どうも。
今回は私が本当に大好きなアーティストの紹介である。大好きであるがゆえに売れ線の楽曲はほとんど出てこない。
私が思うに、ケツメイシの良さというのは「言葉」である。
今では完全にポップなアーティストになってしまったが、元々はHIPHOPアーティストである。ラップに想いを乗せることでファンを魅了してきたと私は思っている。
だからこそ、最近のなんとも言葉が上滑りしたような楽曲にはガッカリしているし、それで売れてしまっている彼らを見るのも正直辛い。
ただ、本来アーティストというのは売れてなんぼである。ファンを作ってなんぼである。私のような偏屈なファンよりも、もっと幅広くポップに愛してくれるファンを求めるのは別に悪いことではない。作品のクオリティが下がろうとも、それは商売として真っ当である。
今回の記事では、長きに渡って彼らの活動を見守ってきただけでなく、アルバムもライブDVDも全てちゃんと購入している私が選ぶ、「ケツメイシの中でも屈指の名曲」である。
この説明からも分かると思うが、とにかくポップな楽曲は登場しない。重みがあり、質が高いものだけを選出している。
思いついた順でありランキングでも何でもないので悪しからず。
ぜひ彼らの言葉に触れ、その世界に魅了されてもらいたい。
※ちなみに余りにもマイナーな選曲もあり、動画がない場合もあるがかんべんして頂きたい。興味が湧いたら実際に聴いてみるべし。
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①トモダチ
ずっと友だち だが時は経ち
変わりゆく街の中で共に育ち
この街から力溜め 一からの
スタートを切った君に幸あれ
PVのダサさはまず置いておくとしても、この楽曲のクオリティである。
イントロのストリングスからして素晴らしい。楽曲の深さと切なさが一瞬で伝わってくる。 名曲の匂いがプンプンする。
この頃はまだRYOJIが詩を書きラップをしていた。抑揚の強いそのラップが大好きだったんだがなぁ。伝えたい事が無くなっちまったんだろうか。
ちなみに3:30辺りの大蔵の小芝居がこっ恥ずかしくて大好きである。
②そばにいて
ここ居合わせた この幸せは
何も感じず来た 今までは
ある日境に 思い出すあの笑顔
頭巡りまた目覚める 今朝も
君といると 自然に優しい気持ち
いつまで続くの?と悲しい祈り
いつまで綴る?と続く苦痛
揺れる想い 夜の闇くぐる
ただの恋愛ソングもおっさん達に歌わせるとこんなにも切なさに溢れた名曲に仕上がってしまう。さすがに世の酸いも甘い知っているだけある。「大好き!」「いつまでも!」なんていう軽々しい言葉では表現してこないのだ。
恋愛ソングはあまり好きではない私だが、この楽曲は歌詞で表現されている心情がとても深く刺さり、お気に入りの一曲になっている。
発表当初は、あまりにもポップよりじゃないかとファンから敬遠する声をよく聞いた。
③歌謡い
我の職業マイク持ちなり
どんな音にも 軒並み乗りたい
何年やっても まだまだ懲りない
食わず嫌い 呼びこむこちらに
ノリの良さは言わずもがな。この楽曲の最大の見所は、彼らの歌詞に綴られているアーティストとしての姿勢である。苦しみも楽しみも全部込み込みでやっていることが伝わってくる。やはり結局は人間性なのだろう。恥ずかしげもなく己をさらけ出すことで魅了されることは多い。
あとは他の楽曲に比べマイクリレーが多用されており、単純に聴いていて楽しい。
パート毎にきっちり分かれて各々の味をしっかりと出してくるのも好きなのだが、たまに分業感が出すぎて悲しくなったりするので、こういう楽曲は大事だと思う。
④花鳥風月
日が沈み大地赤く染まり 空を舞う鳥も森の中に
眠りの支度 羽を磨く そっと休ませ無に目を閉じる
空を舞う日々 風揺らぐ木々の中で 清く淡く生き
好きでもなく ただ空を舞い 欲などなくまた空を舞い
個人的にケツメイシの最高傑作はこの『花鳥風月』である。
メロディーにしても、勿論歌詞もそうだし、アレンジも完璧である。
特に秀逸なのはRYOJIの歌詞である。クスリでもやってたんじゃないかと疑いたくなるほど、素晴らしい詞で、本当に彼のことを見直した記憶がある。今ではその才能はほとんど発揮されていないが…。
美しい、と表現するのが一番相応しい名曲。
⑥涙
思うまま泣いて笑う君は 俺の心奥底まで響いた
周り見ずに1人傷つき そこで己脆さに気付き
人目はばからずに涙流して 嫌なことから無理矢理羽ばたいて
答え出す自分の中で 涙乾いたら違う眺め
これでダイノジのファンになったなー。懐かしい。
