今回の参加者を紹介していこう。

 

 

ひろたつ(@summer3919)

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言わずと知れた無名の読書ブロガー。最近は本を読むのに忙しくて、ブログなんて書いてる暇はない、と思いながらYouTubeを永遠に観てしまう習性がある。

2020年7月より、こちらのホンシェルジュ様にて連載が始まりました⇒

https://honcierge.jp/

 

 

池田たかひろ(@1ke_c_han)

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初参加。ギャンブル依存症になり400万もの借金を抱えていたが、先日返し終わったという、とんでもない経歴の持ち主。最近は筋トレと簿記に明け暮れている。ひろたつとはオフラインでも交流があり、森博嗣を愛する同好の士である。 

 

 

アオイ(@Rur1gnBD7dq6OMm)

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ここ最近でとんでもないスピードでフォロワーを増やしている話題の読書垢。ひろたつへの興味を抑えることができず、観覧で初参加。こんなオッサン、見ても良いもんじゃないのに、なんかすいません…。 

 

 

AKIAKANE(@akiakaneco)

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前回に続き読書趣味がまったく合わないひろたつをボコボコにすべく参加。絵本からノンフィクションまで幅広い選書には定評がある。

お子さんの乱入で場をホッコリさせるオプション付き。

 

 

篠田藍郎(@mrkantou)

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「好きな本についてひたすら語る」という趣旨で集まっているのに、なぜか「ひろたつが知らない本を見つけてくること」に燃えている。

飾らない語り口で、今回も一番笑いを取っていました。 主催者としてはありがたい存在。

 

 

haiku(@haiku44116991)

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推し本会不動のムードメーカー。こんなに楽しそうに人の話聞く人、なかなかいません。

売れてる本を見ると買ってしまうという、危険なベストセラー中毒者。 

 

 

以上が今回のメンバーである。

第一回のメンバーと大体同じなのは、私の交友範囲の狭さによるもの。参加された方に言われたけど、どうやら私は気難しい人だと思われやすいみたいだ。こんなパンダ並みに愛嬌に溢れたオッサンをつかまえて、一体何を言うんだ。みんなもっと直接的に愛してくれてもいいんだよ。まあ、追われると逃げたくなるんだけど。

 

ということで、どうでもいい話はどうでもいいとして、さっそくイベントの模様をお送りしていこう。

ちなみに第一回の記事のときも書いたが、この記事に書いてあることは推し本会で話した内容のほんの一部である。本当の面白さは参加した人にしか味わえないので、参加を希望される方は、ぜひ私のツイッターをフォローしていただきたい。月イチぐらいで開催する予定だ。 

 

 

~第二回推し本会開始~

 

推し本会の主な流れ

①推し本・作家などについて思いの丈をぶつけてもらう

②主催者・参加者からの質疑応答や雑談

以上の内容を15分1セットとして、順番に回していく

 

一人目 アキアカネさん

 

 

 アキアカネ

今回用意してきた本はこれです

 

 

 

 

 アキアカネ

吉村昭さんの書かれた、『漂流』という小説です

 

 

 

 ひろたつ

これはまた凄いの出てきたな

 

 

 

 アキアカネ

あと、関連書籍でこちらも

 

 

 

 

 アキアカネ

こちらは、探検家の高橋大輔さんが書かれた、ノンフィクションと言うかルポになりますね

 

 

 

 ひろたつ

おおー、全然知らないやつだ!

 

 

 

  池田

トレカで喜ぶ子供みたい

 

 

 

 アキアカネ

まずは『漂流』から行きます

 

 

 

 アキアカネ

これは江戸時代後期に、鳥島に漂流して、12年間もサバイバルした実際にあった出来事を小説化したものになります

 

 

 

  haiku

すごっ

 

 

 

  篠田

それはヤバいな

 

 

 

 アキアカネ

主人公の長平を含む4人の船乗りが、大時化に巻き込まれて、東京から660kmも離れた鳥島という、草木一つない島に漂流してしまうんですね

 

 

 

  池田

きっつ

 

 

 

 ひろたつ

デスゲーム小説並みに設定がエグい

 

 

 

 アキアカネ

まず嵐で遭難してる描写からして凄まじいんですよ。波の描写とか半端じゃなくって、船が壊されていく絶望感とか

 

 

 

 ひろたつ

おおー、いいねぇ!

