どうも。推理小説中毒のひろたつです。
今まで数々の作品を読んできた。度肝を抜かれる名作もあれば、床に叩きつけてページを引きちぎりたくなるほどの駄作と出会ったこともあった。どれも良い思い出である。
で、そんなピンからキリまである推理小説なのだが、マニアになると設定だけで興奮できたりする。
それが雪の山荘もの-“クローズド・サークル”-である。
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クローズド・サークルとは
こんな記事を開こうと思った時点で、知らない人はいないと思うが一応「クローズド・サークル」について説明を入れておく。
クローズド・サークルとは推理小説マニアが興奮する舞台装置であり、これと「読者のへの挑戦状」さえ付けておけば、マニアは勝手に悶絶する。
ただしやるからにはそれなりの完成度を求められるので諸刃の剣とも言えるだろう。
だが、極度のマニアになると様式美だけで歓喜してしまう傾向があるので、使うだけで一定の評価は得られることだろう。
※wikiより転載(嘘)
このようにクローズド・サークルというのは推理小説好きを魅了してくれる極上のアイテムなのだ。お分かりいただけただろうか。分からなくても一向に構わない。
もしテストに出るようであれば、「クローズド・サークル=マニア悶絶」で覚えてもらえれば安心だ。
取り揃えてみた
ということで、私なりにクローズド・サークルものの名作たちを集めてみた。
ただし、あくまでも私が「面白い!」と思ったものと、既読のものだけしかないので、世の中にはまだまだたくさんのクローズド・サークルものの名作が溢れているはずだ。
また推理小説の特性上、紹介するうえでのネタバレが考えられる。なので、極力私からのコメントは控え、あらすじと一言コメントだけに抑えておく。
本来であれば、ネタバレしながら好き放題書きたいところではあるが、推理小説のネタは作品の命とも言えるものなので、ネットの海にばら撒くような真似はしたくないのだ。ご容赦いただきたい。
では行ってみよう。
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鴉
弟・襾鈴の失踪と死の謎を追って地図にない異郷の村に潜入した兄・珂允。襲いかかる鴉の大群。四つの祭りと薪能。蔵の奥の人形。錬金術。嫉妬と憎悪と偽善。五行思想。足跡なき連続殺害現場。盲点衝く大トリック。支配者・大鏡の正体。再び襲う鴉。そしてメルカトル鮎が導く逆転と驚愕の大結末。一九九七年のNo.1ミステリに輝く神話的最高傑作。
麻耶雄嵩は孤高の変態である。変態が推理小説の限界に挑戦してみるとこんな作品が出来あがる。
月の扉
週明けに国際会議を控え、厳重な警戒下にあった那覇空港で、ハイジャック事件が発生した。3人の犯行グループが、乳幼児を人質にとって乗客の自由を奪ったのだ。彼らの要求はただひとつ、那覇警察署に留置されている彼らの「師匠」石嶺孝志を、空港滑走路まで「連れてくること」だった。緊迫した状況の中、機内のトイレで、乗客の死体が発見された。誰が、なぜ、どのようにして―。
事件の不可能性が高ければ高いほどマニアは萌える。飛行機の機内だって?当然、萌えるでしょ。
そして二人だけになった
全長4000メートルの海峡大橋を支える巨大なコンクリート塊。その内部に造られた「バルブ」と呼ばれる閉鎖空間に科学者、医師、建築家など6名が集まった。プログラムの異常により、海水に囲まれて完全な密室と化した「バルブ」内で、次々と起こる殺人。残された盲目の天才科学者と彼のアシスタントの運命は……。反転する世界、衝撃の結末。知的企みに満ちた森ワールド、ここに顕現。
私は基本的に森博嗣のミステリィは認めていない。だがこれは良いと思う。
生存者、一名
<“雪の山荘” “絶海の孤島” “曰くつきの館” 圧巻の密室トリックと驚愕の結末に瞠目せよ! ボーナス・トラック「夏の雪、冬のサンバ」を収録>
影浦逸水は、下世話な愚痴が玉に瑕だが、正真正銘の名探偵である。難事件解決のお礼に招かれた伊豆の山荘で、オーナーである新興企業の社長が殺された。雪の降る夜、外には足跡一つなく、現場は密室。この不可能犯罪を前に影浦の下す推理とは? しかし、事件は思わぬ展開に……。
まあこんな感じ。全然有名じゃないが、この中に収録されている『生存者、一名』がなかなか。
霧越邸殺人事件
信州の山中に建つ謎の洋館「霧越邸」。訪れた劇団「暗色天幕」の一行を迎える怪しい住人たち。邸内で発生する不可思議な現象の数々…。閉ざされた“吹雪の山荘"でやがて、美しき連続殺人劇の幕が上がる!
