出口会長が凄いのは顎だけじゃないと証明したのが本書。
どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。今回もオススメ書籍の紹介である。刮目せよ。
読書神が綴る“お金”の教養
20代の新しいお金づきあい入門!お金の不安に支配されたまま、あと60年生きるつもりですか?5つの講義で、一生使える「お金」の教養を手にしよう!世界一シンプルな財産管理術、アマでもできる投資法、20代の保険選びの鉄則、親と相続について話すときのポイントなど…後悔しないための知恵が満載!
このAmazonの紹介文を読むまで、本書が20代に向けて書かれたことを知らなかった30代のおっさんです。どうぞよろしく。
さて、本書の紹介になるのだが、その前にまずは著者の出口会長について説明が必要だろう。
出口会長は日本の生命保険に革命をもたらした、ライフネット生命の創始者である。
それだけでも十分ヤバイ人なのだが、この方のもっとヤバイ面があって、それが日本を代表する読書狂いという顔である。
なんとその読書量は、年間1000冊。子供がふざけて言うような数である。きっと私なんかよりもよっぽど忙しいだろうに、この読書量はどうやって成し遂げているのだろうか。さっぱり想像がつかない。
お金の教養って何?
そんな読書狂いの出口会長が本書に記したのは、みんなが大好きなお金の話である。もっと言えば、“お金の教養”についてである。
お金の教養と聞いてもなかなかピンと来る人は少ないだろう。もちろん私も同じである。ただ何となく、「自分にとって有利になるようなことが書いてあるんだろうなぁ」というバカみたいな印象を抱いていた。
では試しに教養という言葉を辞書で調べてみよう。そこには「学問・知識を(一定の文化理想のもとに)しっかり身につけることによって養われる、心の豊かさ。」と書かれている。
ということは、つまり出口会長はこの本を通して、お金の知識を付けさせ、心を豊かにさせようとしているわけだ。素晴らしい志である。私なんか「知識だけで豊かになるのか?」なんて意地悪なことを考えてしまうが、それは自分の胸の中にこっそりしまっておこう。
見どころを紹介!
本書を読み終わった印象だが、非常に読みやすかった。専門書的な小難しさを予想していたが、かなりビギナーを想定して書かれたようだ。出口会長の優しい人柄が滲み出ているかのようだった。
で、今回の記事の主旨になるのだが、こちらの本から私が特に面白いと感じた箇所を紹介したいと思う。
たくさんの知見が散りばめられた本である。ここに記したのは、あくまでも概要だと思ってもらいたい。この本の価値は、やはり実際に読まないと伝わらないと思う。
この記事を購入の参考にしてもらえれば幸いである。
では行ってみよう。
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右肩上がりが正常な状態というのは、ここ数十年間の偏った認識。
日本の経済が成長していないことを嘆いてばかりの我々への辛辣なツッコミである。歴史に詳しい出口会長ならではのお言葉である。
どうして不安になるのか?それはメディアが不安を煽るから。
不安を煽る方が儲かる人がいるから。
メディアは基本的に“不安増幅装置”だと思って間違いないだろう。人間は確率を精確に想定できないという弱点がある。そこを利用されないように。
本当と嘘を見極める二つのステップ
1.政府やきちんとした民間の調査機関が集計分析したデータを探す
2.そのデータを基にして偏見を持たずにロジックを組み立てる
ひろゆきの名言(?)である「嘘を嘘と見抜ける人でないと~」の答えがこれである。つまり、手間を掛けろと言う話だ。それができないから、みんな騙されてしまうわけだ。
お金とはあなたは価値ある労働をしましたよ世の中に価値を生み出しましたよと証明してくれるもの。
だから自己満足にまみれたこのブログの収益が上がらないのである。耳に痛い言葉だ。
成功できないときは自分に言い聞かせよう。「もっと価値を生み出しなさい」と。
大切なのは今の高齢者たちのせいで自分たちは割りを食っているといじけることではなくどうしたら自分たちは少しでもいい人生が送れるか考えることです。
自責の考え方である。世の中を嘆くのは、自分を被害者に仕立て上げられるので気持ちがいいだろう。悲劇のヒロインになれるのだから。でも、そうやって倒錯した酔いを楽しんでいる間に、どうしようもなくなることをお忘れなく。自分の人生の責任は誰も取ってくれないのだから。
50年後年金制度は機能しているのかどうか?
政府が破綻しない以上、つまり国債を発行できる以上、年金は支払われます。
一般論で考えれば、年金制度に税金を投入している以上、支払い損となることありません。
これは非常に嬉しい予見ではあるが、「じゃあ国債を発行し続けたら、日本円の価値は国際的にどうなるのか?」という不安は残る。
老後資金として年金を頼りにしていいのか?