 

 

 

  篠田

典型的な他人の不幸を喜ぶタイプ

 

 

 

 アキアカネ

渇きに苦しむ感じとか、それだけでも十分読み応えがあるんですよ!

 

 

 

  haiku

字面だけ見ると、完全にヤバい趣味の人になってる

 

 

 

 アキアカネ

4人がなんとかたどり着いた鳥島は火山島なので、草木どころか水さえなくて

 

 

 

 アキアカネ

ただそこはアホウドリの一大繁殖地だったので、その肉を食べて、なんとか生きていくことができたんです

 

 

 

 ひろたつ

なんとなく知ってたけど、そこまで強烈な話だったとは…

 

 

 

 アキアカネ

3年もする頃には長平以外はみんな死んでしまって、そこからは長平ひとりの生活が始まるんですけど、

 

 

 

 アキアカネ

ひとりで生きていく精神力とか、アホウドリを干し肉したりする知恵とか、そういう凄さはもちろんあるんですけど、それだけじゃないんですっ!

 

 

 

  池田

ほうほう!

 

 

 

  篠田

まだ来るか!

 

 

 

 アキアカネ

漂流してから数年後、今度は別の船の人たちが漂流してくるんです。さらにまたその数年後にももう1隻

 

 

 

 アキアカネ

そこでみんなで協力して生活を送るんですけど、ある日長平が気付くんです。「このまま待ってても、助けは来ない。自分たちで脱出するしかない」って。奇跡的に船の積荷に、船を作る道具はあったんですよ

 

 

 

  haiku

盛り上がってまいりました!

 

 

 

 アキアカネ

でも、

まず船の作り方がわからない

材木がない

そもそも自分たちがどこにいるのかも分からない

 

 

 

  池田

改めてヤバい状況だな…

 

 

 

 アキアカネ

できない条件はいくらでも挙げられる。でも「やろう!」と一致団結するんですね。

ここが凄い素敵な部分で

 

 

 

 ひろたつ

というと

 

 

 

 アキアカネ

人って、ひとりでもそれなりに賢くは生きられるかもしれないけれど、団結して大きな仕事を成すことが、人間という生き物の真骨頂だと思うんですよ

 

 

 

  篠田

おおー!

 

 

 

 アキアカネ

そこから長平たちはコツコツと流木を集めて、2年ぐらいかけて船を完成させるんです

 

 

 

  haiku

長っ!

 

 

 

 アキアカネ

そして遂に生還を果たすという…

 

 

 

  池田

フィクションとしか思えない

 

 

 

 アキアカネ

で、最初に紹介したこちらの『漂流の島』は、探検家の高橋大輔さんが、実際に鳥島に行って、長平たちの足取りを追っている本です

 

 

 

  篠田

感化されちゃったんだ。すご

 

 

 

 ひろたつ

やっぱり、良い作品ってのは人を行動に掻き立ててしまうものですね

 

 

 

 アキアカネ

そのエピソードだけじゃなく、乱獲されて絶滅危惧種にまで追い詰めれられしまったアホウドリの状況についても書かれていて、人間が壊した自然を取り戻すのがどれだけ難しいか考えさせられるんですよ

 

 

 

  篠田

じゃあ今回紹介してくれた本は両方ともノンフィクションなんですね

 

 

 

 アキアカネ

吉村昭の『漂流』は文献なんかをめっちゃ読み込んで、あとは小説家としてエピソードを肉付けした部分はあると思いますけど、基本的にはノンフィクションです

 

 

 

  池田

『キングダム』みたいな感じですね

 

 

 

  haiku

確かに…!