様式美に取り憑かれた男、綾辻行人。美しい死体とあのトリック…。この辺りが彼のキャリアハイじゃないだろうか。
ある閉ざされた雪の山荘で
早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、オーディションに合格した男女7名。これから舞台稽古が始まる。豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇だ。だが、1人また1人と現実に仲間が消えていくにつれ、彼らの間に疑惑が生まれた。はたしてこれは本当に芝居なのか?驚愕の終幕が読者を待っている!
こんなネタまで思いついちゃんだから東野圭吾はずるい。売れるだけで満足してくれよ。
殺しの双曲線
雪のために孤立した山荘で順番に殺されてゆく
アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』に真っ向から挑んだ、本格ミステリーの傑作!
鮮やかなプロット 名著復活!差出人不詳の、東北の山荘への招待状が、六名の男女に届けられた。しかし、深い雪に囲まれた山荘は、彼らの到着後、交通も連絡手段も途絶した陸の孤島と化す。そして、そこで巻き起こる連続殺人。
西村京太郎初期作品中、屈指の名作!
昔は西村京太郎も頑張っていたのだ。今では見る影もないが。どうでもいいが、西村京太郎と山村美紗の自宅は繋がっているらしい。
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電脳山荘殺人事件
雪で閉ざされた山荘に集まったのはチャットで知り合った7人と金田一耕助の孫・金田一一、それに七瀬美雪。そこで「僧正」が殺された!7人の中にいる「トロイの木馬」を名乗り、皆殺しゲームを操ろうとしているのは誰か!?果たして、金田一少年は全員が“消去”される前にゲームのスイッチを切ることができるのか。
この作品でも驚愕するのだが、天樹征丸をwikiで調べるとさらに驚愕する。どれだけ才能に溢れてるんだ。
星降り山荘の殺人
雪に閉ざされた山荘。ある夜、そこに集められたUFO研究家、スターウォッチャー、売れっ子女流作家など、一癖も二癖もある人物たち。交通が遮断され、電気も電話も通じていない陸の孤島で次々と起きる殺人事件…。果たして犯人は誰なのか!?あくまでもフェアに、読者に真っ向勝負を挑む本格長編推理。
きっとニヤニヤしながら書いたんだろうなぁ、と想像してしまう。
『アリス・ミラー城』殺人事件
鏡の向こうに足を踏み入れた途端、チェス盤のような空間に入り込む――『鏡の国のアリス』の世界を思わせる「アリス・ミラー城」。ここに集まった探偵たちが、チェスの駒のように次々と殺されていく。誰が、なぜ、どうやって?全てが信じられなくなる恐怖を超えられるのは……。古典名作に挑むミステリ。
かなりトリッキーな作品。初心者だと訳が分からなくなるかも。
インシテミル
「ある人文科学的実験の被験者」になるだけで時給十一万二千円がもらえるという破格の仕事に応募した十二人の男女。とある施設に閉じ込められた彼らは、実験の内容を知り驚愕する。それはより多くの報酬を巡って参加者同士が殺し合う犯人当てゲームだった―。
デスゲーム小説とも言える。両方の要素で楽しんでもらえるといいだろう。
十角館の殺人
十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!