年金「だけ」に頼るのは反対です。 将来の支給額はどうなるかは、この国が経済成長するかどうか次第だということを、皆さんは理解しておくべきです。
まあこれからを生きていく年代には当然の覚悟として持っておくべき考え方であろう。これは会社にも通ずる考え方である。ひとつのものに依存すると、心中になるかもしれないのだ。
お金に苦労する人は、データを見ず、自分で考えない人です。
お金に振り回される人は、考えても仕方がないことを考える人です。
お金で損する人は、与えられた情報を鵜呑みにする人です。
これも耳に痛い言葉。まるで私の目の前で指を突きつけられて言われているよう。お金に苦労しないようにならなければ…。
手取りでもらったお金を財布投資預金の三つに振り分ける。
財布とは日常で使うお金
投資とはなくなってもいいお金
預金とは流動性の高いお金
お金にも目的をしっかりと持たせるということ。何気なく使ってしまえば無くなったり、予想外の出費に首が回らなくなるのは当然の話である。ちなみにこれまで私はお金で困ったことが一度もないのが自慢である。別に親が金持ちとかいう話ではない。
今の景気の中でお金を楽しく使えることが賢さのバロメーター。
というか、優秀さのバロメーターかな。苦しみながらお金を使っている人は、人生が後手後手に回っている印象。そして楽しんでいる人は、自分から人生を動かしているように観察される。
倹約は賢い 調査比較をした上で選択するのはケチではない。
本当の億万長者に浪費家は少ない、というのは有名な話。億万長者に関しては以下の本が参考になる。どストレートで一見ふざけたタイトルだが、名著である。
マイホーム神話、専業主婦文化など、高度成長期の常識はもう通用しない。
これ大事。意外とみんなこれらを基準に物事を判断している節がある。もう時代が変わったことを認めた方がいいだろう。そして変化に合わせた基準を、自分の中に新たに設けるべきである。 そうすればメディアに踊らされることも少なくなるだろう。
いくら節約するかよりも、毎月確実にお金が入ってくることの方がずっと大切。
身も蓋もないけど、これが真実。節約しようにも収入がなければ、節約しようがない。
お金を理由に、結婚や子育てを延期したり中止したりする必要は全くない。いつ産んでも、かかる費用はそうは変わらない。毎月ちゃんと働いて稼ぎさえすれば、そのお金で十分やりくりできる。
共働きできれば、の話だけど。私も家族がいるからよく分かるのだが、シングルでまともに育児をするのはあまりにもハードルが高い。
貯蓄は「貯める額を決めたら使わない」。これだけです。
ザ・シンプル。それができないからみんな貯まらない。個人的には、積立型の保険に入って、強制的に貯蓄するのが一番だと思っている。増えるし。
保険の原則は大変な目にあった人以外全員掛け捨て。
ライフネット生命の安さは掛け捨てだからこそ。貯蓄の意味合いを持たせるのでなければ、掛け捨てが一番なのは間違いない。
保険の本質はレバレッジにあります。貯蓄だけでは何ともならない領域をカバーするものだということが分かるでしょう。
レバレッジとは“てこ”のこと。自分の力だけではどうしようもないときの場合だけを見据えて、保険は選ぶべき。
起こるかどうかわからない未来のためにお金をたくさん使い、今の楽しみをないがしろにすることは本末転倒。
独身の人は就業不能保険ひとつで十分。
パートナーがいる人は一緒に就業不能保険を買っておくといい。
パートナーの稼ぎが少ない人は稼ぎの多い方で死亡保険をかけた方が安心。
子供がいる人は 死亡保険。子供ができた時点で、稼ぎが多い方のパートナーに2000万から4000万円の死亡保険をかけておくと安心です。
保険のことは難しくて分からない、という人もこれを基準にすればシンプルになって決めやすいんじゃないだろうか。
親からの相続をあてにしてはいけません。
相続の話は「楽しく使い切って下さい」の一言で終わります。
骨肉の争いとか醜いだけ。そもそも親の金を当てにする時点で、成人としてどうなのだろうか。残さなければ後腐れもないだろう。
重要書類はどこにしまってあるのか。
どんなお葬式をしたいのか。
認知症になったり寝たきりになったりした時に延命治療をして欲しいのか。
親が元気でなければ確認できないことは早めに教えてもらっておくと安心です。
これは大事。
書類系は自分のだって探すのに手間がかかるのに、親のものなんてなったら、迷宮入りでしょ。葬式も私のように、やってほしくない人もいるだろうし(なんなら墓もいらない)、延命治療は海外では虐待とまで言われていたりするし。
投資はその場で結果が出るギャンブルと違い、すぐに結果が出るものでありません。ゆっくりじっくり育っていくものなのです。
素人ほどすぐに結果を求めるけど、投資はそんなに簡単なものじゃない。プロがしのぎを削って結果を出している世界で、素人にこぼれてくるものなんてたかが知れている。
本当に伝えたい投資は基本は自分への投資。
自分自身への投資をしなければ、皆さんが生涯で稼ぐであろう2億円は、一生に2億円のままでしょう。
投資と言っても、お金だけじゃなくて時間もそう。両方とも、意識をしないといくらでも無駄遣いをできてしまうから注意だ。