 

 

 

 ひろたつ

今回も素晴らしい選書、ありがとうございます。前回みたいに私がブログで貶してた作品じゃなくて、超嬉しいです

 

 

 

 アキアカネ

いえいえ

 

 

 

  haiku

喜びのハードルが低レベルすぎん?

 

 

 

前回に続き、私の守備範囲外から面白そうな本をご紹介いただき、ありがとうございました。色々と捗ります。主に積ん読活動が。

記事では割愛しましたが、途中でお子さん(美人)が乱入してきて、完全に場の空気を持っていかれました。やっぱり子供は強い。 

 

 

二人目 篠田さん

 

 

  篠田

僕が今回紹介するのはこちら!

 

 

 

 

 ひろたつ

おぉ~、飲茶さんですね!

 

 

 

  篠田

やっべ、知ってたか

 

 

 

  篠田

ひろたつさんが知らない本を紹介したかったのに…

 

 

 

 ひろたつ

いやー、これは知ってましたね~

 

 

 

  haiku

何の勝負?

 

 

 

  篠田

皆さん、哲学と聞いてどんなイメージを持たれますでしょうか?

 

 

 

  篠田

私も「我思う故に我あり」ぐらいしか知らないレベルで、限られた人たちが考える、何の飯のタネにもならないようなものだと思ってました

 

 

 

  池田

「あんま知らない」と言いつつ、けっこうボロクソ

 

 

 

  篠田

以前はそうやって若干バカにしてた部分があったのですが、こちらの作者である飲茶さんのとても分かりやすい説明によって、考えを改めました

 

 

 

  篠田

哲学は何の役にも立たないどころか、あらゆる分野に通ずる、最高の学問だと思えるようになりました

 

 

 

 アキアカネ

変わり方が極端

 

 

 

  篠田

ちょっと、裏表紙の紹介文を読んでみますね

 

 

 

 ひろたつ

お願いします

 

 

 

  篠田

真理に殉じた最強の論客ソクラテス、近代哲学の偉大なる父デカルト、神を殺した狂気の超人ニーチェ...強者の論を踏み台に、さらなる強者が出現する。そう、哲学の歴史はまさに闘い!!偉大なる哲学者たちが繰り広げてきた、頭脳と頭脳の闘いの歴史を、驚異的な噛み砕き方でわかりやすく紹介。最強の哲学入門書、降臨!!

 

 

 

  篠田

だそうです

 

 

 

 ひろたつ

はあ

 

 

 

  haiku

へぇ

 

 

 

  池田

ふーん

 

 

 

  篠田

まあそんな感じになりますよね

 

 

 

  篠田

ひろたつさんが別の媒体で紹介されてた、『フェルマーの最終定理』に近いかもしれないですね

 

 

 

※紹介していた記事はこちら。ホンシェルジュさん、連載ありがとうございます!

honcierge.jp

 

 

 ひろたつ

あぁ、哲学の歴史的な要素もあるんですね

 

 

 

  篠田

この本を読むと、私たちの生活のベースには哲学があるんだってよく分かります

 

 

 

  篠田

例えば、日々の生活をして、子孫を反映させて、でもいつかは死ぬっていう。なんで死ぬのか、生きるのか、神とは、なんで宇宙があるのかとか、不思議だしかなり大事な問題ですよね

 

 

 

 ひろたつ

大事ですけど、分からなさすぎてすぐにどうでもよくなりますね

 

 

 

 アキアカネ

言い方

 

 

 

  篠田

確かにそれが分かったところで、明日食べられる飯の量が変わる訳じゃないですからね

 

 

 

  池田

こっちも言い方

 

 

 

  篠田

とにかく哲学ってのは、人だけに留まらず、自然や世界のすべてを収納できる、非常に優れた考え方なんです

 

 

 

  篠田

でもそれだけにとても難解になりがちなんですけど、この飲茶氏の優れた筆によって、恐ろしく分かりやすく説明されているんです。入門書と銘打つだけのことはあるなと

 

 

 

 ひろたつ

挿絵がバキの人なんですよね?