個人的に、推理小説史上最高のトリックだと思う。
扉は閉ざされたまま
大学の同窓会で七人の旧友が館に集まった。“あそこなら完璧な密室をつくることができる…”伏見亮輔は客室で事故を装って後輩の新山を殺害、外部からは入室できないよう現場を閉ざした。自殺説も浮上し、犯行は成功したかにみえた。しかし、碓氷優佳だけは疑問を抱く。開かない扉を前に、息詰まる頭脳戦が始まった…。
売れすぎた作品。面白いのは間違いない。
そして扉が閉ざされた
富豪の若き1人娘が不審な事故で死亡して3カ月、彼女の遊び仲間だった男女4人が、遺族の手で地下シェルターに閉じ込められた!なぜ?そもそもあの事故の真相は何だったのか?4人が死にものぐるいで脱出を試みながら推理した意外極まる結末は?
稀代のトリックメーカー岡嶋二人。分業制はやっぱり強い。
蛍
オカルトスポット探険サークルの学生六人は京都山間部の黒いレンガ屋敷ファイアフライ館に肝試しに来た。ここは十年前、作曲家の加賀螢司が演奏家六人を殺した場所だ。そして半年前、一人の女子メンバーが未逮捕の殺人鬼ジョージに惨殺されている。そんな中での四日間の合宿。ふざけ合う仲間たち。嵐の山荘での第一の殺人は、すぐに起こった。
凄い。だけど酷い。そしてそれが麻耶雄嵩。
ロートレック荘事件
夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと美貌の娘たちが集まった。ロートレックの作品に彩られ、優雅な数日間のバカンスが始まったかに見えたのだが…。二発の銃声が惨劇の始まりを告げた。一人また一人、美女が殺される。邸内の人間の犯行か?アリバイを持たぬ者は?動機は?推理小説史上初のトリックが読者を迷宮へと誘う。前人未到のメタ・ミステリー。
筒井康隆の性格の悪さがそのままトリックになったような作品。
斜め屋敷の犯罪
北海道のさいはて、オホーツク海を見下ろす崖の上に、斜めに傾けて建てられた奇妙な西洋館があった。クリスマスの夜、この「流氷館」の当主・浜本幸三郎は、客を招待してパーティを開く。そこで起きた血の惨劇、しかも事件は恐怖の密室連続殺人に発展する……。後に多くの追随者を生んだ、本格推理の破天荒な名作。
斜めである。この発想は素晴らしい。それにしても斜めか…。
クリムゾンの迷宮
藤木はこの世のものとは思えない異様な光景のなかで目覚めた。視界一面を覆う、深紅色の奇岩の連なり。ここはどこだ?傍ら携帯用ゲーム機が、メッセージを映し出す。「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された」
これもデスゲーム小説かなぁ。けれども貴志の禿頭から繰り出されるプロットにやられるのでついでにご紹介。
仮面山荘殺人事件
8人の男女が集まる山荘に、逃亡中の銀行強盗が侵入した。外部との連絡を断たれた8人は脱出を試みるが、ことごとく失敗に終わる。恐怖と緊張が高まる中、ついに1人が殺される。だが状況から考えて、犯人は強盗たちではありえなかった。7人の男女は互いに疑心暗鬼にかられ、パニックに陥っていった……。
最後はこちら。東野圭吾が推理小説の限界を模索していた時期の作品である。 限界を突破しているかどうかは読んでのお楽しみ。
番外編
番外編として、こちらも紹介しよう。クローズド・サークルものを語る上で外せない作品である。
かまいたちの夜
思えば人生最初にクローズド・サークルの快感を教えてくれたのはかまいたちだったなぁ。
あの興奮は体験した人じゃないと分からないだろう。
以上。参考にされたし。