自分を賢くし、結果として人生の選択肢を増やすものは全て投資です。
大小を問わずあらゆる人生の可能性は、新しいことを学んだり、読んだり、足を運んだり、人と話したり、異文化に触れたりしなければ、決して生まれないのです。
人を変えるものは、人間関係、場所、習慣の3つだと言われている。同じ人と同じ場所にいて、同じことを繰り返していれば、そりゃあ成長はしないだろう。むしろ腐っていくんじゃないだろうか。
歴史を学んでいれば、将来を予測しようとするには営為は、人間は賢いという前提に立ったかなり傲慢な発想だということが分かるでしょう。
将来を予測しようとしたり損得で考えたりせずに、自分が好きなことに投資するのが一番です。
これが答えなのかどうかは分からない。だが、幸せな考え方だとは思う。自分の好きなことをできる、自由に生きられる人生を歩みたいものである…。
投資の基本的な三つの考え
1.ポートフォリオを作る
2.色々な投資方法を組み合わせ、リスクを分散させる
3.成長するものに投資する
これは投資関係の本にはよく書いてあることだ。つまりそれだけ必須の基本的な考え方だということ。
長期投資で考える。
10年から20年のスパンで投資をし続けた時、初めて高いリターンを得る可能性が生まれるです。
プロ中のプロでさえたくさんの失敗や苦労を重ねているのに、アマチュアの皆さんがそう簡単に成功するはずがない。
だからこそ若いうちから投資をするべき。
さきほども書いたように、アマチュアが勝とうとするなんて、思い上がりにもほどがあるということだ。
証券会社のおすすめ商品の中には、証券会社の手数料収入が高いものや、販売員にノルマが課せられているものもあります。必ずしも全部が全部、あなたのためにおすすめしてくれているわけではないのです。
残酷な真実である。まあ、仕事なのだから利益を求めるのは当然なのだが…。それでもこちらとしては怖い話である。
お金に詳しいことで有名な山崎元氏も同様のことを本で書いていた。
少子化の現在、若者たちは選り好みさえしなければ、職場の選択者は山のようにある。
あらゆる仕事に空席がある状況。
悲しいことに選り好みしたいのが若者である。まあ、それでも仕事があるのはありがたい話だろう。どこも人材不足なので、就職したら宝物のように扱ってもらえるだろうし。
60代になったとしても、「自分の仕事が天職かどうか」なんて誰にもわからないのです。
私も天職を見つける系の本はたくさん読んできたような輩なので、この言葉は耳に痛い。嫌々でも長年続けられるのであれば、それは天職だし、そもそも天職ってなんじゃい、という話である。
30歳でも役に立たない人は職場には不要。65歳でも新しいアイデアを提案できる人には、いつまでも働いてもらいたい。それが経営者の本音。
まさに。新人でも頭がガッチガチの人もいるし、どれだけ年を重ねても自由な発想を持っている人もいる。優秀な人が働くべき。
これから起こる労働力不足を補うためには
女性にもっと働いてもらう
定年制を廃止する
移民を積極的に受け入れる
このいずれかしか選択肢はない。
もし労働賃金の安い移民が入ってきたとしても、雇う価値があると思われるだろうというレベルまでスキルを磨いておけばいいのです。
スキルは、新しい環境に身を置いて、大変だ大変だと言いながら身につけることの方がむしろ多いのです。
簡単におっしゃいますけど、それが一体どんなスキルなのか皆目検討がつかないんですよ…。
お金を稼ぐというのは、一言で言えば能力です。
稼ぐためには最初に自分はこれができるという得意技を見つけること
芸は身を助くは本当です。
高額なセミナービジネスや講習ビジネスのカモにならないこと。
これは簡単。好きなことであれば、すぐに得意技になりえる。私の場合は、間違いなく本。本が好きで、いくらでも本を読めるから、人に面白い本を教えることもできる。
皆さんの不安は、自分が一生懸命働いて、お金を楽しく使えば全てが解決するものかと言うと、決してそうではないのですね。
もっとマクロな視点で世の中を見てみてほしいのです。大切なのは数字とファクト。そしてそれを基に自分の頭で納得できるまで考えようとする姿勢です。
ぼんやりとした不安に負けてはいけない。確かに私たちがこれから生きていく日本は、苛烈になっていくかもしれない。だけど、世界は常に豊かになっているのだし、改善できることはいくらでもあるはずだ。
絶望を感じて生きるよりは、可能性を探って生きる方が遥かに有意義な人生であるだろう。
最後に。
くれぐれも本書に書いてあることを鵜呑みにしたりせず、自分の頭でしっかり考えてくださいね。
素晴らしい締めである。こうやって優秀な人に断言されると、私のようなアホは簡単に「そうなんだ!」と受け入れてしまう。
この世の中にそんな分かりやすい答えというものはなくて、常に例外があるだろう。
何よりも自分の頭で考え続けること。それを大事にしていこう。
ということで、こちらの本もオススメ。
自分で考えるということがどういうことか、よく分かるのと同時に、ちきりんのあまりの優秀さにウンザリする本である。
以上。