 

 

 

  haiku

ほんまや

 

 

 

  篠田

飲茶さんが熱心なバキファンなんですよ

 

 

 

 ひろたつ

ああ、そうなんですね

 

 

 

  篠田

どんな分野に興味がある人でも、この本を読めば、哲学に通じる部分があると分かってくれるはずです

 

 

 

 ひろたつ

元々はブログなんですよね。自分もなんだったかな…「哲学的ゾンビ」っていう単語を検索したときにこのブログと出会ってて、「あの本の人だ!」ってなりましたね

 

 

 

  haiku

篠田さんの話をまとめると、哲学というのはあらゆる学問の基本だということですか?

 

 

 

  篠田

そもそもボクはあらゆる学問をマスターしている訳ではないので…

 

 

 

 ひろたつ

ファウスト』みたいなコメント

 

 

 

  篠田

あまり断言するのは憚られるのですが、色んな学問の発想の発着点という感じはしますね

 

 

 

  haiku

なるほど~

 

 

 

  篠田

良かったら読んでみてください

 

 

 

篠田さんも前回に続き二度目の参戦、ありがとうございました。

ここには載せきれませんでしたが、キリストの存在に疑問を投げかけたりとか、自由奔放で危険な発言には、めちゃくちゃ笑わせてもらえました。 

 

 

三人目 haikuさん

 

 

  haiku

よろしくお願いします!!!

 

 

 

 ひろたつ

なんか気合入ってますね 

 

 

 

  haiku

今回はかなり準備してきました。カンペもこの通りバッチリです!

 

 

※A4用紙を高らかに掲げるhaikuさん

 

 

 ひろたつ

すごっ

 

 

 

 アキアカネ

私も前回カンペ書いてましたよ

 

 

 

 ひろたつ

もっと気楽にやりましょうよ~。自分なんか、推す本だって直前まで決めてないぐらいなのに

 

 

 

  池田

主催者が一番準備してない

 

 

 

  haiku

前回、アキアカネさんのプレゼンを拝見して、あまりの完成度に圧倒されたので、今回は対抗意識に燃えてます

 

 

 

 アキアカネ

望むところです

 

 

 

 ひろたつ

なにこれ

 

 

 

  篠田

争いが絶えないですね

 

 

↑ひろたつが知らない本を紹介しようと勝負してきた人

 

 

  haiku

では、私が今回紹介したい本はこちらになります!

 

 

 

 

 ひろたつ

出ました

 

 

 

  篠田

またひろたつさんはご存知なんですね?

 

 

 

 ひろたつ

いや、以前haikuさんとお会いしたときに、直接紹介されたことがあるんです。言うなれば、haikuさんの代名詞的な作品ですね

 

 

 

  池田

全然知らないなぁ

 

 

 

 ひろたつ

自分の守備範囲からかなり遠い作品なので、haikuさんに教えてもらわなかったら、一生知らないままだったと思います

 

 

 

  haiku

そうですね。かなりの隠れた名作ですから

 

 

 

  haiku

では紹介に移ります

 

 

 

 アキアカネ

お願いします

 

 

 

  haiku

まずこちらの作品を一言で表すならば「人生のような小説」です

 

 

 

  池田

すげえ、キャッチコピーが用意されてるっ

 

 

 

  haiku

逆に「映画のような人生」とか「小説のような人生」というのは、聞くじゃないですか。まるで逆なんですね

 

 

 

  篠田

ほうほう

 

 

 

  haiku

あらすじがすごいシンプルなんです

 

 

 

  haiku

農村で生まれたストーナーという男性が、とある大学の授業をきっかけに、文学を志すという話になります

 

 

 

 アキアカネ

ほんとにシンプル

 

 

 

  haiku

あまり知られた作品ではないんですけど、やっぱり分かる人には分かるみたいで、本の帯になんとあのトム・ハンクスがコメントを寄せてるんです

 

 

 

  池田

いきなりビッグネーム

 

 

 

  haiku

「これはある男が大学に進んで教師になる、ただそれだけの話にすぎない。だがこれほど魅力にあふれた作品は誰も読んだことがないだろう」っていう、コメントなんですけど、これでほとんど説明できちゃってます