この楽曲最大のパンチラインはRYOの「答え出す自分の中で 涙乾いたら違う眺め」 だと思う。これだけ「涙」について的確に表現しつつ韻もしっかりと踏む言葉があるだろうか。さすがである。
メロディー的にはそこまででもないと思うが、テーマと歌詞の良さで選出させてもらった。
⑦東京
そこには夢が溢れて 未だ見ぬチャンス溢れてる
なんて話が違うね実際 やり直せるならもう一回
この都会凄く冷たくて早い
周りから見ると触れたくて甘い
上記の歌詞はRYOのパートからなのだが、完全にサビを食ってしまっている。「早い」も「甘い」も東京という街を表現するにぴったりな言葉である。先ほどの涙といい、この頃のRYOは歌詞の才能がキレキレであった。本人のキャラクターを見てしまうと、とてもではないがこんな繊細な歌詞を書けるような人間には思えない。
楽曲は寂しげに仕上げてあり、やはり切なさがポイントなのかもしれない。やけにクセになる楽曲である。
⑧雲の上から
今日もどっかで誰かが手を合わすその手を叩く 救いの手をかざす
信じるじない 次第君次第
僕の力なしでできると信じたい
少し趣向の変わった面白い楽曲である。
どうやら神様的な存在から見た人間へのメッセージという体裁を取っているようだ。
ケツメイシ神から送られるエールが、超越しつつもほのぼのしていて何とも言えない温かい視線が心地良い楽曲である。
RYOJIや大蔵の声が出ていなかったりなど色々細かいことはあるが、私はこのライブのときの『雲の上から』のパフォーマンスが一番好きである。特にRYOの「俺はお空からの番人」に合わせてステージの一番上に上がっている所とか、会場の一体感が最高である。
⑨手紙~未来~
まだ見たことない未来で 勇敢に戦う俺がいる
きっとそうだろ どうなの?
未来の俺らの状況は?
これもなかなかの名曲である。MC3人誰を取っても素晴らしい歌詞のオンパレードである。
アルバムでは「過去」「現在」「未来」と3つの手紙に絡めた楽曲を発表しているが、この「未来」が群を抜いて名曲である。
あとポイントとしては、この楽曲のアレンジをDJKOHNOが担当していることがいい。あまりにも存在感がなく「仕事してんのか?」と不安になる1DJがここへ来て最高の仕事をしてくれている。
⑩ケツメの作り方
機材はもちソニーのちびラジカセ
昼間聞くと馬鹿受けだ あぁマジだせえ
思い通りにはいかん一発録り
それは楽し嬉しい過ぎ去った日々
あまり結成時の話をしない彼らの「作り方」と称した、結成前の話を楽曲に仕上げたもの。
正直これだけでは何があったのか定かではない部分が多いが、それでもなんだか若い頃の彼らキラキラしつつも藻掻いていた様子が伝わってきていて非常にいい。
誰だって最初は何者でなく、色々な出来事や出会いの末に今に至っているという至極当たり前のことに、妙な感慨を感じてしまったりするのだ。
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⑪太陽
人は陽のあたる所ばかり選び歩くと いつかはその影が見えなくなる
辛い暗い長い夜が続くが 今にすぐにその夜は明ける
今日は暗く落ち込む日でも 明日は東の空にまた陽が昇る
聴く人の背中を押すような応援ソングが大好きなケツメイシ。この『太陽』はその中でも屈指のええ歌詞である。
脳天気なメロディーに乗せて、脱力した歌い方で伝えてくる言葉たちは、何とも言えず深い。力がこもっていないからこそ、しっかりと私たちの胸に染みる。
おっさんはやることが渋い。そして効果的である。
夏の暑い日にもぴったりな楽曲であるが、天気が悪く気分が落ち込んでいるような時にも聴きたくなる。
⑫門限やぶり
連れ出してあげる夜のデート
いいじゃない どうせ意味がない
決める門限は俺と君じゃない?
越えさせてあげるパパのゲート
いいじゃない どうせ意味がない
決める条件はオレと
ホーン系を使った渋いイントロ。大好きである。
この楽曲も面白い試みをしている。
MC3人がそれぞれ「初めて出会ったのは 飛び乗った電車のドアのそば」という書き出しで歌詞が始まるのである。そこから三者三様の物語が紡がれる。
こういった物語性もケツメイシの良さである。共感や人生訓示的なものだけではなく、物語を見せ、その世界を味わわせる。
にくい仕事をするもんだ。
⑬街並
思い出の場所に 洒落た店が建ち
思い出すのは あの日のことばかり
今のこの街を また君と見たい
昔のようにまた話してみたい
戻ったら 必ず僕がいるから
楽しみに待つ その日はいつかな?
