いかがだろうか。
あなたの今までの人生でヤンキーを可愛いと心の底から思ったことがあるだろうか。
恐怖したり、嫌悪したりすることはあっても、可愛いと思ったことがある人は極少数の道を極めようとしているような方ぐらいじゃないかと勝手に決めつけている。
道を極めていない私たち一般人が本当に心の底からヤンキーを可愛いと感じられるとしたら、フィクションの世界でしかありえないと思う。
そこで紹介したいのがこちらの作品。
ヤンキー塾へ行く(1) (ヤンマガKCスペシャル) | ||||
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偏差値ってナニ??
地域一帯に名を馳せるヤンキー・碇石が塾に通っちゃう!
いろいろと悪い奴らがちょっかいを出してくるけど、夢に向かって恋も勉強も頑張れ、碇石!!地域一帯に名を馳せる中学生ヤンキー・碇石。同い年の女子中学生・奈津美に出会ったことで、彼は難関高校の受験に挑戦することとなる!志望校の合格圏内に入るのは大変だし、少年院からヤバイ奴は戻ってくるし、内申書のために喧嘩はできないし‥‥。手放したくないものは、仲間? 進路? 女?受験の季節に揺れる、新感覚ヤンキー漫画!!
「新感覚ヤンキー漫画」と書かれてはいるものの、中身は喧嘩やいじめの嵐。私のような聖人からすると目を背けたくなるような描写ばかりの、正真正銘ヤンキー漫画である。
だが、そこでバランスを取るのが「可愛いヤンキー」こと主人公の碇石だ。
彼の特異な存在が、この漫画を「新感覚」足らしめている。
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可愛い主人公
『ヤンキー塾へ行く』は基本的にヤンキーたちの暴力を描いている。ほとんどのページで誰かしらが血まみれになっている。そんな漫画。
きっとそれはそれで燃える(萌える、か?)人もいるのだろうが、暴力一辺倒ではあまりにも芸がない。
戦いました⇒苦労して勝ちました⇒さらに強い敵が出てきました⇒ループ、のパターンはもうウンザリである。それはもうみんなBLEACHで飽き飽きしているはずだ。
『ヤンキー塾へ行く』はそんな暴力の世界に主人公の“碇石”というスパイスを効かせることで、作品をまろやかにしている。味わいが深くなっている。
作中最強を誇る主人公の碇石は、その強さは誇示しない。ヤンキーの世界に身を置きながらも、“夢”のために必死に勉強したり、喧嘩を避けたりする。義に厚い正義の人でもあり、極端な恥ずかしがり屋でもある。彼の淡い恋心も作品に色を添えている。
碇石の言動ひとつひとつが妙に可愛らしく、爽快なのだ。こんなに気持ちのいいやつはそうそういない。そんな彼の存在は作品の清涼剤と言えるだろう。北斗の拳のユリアであり、アンパンマンのおくらちゃんであり、HUNTERXHUNTERのゴレイヌにみたいなもんだ。
ヒロインが可愛いのなら分かるが、主人公が、しかも作中最強が可愛いってのは新しいと思う。この可愛さは実際に体感してみて欲しい。
ちなみにだが、作中で出てくる女子たちは純粋に見た目が可愛い。
無敵の主人公
主人公の碇石はとにかく強い。一撃必殺的な強さを持っている。
普段、あまりヤンキー漫画を読まないので、「主人公が無敵」というパターンが珍しいのかどうかよく分からないが、この作品の大きな魅力であることが間違いないだろう。
作中ではえげつないヤンキーがいくらでも出てきて、悪行三昧をしでかす。その描写はとにかくキツイ。読者が不快度マックスになるように作者が仕向けていると思われる。
しかし、読者はキツイと思いつつも、主人公が無敵の存在であることを知っている。
だからこそ、「いつ碇石が出てくるんだよ!」という期待感で、残酷な描写にも耐えられるし、彼の登場を待ちわびるがあまり、ページを捲る手が止められなくなるのだ。だって、読むのを止めたら碇石に出会えないでしょ。
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普遍的なテーマも…
物語の中では不良たちの強さ決定戦だけではなく、もっと普遍的なテーマを抱えているものがある。それは「正義とは何か?」だったり「友情の正体とは?」だったり、「夢を持つこと」だったりする。どれもこれも答えはないが、誰しもがぶつかる問題だろう。
直接的な描き方はされないが、そこかしこに読者にそんな疑問を突きつけるような描写があり、ただのヤンキー青春マンガだと舐めてかかっているこちらは、ハッとさせられる。
ドラゴンボールのような単純な物語もいいのだが、ある程度の年令になったら、物語には考えさせられたり影響されるような要素が欲しくなるもの。そんな欲求に応えてくれる作品でもあるのだ。
もともと不定期連載の作品だったのだが、人気が出て週刊連載に格上げされたのだが、その際にこんな方から応援メッセージが来たそうな。
やはりと言えばやはりな御方。
続編も出てます
『ヤンキー塾へ行く』は全4巻なのだが、実は続編が出ている。
塾生★碇石くん(1) (ヤンマガKCスペシャル) | ||||
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まだ未読なのだが、きっと我々を楽しませてくれる作品になっていることだろう。期待している。
以上。