 

 

 

 ひろたつ

いい仕事すんなぁ

 

 

 

  haiku

文学教師になったある男性が、人生における出会いや別れを経験し、時代の波に揉まれながら、その一生を遂げる。という、ただそれだけの話なんです

 

 

 

  篠田

潔い作品ですね

 

 

 

  haiku

とてもシンプルな物語なんですけど、何がそんなに魅力的かって、文章の美しさなんです

 

 

 

  haiku

作者のジョン・ウィリアムズはアメリカの作家で、普通アメリカでウケる作品って、華麗で派手な物語なんですけど、『ストーナー』は真逆。ほんとに何も起きないんですよ

 

 

 

 ひろたつ

人生ですもんね。凄い作品だなぁ

 

 

 

  haiku

文章の美しさとそれに掛け合わせて、主人公ストーナーの純粋さ、人間的美しさが素晴らしいんですよ!

 

 

 

 アキアカネ

なるほど~

 

 

 

  haiku

ストーリーはシンプルで、心理描写が丁寧なので、読者はストーナーの人生を追体験することになるんですけど、読みながら自分自身と重ねたり、内面と向き合うような感覚になるんです

 

 

 

 ひろたつ

その感じ分かる!めっちゃ好き

 

 

 

 アキアカネ

いいですねぇ

 

 

 

 ひろたつ

雑なまとめ方になりますけど、“日常系”ですよね。ドカンバコンみたいなのは無いけど、日常の些細なことを丁寧に描写することで、作品として成り立たせてるんですよね

 

 

 

  haiku

おっしゃるとおりです。なんかまとめられて気持ちよかったです

 

 

 

  篠田

いやー、これ凄い興味あります。「何も起こらない」ってのがいいですね。私たちの生活って基本そうじゃないですか

 

 

 

  haiku

そうなんですよ!とても等身大なんです

 

 

 

  haiku

発表当時はあまり評価されてなかったんですよね。ですが、フランスの超人気作家の方の目に止まって、「ぜひフランス語に翻訳したい!」という所から世界的に人気に火が付いたんです

 

 

 

  池田

そのエピソードも凄い

 

 

 

  haiku

グレート・ギャツビー』と似たような感じですね。数奇な運命を辿って、今では評価をものにしているという

 

 

 

  haiku

このジョン・ウィリアムズさんも、他に数作執筆されているんですけど、日本語に翻訳されているのはこちらの『ストーナー』だけなんです

 

 

 

  篠田

そうなんですねぇ

 

 

 

  haiku

さらになんですけど、この『ストーナー』の翻訳をされている方、作業途中で亡くなられているんですよ

 

 

 

  池田

え!

 

 

 

 ひろたつ

予想外の展開

 

 

 

  haiku

元々がんを患ってらしたんですが、どうしてもこの作品を翻訳したいということで、闘病しながら書かれたそうです

 

 

 

 ひろたつ

あぁ、ドン・ウィンズロウの『犬の力』とか翻訳されてる方ですね。なるほど…

 

 

 

  haiku

それもあるので、翻訳されながら自分の人生と重ねてたりしたのかな、と想像してしまいますよね

 

 

 

  篠田

作品に奥行きが出ますね

 

 

 

  haiku

ストーナーの人生を切り取る文章がとにかく綺麗で、美しくて、これは奇跡の一冊だと思います

 

 

 

 アキアカネ

「奇跡の一冊」…!

 

 

 

 ひろたつ

そんなん言ってみたい…羨ましい…

 

 

 

  haiku

私にとっては…うーんそうだなぁ…聖書みたいな感じですかね

 

 

 

 ひろたつ

世界一売れてる本ですけど、大丈夫ですか?

 

 

 

  haiku

でもそれくらいオススメです!