若干、『トモダチ』と内容は被る部分があるが、それでも文句なしの名曲。アルバム曲の中でもかなり人気のある楽曲である。
やはりこういった哀愁があって切なさを含んだ楽曲ってのは、特別な気持ちにさせられてしまうものだ。日本人は切ないのが大好きだとよく言われるしな。
街並も変われば人も変わる。だけど思い出すのはいつも同じ日のことばかり。
…おっさんになったなぁ。
⑭Point of No Return(ケツメイシのRemix。)
残念。YOUTUBEに動画無し。
Point of No Return(ケツメイシのRemix。)
ちょっと重いがこちらにあった。
この楽曲はCHEMISTRYとのコラボである。歌詞とかはそこまで深いものにはなっていないのだが、妙にいい味を出しているコラボで、好きでよく聴いている。
元々のCHEMISTRYの楽曲にあるサビよりも、RYOのラップパートの方がサビっぽくしてあるのは、それだけRYOの歌詞が耳に心地良かったからなのだろうか?
全然意味が分からない歌詞なのだが…。
⑮新生活
春から始まる新生活 でもおいらはマイクチェックワンツー
朝から揺られる満員電車 たまのオアシス隣のオネーチャン
思うと気が重い企業戦士 でも振り返らず一歩一歩前進
なりたかねえ会社の歯車 はまらんぜ社会のルールは
曲に入る前の大蔵のMCが上手い。
だいぶ楽曲に若さが見られるが、彼らの持ち味は十分に発揮されていていい。むしろ瑞々しさがあって他の楽曲よりもエネルギーに満ちている気がする。「いい曲を作るんだ…!」という気合が楽曲にこもっている。
この楽曲は彼らお得意の応援ソングでもあり、ちょっとしたユーモアも交えてあり、非常に耳に心地のよい仕上がりになっている。
⑯幸せをありがとう
この先何があるか分からないが 君を離さない その笑顔絶やさない
今まで涙させたことが 謝る俺を大人にした
君の前誓う愛 神の前 今 誓いたい
晴れ舞台に立つ2人今日旅立つ 胸には幸せの鐘がなる
さあそろそろ終わりが近づいている。こんな名曲を持ってきている辺り、分かる人には分かるだろう。
この楽曲はMCの3人がアルバム制作中に結婚することになったDJKOHNOのために隠れて制作していたものらしい。本当は結婚式の当日に発表する予定だったが結局間に合わず、本番はかくし芸を披露したとか。
そんな有名なエピソードと、上質な歌詞が相まって、結婚式でよく使われる非常に人気の高い楽曲である。
メンバー全員が既婚者(RYOJIはすぐ離婚するが)なので、この辺りは上手い歌詞が書けてしまうのかもしれない。それにしてもいい曲である。
⑰わすれもの
これ以上女々しい楽曲は存在しない。男目線で失恋ソングを書くとどうしても女々しくならざるをえない。なんてったって女々しいという言葉は男のためにあるのだから。
この3人がその「女々しさ」に本気で取り組むとこんな名曲が出来上がる。
男の私が聴くと堪らない気持ちになるのだが、これが女性になるとどうなのか気になるところである。気持ち悪かったりするのだろうか?
この楽曲もケツメイシの中でも屈指の人気曲である。気分が落ち込んだ夜なんかに、部屋を暗くして聴くと、更に気分が落ち込んで、むしろ清々しくなる不思議な効果がある。
中毒性も高く、歌詞も素晴らしく、私が個人的に一番気に入っている楽曲である。
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ケツメイシよ永遠なれ
冒頭でも書いたように今のケツメイシを私はあまり好きではない。
だからといって彼らが今まで発表してきた作品に価値がなくなるわけでは当然なく、「もう!ケツメイシなんか知らない!」と見境なく怒り出すほど私は愚かではない。
彼らの今の状況は彼らが選んだ道であり、彼らがターゲットにしている客の中に私は含まれなかったということだろう。
それは確かに悲しいことではあるが、私はケツメイシが創り出してくれた名曲たちさえあればそれでいいのだ。失われたものはもう取り戻せない。
なんだか感傷的な記事になってしまったが、とにかく私はまだケツメイシが大好きである。楽曲に興味が無くなりこそすれ、彼らのことは今でも応援している。
どうかいつまでも活躍し続けてもらいたい。そして私のようにケツメイシの楽曲によって元気になったり励まされる人が少しでも増えればいいと願うばかりである。
以上。
ライブDVDの最高傑作はこちら。