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育児ブログの面白さなんて『ママはテンパリスト』には到底かなわんでしょ

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どうも。ポンコツブロガーを自称する私だが、ポンコツはポンコツなりに、どうやったらブログで成果を出せるか考えてみたりするときがある。だがただでさえツルツルの脳みそなので、いくら考えた所で分かることなんてたかが知れている。

というわけで市場調査をしてみる。世の中ではどんなブログが人気なのかと。

 

一口にブログといえども、その種類は様々だ。でもあくまでも私の印象だが、育児をテーマにしたブログがかなり人気を博しているようである。

我が家にも猿みたいなのが何匹も蔓延っているので、それらのブログを面白おかしく、そして共感しながら見ていた。

こりゃ人気が出るのも頷けるか、なんて思っていた。

 

だが私は知ってしまった。

そんな育児ブログの面白さを吹き飛ばし、読む価値を失わせるぐらいの怪作の存在を。

それどころか、日本にあるギャグ漫画の中でも有数のレベルを誇る育児マンガがあることを。

 

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鬼才が描く育児マンガ

ママはテンパリスト 1

東村 アキコ 集英社 2008-10
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革命的面白さの、新世代育児エッセイ! 漫画連載を多数かかえる作者は、初育児に毎日テンパりまくり(=あわてて動揺する)!! 息子ごっちゃんの、予想を裏切る驚愕リアクションの数々…。そのデンジャーな魅力に、やみつきになる! 

これである。私が全然知らなかっただけで、10年近く前の作品だったのか。作品の古さはあれども、育児なんてのは人間が世界に生まれてから連綿と続けられてきた営みである。この作品の面白さの源が「育児」である以上、その輝きが失われることは永遠にありえないだろう。

女の人は笑いに向いていない

かなりの偏見だが、私は女性で本当に面白い人っていないと思っている

笑いを生み出す存在として、なにか守るべきものや気にしなければいけないことが多すぎて、どんなに面白いことを言われてもこちらが素直に笑えなくなってしまうのだ。大久保佳代子とか、まさにそんな感じ。面白いんだろうし、吹っ切ろうともしているんだけど、こちらがそれに付いていけない。

なので、女性のギャグ漫画なんてのも信用していなかったし、どれだけ人気があると言われても『ママはテンパリスト』を読む気にはならなかった。

良い意味で裏切られた

転機は私に子供が生まれたこと。そして、育休に入った奥さんが貪るように『ママはテンパリスト』を読んでいたことだった。

あまりにも奥さんが楽しそうだったので、懐疑的になりながらも手にとってみたところ、衝撃を受けた。

上に書いた通り、私は女性のギャグを受け入れられない人間である。しかも、「こんなんで笑わされてたまるか」という訳のわからない意地を張っている。

でもそんな私でさえも『ママはテンパリスト』の前では屈するしかなかったのだ。

東村アキコの圧倒的な笑いのセンスに、私は一瞬でダウンを奪われてしまった。筋肉質な女戦士にボコボコにされたような気分だった。でもそれは別に悪い気分じゃなかった。

いやでもほんとに、こんな斜に構えたような人間まで笑わせてしまうのは、凄いことだと思う。普通、笑う気がない人を笑わせることなんてできないものだ

 

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ごっちゃんが特別なだけ?

抱腹絶倒の育児マンガである。『ママはテンパリスト』がこれだけのクオリティを発揮できるのは、ひとえに東村アキコの息子ごっちゃんが特別だから、という意見を聞いた。実際、うちの奥さんも「こんな子供いないでしょ」なんて言っていた。

でも私は思う。どこの子供も似たようなもんでしょ。

たぶんごっちゃんはそんな特別な子供ではない。むしろ特別なのは、ごっちゃんの親であり『ママはテンパリスト』の作者である東村アキコの“着眼点”だ

子供の挙動を見ても普通の人であれば「子供って可愛いなぁ」や「本当にバカなんだから」と思うだけだ。

でも東村アキコはその挙動の中に普通の人では見つけられない“面白さ”を見出す。そして抽出し作品へと昇華することができるのだ。

私が敬愛する作家、森博嗣がエッセイでこんなことを書いていた。

作家と呼ばれる人と素人の違いというのは、着眼点だ。それこそ雲泥の差がある。

以前、友人のよしもとばなな氏と雑談していたときに、ふと僕が語った内容に対して「それ面白いね」と言われたことがある。自分でも何気なく喋ったことだったが、考えてみたら確かに面白いかもしれない。そしてそのネタで本を一冊書くことができた。

着眼点というのはこういうことである。

完全にうろ覚えなのだが、内容に間違いはないと思う。

このように、才能というのは普通の人とは違う所を見る能力なのだ。

世の中に腐るほど溢れている育児ブログのほとんどが、子供のおかしな言動をまとめるだけで終わっているのに対して、『ママはテンパリスト』はさらに掘り下げ、笑いの価値観を生み出し、唯一無二の作品として仕上げている。まるで比べ物にならないのだ。 

名作は短い

あとこれも超偏見だが、名作と呼ばれるマンガは基本的に短くあるべきだと思っている。

マンガというのは基本的に雑誌で連載され、マンガ家は雑誌の連載によって生じる“原稿料”を糧に生活を送っている。

そうなると悪いことに、マンガ家は「いかに連載を伸ばすか?」という発想になってしまう。それが悪いことかと言うと難しい部分ではあると思う。いくらマンガ家とはいえ、生活がかかっている。安定した収入があるのであれば、連載をできるだけ長く続けたいと思うことだろう。雑誌に連載している、というだけで作品の宣伝にもなるし。

だが、こと作品の質という部分にだけ限定するのであれば、これは望ましい傾向ではないだろう。

作品に贅肉は付けてほしくない。必要なものを必要な濃度で。そして必要な長さで。それこそが最高の作品だと思う。特にギャグ漫画はこの傾向が顕著だと思う。作者の才能に依存する部分が多いこのジャンルは、適当な長さにすることが、作品の質に直結するのだ。

 

何が言いたいのかと言えば、その点、『ママはテンパリスト』はまったく問題ない、ということだ。なにせ全4巻。全巻が無駄なく仕上げられている。作者の東村アキコは贅肉だらけらしいが、作品にはまったく贅肉はないので安心してもらいたい。

 

必読である 

とまあポンコツブロガーがダラダラと駄文を連ねるよりも、さっさと読んで貰ったほうが遥かに『ママはテンパリスト』の魅力は伝わるというものである。

圧倒的な破壊力を有したこの怪作を、ぜひ味わってもらいたいと思う。

子供がいる方も、そうでない方にもオススメである。

 

以上。

 

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