 

 

 

haikuさん、主催者よりもやる気満々で用意していただき、ありがとうございました。

『ストーナー』に皆さんが思ったよりも食いついててビックリしました。やっぱり本気で魅了されてる人の言葉は響くもんですね。推し本会のお手本のようなプレゼン、ありがとうございました。でも聖書はさすがに言い過ぎ。

 

 

四人目 池田たかひろさん

 

 

  池田

ぼくは作品もそうなんですけど、作家さんを紹介したいと思います

 

 

 

 ひろたつ

ほうほう

 

 

 

  池田

こちらの高橋秀実さんです

 

 

 

 

 

 

 ひろたつ

おお、全然知らない方! 森博嗣じゃないんですね

 

 

 

  池田

ひろたつさんも知らないんですね。ご存じの方いらっしゃいますか?

 

 

 

  haiku

知らない…

 

 

 

  池田

「たかはし ひでみね」と読みます。この方はノンフィクション作家で、基本的に自分で体当たり取材をしたものを書いてます

 

 

 

 アキアカネ

あっ、そういうの好き!

 

 

 

  池田

体当たりして感じたことや、考えたことを文章にしていて、とにかく笑いたいときや元気が欲しいときに読んで欲しい作家さんです

 

 

 

 アキアカネ

凄い!面白そう

 

 

※ツボすぎる作品の思わぬ登場に興奮が隠せないアキアカネさん。

初対面でまったく接点のなかった人でも、「面白い本を知ってる」だけで、こうやって盛り上がれるのが本好きの良い所。

 

 

  池田

この方を知ったきっかけは、たまたまブックオフで『はい、泳げません』というこちらの作品を見かけたのが最初で

 

 

 

 

  篠田

もうタイトルだけで面白い

 

 

 

  池田

自分が昔、水泳をやってて、小学生時代ですけど全国大会にも出場してたんですね

 

 

 

  haiku

凄っ

 

 

 

  池田

自分が泳げる人間なので、このタイトルに興味を持ったんです

 

 

 

 ひろたつ

他の生き物を見る感じですね

 

 

↑まったく泳げない人

 

 

  池田

この本は、まったく泳げない筆者が、スイミングスクールに通って、一心不乱に格闘した模様を描いています

 

 

 

  haiku

その結果が「はい、泳げません」なんですか?

 

 

 

  池田

だからYouTubeの「やってみた」と同じですね

 

 

 

  篠田

文章版やってみた、だ

 

 

 

  池田

それで読んでみたら面白くて、追いかけた結果、特に面白かったのが今回紹介した2冊かなと

 

 

 

 アキアカネ

なるほど~

 

 

 

  池田

では順番に紹介します。まずは『趣味は何ですか?』から行きます

 

 

 

 ひろたつ

お願いします

 

 

 

  池田

こちらの高橋さんは無趣味なんですよ

 

 

 

  haiku

良い入り

 

 

 

  池田

だから他の人と喋っているときに、会話の中で「趣味は何ですか?」って聞かれても、何も答えられなかったんですよ

 

 

 

  篠田

そこまで“無”の人も珍しい

 

 

 

  池田

で、そこで高橋さんは思ったんですよ。「趣味って何だ?」と。じゃあ世の中にはどんな趣味があるのか調べてみよう、と趣味を探し出す旅に出るんですね

 

 

 

  haiku

へ~

 

 

 

  池田

例えば、そば打ちとか、切手を収集するスタンプコレクターとか、山登りとか。そういうことを趣味としている人の所へ行き、取材をして、実際に自分もやってみるんです。中には四国八十八ヶ所めぐりなんかもやってます

 

 

 

 ひろたつ

偉いな!

 

 

↑文章を書くために、まったく足を使わないタイプ

 

 

  池田

自分も何か新しいこと、趣味を見つけたいときにこの本を読んだので、凄い面白かったです

 

 

 

 ひろたつ

結局、趣味は見つかるんですか?

 

 

 

  池田

うーん、この人は無趣味で通すんだと思います

 

 

 

  haiku

でも色んなことに手を出せるのって、無趣味の強みですよね

 

 

 

 アキアカネ

良いこと言う!

 

 

 

  篠田

確かに確かに…

 

 

 

  池田

この人はとても自然体で、頑張らないんですよ。で、文章が…そうだなぁ…ひろたつさんみたいな感じです

 

 

 

 ひろたつ

自分ですか?!

 

 

 

 アキアカネ

そういう感じですか

 

 

 

 ひろたつ

分かるの?

 

 

 

  池田

では次はもっと面白い、こちらの『やせれば美人』です

 

 

 

  haiku

表紙が女性ですけど…

 

 

 

  池田

こちらは高橋さんの、奥様をネタにしてる本です。

 

 

 

  篠田

なるほど

 

 

 

  池田

もちろんただのダイエット本ではなくて、太りすぎてしまった奥さんのために、高橋さんがダイエットスクールにインタビューに行ったり、「こういうダイエット方法がある」って奥さんに教えるんです

 

 

 

  池田

でも…

 

 

 

 アキアカネ

でも?

 

 

 

  池田

奥さんに痩せる気が一切ないんです

 

 

※一同爆笑

 

 

  池田

そんな奥さんと格闘しながら、どうやったら痩せられるか、という内容になってます

 

 

 

  haiku

痩せていく過程を記した、レコーディング日記的なものじゃなくて、奥様との格闘なんですね

 

 

 

  池田

そうです。痩せさせたい旦那さんと、まったく痩せたくない奥さんの戦いになります

 

 

 

 ひろたつ

これは面白そうだなぁ~

 

 

 

  池田

奥さんが太りすぎて心臓を悪くしてしまって、救急車で運ばれたことがあるんですよ。だから「もう痩せさせなきゃ」って

 

 

 

  篠田

それはヤバい太り方ですね

 

 

 

  池田

で、初めから面白いので、少し読み上げさせてください

 

 

 

 アキアカネ

お願いします

 

 

 

  池田

「妻はデブである」

 

 

※一撃でみんな爆笑

 

 

  池田

「結婚前はデブではなかったが、結婚してからデブになった。

158cmで80kg。この10年で30kgも増量したのである。

もちろん妻は放っておいたわけではない。毎日のように“ダイエットしなきゃ”と焦り、本屋でダイエット本を読み漁りながら、彼女はデブになった」

 

 

 

 アキアカネ

これはヤバい

 

 

 

  池田

「寝不足、運動不足、不規則な生活、ストレス、ホルモンのアンバランス、遺伝などなど、デブになる原因を自ら探求しながら自らデブになったのである」

 

 

 

  haiku

確かにひろたつさんに似てますね。凄い分かります

 

 

 

 ひろたつ

ありがたいですけど、これは勝てない

 

 

 

 アキアカネ

あー、面白い

 

 

 

  池田

やっぱり実体験に基づいているのが、いいなって思うんです

 

 

 

  haiku

こんなに面白い作家さんなのに、全然知らなかった

 

 

 

  池田

他にも著作はありますが、この2冊は特にオススメなので、ぜひ!

 

 

 

 ひろたつ

ありがとうございました!

 

 

 

初参戦にも関わらず、めちゃめちゃ場を盛り上げてくださった池さん、ありがとうございました。これはみんな読んじゃいそうですねー。

それと、あんな面白い作家さんと似てるなんて言われて、勘違い野郎になりそうな自分を抑えるのに必死です。責任取って下さい。

 

 

ラスト ひろたつ

 

割愛します。

 

記事が長くなりすぎたので、力尽きました…。

 

※私の話が聞きたい方は、ぜひ推し本会に参加してください。 

 

 

おまけ(雑談&質問など)

例によって、記事には収まりきらない(整理しきれないぐらいみんな喋る)ので、そこから一部抜粋してお送りしよう。

 

吉村昭について

 

 

 ひろたつ

吉村昭って、自分はまだ未読なんですけど、他にも何度も脱獄しようとする人の話とか、人間の極限状態を描くのが異常に上手い作家さんのイメージがありますね

 

 

 

  池田

地獄を見てきたんでしょうね

 

 

 

  haiku

Amazonの評価もエグいですねー

 

 

 

 ひろたつ

評価数と星のバランスを見ると、作家のヤバさがよく分かります

 

 

 

  篠田

というと?

 

 

 

 ひろたつ

作品って、売れれば売れるほど、色んな人の意見が出てくるので、どうしても評価が平準化されちゃうんですよね。自然と☆3付近で落ち着くようになる

 

 

 

  haiku

なるほど~

 

 

 

 ひろたつ

でも吉村昭の作品の場合、売れてて評価数もたくさんあるのに、高評価を維持してる。つまり、読んだ人のほとんどを魅了してるということです

 

 

 

  池田

バケモンですね~

 

 

翻訳本の話

 

 

 ひろたつ

自分、英語まったくできないんで分からないんですけど、翻訳本で文章が美しいって、元々の文章が優れているのか、それとも翻訳者のセンスなんですかね?

 

 

 

  haiku

どうなんですかね~?

 

 

 

  haiku

翻訳した文章だと、どうしても何か抜け落ちてるような、カラカラと乾いた印象を受けるときが多いですよね

 

 

 

 アキアカネ

分かる!

 

 

 

  haiku

でも上手いと言われる作品だと、今回紹介した『ストーナー』もそうですけど、その感覚がないですね

 

 

 

 ひろたつ

確かに、なんか足りない感じがしちゃうんですよね。だからブログで勧めてる本も、ほとんど翻訳系がないんですよ

 

 

 

  haiku

英語の字幕とかを見てるとよく分かるんですけど、同じ表現とか温度感にするために、あえて表現を変えるときがあるんですよ

 

 

 

  池田

ほう

 

 

 

  haiku

例えば、恋人同士がデートをして、最後に別れるとき。日本語なら「また明日ね」とかじゃないですか。でもこれが英語だと「明日まで待てない」とかになるんですよ

 

 

 

 ひろたつ

なにその話。めっちゃ面白い!

 

 

 

  haiku

でもそれを直訳してしまうと伝わらないので、日本語字幕では「また明日ね」になるんですよ。同じ気持ちだけど、言葉や表現が違う

 

 

 

 アキアカネ

なるほどねぇ。凄いなぁ

 

 

ひろたつの勧める本、ハズレ多い説

 

 

  haiku

前回教えてもらった『カラフル』読みましたよ。凄い良かったです。何回も泣きそうになりました

 

 

 

 ひろたつ

ですよねー。良かった良かった

 

 

 

  篠田

ちょっと、個人的にはなんですが…

 

 

 

 ひろたつ

はいはい、なんでしょう

 

 

 

  篠田

こんな中学生がゴニョゴニョ言ってるだけの作品の、何が面白いんですか?

 

 

 

 ひろたつ

※大ウケ

 

 

 

  篠田

他にも、前回の本屋大賞を獲った『そして、バトンは渡された』とか

 

 

 

  篠田

「あの人、なんでこんな女子高生がゴニョゴニョ言ってるだけの話、面白いって言ってんだ」って思いました

 

 

 

 ひろたつ

確かに言われてみれば、両方ともその通りですね

 

 

 

  篠田

年齢からしたら20年以上も前の学生のゴニョゴニョを読んで、どう感銘を受けてるのかなって

 

 

 

 ひろたつ

なるほどねぇ。でも読んでるときは、完全に子供の頃の自分になってますね。もっと言えば、中学生の主人公と同化してます

 

 

 

 ひろたつ

大人になってみれば、思春期のときのゴニョゴニョなんて、些細な悩みだって分かるんですけど、その俯瞰は小説を読んでるときは、あまりないですね。今、指摘されて初めて自分がそこまで入り込んでるって気付くレベルですね

 

 

 

こういう、作品の楽しみ方についての話、めっちゃ好き。反対意見の方が刺激があって面白い。そういう見方があったのかって。

人によって楽しみ方もそれぞれだと、改めて思わされました。

 

 

 

 

以上。参加された皆様、ご協力ありがとうございました。

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いやー疲れた…。